信託法 第149条(関係当事者の合意等)
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- 信託の変更は、委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができる。この場合においては、変更後の信託行為の内容を明らかにしてしなければならない。
- 2.前項の規定にかかわらず、信託の変更は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定めるものによりすることができる。この場合において、受託者は、第一号に掲げるときは委託者に対し、第二号に掲げるときは委託者及び受益者に対し、遅滞なく、変更後の信託行為の内容を通知しなければならない。
- 一信託の目的に反しないことが明らかであるとき受託者及び受益者の合意
- 二信託の目的に反しないこと及び受益者の利益に適合することが明らかであるとき受託者の書面又は電磁的記録によってする意思表示
- 3.前二項の規定にかかわらず、信託の変更は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める者による受託者に対する意思表示によってすることができる。この場合において、第二号に掲げるときは、受託者は、委託者に対し、遅滞なく、変更後の信託行為の内容を通知しなければならない。
- 一受託者の利益を害しないことが明らかであるとき委託者及び受益者
- 二信託の目的に反しないこと及び受託者の利益を害しないことが明らかであるとき受益者
- 4.前三項の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
- 5.委託者が現に存しない場合においては、第一項及び第三項第一号の規定は適用せず、第二項中「第一号に掲げるときは委託者に対し、第二号に掲げるときは委託者及び受益者に対し」とあるのは、「第二号に掲げるときは、受益者に対し」とする。
この条文の基本情報
関係当事者の合意等とは何ですか?
定義関係当事者の合意等とは、信託法第149条に定められた規定で、「信託の変更は、委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第149条(関係当事者の合意等)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第149条の条文原文は「信託の変更は、委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができる。」で始まります。
- 信託法第149条は第一節 信託の変更に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第149条の前の条は信託法第148条です。
- 信託法第149条の次の条は信託法第150条です。
- 信託法第149条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第149条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第149条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/149
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法149条は、信託の変更を委託者・受託者・受益者の三者合意で行うことを原則とし、目的に反しないことが明らかな場合等は二者合意や単独の意思表示でも可能とする。
Q · 家族信託の契約内容は、後から誰の同意で変えられるの?
原則は三者合意。明らかな場合は二者や単独でも可
信託法149条1項により、信託の変更は委託者・受託者・受益者の三者合意が原則です。ただし信託の目的に反しないことが明らかなら受託者と受益者の合意で(2項1号)、目的に反せず受益者の利益に適合することが明らかなら受託者の書面による単独の意思表示で(同項2号)変更できます。信託契約に変更方法の定めがあれば、その定めが優先します(4項)。
解説
親の認知症対策で家族信託を組んだ家庭から、数年後に最も多く出る相談は「契約の中身を変えたいのに変えられない」である。信託法149条の原則は三者の合意だ。委託者(財産を預けた人)、受託者(預かって管理する人)、受益者(利益を受け取る人)がそろって合意し、変更後の内容を明らかにして変える。ところが典型的な家族信託では、親一人が委託者と受益者を兼ねている。親が判断能力を失うと、三者のうち二人分の同意が同時に消える。条文には抜け道もある。信託の目的に反せず、受益者の利益に適合することが「明らか」なら、受託者が書面だけで単独で変更できる(2項2号)。だが「明らか」かどうかは後から争われうる。本当に効くのは4項で、信託契約の中に「変更の仕方」を自分たちで書き込んでおけば、その定めが優先する。契約書を作る日に変更条項を読み飛ばすかどうかで、十年後に家族が取れる選択肢が決まる。
法的な位置づけ
信託の変更とは、信託行為で定めた信託の目的、信託財産の管理方法、受益者、受益権の内容などを事後に改めることをいう。信託法149条は、その方法として委託者・受託者・受益者の三者合意を原則とし、目的や当事者の利益への影響が明らかに小さい場合の簡易な変更ルートと、信託行為による別段の定めの優先を規定する。
よくある質問 AI による整理
Q1信託の変更とは何ですか?
信託契約などで定めた目的、管理方法、受益者、受益権の内容を後から改めることです。信託法149条が方法を定め、三者合意が原則です。
Q2信託の変更に公正証書は必要ですか?
149条は公正証書を要件としていません。変更後の信託行為の内容を明らかにすれば足ります。ただし金融機関や登記の実務上、公正証書で作り直す例が多くあります。
Q3信託の変更で受益者を変えられますか?
変えられます。受益者の変更も信託の変更の一種です。ただし新しい受益者が対価なく受益権を得ると、相続税法9条の2により贈与とみなされうる点に注意が必要です。
Q4信託の変更の登記は必要ですか?
不動産を信託している場合、信託目録の記載事項が変われば信託の変更の登記を申請します(不動産登記法103条)。怠ると売却や融資の手続が止まる原因になります。
Q5受益者が複数いる場合、全員の同意が必要ですか?
信託行為に別段の定めがなければ、受益者の意思決定は全員一致が原則です(信託法105条1項)。多数決を採りたいなら、信託契約にあらかじめ定めておく必要があります。
Q6信託を変更したら誰かに通知する必要がありますか?
受託者単独や二者合意で変更した場合、受託者は委託者や受益者に変更後の内容を遅滞なく通知しなければなりません(149条2項・3項)。三者合意なら通知規定はありません。
Q7当事者で合意できないとき、裁判所に変更を頼めますか?
信託行為の当時予見できなかった特別の事情により、定めが受益者の利益に適合しなくなった場合、委託者・受託者・受益者は裁判所に変更を申し立てられます(信託法150条)。
Q8信託の目的そのものを変更できますか?
三者合意(1項)なら目的の変更も可能です。一方、二者合意や単独変更のルートは「目的に反しないことが明らか」が要件のため、目的自体の変更には使えません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1親が認知症になったら、家族信託の中身はもう一切変えられないんですか?
一切ではない。目的に反せず受益者の利益に適合することが明らかなら、受託者が書面で単独変更できる(149条2項2号)。受益者代理人がいれば受益者に代わって合意できる(139条)し、予見できなかった事情があれば裁判所に変更を求められる(150条)。実務のポイント:ひな形の変更条項が「受益者の同意を要する」となっていて、委託者兼受益者の親が認知症になった時点で結局止まる例がある。変更条項に親以外の人が組み込まれているかを確認すべきだ
Q2受託者の兄が「契約は変えておいた」と言うんですが、勝手に変えても有効なんですか?
受託者単独の変更が認められるのは、信託の目的に反しないことと受益者の利益に適合することが、どちらも明らかな場合だけで、書面か電磁的記録で行う必要がある(149条2項2号)。変更後は委託者と受益者への通知義務もある。実務のポイント:要件は「明らか」であって「おそらく大丈夫」ではない。受益者側が具体的な不利益を一つ示せれば、単独変更の正当性は大きく揺らぐ。まず通知が来ているか、書面があるかを確かめる
Q3父が亡くなった後、信託を変えるには誰の同意が必要になりますか?
委託者の地位を誰が引き継ぐかで変わる。遺言で設定した信託では、委託者の相続人は原則として地位を承継しない(147条)。委託者がいなくなれば、三者合意(1項)と委託者・受益者ルート(3項1号)は使えなくなり、受託者と受益者のルートだけが残る(149条5項)。実務のポイント:契約で設定した信託では相続人が委託者の地位を引き継ぎうるため、信託に関わらせたくなかった兄弟が変更の拒否権を持つことがある。地位の承継について別段の定めを置く例が多い
間違えやすい点 AI による整理
- 「信託契約を変えるには委託者の同意が必要か」と問う人が多いが、問いの立て方がずれている。条文は、委託者・受託者・受益者の誰かが欠けても変更できるルートを複数用意している。本当に問うべきは「どのルートの要件を、後から争われない形で満たせるか」である
- 4項の「別段の定め」の存在は知っていても、それが無いことの深刻さは知られていない。変更条項の無い家族信託では、委託者兼受益者の親が認知症になった時点で、原則ルートである三者合意は事実上閉じる。残るのは「明らか」という不確かな要件付きの単独変更か、裁判所への申立て(150条)だけになりうる
- 受託者の目には「受益者のためになるのだから、自分の判断で変えて構わない」と映る。法律の目には、目的に反しないこと、受益者の利益に適合することが「明らか」でない限り、単独変更は認められないと映る。その差は、後から受益者や他の家族に変更を争われたとき、受託者個人の責任として表に出る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 変更・終了の手段 | 信託法149条:当事者の合意・意思表示による変更 | 信託法150条:裁判所の命令による変更 信託法164条:委託者と受益者の合意による終了 |
| 主な要件 | 三者合意が原則。二者・単独は「目的に反しない」等が明らかな場合 | 信託行為当時に予見できなかった特別の事情 委託者と受益者の合意(いつでも可) |
| 裁判所の関与 | 不要 | 必要(申立てによる) 不要 |
| 信託行為での調整 | 4項で別段の定めが優先 | 当事者の合意が得られない場合の最終手段 信託行為に別段の定めがあればそれによる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は信託財産の管理方法の変更を委託者・受託者・受益者の同意で行うと定め、日本の旧信託法の影響が強い。変更ルートの類型化は日本の新法ほど細かくない
韓国も2011年の全部改正で当事者合意による信託変更の規定を整備した。日本の新信託法と同時期の改正で、構造が近い
フランスの fiducie は、受益者の受諾後は受益者の同意または裁判所の決定がなければ変更・撤回できない。受益者保護が強い設計
米国の統一信託法典は、委託者と全受益者の同意による変更、予見できない事情による裁判所の変更を定める。採用の有無と内容は州ごとに異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父が委託者兼受益者、長男が受託者の家族信託。父が施設に入り、空き家になった自宅を売りたい。ところが信託の目的は「父が自宅で暮らし続けること」と書かれ、売却の権限も定めていない。目的に反しないことが「明らか」とは言い難く、父は同意できる状態にない。4項の変更条項がなければ、家族は裁判所への申立て(150条)を考えるしかなくなる
- あなたは受託者として、管理の手間が増えたので信託報酬を引き上げる変更書面を自分で作った。受益者の利益に適合することが明らかとは言えず、2項2号の単独変更の要件を満たさない。無効な変更を根拠に報酬を受け取り続ければ、忠実義務違反(30条)や損失てん補責任(40条)を問われる立場になる
- 受益者が三人いる信託で、変更に一人だけ反対している。信託行為に別段の定めがなければ、受益者の意思決定は全員一致が原則(105条1項)。一人の反対で変更は止まる
- もし受託者の兄が、どんな変更にも応じないと言い張ったらどうなる? 委託者と受益者がそろっていれば、合意でいつでも受託者を解任できる(58条1項)。新しい受託者のもとで変更を進める道がある。ただし受託者に不利な時期の解任は、やむを得ない事由がなければ損害賠償の対象になる
- 受益権の譲渡を制限する信託変更の通知が届いた。あなたはこの変更に賛成していない。重要な信託の変更として、公正な価格で受益権を買い取るよう受託者に請求できる(103条)が、期限は通知または公告の日から20日以内。手帳に日付を書き込むところから始まる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 届いた変更通知と変更前後の信託行為を並べ、受託者がどの項・号のルートで変更したかを特定する2. 目的に反しないことや受益者の利益への適合が「明らか」と言えないなら、変更の効力を争うことを書面で受託者に伝える3. 重要な信託の変更(103条)に当たるなら、20日以内の受益権取得請求を検討する4. 不当な処理が続くなら、委託者との合意による解任(58条1項)か、裁判所への解任申立て(同条4項)に進む
訴えられた側:1. 単独で変更した場合は、受益者の利益に適合することが明らかだったと言える根拠(費用比較、専門家の意見書など)を記録として残す2. 委託者・受益者への通知を遅滞なく済ませたか確認し、まだなら直ちに送る3. 争いが残るなら、1項の三者合意で改めて変更し直し、効力の疑いを消す4. 合意が不可能なら、150条に基づく裁判所の変更命令の申立てを検討する
時効(請求できる期限):信託の変更そのものに期限はない。変更後の受託者による通知は「遅滞なく」。重要な信託の変更に反対する受益者の受益権取得請求は、受託者の通知または公告の日から20日以内(103条5項)。受託者の任務違反による損失てん補請求などは、信託法43条の特則のほか、一般消滅時効(民法166条、知った時から5年、権利を行使できる時から10年)が基本となる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
一般的理解:2項・3項の「明らかであるとき」は、変更が目的や当事者の利益に抵触しないことが客観的に疑いのない場合を指し、受託者の主観的な判断では足りないと解されている。要件を満たさない単独変更は効力を争われうる。
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正(平成19年施行) 旧信託法(大正11年)には、予見できない特別の事情による裁判所の管理方法変更の規定(旧23条)しかなく、当事者による変更の一般規定がなかった。全部改正で、合意等による変更のルートを類型化した本条が新設された。その後の改正の有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法全部改正(平成18年法律第108号、平成19年施行)により新設。旧信託法には裁判所による管理方法の変更規定しかなく、当事者による変更のルートを要件別に類型化した。
- 信託法 第150条特別の事情による裁判所の変更命令
- 信託法 第103条重要な信託の変更での受益権取得請求
- 信託法 第105条受益者複数時の全員一致原則
- 信託法 第58条委託者と受益者の合意による受託者解任
- 信託法 第164条委託者と受益者の合意による信託終了
- 相続税法 第9条の2受益者変更時のみなし贈与課税
- 不動産登記法 第103条信託の変更の登記の申請(現行効力を要確認)
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