民事再生法 第217条(同意再生の決定)
クイックジャンプ
- 裁判所は、債権届出期間の経過後一般調査期間の開始前において、再生債務者等の申立てがあったときは、同意再生の決定(再生債権の調査及び確定の手続並びに再生債務者等が提出した再生計画案の決議を経ない旨の決定をいう。以下同じ。)をする。この場合において、再生債務者等の申立ては、すべての届出再生債権者が、書面により、再生債務者等が提出した再生計画案について同意し、かつ、第四章第三節に定める再生債権の調査及び確定の手続を経ないことについて同意している場合に限り、することができる。
- 2.裁判所は、財産状況報告集会における再生債務者等による報告又は第百二十五条第一項の報告書の提出がされた後でなければ、同意再生の決定をすることができない。
- 3.裁判所は、第一項の申立てがあった場合において、同項後段の再生計画案について第百七十四条第二項各号(第三号を除く。)のいずれかに該当する事由があると認めるときは、当該申立てを却下しなければならない。
- 4.同意再生の決定があった場合には、その主文、理由の要旨及び第一項後段の再生計画案を公告するとともに、これらの事項を第百十五条第一項本文に規定する者に通知しなければならない。
- 5.第一項後段の再生計画案が住宅資金特別条項を定めたものである場合における同項後段、第三項及び前項の規定の適用については、第一項後段中「届出再生債権者」とあるのは「届出再生債権者(第百九十八条第一項に規定する住宅資金貸付債権を有する再生債権者であって当該住宅資金貸付債権以外に再生債権を有しないもの及び保証会社であって住宅資金貸付債権に係る債務の保証に基づく求償権以外に再生債権を有しないものを除く。)」と、第三項中「第百七十四条第二項各号(第三号を除く。)」とあるのは「第二百二条第二項各号(第四号を除く。)」と、前項中「第百十五条第一項本文に規定する者」とあるのは「第百十五条第一項本文に規定する者及び住宅資金特別条項によって権利の変更を受けることとされている者で再生債権の届出をしていないもの」とする。
- 6.第百七十四条第三項及び第二百十一条第二項の規定は第一項の申立てについて、第百七十四条第五項及び第二百十二条第一項の規定は同意再生の決定があった場合について、第二百二条第三項の規定は第一項後段の再生計画案が住宅資金特別条項を定めたものである場合における同意再生の決定に関する意見について準用する。
この条文の基本情報
同意再生の決定とは何ですか?
定義同意再生の決定とは、民事再生法第217条に定められた規定で、「裁判所は、債権届出期間の経過後一般調査期間の開始前において、再生債務者等の申立てがあったときは、同意再生の決定(再生債権の調査及び確定の手続並びに再生債務者等が…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第217条(同意再生の決定)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第217条の条文原文は「裁判所は、債権届出期間の経過後一般調査期間の開始前において、再生債務者等の申立てがあったときは、同意再生の決定(再生債権の調査及び確定の手続並びに再生債務者等が…」で始まります。
- 民事再生法第217条は第二節 同意再生に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第217条の前の条は民事再生法第216条です。
- 民事再生法第217条の次の条は民事再生法第218条です。
- 民事再生法第217条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第217条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第217条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/217
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法217条の同意再生は、届出再生債権者の全員が書面で計画案に同意すれば、債権調査も債権者集会の決議も省いて裁判所が再生を決定できる制度である。
Q · 同意再生って、普通の民事再生と何がそんなに違うの?
全員が書面同意すれば、多数決も債権調査も省ける最速の再生手続です
民事再生法217条の同意再生は、届け出た再生債権者の全員が書面で計画案に同意し、かつ債権の調査・確定手続を省くことに同意した場合に限り、裁判所が債権者集会の決議も債権調査も経ずに再生を決定する制度です。多数決を残す簡易再生(211条)と異なり、全員一致を条件に多数決すら不要にします。手続は数ヶ月単位で短縮され、弁護士費用や予納金も圧縮されますが、債権者が一社でも同意しなければ成立せず、事実上は少数かつ協力的な債権者構成の小規模事業に限られます。
解説
会社の資金繰りが詰まり、再生手続を考え始めたあなた。通常の民事再生は、債権の調査、確定、債権者集会での多数決と、半年から一年がかりの長丁場だ。だが取引先(債権者)が数社しかなく、全員が協力的なら、その全部を飛ばせる裏ルートがある。それが同意再生だ。217条は、届け出た再生債権者の全員が書面で「再生計画案に同意し、債権調査の手続も省く」と意思表示すれば、裁判所が同意再生の決定を出せると定める。簡易再生(211条)が多数決を残すのに対し、同意再生は全員一致を条件に多数決すら不要にする。手続は数ヶ月単位で短縮され、弁護士費用も裁判所への予納金も圧縮される。鍵はただ一つ、債権者全員のハンコを申立ての前に揃えられるか、その一点に勝負が集約される。
法的な位置づけ
同意再生とは、民事再生法217条が定める再生手続の特則であり、届け出た再生債権者の全員が書面により再生計画案へ同意し、かつ債権の調査・確定手続を省くことに同意した場合に、裁判所が債権者集会の決議を経ずに再生を決定する制度をいう。多数決を残す簡易再生に対し、同意再生は全員一致を条件に決議自体を不要とする点に特徴がある。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.債権者の数と関係性を棚卸しする 再生債務者として、まず届出が見込まれる再生債権者の社数と協力度を洗い出す。少数かつ全員が協力的なら同意再生が射程に入る。ここで一社でも敵対的なら早期に簡易再生・通常再生へ切り替える判断をする
- 2.申立て代理人と手続を切り分ける 弁護士と相談し、簡易再生(211条・多数決)・同意再生(217条・全員一致)・通常再生のどれが現実的かを早期に確定する。同意書が揃う見込みがない段階での見切り発車は避ける
- 3.財産状況報告を正確に整える 同意再生の決定は財産状況報告集会での報告または125条1項の報告書提出後でなければ出せない(217条2項)。同意書が揃った瞬間に決定へ進めるよう、報告書を先に完成させておく
- 4.全員から書面同意を回収する 債権届出期間経過後・一般調査期間開始前の窓で、全届出債権者から計画案への同意と債権調査省略への同意(書面)を回収する。揉めそうな大口債権者を最初に説得し、その合意を持って他社へ回ると横並びで取りやすい
- 5.裁判所へ同意再生を申し立てる 全員の同意書と再生計画案を添えて同意再生を申し立てる。裁判所は174条2項各号(3号を除く)の不認可事由がないかを審査し、問題がなければ同意再生の決定を出す(217条3項)
よくある質問 AI による整理
Q1同意再生とは何ですか?
民事再生法217条が定める再生手続の特則です。届出再生債権者の全員が書面で計画案に同意すれば、債権調査も債権者集会の決議も省いて裁判所が再生を決定できます。
Q2同意再生と簡易再生の違いは何ですか?
簡易再生(211条)は議決権の5分の3以上の多数決で足りますが、同意再生は債権者全員の書面同意を条件に多数決そのものを不要にします。全員一致のハードルが決定的な違いです。
Q3同意再生はいつまでに申し立てますか?
債権届出期間の経過後、かつ一般調査期間が始まる前という限られた窓でしか申し立てられません(217条1項)。この窓を逃すと簡易再生か通常手続に回ります。
Q4同意再生の費用はどれくらい安くなりますか?
債権調査手続や債権者集会が省かれるため、手続期間が数ヶ月単位で短縮され、弁護士費用や裁判所への予納金も通常の再生より圧縮されます。金額は事案規模で異なります。
Q5同意再生で個人事業主は自宅を残せますか?
217条5項により計画案に住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を組み込む余地があります。住宅ローン債権者を同意の母数から外すなどの調整で自宅を守る設計が可能です。
Q6同意再生の決定に必要な事前手続は何ですか?
財産状況報告集会での報告、または125条1項の報告書提出を経た後でなければ、裁判所は同意再生の決定を出せません(217条2項)。報告書の準備が前提です。
Q7同意再生を選べるのはどんな会社ですか?
債権者が少数で全員が協力的な小規模事業に事実上限られます。債権者が十数社を超えると一社の非協力で成立しないため、通常は使えません。
Q8同意再生でも社長の連帯保証は消えますか?
消えません。法人の再生計画で債務が減額されても、社長が連帯保証していれば債権者は保証人個人へ満額を請求できます。法人と保証は別の戦場です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1債権者が一社でも同意しなかったら、同意再生はできないんですか?
できません。217条1項は『すべての届出再生債権者』の書面同意を条件にしており、一社でも拒否や無回答があれば不成立です。その場合は議決権の5分の3以上で足りる簡易再生(211条)か、通常の再生手続へ切り替えます。実務のポイント:実務では同意書を回収できる見込みが立ってから同意再生を選ぶ。見切り発車で申し立てて一社に断られると、やり直しの時間ロスが致命傷になる
Q2全員が同意していれば、裁判所はもう何もチェックしないんですか?
いいえ。全員同意でも、裁判所は174条2項各号(3号を除く)の不認可事由、たとえば計画が法律違反だったり履行の見込みがなかったりする事情があれば、申立てを却下します(217条3項)。実務のポイント:全員一致だからと中身の甘い計画を出すと却下される。同意は通行証ではなく入場券にすぎず、計画の実現可能性という審査は最後まで残る
Q3住宅ローンがあるんですが、同意再生でも家は残せますか?
可能性があります。217条5項は計画案に住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を組み込む場合の特例を定めており、住宅ローン債権者を同意の母数から外すなどの調整をして、自宅を守りながら他の債務を整理する設計ができます(198条、202条)。実務のポイント:住宅条項を絡めると手続が一段複雑になるので、住宅ローン特則の経験がある弁護士を選ぶかどうかで、家を残せるかが実際に分かれる
間違えやすい点 AI による整理
- 「再生手続は必ず債権者集会で多数決を取る」と思い込んでいる人が多いが、217条の同意再生はその多数決自体を消す。全員が書面で同意していれば、集会を開いて票を数える工程そのものが要らない。手続の常識だと思っていた一段が、条件次第で丸ごと省略できる
- 同意再生を「全員の合意があるだけの簡単な手続」と軽く見るのは危険だ。全員一致という条件の重さを甘く見ている。債権者が十社二十社いる規模になると、一社でも非協力なら成立しない。つまりこの制度が現実に機能するのは、債権者が少数で関係が良好な小規模事業に事実上限られる。使える場面の狭さこそが本質で、そこを読み違えると申立て自体が空振りする
- 「会社が同意再生で借金を整理すれば、社長個人も楽になる」と考えがちだが、それは問いの立て方が違う。法人の再生手続は、社長が会社の債務を連帯保証していれば、その個人保証には及ばない。会社が計画で減額されても、債権者は保証人である社長個人へ満額を請求できる。法人の再生と経営者の保証は、別々の戦場として同時に手当てしなければならない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 成立要件 | 217条 同意再生:届出再生債権者の全員が書面で同意 | 211条 簡易再生:議決権の5分の3以上の同意 通常再生:債権者集会の決議(頭数過半数 + 議決権2分の1以上) |
| 省略される手続 | 債権の調査・確定手続 + 債権者集会の決議 | 債権の調査・確定手続(決議は残る) 省略なし(すべて実施) |
| 申立ての時間窓 | 債権届出期間経過後・一般調査期間開始前(217条1項) | 債権届出期間経過後・一般調査期間開始前(211条) 手続の各段階に応じて進行 |
| 適した場面 | 債権者が少数で全員が協力的な小規模事業 | 多数決なら得られるが全員同意は難しい事案 債権者多数・利害対立がある一般的な事案 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は会社更生型の重整と消費者更生を持つが、全届出債権者の書面同意で調査と決議を一括省略する同意再生型の特則は明文化されていない
韓国は簡易回生手続を持ち小規模事業者の迅速化を図る。全員一致で決議を不要とする点は日本の同意再生に近い発想だが要件は異なる
ドイツの倒産計画(Insolvenzplan)はグループ別多数決を基本とし、全員一致による決議省略という日本型の同意再生とは構造が異なる
米国のプレパッケージ型 Chapter 11は申立て前に債権者の賛成投票を取り付ける点で発想が近いが、投票要件はクラス別多数決で全員一致ではない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが営む町の製麺所が立ち行かなくなった。債権者は長年の取引先である小麦卸、機械リース会社、メインバンクの三社だけ。どこも長い付き合いで、つぶれるより再生してほしいと思っている。この状況こそ同意再生の独壇場で、全員から同意書を取れれば、債権者集会も多数決も飛ばして数ヶ月で計画を確定できる
- もし債権者のうち一社だけが同意書へのサインを渋ったら、どうなる? 同意再生は全員一致が絶対条件なので、その瞬間に選択肢から消える。残るのは議決権の5分の3以上で足りる簡易再生か、通常の再生手続。だからこそ「揉めそうな一社」を最初にどう口説くかが、手続全体の設計を左右する
- 申立てには時間の窓がある。債権届出期間が終わった後、かつ一般調査期間が始まる前。この窓を逃せば、もう同意再生は申し立てられない
- あなたが債権者の側で、取引先から「同意再生に協力してほしい」と同意書を差し出されたとする。サインは、計画案に従った減額を呑むだけでなく、債権調査の手続を省くことにも同意する意味を持つ。後から「やっぱり債権額に異議が」とは言えなくなる。署名欄に名前を入れる前に、計画案の数字を最後の一桁まで確認する必要がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 再生債務者(再建を目指す側)として、まず債権者の数と関係性を棚卸しする。少数かつ協力的なら同意再生が射程に入る2. 申立て代理人の弁護士と、簡易再生(211条)・同意再生・通常再生のどれが現実的かを早期に切り分ける3. 同意書の回収は債権届出期間経過後・一般調査期間開始前の窓で完了させる。揉めそうな大口から先に説得4. 財産状況報告(125条)を正確に整え、全員同意が揃い次第すぐ決定へ進める態勢を作る
訴えられた側:1. 再生債権者(同意を求められる側)として、差し出された同意書は計画案への同意と債権調査省略の同意がセットだと理解する2. 署名前に計画案の弁済率・弁済期間・自社の債権額を最後の一桁まで確認、異議があるなら署名しない3. 174条2項の不認可事由(計画の不正・履行不能など)に当たる疑いがあれば、却下を求める材料として裁判所へ意見を出せる(217条3項) 4. 相手の社長が個人保証していれば、会社への同意とは別に保証人への回収ルートを保全しておく
時効(請求できる期限):同意再生の申立ては、債権届出期間が経過した後、かつ一般調査期間が始まる前という限られた窓でしかできない(217条1項)。さらに財産状況報告集会での報告または125条1項の報告書提出を経た後でなければ裁判所は決定を出せない(同条2項)。消滅時効の問題ではなく、手続上の時間窓を逃せば簡易再生か通常手続に回るしかない
学説
通説:同意再生(217条)は、債権調査・確定手続と債権者集会の決議という手続保障を全員一致の書面同意によって省く特則と理解される。省略が正当化されるのは保障を受ける当事者全員が自ら不要と表明したからであり、なお裁判所は174条2項の不認可事由を独立に審査するため、当事者自治と計画の適法性・実現可能性が二段構えで両立するとされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法(平成11年法律第225号)の制定により同意再生を新設。届出再生債権者の全員同意を条件に、債権調査・確定手続と決議を省く最速の再建型手続として整備された
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める