信託法 第205条
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- 受益証券発行信託の受託者は、前条第一項に規定する場合には、併合された受益権に係る受益証券を登録受益権質権者に引き渡さなければならない。
- 2.受益証券発行信託の受託者は、前条第二項に規定する場合には、分割された受益権に係る受益証券を登録受益権質権者に引き渡さなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第205条は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第205条の条文原文は「受益証券発行信託の受託者は、前条第一項に規定する場合には、併合された受益権に係る受益証券を登録受益権質権者に引き渡さなければならない。」で始まります。
- 信託法第205条は第二節 受益権の譲渡等の特例に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第205条の前の条は信託法第204条です。
- 信託法第205条の次の条は信託法第206条です。
- 信託法第205条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第205条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第205条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/205
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法205条は、受益権の併合・分割で新たな受益証券を発行したとき、受託者がその証券を登録受益権質権者に引き渡す義務を定める。対象は原簿登録済みの質権者に限られる。
Q · 質入れした受益権が分割されたら、新しい受益証券は誰に渡されるの?
登録受益権質権者がいれば、新証券は質権者に渡されます
信託法205条により、受益証券発行信託の受託者は、受益権の併合(1項)または分割(2項)によって新たな受益証券を発行した場合、その証券を登録受益権質権者に引き渡さなければなりません。受益者本人に届かないのは手違いではなく法律上の扱いです。ただし保護の対象は受益権原簿に質権者として登録された者に限られ、未登録の質権者は本条の引渡しを当然には受けられません。
解説
受益権に質権を設定した借り手が、併合や分割で新しく刷られた受益証券を真っ先に手にしたらどうなるか。受益証券発行信託では、受益権を譲渡したり質に入れたりするには証券そのものを渡すのが原則である。新しい証券が借り手の手元に入れば、それを第三者に売られて担保が消える危険が出てくる。信託法205条は、この「すり替わりの瞬間」を塞いでいる。受託者は、前条(204条)の併合や分割で新しい受益証券を発行したとき、それを受益者ではなく登録受益権質権者(受益権原簿に質権者として名前が載っている貸し手)に引き渡さなければならない。あなたが受益権を担保に取る側なら、原簿に登録してあるかどうかで、この保護を受けられるかが決まる。あなたが担保を差し入れる側なら、併合や分割のあとに新しい証券が自分に届かないのはミスではなく、法律がそう決めているからである
法的な位置づけ
信託法205条は、受益証券発行信託において受益権が併合または分割された場合に、受託者が新たに発行する受益証券の引渡し先を定める規定である。受益権原簿に記載された登録受益権質権者が存在するときは、受託者は当該受益証券を受益者ではなく登録受益権質権者に引き渡す義務を負い、これにより質権の目的物の連続性が確保される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.受益権原簿の質権欄を抽出 受託者は、併合・分割の対象となる受益権について、受益権原簿から登録受益権質権者の有無と氏名・住所を抽出する。受益者名簿だけで判断しない
- 2.交付先リストを受益者分と質権者分に分けて作成 新たに発行する受益証券ごとに交付先を確定し、質権が登録されている受益権の分は登録受益権質権者を交付先とするリストを作る
- 3.発送前に原簿とリストを突き合わせ 発送締切の前に、交付先リストと受益権原簿の質権欄を再照合し、質権者分が受益者宛てになっていないか最終確認する
- 4.登録受益権質権者へ受領書と引換えに交付 新しい受益証券を登録受益権質権者に引き渡し、受領書を取得して交付記録を保存する。誤交付が判明した場合は直ちに回収を求め、質権者に経緯を報告する
よくある質問 AI による整理
Q1登録受益権質権者とは?
受益権に質権の設定を受け、受益権原簿に質権者として氏名・名称等が記載された者です。原簿への記載があることで、信託法上の各種保護を受けられます。
Q2受益証券発行信託とは何ですか?
信託行為の定めにより受益権を表示する受益証券を発行する信託です。2006年の信託法全面改正で導入され、受益権の流通性を高める仕組みとして使われます。
Q3受益権の併合とは何ですか?
複数の受益権を一つにまとめる手続きです。併合後は新たな受益証券が発行され、質権が付いていれば信託法205条1項により登録質権者に引き渡されます。
Q4受益権の分割とは何ですか?
一つの受益権を複数に分ける手続きです。分割後に発行される受益証券は、登録受益権質権者がいれば信託法205条2項により質権者に引き渡されます。
Q5受益権 質権設定 方法は?
受益証券発行信託では、原則として受益証券の交付によって質権を設定します。そのうえで受託者に請求して受益権原簿に質権者として記載してもらうことで、登録質権者になります。
Q6受託者が新しい受益証券を受益者に渡してしまったら違法?
登録受益権質権者がいるのに受益者に交付した場合、信託法205条の義務違反となり得ます。質権者は受託者に回収・再交付を求め、損害があれば責任追及を検討します。
Q7振替制度の受益権にも信託法205条は適用される?
本条は紙の受益証券の引渡しを前提とします。証券を発行せず振替口座簿で管理される受益権では、実務上の扱いが異なるため、振替制度の規律を確認する必要があります。
Q8質権者が新しい受益証券を返すのはいつ?
被担保債権が完済され質権が消滅したときです。返還の時期や手順は質権設定契約で定めるのが通常のため、借入れ時に完済後の返還手順まで確認しておくと安心です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1受益権を質に入れてるんですけど、分割後の新しい証券ってこっちに来ないんですか?
登録受益権質権者がいる場合、受託者は分割後の受益証券を質権者に引き渡さなければならない(信託法205条2項)。届かないのは手違いではなく法律上の扱いである。実務のポイント:借入れを返済して質権を消滅させれば証券は返ってくる。早く手元に戻したいなら、受託者ではなく貸し手と完済後の返還手順を詰めるほうが早い
Q2質権は設定したけど、原簿の登録はまだです。それでも新しい証券は受け取れますか?
205条が引き渡し先として定めているのは登録受益権質権者であり、原簿に登録のない質権者はこの条文による保護を当然には受けられない(204条・205条)。実務のポイント:設定契約と原簿登録を別の日に分けると、その間に併合や分割が起きたとき保護に穴があく。実務に慣れた担当者は、契約締結と登録請求を同じ日に済ませる
間違えやすい点 AI による整理
- 「併合や分割をすれば、新しい受益証券は当然、受益者本人に届く」と思われがちである。だが登録受益権質権者がいる受益権については、受託者は質権者に引き渡さなければならない。誰に届くかは、権利者が誰かではなく、担保がついているかどうかで決まる
- 質権者の立場から見れば「質に取った以上、併合されても分割されても担保は当然に続く」という感覚だろう。法律から見ると、保護の中身は登録の有無で変わる。205条が引き渡し先として定めているのは「登録」受益権質権者だけであり、原簿に名前のない質権者は、新しい証券を自動的に受け取れるとは限らない。手続きを一つ省いたことが、担保が消えるかどうかの分かれ目になる
- 「受益証券発行信託なら必ず紙の証券がある」という前提がそもそも誤っている。上場されている受益証券発行信託の多くは振替制度で管理され、証券を発行しない扱いになっている。紙の証券を前提とする205条が働くのは、受益証券を実際に発行している場面に限られる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 信託法205条:併合・分割後の新受益証券の引渡し先 | 信託法204条:併合・分割の場合の質権の取扱い(本条の前提) 信託法186条:受益権原簿の作成 |
| 義務者 | 受益証券発行信託の受託者 | 質権の効力の範囲を定める規定(引渡し義務は本条が担う) 受益証券発行信託の受託者 |
| 質権者にとっての意味 | 新証券を自ら占有でき、担保の流出を防げる | 併合・分割後も担保が新しい受益権に及ぶ根拠 原簿に登録されて初めて本条の保護対象になる |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾では受益証券は特別法上の証券化制度で発行され、信託法本体に受益証券発行信託の一般規定はない。有価証券の質権は証券の交付で設定する点で発想が近い
韓国も2011年の信託法全面改正で受益証券発行信託を導入しており、日本の制度設計と類似する
米国では証券の担保化は control(支配)の概念で整理され、証券の物理的占有よりも口座上の支配が中心となる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたは取引先の受益証券を担保に取って融資した金融機関の担当者である。信託側から受益権の分割の通知が届いた。新しく発行される証券が借り手に送られてしまったら、と思ったことはないか。原簿に質権者として登録してあれば、受託者には新証券をあなたに引き渡す義務がある。登録が済んでいないなら、今日のうちに確認する
- 受益証券を質に入れて事業資金を借りている経営者が、併合後の新しい証券が自分ではなく銀行に送られたことに気付き、受託者に抗議した。受託者の対応は法律どおりである。新しい証券が借り手に届かない仕組みこそ、205条が求めている扱いだ
- 受託者の事務担当であるあなたは、あと3営業日で分割後の受益証券の発送を締め切る。受益者名簿だけを見て発送リストを作ると、質権が登録された受益権の分まで受益者に送ってしまう。発送前に、受益権原簿の質権欄と突き合わせるのが最後の関門になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 質権者として受益権原簿に登録されているかを受託者に書面で照会する2. 併合・分割の通知を受けたら、新しい受益証券の交付先が自分になっているかを発送前に確かめる3. 受益者に誤って交付されていたら、受託者に205条違反を指摘して回収と再交付を求め、受益者には譲渡や再担保設定をしないよう内容証明で通知する4. 第三者に流れて損害が出た場合は、受託者の責任追及を弁護士と検討する
訴えられた側:受託者の立場なら:1. 併合・分割の決定前に受益権原簿の質権欄を抽出し、交付先リストを受益者と質権者に分けて作る2. 登録受益権質権者には受領書と引き換えに交付し、記録を残す3. 誤って受益者に交付した場合は、直ちに回収を求め、質権者に経緯を報告する。対応を遅らせるほど善意の第三者に流れる危険が増える
時効(請求できる期限):特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。実務上は、併合・分割の効力発生日から新証券の発送日までが勝負であり、発送後に第三者へ譲渡されると回収が難しくなる
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法の全面改正(平成18年法律第108号)により受益証券発行信託制度が導入され、併合・分割時の新受益証券を登録受益権質権者に引き渡す本条が新設された
- 信託法 第204条併合・分割時の質権の効力、本条の前提
- 信託法 第185条受益証券発行信託の成立根拠(現行効力を要確認)
- 信託法 第186条受益権原簿の作成義務(現行効力を要確認)
- 民法 第362条権利質の一般原則に対する特則
- 民法 第350条物上代位(304条)の準用、担保の連続性
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