信託法 第210条(記名式と無記名式との間の転換)
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受益証券が発行されている受益権の受益者は、いつでも、その記名式の受益証券を無記名式とし、又はその無記名式の受益証券を記名式とすることを請求することができる。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
この条文の基本情報
記名式と無記名式との間の転換とは何ですか?
定義記名式と無記名式との間の転換とは、信託法第210条に定められた規定で、「受益証券が発行されている受益権の受益者は、いつでも、その記名式の受益証券を無記名式とし、又はその無記名式の受益証券を記名式とすることを請求することができる。ただ…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第210条(記名式と無記名式との間の転換)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第210条の条文原文は「受益証券が発行されている受益権の受益者は、いつでも、その記名式の受益証券を無記名式とし、又はその無記名式の受益証券を記名式とすることを請求することができる。ただ…」で始まります。
- 信託法第210条は第三節 受益証券に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第210条の前の条は信託法第209条です。
- 信託法第210条の次の条は信託法第211条です。
- 信託法第210条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第210条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第210条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/210
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法210条は、受益証券が発行されている受益権の受益者が、いつでも記名式と無記名式の受益証券の転換を請求できると定める。信託行為に別段の定めがあればそれに従う。
Q · 受益証券を記名式から無記名式に変えたいとき、受益者は自分で請求できるの?
原則いつでも請求できるが、信託行為の定めが優先する
信託法210条により、受益証券が発行されている受益権の受益者は、いつでも記名式と無記名式の相互転換を請求できます。転換で変わるのは権利の中身ではなく、権利者の扱われ方と受託者への主張の仕方です。ただし、信託行為(信託契約や遺言)に転換を禁止・制限する定めがあれば、その定めに従います。請求の前に、信託契約の該当条項を確認することが欠かせません。
解説
紙の受益証券には二つの顔がある。名前が刻まれた記名式と、持っている者が権利者として扱われる無記名式だ。信託法210条は、受益証券が発行されている受益権の受益者に、この二つをいつでも切り替えるよう受託者に請求できる権利を与えている。ここで押さえるべきは、切り替えで変わるのが権利の中身ではなく、権利の守られ方だという点である。無記名式にすると、受託者は受益者の名前を把握しない。持っている者が権利者として扱われるため、譲渡は証券を手渡すだけで済む。その代わり、盗まれたり紛失したりしたときに奪われやすい。記名式にすると、受託者の受益権原簿(受益者の名簿)に名前が載り、受託者に対して権利を主張する足場が固まる。ただし、ただし書の一行に注意したい。信託行為(信託を設定した契約や遺言)に別段の定めがあれば、そちらが優先される。転換禁止と書かれていれば、「いつでも」は使えない。請求する前に、まず信託契約を読むことになる。
法的な位置づけ
信託法210条は、受益証券発行信託における受益証券の記名式・無記名式の転換請求権を定める規定である。受益証券が発行されている受益権の受益者は、いつでも記名式から無記名式へ、または無記名式から記名式への転換を請求できる。ただし、信託行為に別段の定めがある場合は、その定めに従う。
手順
- 1.券面の形式を確認する 手元の受益証券が記名式か無記名式かを券面で確認する。記名式なら受益者名が記載され、受益権原簿にも登録されている
- 2.信託行為の別段の定めを確認する 信託契約・約款・遺言を取り寄せ、転換を禁止・制限する条項や費用負担の定めがないかを読む。定めがあれば210条ただし書によりそれが優先する
- 3.受託者に書面で転換を請求する 制限がなければ、受託者に対し記名式または無記名式への転換を書面で請求し、請求日と内容の控えを残す
- 4.新証券の交付と旧証券の回収を確認する 受託者が新しい証券を発行し、旧証券を回収した事実を確認する。拒否や放置があれば、根拠条項を書面で示すよう求め、必要に応じて弁護士に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1受益証券の記名式と無記名式の違いとは?
記名式は受益者の名前が受益権原簿に載り、権利者が特定されます。無記名式は証券を持っている者が権利者として扱われ、手渡しで移転できます。
Q2受益証券の転換請求はいつまでできる?
信託法210条は「いつでも」請求できると定めており、期限はありません。ただし信託行為に別段の定めがあれば、その定めに従います。
Q3受益証券を無記名式に変えることはできる?
受益証券が発行されている受益権の受益者であれば、原則として請求できます。信託契約が記名式に限ると定めていれば請求は通りません。
Q4受益証券の転換を受託者に拒否されるのは違法?
信託行為に転換を制限する定めがあれば拒否は適法です。定めがないのに拒否すれば、210条本文の請求権を侵害するおそれがあります。
Q5受益証券の転換に手数料はかかる?
条文自体は手数料を定めていません。信託行為や約款に費用負担の定めがあるかどうかで決まるため、まず契約書を確認する必要があります。
Q6受益証券発行信託とは?
信託行為で受益権について受益証券を発行する旨を定めた信託です(信託法185条)。受益権を証券化し、流通させやすくする仕組みです。
Q7無記名の受益証券を相続したらどうする?
無記名式は名簿に名前が残らないため、相続人から受託者に問い合わせて権利を確認する必要があります。記名式への転換も検討できます。
Q8受益証券の転換で配当を受ける権利は変わる?
変わりません。転換で変わるのは権利者の扱いと受託者への主張方法だけです。権利の中身を変えるには信託の変更(信託法149条以下)が必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1無記名の受益証券をなくしたら、もう終わりですか?
終わりではない。受益証券を喪失した場合は、公示催告手続(裁判所を通じて証券を無効にする手続)によって証券を無効とすることができ、そのうえで再発行を求める道がある(信託法211条、現行効力を要確認)。ただし手続には時間がかかり、その間に第三者が善意で取得すると争いが複雑になる。業界裏話:紛失してから慌てるより、保管場所を移す前に記名式へ転換しておく方が、手間ははるかに小さい
Q2受託者に転換を頼んだら断られた。違法じゃないの?
信託行為に転換を制限する定めがあれば、断るのは適法である(210条ただし書)。定めがないのに断った場合は、本文の請求権の侵害になりうる。業界裏話:受託者が断る理由を「事務手続上できない」と口頭で済ませることがある。断る根拠となる信託契約の条項番号を書面で示すよう求めると、根拠のない拒否はたいていそこで止まる
Q3上場している ETF も信託だと聞いた。この条文で無記名に変えられますか?
多くの上場商品は振替制度(証券を紙で発行せず、口座の記録で管理する仕組み)を使っており、紙の受益証券が発行されていない。210条は「受益証券が発行されている」受益権が前提なので、通常は使う場面がない。業界裏話:同じ受益証券発行信託という枠組みでも、紙の証券か口座の記録かで、使える条文がまったく違ってくる
間違えやすい点 AI による整理
- 記名式から無記名式に変えると受益権の中身が変わると思われがちだが、変わるのは権利を誰が持っているとみなされるか、受託者に対してどう主張できるかという外側の扱いである。配当を受ける権利などの中身は同じだ。中身を変えたいなら、信託の変更(信託法149条以下)という別の手続によることになる
- 「いつでも請求できる」という文言は知っていても、ただし書の重さに気付かない人が多い。信託行為に転換を禁止または制限する定めがあれば、210条本文の権利はそもそも発生しない。条文本文だけを読んで受託者に強く迫ると、契約書一枚であっさり退けられることになる
- 受益者は「どちらの形式が得か」を考えがちだが、本当に大事なのは「誰に対して何を証明する必要が出てくるか」である。受益者にとっての匿名性は、受託者から見れば、受益者を確認する手段がないということでもある。通知が届かない、権利行使のたびに証券を示す必要がある(信託法192条、現行効力を要確認)といった負担が、匿名性と引き換えに受益者自身にかかってくる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する場面 | 信託法210条:受益証券の記名式・無記名式の相互転換 | 信託法194条:受益証券の交付による受益権の譲渡 信託法195条:受益権譲渡の対抗要件と受益権原簿 |
| 主な当事者 | 受益者が転換を請求し、受託者が応じる | 譲渡人と譲受人の間で証券を交付する 譲受人が受託者その他の第三者に対抗する |
| 形式選択との関係 | どちらの形式で持つかを受益者が切り替える | どちらの形式でも、譲渡には証券の交付が必要 記名式では原簿への記載が対抗要件として重要になる |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾信託法は、信託行為の定めに基づき受託者が関係法令に従って受益権を有価証券化できるとするにとどまる。記名・無記名の転換は、信託法ではなく証券の一般法理や関係法令で扱われる
韓国は2011年の信託法全部改正で受益証券発行信託を導入した。日本の制度を参照した構造とされる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 事業承継の準備で、オーナーが持つ受益証券を後継者へ段階的に渡す計画を立てた。無記名式のままだと、渡した瞬間に誰が持っているかを受託者は把握しない。どこまで誰に移ったかを記録として残したいなら、記名式への転換を先に請求しておく
- 実家の金庫を整理していたら、名前の書かれていない受益証券が出てきた。亡くなった父のものだろうか? 無記名式では名簿に名前が残らないため、受託者からの連絡を待っていても状況は動かない。相続人の側から受託者に問い合わせ、権利を確定させることになる
- あなたが受託者側の担当者で、受益者から無記名式への転換請求が届いた。信託契約に転換の制限がなければ、原則としてこの請求は拒めない。拒否すれば受益者の権利を侵害しかねない
- 来週、受益証券を担保として金融機関に差し入れる。ところが手元の証券は無記名式で、輸送や保管の途中で紛失すれば、拾った者が権利者らしく振る舞えてしまう。差入れの前に、記名式への転換に間に合うかどうかを受託者に確認する
- もし信託契約に「受益証券は記名式に限る」と書いてあったら、無記名式への転換請求はどうなる? 210条ただし書により、その定めが優先されて請求は通らない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 手元の受益証券が記名式か無記名式かを券面で確認する2. 信託行為(信託契約・約款)を取り寄せ、転換を禁止・制限する定めや手数料の定めがないかを読む3. 制限がなければ、受託者に書面で転換を請求し、請求日と内容の記録を残す4. 受託者が根拠を示さずに拒否または放置する場合は、210条本文と信託契約の該当箇所を示して再度請求する。それでも動かないときは、信託に詳しい弁護士に相談する
訴えられた側:1. 受託者として請求を受けたら、まず信託行為に別段の定めがあるかを確認する2. 定めがなければ原則として請求に応じ、新しい証券の発行と受益権原簿の整理を進める3. 拒否する場合は、信託行為のどの条項に基づくかを書面で示す4. 旧証券の回収と新証券の交付の順序を誤ると、二重流通の危険が生じる。交付の手順を社内で決めておく
時効(請求できる期限):本条に特定の時効はない。条文上「いつでも」請求できる(ただし信託行為に別段の定めがあればそれによる)。転換に伴って生じる金銭請求には、一般消滅時効(民法166条:債権者が権利を行使できることを知った時から5年、または権利を行使できる時から10年)が適用される
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 旧信託法(大正11年法律第62号)を全面的に改めた新信託法(平成18年法律第108号)で受益証券発行信託の制度が設けられ、本条もその一部として置かれたとみられる。その後の改正の有無は人による確認が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:旧信託法を全面的に改めた新信託法(平成18年法律第108号)で受益証券発行信託の制度が設けられ、本条も受益証券に関する規定の一つとして置かれた
- 信託法 第185条受益証券を発行する旨の信託行為の定め
- 信託法 第194条受益証券交付による受益権の譲渡
- 信託法 第195条受益権譲渡の対抗要件と名簿記載
- 信託法 第192条無記名受益者の権利行使と証券提示(現行効力を要確認)
- 信託法 第211条受益証券喪失時の無効化手続(現行効力を要確認)
- 民法 第520条の20無記名証券の一般規律(現行効力を要確認)
- 会社法 第698条社債券の記名・無記名転換の同型規定(現行効力を要確認)
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