信託法 第207条(受益証券の発行)
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受益証券発行信託の受託者は、信託行為の定めに従い、遅滞なく、当該受益権に係る受益証券を発行しなければならない。
この条文の基本情報
受益証券の発行とは何ですか?
定義受益証券の発行とは、信託法第207条に定められた規定で、「受益証券発行信託の受託者は、信託行為の定めに従い、遅滞なく、当該受益権に係る受益証券を発行しなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第207条(受益証券の発行)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第207条の条文原文は「受益証券発行信託の受託者は、信託行為の定めに従い、遅滞なく、当該受益権に係る受益証券を発行しなければならない。」で始まります。
- 信託法第207条は第三節 受益証券に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第207条の前の条は信託法第206条です。
- 信託法第207条の次の条は信託法第208条です。
- 信託法第207条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第207条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第207条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/207
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法207条は、受益証券発行信託の受託者に対し、信託行為の定めに従い遅滞なく受益証券を発行する義務を課す。証券の交付は受益権譲渡の効力要件である。
Q · 受益証券発行信託の受託者は、受益証券をいつまでに発行しなければいけないの?
信託行為の定めに従い、遅滞なく発行する義務があります
信託法207条により、受益証券発行信託の受託者は、信託行為の定めに従い遅滞なく受益証券を発行しなければなりません。具体的な日数の定めはなく、信託行為に発行時期の定めがあればそれに従います。受益証券を発行する受益権は証券を交付しなければ譲渡の効力が生じない(194条)ため、発行の遅れは受益者の売却機会を直接奪います。ただし不発行の定め(185条2項)や不所持の申出(208条)がある受益権には発行義務が及びません。
解説
「信託」と聞くと、富裕層の資産承継や銀行の窓口商品を思い浮かべるかもしれない。だが信託法207条が扱うのは、信託の受益権(信託財産から利益を受け取る権利)を「紙の証券」に乗せて流通させる仕組みである。信託行為(信託契約や遺言など、信託を設定する行為)で受益証券を発行すると定めた信託を受益証券発行信託という(185条)。その受託者は、信託行為の定めに従い、遅滞なく受益証券を発行しなければならない。ここで効いてくるのが194条である。受益証券を発行する受益権は、証券を交付しなければ譲渡の効力が生じない。つまり受託者が発行を後回しにしている間、あなたの受益権は売りたくても売れない、担保にもしにくい資産になってしまう。「遅滞なく」は努力目標ではなく義務である。実際には、受益証券を発行しない旨の定め(185条2項)や振替制度で証券を出さない設計も多い。投資する前に、自分の持分がどの方式で管理されているかを確認するだけで、出口の見え方がまるで変わる。
法的な位置づけ
信託法207条は受益証券の発行義務を定める規定であり、受益証券発行信託の受託者に対し、信託行為の定めに従い遅滞なく受益権に係る受益証券を発行することを義務付ける。受益権の譲渡に証券の交付を要する同法194条と組み合わさり、受益権を有価証券として流通させる前提を形成する。不発行の定めや不所持の申出がある受益権は対象外となる。
よくある質問 AI による整理
Q1受益証券とは何ですか?
受益証券発行信託の受益権を表章する有価証券です。信託法185条以下が規律し、受益権の譲渡には証券の交付が必要になります(194条)。
Q2受益証券の発行に期限はありますか?
法律上の具体的な日数はなく、207条は「遅滞なく」と定めるのみです。信託行為に発行時期の定めがあれば、それに従います。
Q3受益証券発行信託で証券を発行しないことはできる?
できます。信託行為で特定の受益権について証券を発行しない旨を定めれば(185条2項)、その受益権には207条の発行義務が及びません。
Q4受託者が受益証券を発行しないのは違法?
発行義務がある受益権について理由なく発行を遅らせれば207条違反となりえます。受益者に損失が生じれば損失てん補等(40条)の問題になります。
Q5受益証券の記載事項は何ですか?
受益証券には、信託法209条が定める事項(受益証券発行信託の受益証券である旨、受託者の氏名・名称など)を記載する必要があります。
Q6受益証券発行信託の受益証券は有価証券ですか?
金融商品取引法2条の有価証券に該当します。そのため上場や公募には金商法上の開示規制等も関係します。
Q7振替受益権だと受益証券は発行されない?
振替制度の対象となる受益権は、証券を発行せず口座の記録で管理されます。譲渡も口座振替で行うため、紙の証券は手元に届きません。
Q8受益証券の発行が遅れたら損害賠償できる?
受託者の義務違反により受益者に損失が生じた場合、損失のてん補等を請求できる余地があります(40条)。遅延と損失の因果関係の立証が鍵です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1受益証券発行信託って、普通の信託と何が違うんですか?
信託行為で受益権について受益証券を発行すると定めた信託です(信託法185条)。証券化することで受益権を有価証券のように流通させやすくし、受益権原簿や証券の交付による譲渡(194条)など第8章の特則が適用されます。実務のポイント:証券を発行すると定めつつ、特定の受益権だけは発行しないという設計も可能です。同じ信託の中に「紙あり」と「紙なし」の受益権が混在しうるので、自分の持分がどちらかを必ず確認してください
Q2証券がまだ届いていないのに、受益権を誰かに売ることはできますか?
受益証券を発行する受益権の譲渡は、証券を交付しなければ効力を生じません(信託法194条)。そのため、発行前に第三者へ有効に譲渡することは難しいのが原則です。受託者は207条により遅滞なく発行する義務を負います。実務のポイント:売買の話が具体化した時点で、受託者に書面で発行を催促してください。日付入りの記録が、遅延による損失を後から主張する際の土台になります
Q3受益証券をなくしたら、権利も消えるんですか?
証券を失っても権利そのものが直ちに消えるわけではありませんが、証券の占有者が権利者と推定される仕組み(210条)があるため、放置は危険です。公示催告手続により除権決定を得て、再発行を求める流れになります(211条)。実務のポイント:紙の証券を持つのが不安なら、受益者は受益証券の不所持を申し出る制度(208条)を使えます。最初から金庫に入れる紙を作らないという防御策です
間違えやすい点 AI による整理
- 「信託の受益権は当然に自由に売れる」と考えがちだが、受益証券発行信託では証券の交付が譲渡の効力要件になる(194条)。証券が発行されない限り、買い手がいても権利を移せない。発行の有無と方式が、流動性そのものを決めている
- 「受益証券発行信託なら必ず紙の証券がある」という前提がそもそも誤っている。信託行為で特定の受益権について証券を発行しない旨を定めることができ(185条2項)、振替制度に乗る受益権は証券を出さずに口座で管理される。問うべきは発行義務の有無ではなく、自分の持分がどの方式に乗っているかである
- 投資家から見れば「証券が届くのが少し遅いだけ」でも、法律から見れば受託者の発行義務違反の問題になりうる。この落差を知らないと、遅れによって売却機会を失っても損害として主張する発想すら出てこない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 信託法207条:受託者の受益証券発行義務 | 信託法185条:受益証券発行信託の定義と不発行の定め 信託法208条:受益者による受益証券不所持の申出 |
| 誰の行為か | 受託者が発行する | 委託者等が信託行為で設計する 受益者が申し出る |
| 証券発行への効果 | 遅滞なく発行する義務が生じる | 不発行の定めがあれば最初から発行しない 申出があれば発行しない(発行済みなら提出させる) |
| 受益権の譲渡方法 | 発行後は証券の交付で譲渡(194条) | 不発行の受益権は証券交付不要の方法による 不所持中は証券なしで管理、譲渡時は発行請求が必要 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾では信託法本体に受益証券発行信託の一般規定はなく、証券化に関する特別法で受益證券の発行を規律する。
韓国は2011年の信託法全部改正で日本と類似の수익증권발행신탁を導入した。
米国では州法の statutory trust で受益権を証券化する実務が広く、発行義務は主に信託証書(governing instrument)で定める。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 不動産セキュリティトークンを50万円分購入した。数か月後に売却しようとしたら、プラットフォームから「この受益権は受益証券を発行しない設計です」と言われた。違法ではない。185条2項で不発行は認められている。問題は、譲渡の方法も相手もプラットフォーム次第だと購入前に知らなかったことだ
- もし受託者が受益証券の発行をずるずる遅らせ、その間に受益権を買いたいという人が現れたら、どうなる? 証券がない以上、194条の交付による譲渡ができない。受託者の遅れがあなたの売却機会をそのまま潰す構図であり、受託者の義務違反として責任を問う余地が生まれる
- あなたが信託会社の担当者で、新しく組成した受益証券発行信託の証券印刷が遅れている。投資家への交付予定日まであと5日。この遅延は207条の「遅滞なく」に反しうる。社内の都合は、受益者に対する言い訳にならない
- 友人から「金の ETF を買ったけど、あれって株じゃないの?」と聞かれた。一部の商品は受益証券発行信託の受益証券であり、金融商品取引法上の有価証券として上場されている。中身は株式ではなく信託である
- 親族の遺言信託で、受益権を証券化すると定めた信託が設定された。相続人どうしで受益権を分けて売りたいのに、証券が手元にない。まず確認すべきは、信託行為が発行時期や方法をどう定めているかである
取るべき行動
被害を受けた側:1. 信託行為(信託契約書・目論見書)で、受益証券を発行する定めと発行時期の定めを確認する2. 不発行の定め(185条2項)や振替制度の対象ではないかも確かめる3. 発行義務があるのに遅れているなら、受託者に書面で発行を請求し、日付を残す4. 売却機会を失った場合は、受託者の義務違反による損失の補填等(40条)を視野に、弁護士に相談する
訴えられた側:1. 受託者として、信託行為が定める発行時期と方式を社内で再確認する2. 遅延の原因(印刷、記載事項の確定、受益者の確定など)を記録し、受益者へ見込み日を書面で通知する3. 受益者から不所持の申出(208条)があれば発行しない扱いになるので、申出の記録を整理する4. 遅延が長引くなら、受益者の譲渡に支障が出ていないか確認し、損失の発生を防ぐ
時効(請求できる期限):「遅滞なく」と定めるのみで、具体的な日数の期限はない。信託行為に発行時期の定めがあればそれに従う。受託者の義務違反に基づく請求には、特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、知った時から5年または権利を行使できる時から10年)が適用される(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:「遅滞なく」は合理的な理由のない遅延を許さない趣旨であり、具体的な期間は信託行為の定めと発行実務(記載事項の確定、受益者の確定等)を踏まえて判断される。義務違反は受託者の責任(40条)の問題となりうる。
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正(平成19年(2007年)施行) 受益証券発行信託の制度とともに新設された。旧信託法には受益権を証券化する一般的な規定がなかった。その後の改正の有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法全部改正(平成18年法律第108号、平成19年施行)により、受益証券発行信託の制度とともに新設された。
- 信託法 第185条受益証券発行信託の定義と不発行の定め
- 信託法 第194条受益権の譲渡は証券の交付が効力要件
- 信託法 第208条受益者による受益証券不所持の申出
- 信託法 第209条受益証券の記載事項
- 信託法 第211条受益証券の喪失と除権決定
- 金融商品取引法 第2条受益証券発行信託の受益証券を有価証券と定義
- 社債、株式等の振替に関する法律 第127条の2振替受益権として口座で管理する特則(現行効力を要確認)
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