民事再生法 第251条(再生手続の終了等に伴う破産手続開始前の保全処分等)
クイックジャンプ
- 裁判所は、次に掲げる場合において、必要があると認めるときは、職権で、破産法第二十四条第一項の規定による中止の命令、同法第二十五条第二項に規定する包括的禁止命令、同法第二十八条第一項の規定による保全処分、同法第九十一条第二項に規定する保全管理命令又は同法第百七十一条第一項の規定による保全処分(以下この条及び第二百五十四条第四項において「保全処分等」という。)を命ずることができる。
- 一破産手続開始前の再生債務者につき再生手続開始の申立ての棄却、再生手続開始の決定の取消し、再生手続廃止、再生計画不認可又は再生計画取消しの決定があった場合
- 二破産手続開始後の再生債務者につき再生計画認可の決定の確定により破産手続が効力を失った後に第百九十三条若しくは第百九十四条の規定による再生手続廃止又は再生計画取消しの決定があった場合
- 2.裁判所は、前項第一号の規定による保全処分等を命じた場合において、前条第一項の規定による破産手続開始の決定をしないこととしたときは、遅滞なく、当該保全処分等を取り消さなければならない。
- 3.第一項第一号の規定による保全処分等は、同号に規定する決定を取り消す決定があったときは、その効力を失う。同項第二号の再生手続廃止又は再生計画取消しの決定を取り消す決定があったときにおける同号の規定による保全処分等についても、同様とする。
- 4.破産法第二十四条第四項、第二十五条第六項、第二十八条第三項、第九十一条第五項及び第百七十一条第四項の規定にかかわらず、第二項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができない。
この条文の基本情報
再生手続の終了等に伴う破産手続開始前の保全処分等とは何ですか?
定義再生手続の終了等に伴う破産手続開始前の保全処分等とは、民事再生法第251条に定められた規定で、「裁判所は、次に掲げる場合において、必要があると認めるときは、職権で、破産法第二十四条第一項の規定による中止の命令、同法第二十五条第二項に規定する包括的禁止命令、…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第251条(再生手続の終了等に伴う破産手続開始前の保全処分等)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第251条の条文原文は「裁判所は、次に掲げる場合において、必要があると認めるときは、職権で、破産法第二十四条第一項の規定による中止の命令、同法第二十五条第二項に規定する包括的禁止命令、…」で始まります。
- 民事再生法第251条は第二節 再生手続から破産手続への移行に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第251条の前の条は民事再生法第250条です。
- 民事再生法第251条の次の条は民事再生法第252条です。
- 民事再生法第251条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第251条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第251条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/251
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法251条は、再生手続の廃止・不認可等があった場合に、裁判所が職権で破産法上の保全処分や保全管理命令を発令し、移行期の財産流出を防げることを定める。
Q · 取引先の民事再生が失敗したら、破産が始まるまでの間、財産は誰が守るの?
裁判所が職権で保全処分を出し財産を凍結できます
民事再生法251条により、再生手続の廃止・不認可・取消し等があった場合、裁判所は債権者の申立てを待たずに職権で破産法上の中止命令、包括的禁止命令、保全処分、保全管理命令等を発令できます。再生手続の終了から破産手続の開始までの数日は誰も財産を管理しない空白期間となるため、この間の財産流出を職権で防ぐのが本条の役割です。ただし裁判所が破産手続を開始しないと判断した場合は、遅滞なく保全処分を取り消さなければなりません(2項)。
解説
取引先が民事再生を申し立て、その再生計画が裁判所に認可されなかった。あるいは認可後に取り消された。多くの人はここで「では破産だな」と考えて思考を止める。だが、その瞬間から破産手続が正式に始まるまでには、誰も財産を管理しない空白期間が口を開ける。この数日間、債務者は理屈の上では残った現金を特定の取引先に払い、在庫を流し、口座を空にできてしまう。民事再生法251条は、その穴を裁判所が職権で塞ぐための条文だ。債権者の申立てがなくても、裁判所は破産法の中止命令、包括的禁止命令、保全処分、保全管理命令を先回りで発動できる。あなたが債権者なら、この空白を放置すれば破産配当はほとんど残らない。逆に債務者なら、この期間の財産処分は後の破産で否認の標的になる。空白は自由ではなく、最も監視された時間だと知る者だけが正しく動ける。
法的な位置づけ
民事再生法251条は、再生手続が終了し破産手続へ移行するまでの空白期間における債務者財産の保全を定める規定である。裁判所は職権で、破産法上の中止命令、包括的禁止命令、保全処分、保全管理命令、否認権のための保全処分を発令でき、破産手続を開始しないと決したときは遅滞なくこれを取り消す義務を負う。牽連破産の移行期に生じる管理者不在の間隙を埋める橋渡し規定である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.再生手続の廃止・不認可情報を最速で掴む 取引先の再生計画不認可、再生手続廃止、再生計画取消しの決定を官報公告と裁判所掲示で定点監視する。空白期間は数日しかないため、決定が出たその日に動けるよう情報網を張る
- 2.裁判所へ上申し職権保全の発令を促す 把握した廃止・不認可等の情報と債務者財産流出の危険を裁判所へ上申する。251条の保全処分等は職権発動だが、実務では債権者の情報提供が引き金になるため、受け身で待たず能動的に働きかける
- 3.自ら債権者破産を申し立てる準備を並走 破産法18条に基づく債権者破産の申立て準備を職権保全の上申と同時に進める。破産開始までの空白を最短化し、裁判所に「放置できない事案」であることを示す二段構えとする
- 4.民事保全法の仮差押えで二重に守る 職権保全と並行して、自社の債権について民事保全法に基づく仮差押えを検討する。職権保全が発令されないリスクに備え、自衛的な保全手段を重ねておく
よくある質問 AI による整理
Q1牽連破産とは何ですか?
再生手続が失敗して破産手続へ移行する場合の破産を牽連破産といいます。民事再生法251条は、その移行期に裁判所が職権で財産を保全できると定めています。
Q2民事再生法251条の保全処分は誰が申し立てるのですか?
申立ては不要です。裁判所が職権で発令できます。ただし実務では債権者が廃止・不認可の情報を裁判所へ上申することが発令の引き金になります。
Q3再生手続廃止とは何ですか?
再生計画が遂行できない等の理由で再生手続を打ち切る裁判所の決定です。認可前廃止と認可後廃止(民再193条・194条)があり、いずれも251条の保全の前提になります。
Q4包括的禁止命令とはどういう命令ですか?
全ての債権者に対し個別の強制執行や仮差押えを一律に禁止する命令です。破産法25条が根拠で、251条により再生から破産への移行期にも発令できます。
Q5保全管理命令が出るとどうなりますか?
裁判所が選任した保全管理人が債務者財産の管理処分権を掌握します。債務者は自ら財産を動かせなくなり、駆け込み弁済や資産隠匿が封じられます。
Q6251条の保全処分はいつ効力を失いますか?
裁判所が破産手続を開始しないと決したとき(2項)、または前提となる廃止・取消しの決定自体が取り消されたとき(3項)に失効します。
Q7251条2項の取消決定に不服申立てはできますか?
できません。4項が破産法の即時抗告規定の適用を排除しており、取消決定に対する即時抗告の道は閉ざされています。
Q8取引先が再生に失敗したとき債権者は何をすべきですか?
廃止・不認可の情報を掴んだその日に裁判所へ上申し職権保全を促すこと、自ら債権者破産を申し立てる準備、民事保全法の仮差押えを並行検討することが有効です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1取引先が民事再生に失敗したら、私の売掛金は黙っていても守られるんですか?
本条で裁判所は職権で財産を保全できますが(251条1項)、裁判所が全債務者の資産を自動で監視しているわけではありません。あなたが廃止や不認可の情報を裁判所に上げてはじめて保全が動くケースが実務では多い。実務のポイント:弁護士は再生が傾いた段階で官報と裁判所掲示を張り込み、廃止決定が出たその日に保全の上申と債権者破産申立てを同時に打つ。待っていた債権者と動いた債権者では、配当率が桁で変わる
Q2裁判所がいったん財産を凍結したのに、後でそれを解除されたら、債権者は文句を言えないんですか?
第2項により裁判所が破産開始の決定をしないと判断したときは、保全処分等を取り消さなければなりません。そしてこの取消決定に対しては第4項で即時抗告ができません。つまり解除そのものを覆す不服申立ての道は閉ざされています。実務のポイント:だからこそ、保全が解除される前提となる「破産にしない」という裁判所の判断を防ぐため、債権者は破産すべき事情を早期に裁判所へ提出しておくことが効いてくる。解除後に争うより、解除させない働きかけが本筋だ
間違えやすい点 AI による整理
- 「再生が失敗すれば自動的に破産に切り替わって財産は守られる」と考える人が多いが、問いの立て方そのものがずれている。再生の終了と破産の開始は同じ瞬間ではなく、その間には誰も財産を管理しない空白がある。本条がなければ、債務者は最後の数日で財産を合法的に動かせてしまう
- 職権で保全がかかると知ってはいても、債権者が「黙って待っていれば裁判所がやってくれる」と受け身でいることの危うさを軽く見ている。裁判所は全債務者の資産状況をリアルタイムで把握しているわけではない。情報を上げなければ、空白期間は無防備のまま過ぎ去る
- 債務者から見れば「再生はもう終わった、これで自由だ」だが、法律から見れば破産が始まるまでは保全処分の射程内にある。この落差を埋められないまま財産を動かすと、後の破産手続で否認権(破産法160条)の標的になり、払った相手まで巻き込んで取り戻される
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 発動の場面 | 民再251条:再生手続の廃止・不認可等による破産移行期の空白 | 民再250条:再生手続終了に伴う職権破産開始そのもの 破産法28条:破産手続開始前の一般的な財産保全処分 |
| 申立ての要否 | 職権発動(申立て不要、実務は債権者上申が引き金) | 職権による破産手続開始決定 利害関係人の申立てまたは職権 |
| 保全の内容 | 中止命令・包括的禁止命令・保全処分・保全管理命令・否認保全を横断的に発令 | 破産手続の開始(手続そのものの起動) 債務者財産に対する処分禁止等の保全処分 |
| 失効・取消し | 破産不開始を決したら遅滞なく取消し(2項)、前提決定取消しで失効(3項)、取消決定に即時抗告不可(4項) | 破産手続開始の効力により手続へ移行 破産手続開始決定または申立却下により終了 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は会社の重整(公司法)が失敗すれば破産へ移行する構造で、重整中の保全処分は公司法第287条が担う。移行期の職権保全という機能は近いが、日本のような単一の橋渡し条文の形はとらない
韓国は会生と破産を統合した『債務者回生及び破産に関する法律』を有し、第6条が牽連破産(견련파산)を規律する。回生手続の廃止後に裁判所が職権で破産を宣告する構造で、日本の250条・251条に近い
ドイツは倒産手続を単一の Insolvenzverfahren に統合しており、再生と破産の間の移行期という概念は限定的。開始前の保全措置(Sicherungsmaßnahmen)は § 21が担う
米国は Chapter 11から Chapter 7への転換(§ 1112)で移行し、automatic stay(§ 362)が財産処分を包括的に凍結する。職権発動と申立てのバランスは日本と設計が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先の再生計画が裁判所に認可されなかった、と通知が来たら、あなたの売掛金はどうなる? 破産手続が正式に始まるまでの数日、債務者の口座も在庫も法律上は誰も止めていない。この空白で資産が抜ければ、後で受け取る破産配当は雀の涙になる
- 再生に失敗した経営者のあなた。破産開始まではまだ猶予があると思っていても、裁判所が職権で銀行口座を凍結する保全処分を出せば、その瞬間から会社の現金は一円も動かせなくなる。残った資金で世話になった仕入先に駆け込みで払う、という最後の義理立ても止まる
- 従業員のあなた。勤め先の再生が頓挫した。この保全処分が出れば、未払給与の原資になる会社財産が散逸せず保たれる。あなたの賃金が紙くずになるか配当で戻るかは、この数日に財産が守られたかで決まる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 取引先の再生手続の廃止、不認可、取消しの情報をいち早く掴む。官報公告と裁判所掲示を定点監視2. 把握したら裁判所に上申し、本条の職権による保全処分の発動を促す。職権とはいえ実務では債権者の情報提供が引き金になる3. 並行して自ら債権者破産を申し立てる(破産法18条)準備、空白を最短化する4. 自社の債権は民事保全法に基づく仮差押えも検討、職権保全と二重に守る
訴えられた側:1. 再生が失敗しても破産開始までは財産処分は否認(破産法160条以下)の対象になると理解し、特定の債権者だけへの偏頗弁済を絶対にしない2. 保全処分等が出たら速やかに従い、財産の現状維持を徹底する3. 隠匿や流出と疑われる動きは、後の破産管財人と裁判所の心証を決定的に悪くする4. 破産手続への移行に誠実に協力し、説明責任を果たす方が、結果として代表者個人の責任追及を軽くする
時効(請求できる期限):本条の保全処分等そのものに時効はない。第4項により、第2項の取消決定に対しては即時抗告ができない。前提となる再生手続廃止や再生計画取消しの決定に対する即時抗告は、原則として告知または公告から概ね1週間以内に行う必要があり、空白期間自体が極めて短いため動きの速さが勝敗を分ける(最新の規定をご確認ください)
学説
通説(手続構造の理解):251条は牽連破産の移行期における管理者不在の空白を職権保全で埋める規定と理解される。実効的な財産保全(1項)と、破産に至らない場合の速やかな自由回復(2項・3項・4項)を段階的失効規定で両立させる構造にあると位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
- 要人的検証 民事再生法は平成11年(1999年)制定。本条は当初の旧破産法を引用する形であったが、平成16年(2004年)の破産法全部改正に伴う整備で現行破産法(第24条、第28条、第91条、第171条等)への参照に更新された可能性が高い。ただし本条固有の改正回数と新設か改正かの区別を確証できないため-1とし、人的検証を要する
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法の制定(平成11年法律第225号)に伴い新設。和議法に代わる再建型倒産手続として整備され、再生から破産への移行期の保全を職権で行える規定として置かれた。
- 民事再生法 第250条再生手続終了に伴う職権破産開始決定、本条が補完する母規定
- 民事再生法 第254条牽連破産における手続上の取扱い、本条が条文中で参照
- 民事再生法 第193条再生計画認可後の再生手続廃止、本条1項2号の前提決定
- 民事再生法 第194条再生計画認可後の再生手続廃止、本条1項2号の前提決定
- 破産法 第24条本条が準用する他の手続の中止命令の根拠規定
- 破産法 第28条本条が準用する債務者財産の保全処分の根拠規定
- 破産法 第91条本条が準用する保全管理命令の根拠規定
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める