信託法 第25条(信託財産と受託者の破産手続等との関係等)
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- 受託者が破産手続開始の決定を受けた場合であっても、信託財産に属する財産は、破産財団に属しない。
- 2.前項の場合には、受益債権は、破産債権とならない。信託債権であって受託者が信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負うものも、同様とする。
- 3.第一項の場合には、破産法第二百五十二条第一項の免責許可の決定による信託債権(前項に規定する信託債権を除く。)に係る債務の免責は、信託財産との関係においては、その効力を主張することができない。
- 4.受託者が再生手続開始の決定を受けた場合であっても、信託財産に属する財産は、再生債務者財産に属しない。
- 5.前項の場合には、受益債権は、再生債権とならない。信託債権であって受託者が信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負うものも、同様とする。
- 6.第四項の場合には、再生計画、再生計画認可の決定又は民事再生法第二百三十五条第一項の免責の決定による信託債権(前項に規定する信託債権を除く。)に係る債務の免責又は変更は、信託財産との関係においては、その効力を主張することができない。
- 7.前三項の規定は、受託者が更生手続開始の決定を受けた場合について準用する。この場合において、第四項中「再生債務者財産」とあるのは「更生会社財産(会社更生法第二条第十四項に規定する更生会社財産又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第百六十九条第十四項に規定する更生会社財産をいう。)又は更生協同組織金融機関財産(同法第四条第十四項に規定する更生協同組織金融機関財産をいう。)」と、第五項中「再生債権」とあるのは「更生債権又は更生担保権」と、前項中「再生計画、再生計画認可の決定又は民事再生法第二百三十五条第一項の免責の決定」とあるのは「更生計画又は更生計画認可の決定」と読み替えるものとする。
この条文の基本情報
信託財産と受託者の破産手続等との関係等とは何ですか?
定義信託財産と受託者の破産手続等との関係等とは、信託法第25条に定められた規定で、「受託者が破産手続開始の決定を受けた場合であっても、信託財産に属する財産は、破産財団に属しない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第25条(信託財産と受託者の破産手続等との関係等)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第25条の条文原文は「受託者が破産手続開始の決定を受けた場合であっても、信託財産に属する財産は、破産財団に属しない。」で始まります。
- 信託法第25条は第二章 信託財産等に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第25条の前の条は信託法第24条です。
- 信託法第25条の次の条は信託法第26条です。
- 信託法第25条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第25条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第25条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/25
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法25条は、受託者が破産・民事再生・会社更生の手続開始決定を受けても、信託財産はその倒産手続の財産に属しないと定める。受益債権も破産債権とならない。
Q · 財産を預けた受託者が自己破産したら、預けた財産は債権者に取られてしまうの?
原則として取られないが、登記と分別管理が前提
信託法25条1項により、受託者が破産手続開始の決定を受けても、信託財産は破産財団に属しません。受託者個人の債権者への配当には回らず、受益債権も破産債権になりません。民事再生(4項)や会社更生(7項)でも同じ扱いです。ただし不動産は信託登記がなければ第三者に対抗できず(14条)、金銭が受託者の財産と混ざると信託財産であることの証明が難しくなります。
解説
信託という仕組みの本当の価値は、平時ではなく、預けた相手が倒れた日に初めて見える。受託者(財産を預かって管理・運用する人や会社)が破産しても、信託財産は破産財団(債権者への配当のために換金される財産のまとまり)に入らない。受託者個人の借金の債権者は、あなたが託した不動産や金銭に手を出せないのである。民事再生でも会社更生でも扱いは同じだ。さらに、受託者の免責や再生計画で借金が減免されても、信託財産を引き当てに取引した信託債権者に対しては、その減免を信託財産との関係で持ち出せない(3項・6項)。ただし、この盾が働くには条件がある。不動産なら信託登記、金銭なら受託者自身の財布と分けた管理が要る。混ざったお金は「どれが信託財産か」を証明する消耗戦になる。託す前に、分けた証拠を相手に残させること。読んだ人と読まなかった人の差は、そこに出る。
法的な位置づけ
信託法25条は信託財産の倒産隔離を定める規定であり、受託者が破産手続、再生手続または更生手続の開始決定を受けた場合でも、信託財産は破産財団、再生債務者財産または更生会社財産に属しない旨を定める。あわせて受益債権を倒産債権から除外し、免責や再生計画による信託債権の減免を信託財産との関係で主張できないものとする。
手順
- 1.信託の証拠書類を確保する 受託者の経営悪化や破産を知ったら、信託契約書、信託登記の登記事項証明書、信託口口座の通帳・取引履歴をすぐに手元にそろえる
- 2.破産管財人へ書面で通知する 破産手続開始後すみやかに、対象財産が信託財産であり破産財団に属しない旨を管財人に書面で通知し、取戻権(破産法62条)を主張する
- 3.受益債権の請求先を整理する 受益債権は破産債権にならないため、債権届出ではなく信託財産からの給付を求める。一方、受託者固有財産への請求があれば届出期間内に破産債権として届け出る
- 4.新受託者を選任する 委託者と受益者の合意で新受託者を選任する。合意できなければ裁判所に選任を申し立てる(信託法62条)。受託者不在のまま1年が過ぎると信託は終了する
よくある質問 AI による整理
Q1信託法25条とはどんな規定ですか?
受託者が破産・民事再生・会社更生の手続に入っても、信託財産をその倒産手続から切り離す規定です。信託の「倒産隔離」の中核となる条文です。
Q2受託者の破産管財人は信託財産を売却できますか?
できません。信託財産は破産財団に属しないため(信託法25条1項)、管財人が換価して一般債権者に配当することはできません。受益者側は取戻権を主張できます。
Q3受益債権は破産債権として届け出る必要がありますか?
受益債権は破産債権とならないため(信託法25条2項)、破産債権の届出ではなく、信託財産からの給付を求めることになります。
Q4受託者が民事再生を申し立てたら信託はどうなりますか?
信託財産は再生債務者財産に属さず(信託法25条4項)、受益債権も再生債権になりません。再生計画による減免も信託財産との関係では主張できません(6項)。
Q5信託登記をしていない不動産も倒産隔離されますか?
登記すべき財産は信託登記がなければ信託財産であることを第三者に対抗できません(信託法14条)。管財人との関係で不利になるため、登記は必須と考えるべきです。
Q6委託者が破産した場合も信託財産は守られますか?
本条は受託者の倒産を対象とする規定です。委託者の倒産は別の論点で、債権者を害する信託であれば詐害信託の取消し(信託法11条)などの対象になりえます。
Q7受託者が破産したら受託者の任務はどうなりますか?
受託者が破産手続開始の決定を受けると、原則として任務が終了します(信託法56条1項3号)。新しい受託者を選んで信託財産を引き継ぐ必要があります。
Q8信託口口座がないと倒産隔離されませんか?
口座名義だけで決まるわけではなく、分別管理の実態が問われます。ただ信託口口座は信託財産であることの立証を大きく容易にするため、実務上はほぼ必須です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1家族信託で受託者になった弟が借金だらけなんだけど、親の財産は大丈夫?
信託財産は弟が破産しても破産財団に属しない(信託法25条1項)。弟の債権者による差押えも原則として禁じられている(23条1項)。ただし不動産は信託登記がなければ第三者に対抗できない(14条)。実務のポイント:金融機関の「信託口口座」ではなく弟個人の名義口座で家賃を管理していると、差押えの場面で信託財産だと証明するのが一気に難しくなる。口座の名義の付け方こそ、最初に確認すべき点である
Q2信託銀行が潰れたら、預けた信託の中身は戻ってくるの?
信託財産は銀行の破産財団にも再生債務者財産にも入らない(信託法25条1項・4項)。会社更生でも同様である(同条7項)。実務のポイント:同じ信託銀行の商品でも、普通預金は預金保険の上限で保護される「銀行の借金」であり、信託財産は最初から別の財産という違う扱いになる。窓口で買った商品が預金なのか信託なのかで、破綻時に頼れる仕組みがまったく変わる
Q3受託者が自己破産して免責されたら、信託の事業のための借金も消える?
受託者個人に対しては免責の効力が及びうる。しかし信託財産との関係では、免責を主張できない(信託法25条3項)。信託債権者は引き続き信託財産から回収できる。実務のポイント:受託者がアパートローンを組む場面では、信託財産だけを返済の引き当てとする責任財産限定の特約を貸し手が嫌い、受託者個人の責任も求められることがある。その場合、受託者は自分の生活も担保に入れていることになる
間違えやすい点 AI による整理
- 「家族信託にしておけば、親自身の借金からも財産を守れる」という発想は、問いの立て方がずれている。本条が守るのは受託者が倒れたときの信託財産であって、委託者(財産を託した側)の債権者から財産を隠す道具ではない。債権者を害すると知りながら設定した信託は、詐害信託として取り消されうる(信託法11条)
- 信託財産が倒産から隔離されることは知っていても、その盾がどれほど「証拠頼み」かは見過ごされがちだ。受託者の財産と混ざって見分けがつかなくなれば、信託財産と固有財産の共有とみなされる(信託法18条)。そうなれば持分の割合をめぐる争いになり、全額を取り戻せる保証は消える
- あなたにとって「預り金専用口座」は預けたお金そのものだ。しかし法律から見ると、口座の名義人や管理の実態で誰の財産かが決まる。損害保険代理店の保険料専用口座の預金は代理店に帰属するとした判例(最判平成15.2.21)がある。名目が預り金でも信託と認められなければ、相手の破産と一緒に沈む
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 守る場面 | 信託法25条:受託者の破産・再生・更生手続 | 信託法23条:受託者の債権者による強制執行・仮差押え等 信託法34条:平時の財産管理 |
| 規律の内容 | 信託財産を倒産手続の財産から除外し、受益債権を倒産債権から外す | 信託財産に対する強制執行等を原則として禁止 受託者に信託財産と固有財産の分別管理を義務づける |
| 実務上の役割 | 受託者が倒れたときの最後の盾 | 受託者が倒れる前の差押えへの盾 25条・23条の盾を実際に機能させる前提条件 |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾も受託人の破産時に信託財産が破産財団に属しないと明文で定める。強制執行の制限は同法第12条
韓国は2011年の全部改正で、受託者の破産・回生時に信託財産が倒産財団を構成しない旨を明文化している
中国も信託財産と受託者固有財産を区別し、受託者の解散・破産時に信託財産は清算財産に属しないと定める
フランスのフィデュシーでは、受託者について倒産手続が開始されても信託財産(patrimoine fiduciaire)に影響しないと定める
米国では受託者が支払不能や破産に陥っても、信託財産は受託者個人の債務の引当てにならないとするのが原則
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父の賃貸アパートを家族信託で長男に託した三年後、長男の飲食店が潰れて自己破産した。アパートは破産財団に入らない。ただし長男の受託者としての任務は原則として終了する(信託法56条1項3号)。家賃の入金先と次の受託者を、家族会議で決め直す必要がある
- 投資信託を預けている信託銀行が経営破綻したら、ファンドの中身はどうなる? ファンドの資産は信託財産として、銀行自身の債権者から切り離されている。基準価額は市場で上下するが、銀行の借金の返済に回されるわけではない
- 経営者のあなたは公共工事の前払金を専用口座で受け取ったが、工事の途中で会社が破産した。最高裁(最判平成14.1.17)はこの前払金を信託財産と認め、破産財団に属しないと判断している。管財人がこの口座を一般債権者への配当に回すことはできない
- 不動産管理会社が破産し、オーナーとして預けていた家賃の預り金が戻ってこない。その預り金が信託として分けて管理されていなければ、ただの破産債権になる。債権届出期間の締切まで、あと二週間しかない
- 暗号資産交換業者の破綻ニュースが流れた。日本円の預り金が信託で保全されているかどうかで、利用者の運命が分かれる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 受託者の破産を知ったら、信託契約書、信託登記の登記事項証明書、信託口口座の通帳をすぐに確保する2. 破産管財人に対し、信託財産であり破産財団に属しない旨を書面で通知し、取戻権(破産法62条)を主張する3. 受益債権は破産債権にならないため、届出ではなく信託財産からの給付を求める4. 新受託者の選任を委託者と受益者の合意で行い、合意できなければ裁判所に申し立てる(信託法62条)
訴えられた側:1. 受託者として破産や再生を申し立てるなら、信託財産を財産目録に混ぜず、分別管理を示す資料を弁護士に渡す2. 任務終了の事実を受益者に通知する義務を果たす(信託法59条) 3. 新受託者への引継ぎまで信託財産を保管し、固有の債務の支払いに流用しない4. 責任財産限定の特約がない信託債権は、免責後も信託財産から回収されることを前提に引継ぎ計画を立てる
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はなく、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。ただし受託者が欠けた状態で新受託者が就任しないまま1年が過ぎると、信託は終了する(信託法163条3号)。受託者の固有財産に対する請求は、破産手続の債権届出期間内に届け出る必要がある(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:信託財産の独立性から、信託財産は受託者固有の債権者の責任財産を構成しない。本条はこの原則を倒産手続の場面で明文化したもので、実効性は信託登記(14条)と分別管理(34条)に依存する
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 旧信託法を全面的に改めた新信託法の制定により、受託者の破産・再生・更生と信託財産の関係を一条にまとめて規定した。その後の改正の有無と内容は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法の全部改正(平成18年法律第108号)により、受託者の破産・再生・更生と信託財産・受益債権・信託債権の関係を一か条にまとめて規定。その後の改正の有無は要確認
- 信託法 第23条信託財産への強制執行等の制限
- 信託法 第14条信託登記なしでは第三者に対抗不可
- 信託法 第34条分別管理義務、倒産隔離の実質的前提
- 信託法 第56条受託者の破産による任務終了
- 信託法 第100条受益債権は信託財産のみで履行
- 破産法 第34条破産財団の範囲の原則を本条が修正
- 破産法 第62条取戻権、信託財産の取戻しの手段
- 民事再生法 第235条個人再生の免責、本条6項で効力制限
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