信託法 第187条(受益権原簿記載事項を記載した書面の交付等)
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- 第百八十五条第二項の定めのある受益権の受益者は、受益証券発行信託の受託者に対し、当該受益者についての受益権原簿に記載され、若しくは記録された受益権原簿記載事項を記載した書面の交付又は当該受益権原簿記載事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。
- 2.前項の書面には、受益証券発行信託の受託者(法人である受託者にあっては、その代表者。次項において同じ。)が署名し、又は記名押印しなければならない。
- 3.第一項の電磁的記録には、受益証券発行信託の受託者が法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
- 4.受益証券発行信託の受託者が二人以上ある場合における前二項の規定の適用については、これらの規定中「受益証券発行信託の受託者」とあるのは、「受益証券発行信託のすべての受託者」とする。
この条文の基本情報
受益権原簿記載事項を記載した書面の交付等とは何ですか?
定義受益権原簿記載事項を記載した書面の交付等とは、信託法第187条に定められた規定で、「第百八十五条第二項の定めのある受益権の受益者は、受益証券発行信託の受託者に対し、当該受益者についての受益権原簿に記載され、若しくは記録された受益権原簿記載事項を…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第187条(受益権原簿記載事項を記載した書面の交付等)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第187条の条文原文は「第百八十五条第二項の定めのある受益権の受益者は、受益証券発行信託の受託者に対し、当該受益者についての受益権原簿に記載され、若しくは記録された受益権原簿記載事項を…」で始まります。
- 信託法第187条は第一節 総則に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第187条の前の条は信託法第186条です。
- 信託法第187条の次の条は信託法第188条です。
- 信託法第187条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第187条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第187条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/187
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法187条は、受益証券を発行しない受益権の受益者が、受託者に対し受益権原簿の記載事項を記載した書面または電磁的記録を請求できると定める。書面には受託者の署名等が必要。
Q · 受益証券が発行されていない信託受益権でも、受託者に保有を証明する書面を出してもらえる?
出してもらえる。署名入り書面か電磁的記録で請求できる
信託法187条1項により、受益証券を発行しない定め(185条2項)がある受益権の受益者は、受託者に対し、自分に関する受益権原簿記載事項を記載した書面の交付、または電磁的記録の提供を請求できます。書面には受託者(法人なら代表者)の署名または記名押印が必要で(同条2項)、電磁的記録には法務省令で定める署名代替措置が必要です(同条3項)。受託者が二人以上いる場合は、全員の署名等がそろっていなければなりません(同条4項)。
解説
紙の受益証券がない受益権を持っていても、「自分が受益者である」と書いた公式の書面を受託者に出させることができる。信託法185条2項は、受益証券発行信託であっても、信託行為(信託を設定する契約や遺言など)の定めにより、一定の受益権について証券を発行しないことを認めている。証券がなければ、あなたの権利を示すものは受託者が管理する受益権原簿(誰がどの受益権を持っているかを記録した帳簿)しかない。その帳簿は受託者の手元にあるため、受益者の側から権利を示す手段がないように見える。そこで本条は、原簿に記載・記録された自分の情報について、受託者の署名または記名押印がある書面、または法務省令で定める署名代わりの措置をとった電磁的記録を請求する権利を受益者に与えた。受託者が複数いる場合は、全員の署名が必要になる。相続、担保の設定、税務の説明、受託者との争いの場面で、相手方の帳簿の中にしかなかった権利を、あなたが自分で示せる証拠に変えられる。
法的な位置づけ
信託法187条は、受益証券発行信託において受益証券を発行しないこととされた受益権(同法185条2項)の受益者が、受託者に対し、受益権原簿記載事項を記載した書面の交付または電磁的記録の提供を請求できる権利を定める規定である。書面には受託者の署名または記名押印を要し、受託者が複数あるときは全員の署名等を要する。
手順
- 1.自分の受益権が対象か確認する 信託契約書・約款・目論見書を読み、受益証券発行信託であること、自分の受益権に受益証券を発行しない定め(信託法185条2項)があることを確認する
- 2.受託者に本条に基づく請求を出す 受託者に対し、信託法187条に基づき原簿記載事項の書面交付または電磁的記録の提供を求める旨を明記して、書面またはメールで請求する。請求日の記録を残し、提出期限がある用途ならその期限も伝える
- 3.共同受託者の有無と署名をそろえる段取りを確認 受託者が複数いる場合は全員の署名または記名押印が必要(4項)。最初の請求時点で共同受託者の有無を確認し、署名がそろうまでの所要日数を受託者に問い合わせる
- 4.受け取った書面を照合する 受益者名、受益権の内容・数量、取得日などが実態と一致するか照合する。誤りがあれば原簿の訂正と再交付を求め、応じない場合は弁護士に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1受益権原簿記載事項の書面とは何ですか?
受託者が管理する受益権原簿のうち、請求した受益者本人に関する記載内容を写し、受託者が署名または記名押印した書面です。信託法187条が根拠です。
Q2受益証券を発行しない受益権とはどういうものですか?
受益証券発行信託でも、信託行為の定めにより特定の受益権について証券を発行しないことができます(信託法185条2項)。権利は受益権原簿で管理されます。
Q3セキュリティトークンの保有証明はどうやって取る?
受益証券を発行しない定めの受益権であれば、受託者に信託法187条に基づく原簿記載事項の書面または電磁的記録を請求できます。まず約款で仕組みを確認します。
Q4信託受益権の原簿記載事項の書面は電子でもらえる?
もらえます。信託法187条1項は電磁的記録の提供も認めています。その場合、法務省令で定める署名または記名押印に代わる措置が必要です(同条3項)。
Q5受託者が書面の交付を拒否したら違法?
本条は受益者の請求権を定めているため、正当な理由なく拒むことは受託者の義務違反となりえます。拒否の理由を書面で求め、応じなければ弁護士への相談を検討します。
Q6原簿記載事項の書面に記名押印だけで足りる?
足ります。信託法187条2項は「署名し、又は記名押印」と定めており、どちらかで要件を満たします。法人受託者の場合は代表者が行います。
Q7信託受益権の相続で保有を証明する書類は?
受益証券がない受益権では、受託者に原簿記載事項の書面を請求するのが有力な方法です。相続税申告の期限(10か月)から逆算して早めに請求します。
Q8共同受託の信託で書面に必要な署名は何人分?
受託者が二人以上いる場合、すべての受託者の署名または記名押印が必要です(信託法187条4項)。一社分だけでは要件を満たしません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1証券がないなら、受託者に頼んで自分の持分を証明してもらえるんですか?
証明してもらえる。信託法187条1項により、受益証券を発行しない定め(185条2項)がある受益権の受益者は、原簿記載事項を記載した書面または電磁的記録を請求できる。書面には受託者の署名または記名押印が必要である(同条2項)。実務のポイント:「残高証明」のような名称で頼むと、手数料が必要な別のサービスとして扱われることがある。依頼する際には本条に基づく請求であると明記するほうが話が早い
Q2もらった書面を渡せば、受益権を人に譲ったことになりますか?
譲渡したことにはならない。本条の書面は原簿の記載内容を証明するものであり、有価証券ではない。受益証券を発行しない受益権の譲渡では、受益権原簿への記載が受託者その他の第三者への対抗要件とされている(信託法195条、現行条文を要確認)。実務のポイント:売買では、書面の受け渡しと名義書換の請求を同じ日にそろえて行う段取りにしておく。そうしないと、売主の債権者による差押えなどに後れをとるおそれがある
Q3受託者が二社あるとき、片方の印だけで足りますか?
足りない。信託法187条4項により、受託者が二人以上いる場合は、すべての受託者が署名または記名押印しなければならない。電磁的記録の場合も、すべての受託者が署名代替措置をとる必要がある。実務のポイント:共同受託の案件では、署名をそろえるだけで数週間かかることがある。提出期限がある用途では、最初の請求の時点で「共同受託者全員の署名が必要」と伝え、スケジュールを確認しておく
間違えやすい点 AI による整理
- 本条の書面を株券や受益証券の代わりとして扱えると考えるのは誤りである。この書面は原簿の記載内容を示す証明書面にすぎず、有価証券ではない。書面を他人に渡しても受益権は移転しない。受益証券を発行しない受益権の譲渡では、受益権原簿への記載が受託者その他の第三者への対抗要件とされている。書面を受け取ったことで安心し、名義書換の手続を怠った譲受人が、最も大きな損失を受けやすい
- 「アプリやマイページに残高が表示されるので、書面は不要だ」という考えは、日常の確認と法的な証明を同じものとして扱っている。画面表示は、受託者が提供するサービス上の情報である。これに対し、本条の書面には受託者の署名または記名押印が要求されており、受託者が記載内容に責任を持って作成した証拠になる。相続手続や訴訟で求められるのは、通常、受託者の署名や押印がある書面のほうである
- 受託者から見れば、本条の請求は単なる事務作業に見えるかもしれない。しかし、書面の記載が原簿と食い違えば、受託者が自ら署名した誤った証拠を受益者に渡したことになる。共同受託者の一部しか署名していなければ、本条4項の要件を満たさない書面となり、そもそも効力に疑問が生じる。受託者にとって、本条への対応は信託事務の正確さが外から検証される場面である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する内容 | 信託法187条:受益者本人に関する原簿記載事項の署名入り書面・電磁的記録の請求 | 信託法190条:受益権原簿の備置きと閲覧等の請求 信託法185条:受益証券の発行と、証券を発行しない定め |
| 受益者が得られるもの | 受託者の署名または記名押印がある証明書面(持ち出して第三者に示せる) | 原簿そのものの閲覧・謄写など(受託者側の帳簿を見る) 有価証券としての受益証券(発行される場合) |
| 対象となる受益権 | 185条2項の定めがある(証券を発行しない)受益権に限る | 受益証券発行信託の受益権原簿全般 受益証券発行信託の受益権 |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾の信託法自体には受益証券発行信託の一般規定がなく、受益證券は証券化関係の特別法で扱われる。無實體發行の帳簿記載はあるが、本条のような受託者署名入り書面の請求規定は直接には見当たらない。
韓国も2011年の信託法全部改正で수익증권발행신탁を導入しており、日本の制度との比較対象になる。具体的な条番号は要確認。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 不動産セキュリティトークンを買ったとき、手元に残ったのはスマホのアプリ画面だけ。父が亡くなり、相続人のあなたがその保有を税理士に説明しなければならない。アプリのスクショで足りるだろうか。受託者に原簿記載事項の書面を請求すれば、受託者の署名入りで保有内容が示される
- 受託者の信託銀行の担当として、受益者から「原簿の記載事項を書面でくれ」とメールが届いた。共同受託者がもう一社いる。自社の印だけを押して送ると、本条4項の「すべての受託者」の要件を満たさない書面になる
- 受益権を担保に融資を受ける話が進んでいる。銀行の審査担当から「あと5営業日以内に、受益権の保有を示す受託者発行の書面を出してください」と言われた。今日のうちに請求を出しておかないと、受託者の社内決裁が間に合わない
- 受益権を譲り受けたのに、配当の通知が前の受益者に届き続けていたら、どうなる?
- 家族の事業承継で、受益証券発行信託の受益権を兄弟で分けた。数年後、兄が「お前の持分はもっと少なかったはずだ」と言い出した。受託者に原簿記載事項の書面を出させれば、記憶の言い合いから証拠をもとにした話し合いに変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 信託契約書や約款を確認し、自分の受益権が受益証券を発行しない定め(185条2項)の対象であることを確かめる。2. 受託者に、本条に基づく原簿記載事項の書面交付または電磁的記録の提供を、書面またはメールで請求し、請求日の記録を残す。3. 受け取った書面の受益者名、受益権の内容、数量、取得日が実態と一致するかを照合する。4. 誤りや交付の拒否があれば、受託者に原簿の訂正や理由の説明を求め、応じない場合は弁護士に相談し、履行請求や受託者の義務違反の追及を検討する
訴えられた側:1. 請求者が本当に受益者本人であるかを、原簿と本人確認書類で確認する。2. 原簿の記載事項を正確に転記し、受託者の署名または記名押印を行う。法人受託者の場合は代表者による署名等が必要になる。3. 共同受託者がいる場合は、全員の署名等をそろえる(4項)。4. 電磁的記録で提供する場合は、法務省令で定める署名代替措置をとる。5. 原簿に誤りが見つかった場合は、書面を出す前に原簿を訂正し、訂正の経緯を記録する
時効(請求できる期限):本条に特定の時効や期限の規定はない。受益者である間は請求できる。ただし、一般消滅時効(民法166条、債権は5年または10年)が適用されうる。実務上は、融資審査、相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月)などの外部期限から逆算して、早めに請求する
学説
一般的な理解:本条は、会社法の株主名簿記載事項を記載した書面の交付制度と同様の発想に立つ規定とされる。証券を発行しない受益権について、受益者が受託者の帳簿に依存せず権利を外部に示す手段を確保する趣旨である。
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 受益証券発行信託の制度とあわせて新設された(施行は平成19年(2007年))。その後の改正の有無と内容は人による確認が必要である
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法全部改正により、受益証券発行信託の制度とあわせて新設(施行は平成19年(2007年))。
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