信託法 第185条(受益証券の発行に関する信託行為の定め)
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- 信託行為においては、この章の定めるところにより、一又は二以上の受益権を表示する証券(以下「受益証券」という。)を発行する旨を定めることができる。
- 2.前項の規定は、当該信託行為において特定の内容の受益権については受益証券を発行しない旨を定めることを妨げない。
- 3.第一項の定めのある信託(以下「受益証券発行信託」という。)においては、信託の変更によって前二項の定めを変更することはできない。
- 4.第一項の定めのない信託においては、信託の変更によって同項又は第二項の定めを設けることはできない。
この条文の基本情報
受益証券の発行に関する信託行為の定めとは何ですか?
定義受益証券の発行に関する信託行為の定めとは、信託法第185条に定められた規定で、「信託行為においては、この章の定めるところにより、一又は二以上の受益権を表示する証券(以下「受益証券」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第185条(受益証券の発行に関する信託行為の定め)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第185条の条文原文は「信託行為においては、この章の定めるところにより、一又は二以上の受益権を表示する証券(以下「受益証券」という。」で始まります。
- 信託法第185条は第一節 総則に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第185条の前の条は信託法第184条です。
- 信託法第185条の次の条は信託法第186条です。
- 信託法第185条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第185条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第185条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/185
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法185条は、信託行為で受益権を表示する受益証券の発行を定められると規定する。発行の有無の定めは、後の信託の変更で付けることも外すこともできない。
Q · 信託の受益権を証券にするかどうかは、いつ決めればいいの?
信託設定時の信託行為で決める。後から変更できない
信託法185条1項により、受益証券を発行するかどうかは信託行為(信託契約・遺言など)で定めます。2項により、特定の内容の受益権だけを不発行にすることもできます。ただし3項・4項により、発行の定めがある信託でその定めを変更することも、定めのない信託に後から設けることも、信託の変更ではできません。発行の有無は譲渡方法、金融商品取引法上の扱い、法人税の課税方法にも連動するため、署名前の確認が欠かせません。
解説
信託の受益権を紙やデータの「証券」にして、株のように売り買いできるようにするかどうか。そのスイッチは、信託をつくる最初の書類(信託行為)の中にしかない。信託法185条1項は、信託行為で受益証券を発行すると定められることを認めている。2項では、一部の種類の受益権だけを証券にしない設計も認める。核心は3項と4項にある。発行すると決めた信託は、後から信託を変更しても発行をやめられない。発行しないと決めた信託は、後から変更で発行を始められない。スイッチは設定時の一回きりで、後から押し直せない。投資家として見ると、この一行で譲渡の方法(証券の交付が必要か)、受益権原簿の有無、金融商品取引法上の有価証券にあたるか、さらには法人税の課税方法まで連鎖的に決まる。組成する側にとっては「とりあえず決めておいて、後で直す」が効かない数少ない条文である。
法的な位置づけ
信託法185条は受益証券発行信託の根拠規定であり、信託行為において一又は二以上の受益権を表示する受益証券を発行する旨を定めることを認め、特定の内容の受益権について不発行とする定めを許容するとともに、信託の変更によって発行の定めを設け、又は変更することを禁止する。
よくある質問 AI による整理
Q1受益証券発行信託とは何ですか?
信託行為で受益権を表示する証券(受益証券)を発行すると定めた信託です。信託法185条3項がこの名称を定義し、受益権原簿の作成などの特則が適用されます。
Q2受益証券発行信託は法人税の対象になる?
法人税法上、原則として法人課税信託となり、受託者に法人税が課されます。税務署長の承認など一定要件を満たす特定受益証券発行信託は例外です。
Q3受益証券は金融商品取引法の有価証券にあたる?
あたります。金融商品取引法2条1項は、信託法に規定する受益証券発行信託の受益証券を有価証券として掲げており、開示規制などの対象になります。
Q4受益権原簿とは何ですか?
受益証券発行信託の受託者が作成する、受益権の内容や受益者を記録する帳簿です(信託法186条)。証券を発行しない受益権もここで管理されます。
Q5信託法185条3項・4項はどういう意味?
3項は発行の定めがある信託でその定めを変更できないこと、4項は定めのない信託に後から発行の定めを設けられないことを定め、設定時の選択を固定します。
Q6家族信託で受益証券を発行するメリットはある?
受益権の流通性は高まりますが、法人課税信託となるおそれがあり、税務負担が重くなりがちです。家族信託では発行しない設計が一般的です。
Q7不動産セキュリティトークンで受益証券発行信託が使われるのはなぜ?
受益権原簿や譲渡ルールなど制度の枠組みを借りつつ、185条2項で証券を不発行にし、ブロックチェーン上の記録と組み合わせられるためです。
Q8受益証券発行信託をやめたいときはどうする?
信託の変更では発行の定めを外せません。実務上は信託の終了や新たな信託の設定など別の手段を検討することになり、費用と時間がかかります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1受益証券発行信託なのに証券が出ていないって、おかしくないですか?
おかしくはありません。185条2項は、特定の内容の受益権について証券を発行しない定めを認めています。その受益権は受益権原簿で管理されます。実務のポイント:ST 案件の多くはこの「発行信託だが不発行」という設計を使い、制度の枠組みだけを借りてブロックチェーン上の記録と組み合わせています。目論見書の括弧書きまで読む人は少ない
Q2家族全員が同意すれば、後から受益証券を発行するように変えられますよね?
できません。185条4項は、発行の定めのない信託について、信託の変更(149条以下)で発行の定めを設けることを禁じています。全員の合意でも同じです。実務のポイント:将来の流動化が少しでも見込まれる資産なら、設定時に検討しておくのが鉄則です。ただし税務負担とのトレードオフがあるので、司法書士だけでなく税理士にも同時に見せること
Q3証券を発行すると、受益権の売り方は何が変わるんですか?
証券が発行される受益権の譲渡は、証券を交付しなければ効力が生じません(194条)。株券のように「物の移転」が要件になります。実務のポイント:受益者が受益証券の不所持を申し出る制度(208条)もあり、紛失リスクを避けたい長期保有者には実務的に使える選択肢です。受託者側から積極的に案内されることはまずありません
間違えやすい点 AI による整理
- 「投資信託の受益証券」と「受益証券発行信託の受益証券」は同じものだと思われがちだが、根拠法が違う。一般的な証券投資信託は投資信託及び投資法人に関する法律の仕組みで動く。信託法185条の受益証券発行信託は、純金上場信託のような商品現物型の上場信託や、JDR(日本型預託証券)などで使われる別の器である
- 証券を発行するかどうかは事務手続の違いにすぎず、後で直せばよいと考える人は、問いの立て方そのものを誤っている。3項・4項により、信託の変更ではこの定めを付けることも外すこともできない。直したいなら、実務上は新たな信託を設定するなど別ルートを検討することになり、費用も時間もかかる
- 法律家の目には民事の器の選択に見えても、税務の目には課税方法の分岐点に映る。法人税法上、受益証券発行信託は原則として法人課税信託となり、受託者に法人税がかかる。一定の要件(税務署長の承認など)を満たす「特定受益証券発行信託」だけが例外となる。民事で一行足しただけのつもりが、税務では信託そのものが法人のように課税される(最新の改正状況をご確認ください)
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 信託法185条:受益証券の発行の定め(設定時の選択と事後変更の禁止) | 信託法149条:関係当事者の合意等による信託の変更(原則) 信託法194条:受益証券発行信託の受益権の譲渡 |
| 当事者の合意でできること | 設定時に発行・一部不発行を自由に選べるが、変更による付加・削除は不可 | 委託者・受託者・受益者の合意などで信託の内容を広く変更できる 譲渡自体は可能だが、受益証券の交付が効力要件 |
| 関係者への影響 | 譲渡方法・有価証券該当性・課税方法の分岐点が固定される | 変更内容に応じて受益者の権利が調整される 証券の占有移転がなければ譲受人は権利を取得できない |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾では信託法本体に一般的な受益証券発行制度はなく、証券化の特別法の枠内で受益証券が発行される。日本のように信託行為で自由に選べる一般制度とは構造が異なる
2011年の全部改正で수익증권발행신탁が導入された。日本法と類似の枠組みとされるが、細部の要件は韓国法の条文で確認が必要
米国では州法上の statutory trust が受益権の証券化に広く使われ、信託証書(governing instrument)で設計の自由度が高い。日本のような事後変更の法定禁止とは発想が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 不動産セキュリティトークン(ST)を10万円分買った。目論見書に「受益証券発行信託の受益権(受益証券不発行)」とある。紙の証券がないのに、なぜ「受益証券発行信託」なのか? 答えは185条2項にある。証券を発行しない定めを置いたうえで、制度の枠組み(受益権原簿や譲渡ルール)だけを使っているからだ
- 家族信託を組んだ後、司法書士に「この受益権、将来売れるように証券化しておけばよかった」と相談した。返事は「変更ではできません」。4項の壁である
- あなたは中小企業の財務担当で、事業承継のために自社株を信託した。信託契約の雛形に受益証券発行の条項が紛れ込んでいた。気付かないまま締結すると、税務上は法人課税信託として扱われるおそれがある。契約締結まで残り3日。条項を一行削るかどうかで、何年も続く税務処理が変わる
- 組成側の視点で考える。あなたが信託会社の担当者として ETF 型の商品を設計中だ。上場後に「やはり証券発行をやめて振替一本にしたい」と思っても、3項によって信託の変更ではやめられない。設計会議の議事録に、なぜ発行を選んだのかを残しておくべきだ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 受益者・投資家として、まず信託行為(契約書・目論見書)で受益証券発行の定めの有無と、2項による不発行部分を確認する2. 受益証券発行信託であれば、受益権原簿(186条以下)の記載内容を確認し、閲覧・謄写の請求を検討する3. 受託者が証券を発行しない、または譲渡に協力しない場合は、207条の発行義務を根拠に書面で履行を求める4. 税務上の取扱い(法人課税信託か特定受益証券発行信託か)を税理士に確認する
訴えられた側:1. 受託者・組成者の立場では、設定前に「証券化の必要性(流通性・上場予定)」と「税務コスト」を比較し、発行の有無を確定させる2. 一部の受益権だけを不発行にするなら、2項の定めを種類ごとに特定して明記する3. 後から変更できない前提で、設計理由を議事録に残す4. 受益者から変更を求められても、3項・4項により信託の変更では対応できないことを根拠条文とともに説明する
時効(請求できる期限):特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。なお発行の定めは信託行為の時点で確定し、変更による追加・削除の機会は存在しない
学説
通説(立案担当者の解説に沿う理解):発行の有無を事後に切り替えると、既存の受益証券保有者の権利、受益権原簿の記載、譲渡方式が根底から変わり取引の安全を害する。そのため設定時の選択を固定し、信託の変更による付加・削除を禁じたものと解される
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 大正11年制定の旧信託法を全面的に改める新信託法の制定に伴い新設。受益権を証券化する一般的な制度として受益証券発行信託が創設され、平成19年(2007年)9月30日に施行された
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:旧信託法(大正11年法律第62号)を全面的に改める新信託法の制定により新設。受益権を一般的に証券化できる受益証券発行信託を創設し、平成19年(2007年)9月30日に施行された
- 信託法 第186条受益権原簿の作成義務
- 信託法 第194条証券交付を譲渡の効力要件とする
- 信託法 第207条受託者の受益証券発行義務
- 信託法 第208条受益証券の不所持の申出
- 信託法 第149条信託の変更の原則、本条で制限
- 金融商品取引法 第2条受益証券発行信託の証券を有価証券に指定
- 法人税法 第2条法人課税信託・特定受益証券発行信託の定義
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