受講中の講座ブックマーク無料で登録

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年7月4日読了 6 分6 分6 分

信託法 第208条(受益証券不所持の申出)

クイックジャンプ
  1. 受益証券発行信託の受益者は、受益証券発行信託の受託者に対し、当該受益者の有する受益権に係る受益証券の所持を希望しない旨を申し出ることができる。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
  2. 2.前項の規定による申出は、その申出に係る受益権の内容を明らかにしてしなければならない。この場合において、当該受益権に係る受益証券が発行されているときは、当該受益者は、当該受益証券を受益証券発行信託の受託者に提出しなければならない。
  3. 3.第一項の規定による申出を受けた受益証券発行信託の受託者は、遅滞なく、前項前段の受益権に係る受益証券を発行しない旨を受益権原簿に記載し、又は記録しなければならない。
  4. 4.受益証券発行信託の受託者は、前項の規定による記載又は記録をしたときは、第二項前段の受益権に係る受益証券を発行することができない。
  5. 5.第二項後段の規定により提出された受益証券は、第三項の規定による記載又は記録をした時において、無効となる。
  6. 6.第一項の規定による申出をした受益者は、いつでも、受益証券発行信託の受託者に対し、第二項前段の受益権に係る受益証券を発行することを請求することができる。この場合において、同項後段の規定により提出された受益証券があるときは、受益証券の発行に要する費用は、当該受益者の負担とする。
  7. 7.前各項の規定は、無記名受益権については、適用しない。

この条文の基本情報

受益証券不所持の申出とは何ですか?

定義受益証券不所持の申出とは、信託法第208条に定められた規定で、「受益証券発行信託の受益者は、受益証券発行信託の受託者に対し、当該受益者の有する受益権に係る受益証券の所持を希望しない旨を申し出ることができる。ただし、信託行為に…」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 信託法第208条(受益証券不所持の申出)は、日本の信託法に含まれる条文です。
  2. 信託法第208条の条文原文は「受益証券発行信託の受益者は、受益証券発行信託の受託者に対し、当該受益者の有する受益権に係る受益証券の所持を希望しない旨を申し出ることができる。ただし、信託行為に…」で始まります。
  3. 信託法第208条は第三節 受益証券に置かれています。
  4. 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
  5. 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
  6. 信託法第208条の前の条は信託法第207条です。
  7. 信託法第208条の次の条は信託法第209条です。
  8. 信託法第208条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式信託法(平成十八年法律第百八号)第208条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108
  • 本サイト収録信託法(平成十八年法律第百八号)第208条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/208

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点信託法208条は、受益証券発行信託の受益者が受託者に受益証券の不所持を申し出る制度を定める。原簿に記載されると証券は発行できず、提出済みの証券は無効となる。

Q · 受益証券を手元に置きたくない場合、紙を持たずに権利を守る方法はありますか?

受託者に不所持を申し出れば、名簿上で権利を保てます

信託法208条により、受益証券発行信託の受益者は受託者に「受益証券の所持を希望しない」と申し出ることができます。受託者は遅滞なく受益権原簿にその旨を記載し、以後その受益権の証券を発行できなくなります。発行済みの証券は申出時に提出し、原簿記載の時点で無効になります。必要になれば、いつでも再発行を請求できます(提出証券があった場合の発行費用は受益者負担)。信託行為に別段の定めがある場合や、無記名受益権には適用されません。

解説

紙の受益証券は、権利そのものが紙に乗り移った状態にある。受益証券発行信託では、受益権の譲渡は証券を渡すことで効力を生じ(信託法194条)、証券を持っている者は正当な権利者と推定される。金庫の奥で紙を失くしたり盗まれたりすれば、事情を知らない第三者の手に権利が渡ってしまうおそれがある。208条は、その危険を最初から断つための申出制度である。受託者(信託財産を預かって管理する側)に「証券はいらない」と申し出れば、受託者は遅滞なく受益権原簿(受益者の名簿)にその旨を記載し、以後その受益権の証券を発行できなくなる。すでに手元にある証券は受託者に提出し、原簿に記載された時点で無効になる。権利の拠り所が紙から名簿へ移るわけだ。売りたくなれば、いつでも再発行を請求できる。ただし、一度提出した証券があるなら発行費用は自分持ちになる。信託行為(信託の設計書)に別段の定めがあればそれに従い、無記名受益権にはこの制度自体が使えない。

法的な位置づけ

受益証券不所持の申出とは、信託法208条に基づき、受益証券発行信託の受益者が受託者に対して受益証券の所持を希望しない旨を申し出る制度である。申出を受けた受託者は受益権原簿にその旨を記載・記録し、以後当該受益権の証券を発行できず、提出済みの証券は記載時に無効となる。無記名受益権には適用されない。

手順・フロー

AI による整理。効力は条文原文が基準です

手順

  1. 1.信託行為と受益権の種類を確認する 信託契約書等の信託行為に、不所持の申出を制限する別段の定めがないか確認する。あわせて自分の受益権が記名式か無記名式かを確かめる。無記名受益権には208条が適用されない
  2. 2.受益権の内容を特定した申出書を作る 対象となる受益権の内容(信託の名称、受益権の種類・数、証券番号など)を明らかにした申出書を作成する。内容の特定は208条2項前段の要件である
  3. 3.証券を添えて受託者に提出する 受益証券が発行済みなら、申出書とともに証券を受託者に提出する。配達記録が残る方法で送付し、受領の確認を取る
  4. 4.受益権原簿への記載を確認する 受託者が遅滞なく原簿に「証券を発行しない旨」を記載・記録したかを確認する。原簿記載事項の書面交付請求(187条)も検討する。記載が放置されていれば書面で催告し記録を残す
  5. 5.売却予定が決まったら早めに再発行を請求する 譲渡や担保設定の予定が見えた段階で、受託者に証券の発行を請求する(208条6項)。提出証券があった場合の発行費用は自己負担となるため、事前に金額を確認する

よくある質問 AI による整理

Q1受益証券不所持の申出とは?

受益証券発行信託の受益者が、受託者に「証券を持ちたくない」と申し出る制度です。信託法208条が根拠で、受益権原簿への記載により効力が生じます。

Q2受益証券不所持の申出の方法は?

対象となる受益権の内容を明らかにして受託者に申し出ます。証券が発行済みなら、その証券も受託者に提出する必要があります(208条2項)。

Q3受益証券不所持の申出 いつまでにできる?

期限の定めはなく、受益者はいつでも申し出られます。ただし証券を紛失した後では提出できないため、事故が起きる前に申し出るのが前提です。

Q4提出した受益証券はいつ無効になる?

受託者が受益権原簿に「証券を発行しない旨」を記載・記録した時点で無効になります(208条5項)。提出した瞬間ではない点に注意が必要です。

Q5受益証券の再発行費用は誰が払う?

不所持の申出の際に証券を提出していた場合、再発行の費用は受益者の負担です(208条6項後段)。提出証券がなかった場合はこの負担規定は適用されません。

Q6受託者は不所持の申出を拒否できる?

信託行為に別段の定めがある場合を除き、拒否できません。申出を受けた受託者は遅滞なく原簿に記載する義務を負います(208条1項ただし書・3項)。

Q7無記名受益権でも不所持の申出はできる?

できません。208条7項が無記名受益権を適用除外としています。原簿に受益者名がなく、証券以外に権利の拠り所がないためです。

Q8不所持の申出後に証券を発行したら違法?

原簿に記載・記録した後、受託者は当該受益権の証券を発行することができません(208条4項)。発行するには受益者からの再発行請求が必要です。

この条文についての質問 AI による整理

Q1不所持にした後、やっぱり証券が欲しくなったら取り戻せますか?

取り戻せる。208条6項により、いつでも受託者に証券の発行を請求できる。ただし、以前に手持ちの証券を提出していた場合、新しい証券の発行費用は自己負担になる。実務のポイント:再発行には社内手続の時間がかかる。売却の予定が見えた時点で早めに請求しておかないと、決済日に証券が間に合わず取引自体が流れることがある

Q2証券をもう失くしてしまったんですが、今から不所持の申出で何とかなりますか?

申出には、発行済みの証券を受託者に提出することが必要である(208条2項後段)。手元にない証券を提出することはできないため、紛失した証券を無効にするには公示催告と除権決定の手続(210条)に進むことになる。実務のポイント:不所持の申出は事故が起きる前にしか使えない制度である。紛失してからでは間に合わないことは、案外知られていない

間違えやすい点 AI による整理

  • 「証券を失くしても、名簿に名前があるから大丈夫」という安心は危うい。証券が発行されている限り、譲渡も権利の推定も紙を基準に動く。名簿が主役になるのは、不所持の申出をして原簿に記載された後だけである
  • 「証券を手放したら権利まで手放すことになる」と身構える人がいるが、問いの立て方がずれている。提出した証券が無効になっても、受益権自体は少しも減らない。失われるのは、紙を渡すだけで権利を移せる身軽さだけだ
  • 受益者から見れば申出書一枚の手続だが、受託者から見れば、原簿への記載、証券の発行禁止、提出証券の失効管理という三つの義務が一度に発生する。この負担の重さを知らないまま申出を軽く扱う受託者は、紛争になったとき説明に窮する
比較の観点この条文ほかの条文
使う場面信託法208条:事故が起きる前に、紙の証券を持たない状態へ切り替える信託法210条:証券を失った後に、公示催告・除権決定で証券を無効にする
信託法194条:証券の交付によって受益権を譲渡する
必要な手続受託者への申出(受益権の内容の特定と、発行済みなら証券の提出)裁判所での公示催告手続(現行条文の内容は要確認)
譲受人への証券の交付
権利の拠り所受益権原簿(紙は存在しない)除権決定を経て証券の効力を失わせる
証券(所持人は適法な権利者と推定される)
受益者のコスト申出は申出書一枚。再発行時、提出証券があれば費用は自己負担裁判所手続の時間と費用が必要
紛失・盗難時に善意の第三者に権利が移るおそれ

他国ではどう定めているか 2 か国

台湾
金融資產證券化條例・有價證券集中保管制度

台湾では受益証券の無実体化は主に集中保管・帳簿振替で実現され、受益者個人の不所持申出という形の明文規定は確認できていない

アメリカ
UCC Article 8

米国では証券を発行せず発行者の登録簿で管理する uncertificated security が制度化されており、紙を介さない権利管理という点で発想が近い

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 父の遺品整理で、非上場の受益証券発行信託の証券が出てきた。相続手続が終わるまで実家の押入れに置いておくのは危ない。名義を整えたうえで不所持を申し出れば、紙が消えても権利は名簿の上に残る
  • 受益証券が自宅から盗まれたかもしれないのに、いつ盗まれたのか分からない。そうなった時点で不所持の申出は遅く、失われた証券の効力を消すには公示催告と除権決定(裁判所の手続で紙を無効にする制度)に進むしかない。後追いの手続が使えるうちに、今週中に弁護士に相談すべきだ
  • あなたが受託者の担当者で、受益者から不所持の申出書が届いた。原簿への記載を後回しにしていた間に、提出前の証券が市場に出回ったらどうなるか。「遅滞なく」の三文字が、受託者側の責任問題に直結する
  • 不所持にしていた受益権を来月売却したい。再発行の請求から証券の交付までの段取りを今から組まないと、決済日に証券が間に合わない

取るべき行動

被害を受けた側:1. 信託行為(信託契約書等)を確認し、不所持の申出を制限する別段の定めがないか、自分の受益権が無記名でないかを確かめる2. 対象となる受益権の内容を特定した申出書を作り、証券が発行済みなら証券を添えて受託者に提出する(208条2項) 3. 原簿に記載されたことの確認を求め、記載事項を記した書面の交付請求(187条)も検討する4. 受託者が記載を放置するなら、書面で催告し記録を残す

訴えられた側:1. 受託者側は、申出を受けたら遅滞なく原簿に「証券を発行しない旨」を記載し、記録する2. 提出された証券は、記載の時点で無効になるため、再流通しないよう厳重に保管・処理する3. 再発行の請求を受けたら、過去に提出証券があるかを確認し、費用負担の区分(6項後段)を明確にして請求する4. 申出を断れるのは信託行為に別段の定めがある場合に限られることを社内で共有する

時効(請求できる期限):特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。不所持の申出と再発行の請求は、いずれも受益者が「いつでも」行える。受託者の原簿記載は「遅滞なく」行う義務がある

学説

立法趣旨に関する一般的理解:株券不所持の申出(会社法217条)と同型の制度として設けられたものと理解されている。流通させる予定のない受益者に、紛失・盗難による善意取得の危険を回避する手段を与える趣旨である。

改正沿革 AI による整理

  • 平成18年(2006年)信託法全部改正 受益証券発行信託の制度とともに、受益証券不所持の申出が設けられた。旧信託法には受益証券発行信託の一般的な制度がなかった。その後の改正の有無は人的検証が必要

改正の年表

  1. 1.平成18年(2006年) 新設:信託法全部改正(平成18年法律第108号)により、受益証券発行信託の制度とともに受益証券不所持の申出が新設された。その後の改正の有無は e-Gov で要確認

ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。

信託法の全文を見る所属する編章節を開く:第三節 受益証券

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

次に調べる

判例を探す:条文単位の判例の紐づけは準備中です。上のカードから法令名で検索できます。裁判所「裁判例検索」で探す ›