信託法 第14条(信託財産に属する財産の対抗要件)
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登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない財産については、信託の登記又は登録をしなければ、当該財産が信託財産に属することを第三者に対抗することができない。
この条文の基本情報
信託財産に属する財産の対抗要件とは何ですか?
定義信託財産に属する財産の対抗要件とは、信託法第14条に定められた規定で、「登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない財産については、信託の登記又は登録をしなければ、当該財産が信託財産に属することを第三者…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第14条(信託財産に属する財産の対抗要件)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第14条の条文原文は「登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない財産については、信託の登記又は登録をしなければ、当該財産が信託財産に属することを第三者…」で始まります。
- 信託法第14条は第二章 信託財産等に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第14条の前の条は信託法第13条です。
- 信託法第14条の次の条は信託法第15条です。
- 信託法第14条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第14条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第14条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/14
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法14条は、不動産など登記・登録が対抗要件となる財産について、信託の登記又は登録をしなければ信託財産であることを第三者に対抗できないと定める。
Q · 家族信託で実家の名義を子どもに移したら、それだけで子どもの借金から守られるの?
守られない。信託の登記まで入れて初めて第三者に主張できる
信託法14条により、不動産のように登記が対抗要件となる財産は、信託の登記をしなければ、信託財産であることを第三者に対抗できません。所有権移転登記だけでは、登記簿上は受託者個人の財産に見えるため、受託者の債権者による差押えや破産管財人の主張に対して、信託財産だと主張する足場を失うおそれがあります。信託の登記は所有権移転の登記と同時に申請するのが原則です(不動産登記法98条)。
解説
名義が息子に移っても、その家は息子の財産ではない。信託はそういう仕組みである。受託者(財産を預かって管理する人)に個人的な借金があっても、その債権者は信託財産を差し押さえられない。受託者が自己破産しても、信託財産は破産財団(破産者の財産で債権者に分配されるもの)に入らないのが原則だ(信託法23条、25条)。ただし、この盾が働くのは「これは信託財産だ」と外から見える形にしてあるときに限られる。不動産のように登記で権利を主張する財産について、本条はこう定める。所有権移転の登記だけでは足りず、「信託の登記」まで入れなければ、第三者に対して信託財産であることを主張できない。登記簿の上で息子の私有地にしか見えない土地は、息子の債権者から見ればただの差押え対象である。家族信託の契約書を公証役場で作って安心している人ほど、法務局で何が記録されたかを確かめていない。財産を守っているのは契約書ではなく、登記簿の一行である。
法的な位置づけ
信託法14条は、信託財産の対抗要件を定める規定である。不動産など登記又は登録を権利変動の対抗要件とする財産については、信託の登記又は登録を経なければ、当該財産が信託財産に属することを第三者に対抗できない。登記・登録制度のない財産には適用されず、その特定は分別管理義務(同法34条)によって図られる。
手順
- 1.信託目録付きの登記事項証明書を取得する 法務局の窓口またはオンライン請求で、信託した不動産の登記事項証明書を信託目録付きで取得する。甲区に「信託」の記載があるか、信託目録の受託者・受益者・信託の目的が契約内容と一致しているかを確認する
- 2.信託財産の一覧と登記状況を突き合わせる 当初の信託不動産だけでなく、信託金で後から購入した不動産や追加信託した不動産を一覧にし、それぞれ信託の登記が入っているかを照合する。漏れは買い替え・買い増しの決済時に起きやすい
- 3.新規取得時は決済前に司法書士へ信託の登記を指示する 信託金で不動産を購入する場合、決済の1週間前までに司法書士へ「受託者名義での所有権移転と同時に信託の登記を申請する」旨を明確に伝え、信託目録の文案を確認する
- 4.登記漏れが見つかったら速やかに補完する 信託の登記漏れが判明したら、受託者が直ちに申請する。受託者が応じない場合は、受益者または委託者が受託者に代わって申請することを検討する(不動産登記法99条)。第三者の差押え等より先に登記を入れることが重要
よくある質問 AI による整理
Q1信託の登記とは何ですか?
不動産が信託財産であることを登記簿に公示する登記です。所有権移転登記とは別の登記で、信託目録に委託者・受託者・受益者や信託の目的などが記録されます。
Q2信託の登記は誰が申請するのですか?
受託者が単独で申請できます(不動産登記法98条2項)。受託者が申請しない場合、受益者や委託者が受託者に代わって申請することもできます(同法99条)。
Q3信託の登記をしないとどうなる?
当事者間では信託は有効ですが、受託者の債権者や破産管財人などの第三者に対し、その不動産が信託財産であると主張できなくなるおそれがあります(信託法14条)。
Q4家族信託の登記は自分でできる?
法律上は本人申請も可能です。ただし信託目録の記載内容が財産の守り方や公開範囲を左右するため、実務では司法書士に依頼するケースが一般的です。
Q5信託財産は差し押さえできる?
受託者個人の債権者は、原則として信託財産を差し押さえられません(信託法23条1項)。ただし不動産の場合、その前提として信託の登記で信託財産であることを示しておく必要があります。
Q6受託者が信託不動産を勝手に売ったら取り消せる?
権限外の処分は受益者が取り消せる場合があります(信託法27条)。ただし不動産では、処分の当時に信託の登記がされていることが取消しの要件の一つになります。
Q7信託が終わったら信託の登記はどうなる?
信託の終了に伴い、信託の登記を抹消し、帰属権利者などへの所有権移転の登記を行います。放置すると登記簿上は信託財産のままとなり、売却や相続手続が滞ります。
Q8信託金で買った不動産も信託の登記が必要?
必要です。信託金で取得した不動産も信託財産であり、購入時の所有権移転登記と同時に信託の登記を申請しなければ、第三者からは受託者個人の財産に見えてしまいます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1家族信託の契約書は公正証書で作ったんですけど、それで十分じゃないんですか?
当事者の間では有効である。しかし不動産について第三者に信託財産だと主張するには、信託の登記が必要になる(信託法14条)。公正証書は信託の成立や内容を証明する力こそ強いが、登記の代わりにはならない。実務のポイント:家族信託の相談で多いのは、契約時の不動産は登記済みなのに、後から信託金で買い替えた住まいや駐車場が受託者個人の名義のままになっている漏れである。契約時よりも、買い替えの決済時のほうが危ない
Q2信託の登記をすると、家族の事情が他人に丸見えになりませんか?
信託目録には委託者・受託者・受益者の氏名住所、信託の目的、管理方法などが記録される(不動産登記法97条1項)。そして登記事項証明書は誰でも請求できる。実務のポイント:受益者代理人を置けば、受益者の氏名住所の登記を省略できる(同条2項)。また、信託の条項をどう書くかで目録に載る情報の粒度が変わる。司法書士と目録の文案を詰める段階で公開範囲を意識すれば、露出を抑えられる
Q3預金や株も信託したんですが、それにも登記がいるんですか?
預金には登記・登録の制度がないため本条の対象外で、登記なしでも信託財産であることを主張できるとされる。ただし分別管理(信託法34条)を怠れば、どれが信託財産か特定できなくなる。株式は株主名簿への記載が対抗要件である(会社法154条の2)。実務のポイント:受託者個人の普通口座に信託金を入れると、受託者の死亡時や差押えの際に、口座ごと凍結・差押えされるリスクが実務で指摘されている。金融機関で信託口口座を開けるかどうかが、家族信託の実効性を左右する
間違えやすい点 AI による整理
- 信託契約書さえあれば受託者の債権者から守られると思いがちだが、そうではない。登記で権利関係を公示する財産の場合、第三者に向けて信託財産だと主張する鍵は契約書ではない。信託の登記である。公正証書にしても、この点は変わらない
- 「信託の登記はいつまでにすればいいのか」という問いは、立て方そのものが誤っている。不動産登記法98条により、信託の登記は所有権移転などの登記と同時に申請するのが原則で、「後回し」という選択肢ははじめから想定されていない。実際に事故が起きるのは、信託金で後から買い足した不動産や、追加で信託した財産の手続が漏れる場面である
- 預金や現金には登記制度がないので、本条は適用されない。そう知っている人は多いが、それが「無防備でよい」という意味ではないことまでは知られていない。受託者が自分の固有財産と区別して管理しなければ(分別管理義務、信託法34条)、どれが信託財産かを特定できなくなり、守るべき対象を見失う
- 家族から見れば、実家は今も親の家である。しかし登記簿を読む第三者から見れば、名義人は受託者である子だ。信託の登記がなければ、子が借金を抱えたり、事業に失敗したり、自己破産したりしたとき、他人はその家を子の個人資産として扱おうとする。この見え方の差が、家族の設計を根元から崩す
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 信託法14条:登記・登録財産が信託財産であることの対抗要件 | 信託法23条:信託財産に対する強制執行等の制限 信託法34条:受託者の分別管理義務 |
| 働く場面 | 第三者に「これは信託財産だ」と主張するとき | 受託者個人の債権者が信託財産を差し押さえたとき 受託者が信託財産と固有財産を管理するとき |
| 求められる行為 | 信託の登記又は登録 | 受託者・受益者による強制執行への異議主張(同条5項) 登記・登録財産は信託の登記、その他は財産に応じた分別管理(登記義務は信託行為で免除不可) |
| 本条との関係 | 他の保護規定が機能するための前提(公示) | 本条の対抗要件を備えて初めて第三者に強く主張できる 本条の登記を受託者の義務として裏付ける |
他国ではどう定めているか 3 か国
登記・登録すべき財産権の信託は信託登記を経なければ第三者に対抗できないとする点で、日本の旧信託法3条・現行14条と同じ構造をとる
登記・登録できる財産権について、信託の登記・登録によって信託財産であることを第三者に対抗できるとする。日本法と同系統の対抗要件構成
法令上登記が必要な財産について信託登記を求め、登記せず補完もしなければ信託自体が効力を生じないとする。日本の対抗要件構成より強い効力要件構成
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父の家族信託で受託者になったあなたは、信託口座の資金で、父の介護のためにバリアフリーのマンションを購入した。決済の日、司法書士に「名義は自分でいい」とだけ伝え、信託の登記を入れなかった。その結果、登記簿上のマンションはあなた個人の財産にしか見えない。あなたの住宅ローンの債権者も、同じ登記簿を見ることになる
- もし受託者である兄が事業に失敗し、債権者が実家に差押えをかけてきたら、どうなる? 信託の登記があれば、受託者や受益者である母は、その強制執行に異議を主張できる(信託法23条5項)。登記がなければ、信託財産だと主張する足場そのものが崩れる
- 受託者の妹が自己破産した。破産管財人は真っ先に登記簿を見る。「信託」の二文字がない土地は、破産財団の候補として目を付けられる。
- 不動産業者のあなたのもとに、売主から「来週金曜決済」で物件が持ち込まれた。登記簿の甲区には「信託」とあり、売主は受託者である。残り5日で、信託目録の処分権限の定めと受益者の同意の要否を確認しなければならない。確認しないまま進めれば、後から権限外の処分として取消しを主張されるリスクを抱えたまま、買主に物件を引き渡すことになる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 法務局で信託目録付きの登記事項証明書を取得し、甲区に信託の登記があるかを確認する2. 漏れていれば受託者に申請を求める。応じない場合、受益者や委託者は受託者に代わって申請できる(不動産登記法99条) 3. 差押えを受けたら、信託の登記を根拠に強制執行への異議を主張する(信託法23条5項) 4. 登記漏れで損失が生じた場合は、受託者の損失てん補責任(同40条)を検討する
訴えられた側:1. 信託の登記をする義務は、信託行為(信託契約など)で免除できない(信託法34条2項)。「家族だから後でいい」は通らない2. 信託金で取得した不動産と追加信託した財産を一覧にし、登記漏れがないか司法書士と点検する3. 受益者から責任を追及されたら、実害が出る前に登記を補完し、損失の発生を防ぐ4. 株式は株主名簿への記載(会社法154条の2)も別途整える
時効(請求できる期限):特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。信託の登記は、権利の移転などの登記と同時に申請するのが原則である(不動産登記法98条1項)。信託の登記より前に第三者が差押えなどをすると、その者に対しては信託財産であることを主張できなくなるおそれがある。登記までの空白期間そのものが危険期間である
学説
通説:本条は登記・登録制度のある財産に限って信託の公示を対抗要件とするものであり、登記・登録制度のない財産(金銭・預金債権・動産など)については、公示なしでも信託財産であることを第三者に主張できると解されている。ただし分別管理により財産が特定できることが前提となる。
実務上の理解:信託財産の独立性(信託法23条・25条)は、不動産については本条の信託の登記を備えて初めて第三者との関係で実効性を持つ。そのため、信託の登記は受託者の義務とされ、信託行為による免除もできない(同法34条2項)。
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正(平成19年9月30日施行) 旧信託法3条1項にあった、登記・登録すべき財産についての対抗要件の規律を、現行14条に引き継いだ。旧法3条2項にあった有価証券の信託の表示に関する規定は本条に置かれず、株式などは会社法など各法の規律に委ねられた
改正の年表
- 1.大正11年(1922年) 新設:旧信託法3条1項として、登記・登録すべき財産権については信託の登記・登録をしなければ信託を第三者に対抗できない旨を規定
- 2.平成18年(2006年) 改正:信託法全部改正(平成19年9月30日施行)。旧法3条1項の規律を現行14条に引き継ぎ、旧法3条2項の有価証券に関する規定は置かず、会社法など各法の規律に委ねた
- 信託法 第23条信託財産への強制執行の制限と異議
- 信託法 第25条受託者破産時の破産財団からの除外
- 信託法 第27条権限違反行為の取消しと登記の要件
- 信託法 第34条分別管理義務、登記義務の免除禁止
- 信託法 第40条任務懈怠による受託者の損失てん補責任
- 不動産登記法 第98条信託の登記の同時申請と代位申請
- 不動産登記法 第97条信託目録に記録される登記事項
- 会社法 第154条の2株式の信託財産対抗要件は株主名簿記載
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