信託法 第206条(受益証券の発行されない受益権についての対抗要件等)
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- 第百八十五条第二項の定めのある受益権で他の信託の信託財産に属するものについては、当該受益権が信託財産に属する旨を受益権原簿に記載し、又は記録しなければ、当該受益権が信託財産に属することを受益証券発行信託の受託者その他の第三者に対抗することができない。
- 2.前項の受益権が属する他の信託の受託者は、受益証券発行信託の受託者に対し、当該受益権が信託財産に属する旨を受益権原簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
- 3.受益権原簿に前項の規定による記載又は記録がされた場合における第百八十七条の規定の適用については、同条第一項中「第百八十五条第二項の定めのある受益権の受益者」とあるのは「第二百六条第一項の受益権が属する他の信託の受託者」と、「当該受益者」とあるのは「当該受益権」と、「記録された受益権原簿記載事項」とあるのは「記録された受益権原簿記載事項(当該受益権が信託財産に属する旨を含む。)」とする。
この条文の基本情報
受益証券の発行されない受益権についての対抗要件等とは何ですか?
定義受益証券の発行されない受益権についての対抗要件等とは、信託法第206条に定められた規定で、「第百八十五条第二項の定めのある受益権で他の信託の信託財産に属するものについては、当該受益権が信託財産に属する旨を受益権原簿に記載し、又は記録しなければ、当該受益…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第206条(受益証券の発行されない受益権についての対抗要件等)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第206条の条文原文は「第百八十五条第二項の定めのある受益権で他の信託の信託財産に属するものについては、当該受益権が信託財産に属する旨を受益権原簿に記載し、又は記録しなければ、当該受益…」で始まります。
- 信託法第206条は第二節 受益権の譲渡等の特例に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第206条の前の条は信託法第205条です。
- 信託法第206条の次の条は信託法第207条です。
- 信託法第206条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第206条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第206条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/206
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法206条は、証券不発行の受益権が他の信託の信託財産に属する旨を受益権原簿に記載しなければ、受益証券発行信託の受託者その他の第三者に対抗できないと定める。
Q · 信託のお金で買った受益権は、何もしなくても信託財産として守られるの?
原簿に信託財産である旨を記載しないと第三者に主張できない
信託法206条1項により、証券不発行の定め(185条2項)のある受益権が他の信託の信託財産に属する場合、受益権原簿に「信託財産に属する旨」を記載・記録しなければ、受益証券発行信託の受託者や差押債権者などの第三者に対抗できません。保有側の信託の受託者は、2項に基づき記載を請求できます。記載後に187条の書面を求めると、その書面にも信託財産である旨が載ります(3項)。
解説
信託の中に、別の信託の受益権が入れ子のように収まっている。ファンド・オブ・ファンズや資産流動化の現場では珍しくない構造だが、その入れ子には落とし穴が一つある。受益証券を発行しない定め(185条2項)のある受益権を信託財産として持つ場合、受益証券発行信託の受益権原簿(受益者が誰かを記録した帳簿)に「信託財産に属する」と記載・記録しておかなければならない。記載がなければ、その受益権が信託財産だということを、受益証券発行信託の受託者にも差押債権者などの第三者にも主張できない。中身は確かに信託のお金で買ったものなのに、帳簿の上では受託者個人の持ち物と区別がつかない。このとき困るのは、運用の成果を受け取るはずの最終的な受益者である。2項は、受益権を持つ側の信託の受託者に記載を請求する権利を与えている。3項は、記載後に交付を求める証明書面(187条)に「信託財産に属する旨」も載ることを定めている。つまり、権利を守る手段は条文に用意されている。あとは記載を請求するかどうかだけである。
法的な位置づけ
信託法第206条は、受益証券発行信託における証券不発行の受益権(185条2項)が他の信託の信託財産に属する場合の対抗要件を定める規定である。受益権原簿への「信託財産に属する旨」の記載・記録を対抗要件とし、保有側の信託の受託者に記載請求権を与える。記載後に交付される187条の証明書面にも、その旨が記載される。
手順
- 1.保有する証券不発行受益権を洗い出す 信託財産として保有している受益権のうち、受益証券発行信託の受益権で、証券を発行しない定め(185条2項)があるものを一覧化する。振替制度の対象か否かも併せて確認する
- 2.受益権原簿の記載状況を確認する 受益証券発行信託の受託者に187条の書面を請求し、受益者としての記録に加えて「信託財産に属する旨」が記載・記録されているかを確認する
- 3.未記載分について記載を請求する 記載がない受益権について、保有側信託の受託者が206条2項に基づき、受益証券発行信託の受託者に対して信託財産に属する旨の記載・記録を請求する。請求日と処理日を記録に残す
- 4.記載後の証明書面を取得・保管する 記載完了後、187条(206条3項による読替え)に基づき、信託財産に属する旨を含む証明書面の交付を受け、監査・紛争時の証拠として保管する
よくある質問 AI による整理
Q1受益権原簿とは何ですか?
受益証券発行信託の受託者が作成する帳簿で、受益者の氏名や受益権の内容などを記載・記録します。証券不発行の受益権では、権利関係を確認する中心的な資料になります。
Q2受益証券発行信託とは何ですか?
信託行為で受益権を表示する証券(受益証券)を発行すると定めた信託です。2006年の信託法全部改正で新設され、受益権の流通を前提とした仕組みとなっています。
Q3信託財産の対抗要件とは?
ある財産が信託財産であることを第三者に主張するための要件です。登記・登録できる財産は登記・登録(14条)、証券不発行の受益権は原簿への記載(206条)が対抗要件です。
Q4受益権原簿への記載請求は誰ができる?
受益権を信託財産として保有している他の信託の受託者です。206条2項に基づき、受益証券発行信託の受託者に対して記載・記録を請求できます。
Q5原簿に記載がないと差押えされる?
記載がなければ、受託者個人の債権者による差押えに対して信託財産であることを対抗できず、23条による強制執行の制限を主張できなくなるおそれがあります。
Q6信託法187条の書面とは?
受益権原簿に記載・記録された事項を証明する書面の交付請求の規定です。206条の記載後は、信託財産に属する旨も含めて証明書面に記載されます。
Q7受益証券を発行しない定めとは?
受益証券発行信託でも、一部の受益権について証券を発行しないと定めることができる制度(185条2項)です。この受益権には206条が適用されます。
Q8信託の受託者が破産したら受益権はどうなる?
信託財産は破産財団に属しないのが原則です(25条)。ただし対抗要件を欠く場合に破産管財人へ主張できるかは解釈が分かれるため、事前の記載が安全です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1名義が受託者になってれば、信託財産だって分かるんじゃないですか?
分かりません。受託者は自分の固有財産も持てるため、名義だけでは信託財産か固有財産かを区別できません。だから206条1項は、別に「信託財産に属する旨」の記載を対抗要件としています。実務のポイント:監査で見落とされやすいのは名義ではなく、この付記の有無です。187条の書面で現物を確認するのが確実です
Q2受託者が破産したら、記載がなくても信託財産は守られますよね?
信託財産は破産財団に属しない(25条)のが原則です。ただし、対抗要件を欠く場合に破産管財人へ主張できるかは、管財人を第三者とみるかで解釈が分かれています(14条の議論と同じ構造)。実務のポイント:争点にすること自体が時間と費用の損失になるため、プロは解釈に頼らず事前に記載を済ませます
Q3上場しているETFみたいな受益権も、この手続が必要なんですか?
上場ETFなど振替制度の対象となる受益権は、社債、株式等の振替に関する法律の特則で、振替口座簿上の扱いが中心になります。206条が正面から働くのは、受益証券発行信託のうち振替制度の外にある証券不発行受益権です。実務のポイント:振替制度の対象かどうかの確認が、どの帳簿を見るべきかを決めます
間違えやすい点 AI による整理
- 「信託財産で買ったのだから、当然に信託財産として守られる」と思われがちだが、本条は逆の前提に立つ。原簿への記載がなければ、受益証券発行信託の受託者その他の第三者に対抗できない。実質が正しくても、記載という形式を欠けば守りの効力は第三者に届かない
- 名義書換(受益者としての記録)と「信託財産に属する旨」の記録は、同じ手続ではない。前者で受託者が受益者として記録されても、後者がなければ、帳簿上は受託者が固有財産として持っている状態と見分けがつかない。手続を一つ済ませたことで、両方済んだと思い込むのが典型的な事故パターンである
- 受託者の側からは事務作業の一つにすぎない。だが最終受益者の側から見れば、受託者が破綻したときに資産を取り戻せるかどうかの分かれ目になる。帳簿を管理する人とリスクを負う人が別人であること、この構造上のずれが見落としを生む
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象財産 | 信託法206条:他の信託に属する証券不発行の受益権 | 信託法14条:登記・登録すべき財産(不動産等) 信託法187条:受益権原簿記載事項の証明書面 |
| 対抗要件・機能 | 受益権原簿への「信託財産に属する旨」の記載・記録 | 信託の登記・登録 対抗要件ではなく、記載内容を証明する書面の交付請求 |
| 請求・手続の主体 | 保有側信託の受託者が受益証券発行信託の受託者に請求 | 受託者が登記・登録手続を行う 受益者(206条記載後は保有側信託の受託者)が請求 |
他国ではどう定めているか 3 か国
有価証券を信託する場合、証券等に信託財産である旨を表示しなければ第三者に対抗できないとする。表示を対抗要件とする発想は日本206条と共通
登記・登録できる財産は信託の登記・登録により、それ以外の財産も分別管理と信託財産の表示により第三者に対抗する仕組みを持つ
受託者に信託財産を識別・指定する義務を課し、第三者が保有する記録上も信託の利益が表れるようにすることを求める
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし信託Aの受託者の個人的な債権者が、Aが保有する受益証券発行信託Bの受益権(証券不発行)を差し押さえてきたら、どうなる? Bの原簿に「信託財産に属する旨」がなければ、Aの側はその差押債権者に「これは信託財産だから手を出せない」(23条)と対抗できない
- 信託銀行の事務担当として、新しく取得した受益権の名義書換は済ませた。だが信託財産である旨の記載請求を出し忘れた。後で差押えが入れば、分別管理義務(34条)違反や損失てん補責任(40条)を問われる立場になりうるのはあなたである
- 受益証券発行信託の受託者のもとに、他の信託の受託者から記載請求が届いた。2項に基づく正当な請求であり、記録しない理由はない
- 取引先の受託会社に信用不安のうわさが出た。破産手続の開始まで残された時間は数日かもしれない。原簿に記載がない受益権があれば、今日のうちに記載請求を出し、記載後の証明書面(187条)を確保しておく必要がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自分が受益者になっている信託が他の信託の受益権を保有しているか、受託者に確認する2. 保有していれば、受益証券発行信託の受益権原簿に「信託財産に属する旨」の記載があるかを、187条の書面などで確認するよう求める3. 記載がなければ、受託者に対し2項に基づく記載請求を直ちに行うよう求める4. 受託者の怠慢で損失が生じた場合は、損失てん補責任(40条)の追及を弁護士に相談する
訴えられた側:1. 受託者の立場であれば、保有する証券不発行受益権を全件洗い出し、原簿への記載状況を確認する2. 未記載分は2項に基づき直ちに記載を請求し、記載後に187条の書面を取得して保管する3. 受益証券発行信託の受託者の立場であれば、記載請求を受けた記録と処理日を残し、対応の遅れが紛争の原因にならないようにする
時効(請求できる期限):本条の記載請求に特定の期間制限はない。一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用されるかは明文がなく、実務上問題になることは少ない。決定的なのは、差押え・破産手続開始など第三者の利害が生じる前に記載を終えているかどうかである
学説
解釈上の争点:対抗要件を欠く信託財産について、受託者の破産管財人を対抗要件の必要な第三者とみるかは、14条をめぐる議論と同じ構造で見解が分かれている。実務では争点化を避けるため事前の記載が推奨される
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年) 信託法の全部改正(平成18年法律第108号)により受益証券発行信託の制度とともに新設された。施行後の改正の有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法の全部改正(平成18年法律第108号)により、受益証券発行信託の制度とともに新設された
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