民事再生法 第239条(手続開始の要件等)
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- 第二百二十一条第一項に規定する債務者のうち、給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者であって、かつ、その額の変動の幅が小さいと見込まれるものは、この節に規定する特則の適用を受ける再生手続(以下「給与所得者等再生」という。)を行うことを求めることができる。
- 2.給与所得者等再生を行うことを求める旨の申述は、再生手続開始の申立ての際(債権者が再生手続開始の申立てをした場合にあっては、再生手続開始の決定があるまで)にしなければならない。
- 3.再生債務者は、前項の申述をするときは、当該申述が第二百二十一条第一項又は第二百四十四条において準用する第二百二十一条第三項に規定する要件に該当しないことが明らかになった場合に通常の再生手続による手続の開始を求める意思があるか否か及び第五項各号のいずれかに該当する事由があることが明らかになった場合に小規模個人再生による手続の開始を求める意思があるか否かを明らかにしなければならない。ただし、債権者が再生手続開始の申立てをした場合については、この限りでない。
- 4.裁判所は、第二項の申述が前項本文に規定する要件に該当しないことが明らかであると認めるときは、再生手続開始の決定前に限り、再生事件を通常の再生手続により行う旨の決定をする。ただし、再生債務者が前項本文の規定により通常の再生手続による手続の開始を求める意思がない旨を明らかにしていたときは、裁判所は、再生手続開始の申立てを棄却しなければならない。
- 5.前項に規定する場合のほか、裁判所は、第二項の申述があった場合において、次の各号のいずれかに該当する事由があることが明らかであると認めるときは、再生手続開始の決定前に限り、再生事件を小規模個人再生により行う旨の決定をする。ただし、再生債務者が第三項本文の規定により小規模個人再生による手続の開始を求める意思がない旨を明らかにしていたときは、裁判所は、再生手続開始の申立てを棄却しなければならない。
- 一再生債務者が、給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者に該当しないか、又はその額の変動の幅が小さいと見込まれる者に該当しないこと。
- 二再生債務者について次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に当該申述がされたこと。
- 一給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと当該再生計画認可の決定の確定の日
- 二第二百三十五条第一項(第二百四十四条において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日
- 三破産法第二百五十二条第一項に規定する免責許可の決定が確定したこと当該決定の確定の日
この条文の基本情報
手続開始の要件等とは何ですか?
定義手続開始の要件等とは、民事再生法第239条に定められた規定で、「第二百二十一条第一項に規定する債務者のうち、給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者であって、かつ、その額の変動の幅が小さいと見込まれるものは、この…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第239条(手続開始の要件等)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第239条の条文原文は「第二百二十一条第一項に規定する債務者のうち、給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者であって、かつ、その額の変動の幅が小さいと見込まれるものは、この…」で始まります。
- 民事再生法第239条は第二節 給与所得者等再生に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第239条の前の条は民事再生法第238条です。
- 民事再生法第239条の次の条は民事再生法第240条です。
- 民事再生法第239条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第239条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第239条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/239
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法239条は、定期収入があり収入変動の小さい債務者が、債権者の同意なく認可される給与所得者等再生を求められると定める。申述は再生手続開始の申立ての際に必要である。
Q · 会社員だから「給与所得者等再生」を選べばいいの?
会社員でも小規模個人再生が使え、そちらが安いことが多い
民事再生法239条の給与所得者等再生は、債権者が反対しても認可される代わりに、可処分所得の2年分の返済が義務づけられます(241条)。この額は小規模個人再生の最低弁済額を上回ることが多く、返済総額が高くなりがちです。会社員でも小規模個人再生は普通に使えるため、まず「小規模で債権者に反対されそうか」を見極め、反対の見込みが低ければ小規模を選ぶのが実務の基本です。なお過去7年以内に破産免責を受けていると給与所得者等再生は使えません(5項2号)。
解説
カードローン、リボ払い、奨学金の返済が重なり、毎月の手取りがほとんど借金で消えていく。自己破産は財産も社会的信用も失うから避けたい。そこで浮かぶのが個人再生だが、多くの人が見落とすのは、個人再生に二つの型があるという事実だ。一つは小規模個人再生、もう一つがこの239条が定める給与所得者等再生。会社員のあなたは「給与所得者」という名前に引き寄せられて後者を選びがちだが、ここに罠がある。給与所得者等再生は債権者が反対しても認可される代わりに、可処分所得の二年分の返済が義務づけられる(241条)。手取りから最低限の生活費を差し引いた額の二年分だ。これが小規模個人再生の最低弁済額を上回ることは珍しくなく、安心を買ったつもりが数十万円から百万円単位で多く払う結果になる。そして、どちらを選ぶかは申立ての瞬間に確定する(2項)。
法的な位置づけ
民事再生法239条は給与所得者等再生を定める規定であり、給与又はこれに類する定期的収入があって、その額の変動幅が小さいと見込まれる債務者が、債権者の決議を経ずに再生計画の認可を受けられる個人再生の一類型を規律する。申述は再生手続開始の申立ての際にすべきものとされ、要件を欠く場合は通常の再生手続又は小規模個人再生へ移行し、又は申立てが棄却される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.借入先一覧と各社残高を作成 全ての借入先と残高を書き出し、どの債権者が大口かを把握する。特定の一社が債権額の過半数を握っているかどうかが、選ぶべき型を左右する
- 2.小規模個人再生で反対されるリスクを診断 弁護士・司法書士に「小規模個人再生で頭数・債権額の過半数の反対を取られる恐れがあるか」を診断してもらう。反対の見込みが低ければ返済額の低い小規模を選ぶ
- 3.可処分所得2年分と最低弁済額を試算・比較 給与所得者等再生を検討する場合、手取りから最低生活費を差し引いた可処分所得の2年分(241条)を試算し、小規模個人再生の最低弁済額と必ず比較する。安い方を選ぶ
- 4.過去7年の免責歴を信用情報で確認 CIC・JICC等の信用情報機関に開示請求し、過去7年以内の破産免責・個人再生歴を確認する。該当すれば給与所得者等再生は利用不可(5項2号)
- 5.申立ての際に型を確定して申述 給与所得者等再生を求める申述は再生手続開始の申立ての際にしなければならない(2項)。選択は申立て前に固め、通常再生・小規模へ移行する場合の意思も明らかにしておく(3項)
よくある質問 AI による整理
Q1給与所得者等再生とは?
定期収入があり収入変動の小さい人が、債権者の同意なく再生計画の認可を受けられる個人再生の一類型です(民事再生法239条)。会社員に限らず、安定した定期収入があれば対象になります。
Q2給与所得者等再生の返済額はどう決まる?
可処分所得の2年分が最低弁済基準となります(241条)。手取り収入から政令で定める最低生活費を差し引いた額の2年分で、小規模個人再生の最低弁済額と比較して高い方が採用されます。
Q3小規模個人再生と給与所得者等再生の違いは?
小規模は債権者の消極的同意(反対が過半数に達しないこと)が必要ですが返済額は低め。給与所得者等再生は同意不要な代わりに可処分所得2年分の返済が課され、返済総額が高くなりがちです。
Q4給与所得者等再生 いつまでに申述する?
再生手続開始の申立ての際に申述しなければなりません(2項)。債権者が申し立てた場合は開始決定があるまでです。後から型を変えることは原則できません。
Q5個人再生の可処分所得とは?
手取り収入から、税・社会保険料や政令で定める最低限度の生活費を差し引いた、自由に使える所得のことです。給与所得者等再生ではこの2年分が弁済額の下限になります。
Q6公務員は個人再生でどちらの型を選ぶ?
公務員も原則は小規模個人再生を先に検討します。大口債権者が反対して過半数を握る恐れがあるときにだけ、同意不要の給与所得者等再生が有利になります。名前ではなく反対の見込みで選びます。
Q7給与所得者等再生のデメリットは?
可処分所得2年分の弁済が義務づけられ、小規模個人再生より返済総額が高くなりやすい点、過去7年以内に破産免責等を受けていると使えない点(5項2号)が主なデメリットです。
Q8個人再生の7年ルールとは?
過去7年以内に破産免責、給与所得者等再生の認可、ハードシップ免責(235条)を受けていると、給与所得者等再生は利用できない制限です(5項2号)。起算点は前の認可・免責決定の確定日です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1会社員なら、個人再生は給与所得者等再生しか使えないんですか?
いいえ、会社員でも小規模個人再生を使えます。むしろ実務では小規模を選ぶ人の方が多い。給与所得者等再生は債権者の同意が不要な代わりに、可処分所得の二年分という返済義務が課され(241条)、小規模の最低弁済額より高くなりがちだからです。実務のポイント:弁護士は基本的にまず小規模を勧め、借入先に金融機関が多くて頭数や債権額の過半数の反対が読めるとき(231条)だけ給与所得者等再生に切り替えます。名前で選ぶのではなく、反対の見込みで選ぶのが実務の常識
Q2昔、自己破産したことがあるんですが、今回は個人再生できますか?
給与所得者等再生は、前回の破産免責許可決定の確定から7年経っていないと使えません(5項2号)。ただし小規模個人再生にはこの7年制限がないので、破産から間がなくても利用できる可能性があります。実務のポイント:「7年経っていないから個人再生は無理」と早合点して諦める人がいますが、7年ルールが効くのは給与所得者等再生だけ。小規模個人再生という別の扉が開いていることを知っているかどうかで、結論が真逆になります
Q3債権者が反対したら、個人再生はできなくなるんですか?
型によります。小規模個人再生は、反対する債権者が頭数の半数未満かつ債権額の過半数以下でなければ計画が成立しません(231条)。一方、給与所得者等再生は債権者の同意自体が不要で、反対があっても認可されます。実務のポイント:だからこそ、大口の貸金業者が一社で債権額の過半数を握っているようなケースでは、最初から給与所得者等再生を選ぶ判断が出てくる。誰がどれだけの債権を持っているかの「勢力図」が、選ぶ型を左右します
間違えやすい点 AI による整理
- 会社員だから給与所得者等再生を使うべき、と思い込みがちだが、会社員でも小規模個人再生は普通に使えるし、多くの場合そちらの方が返済額は安い。給与所得者等再生は「会社員専用の制度」ではなく、「債権者の反対を確実に封じたいとき」の手続である
- 「二つの個人再生のどちらが得か」と考えがちだが、問いの立て方そのものがずれている。先に決まるのは「小規模個人再生で債権者が反対しそうか」であり、それ次第で選べる型が絞られる。得か損かの前に、使えるか使えないかの問題が立ちはだかる
- 過去の自己破産から7年という制限は聞いたことがあっても、起算点が「免責許可決定の確定日」であることまで正確に知る人は少ない。借金を完済した日でも、破産を申し立てた日でもない。この起算点を数か月勘違いすると、使えると思っていた手続が窓口で蹴られる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 債権者の同意 | 給与所得者等再生(239条):同意・決議は不要、反対されても認可 | 小規模個人再生(221条):反対が頭数半数未満かつ債権額過半数以下であること(231条) 自己破産:同意不要だが財産・信用を失う |
| 最低弁済額 | 可処分所得の2年分と最低弁済額の高い方(241条) | 法定の最低弁済額(債務額に応じた基準) 原則ゼロ弁済(免責) |
| 利用要件 | 定期収入があり額の変動幅が小さい+過去7年以内に破産免責等がないこと(5項2号) | 将来継続・反復した収入の見込み(7年制限なし) 支払不能 |
| 向いているケース | 大口債権者が反対して過半数を握る恐れがあるとき | 債権者の反対が見込まれず返済額を抑えたいとき 返済原資を確保できないとき |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も裁判所主導の更生手続で個人債務者の再建を図る。将来収入からの弁済計画による点は共通するが、給与所得者専用の別類型は設けていない。
韓国の個人回生も定期収入のある債務者が対象で、可処分所得からの弁済計画を組む点が日本の給与所得者等再生と類似する。
ドイツは消費者倒産手続と残債務免責を組み合わせ、一定期間の誠実な弁済努力を経て免責を与える。日本のような給与所得者専用類型ではない。
米国チャプター13は定期収入のある個人(wage earner)が3〜5年の弁済計画で債務を圧縮する再建型手続で、給与所得者等再生の思想的原型に近い。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 公務員のあなたが弁護士に個人再生を相談したら、「借入先に大口の金融機関が複数あり、小規模個人再生だと反対されて頭数や債権額の過半数を取られる恐れがある」と言われた。こういうときに給与所得者等再生が活きる。債権者が反対しても認可されるからだ。逆に反対の心配がないなら、わざわざ返済額の高いこちらを選ぶ理由はない
- もし学生時代に一度自己破産していたら、今回は給与所得者等再生を使えるのか。答えは、免責許可決定の確定から7年経っていなければ使えない(5項2号)。だが小規模個人再生にはこの7年制限がない。同じ個人再生でも、過去の履歴で選べる型が変わる
- 再生手続開始の申立て当日。給与所得者等再生を求める申述は、この申立てのときにしかできない(2項)。後から「やはり給与所得者等再生にしたい」は通らない。選択の窓は一度きりだ
- あなたが貸金業者側で、債務者から個人再生を申し立てられた。それが給与所得者等再生なら、反対票を投じても手続は止まらない。できるのは可処分所得の計算や収入の安定性が要件を満たすかを監視することだけだ
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず借入先の一覧と各社の残高を作り、どの債権者が大口かを把握する2. 弁護士か司法書士に「小規模個人再生で反対される可能性」を診断してもらう。反対の見込みが低ければ小規模を選び返済額を抑える3. 反対が現実的なら給与所得者等再生を検討、ただし可処分所得の二年分(241条)を試算し、小規模の最低弁済額と必ず比較する4. 過去7年以内の破産免責・個人再生歴を信用情報で確認、該当すれば給与所得者等再生は不可。申述は申立て時にしかできない(2項)ので、選択は事前に固める
訴えられた側:1. 債権者として個人再生の通知を受けたら、それが小規模か給与所得者等再生かをまず確認する2. 給与所得者等再生なら反対しても手続は止まらないため、争点は可処分所得の計算と収入の安定性要件の充足に絞る3. 小規模個人再生なら、頭数と債権額の過半数の反対を集められるかが勝負(231条)、他の債権者と連携する余地がある4. いずれの型でも、債権額の届出を正確に行い、計画弁済総額の妥当性を監視する
時効(請求できる期限):給与所得者等再生を求める申述は、再生手続開始の申立ての際にしなければならない(2項。債権者が申し立てた場合は再生手続開始の決定があるまで)。さらに過去7年以内に破産免責、給与所得者等再生における再生計画認可、ハードシップ免責(235条)のいずれかを受けていると要件不該当となる(5項2号)。起算点はいずれも前の認可決定または免責決定の確定日(最新の改正状況をご確認ください)
学説
実務通説:個人再生ではまず小規模個人再生を検討し、給与所得者等再生は債権者の反対で頭数・債権額の過半数を取られる恐れがあるときの手段と位置づけるのが実務の一般的運用。給与所得者等再生は可処分所得2年分の弁済(241条)が課され返済額が高くなりやすいためである。
改正沿革 AI による整理
- 平成12年(2000年)公布、平成13年(2001年4月1日)施行 個人債務者再生手続の創設に伴い新設。それまで個人の債務整理は自己破産か通常の民事再生に限られ、安定収入のある給与所得者が債権者の同意なしに債務を圧縮する簡易な道がなかった。給与所得者等再生はその受け皿として、可処分所得二年分の弁済を条件に債権者の決議を不要とする型で導入された
改正の年表
- 1.平成12年(2000年) 新設:個人債務者再生手続の創設に伴い新設(平成13年4月1日施行)。それまで個人の債務整理は自己破産か通常の民事再生に限られ、安定収入のある給与所得者が債権者の同意なく債務を圧縮する簡易な道がなかった。給与所得者等再生は可処分所得2年分の弁済を条件に債権者の決議を不要とする型として導入された。
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