受講中の講座ブックマーク無料で登録

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年7月4日読了 8 分8 分8 分

信託法 第105条

クイックジャンプ
  1. 受益者が二人以上ある信託における受益者の意思決定(第九十二条各号に掲げる権利の行使に係るものを除く。)は、すべての受益者の一致によってこれを決する。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
  2. 2.前項ただし書の場合において、信託行為に受益者集会における多数決による旨の定めがあるときは、次款の定めるところによる。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
  3. 3.第一項ただし書又は前項の規定にかかわらず、第四十二条の規定による責任の免除に係る意思決定の方法についての信託行為の定めは、次款の定めるところによる受益者集会における多数決による旨の定めに限り、その効力を有する。
  4. 4.第一項ただし書及び前二項の規定は、次に掲げる責任の免除については、適用しない。
  5. 一第四十二条の規定による責任の全部の免除
  6. 二第四十二条第一号の規定による責任(受託者がその任務を行うにつき悪意又は重大な過失があった場合に生じたものに限る。)の一部の免除
  7. 三第四十二条第二号の規定による責任の一部の免除

この条文の基本情報

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 信託法第105条は、日本の信託法に含まれる条文です。
  2. 信託法第105条の条文原文は「受益者が二人以上ある信託における受益者の意思決定(第九十二条各号に掲げる権利の行使に係るものを除く。」で始まります。
  3. 信託法第105条は第一款 総則に置かれています。
  4. 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
  5. 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
  6. 信託法第105条の前の条は信託法第104条です。
  7. 信託法第105条の次の条は信託法第106条です。
  8. 信託法第105条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式信託法(平成十八年法律第百八号)第105条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108
  • 本サイト収録信託法(平成十八年法律第百八号)第105条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/105

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点信託法105条は、受益者が複数いる信託の意思決定を原則全員一致とする規定。信託行為で変更できるが、受託者の責任の全部免除などは常に全員一致が必要。

Q · 受益者が何人もいる家族信託って、何かを決めるとき全員の同意がいるの?

原則は全員一致。ただし信託契約で多数決などに変更できる

信託法105条1項により、受益者が二人以上いる信託では、受益者の意思決定は原則としてすべての受益者の一致で決します。信託行為(信託契約・遺言)に別段の定めがあれば多数決や代表者方式に変えられます。ただし受託者の責任免除(42条)は受益者集会の多数決の定めに限り有効で、全部免除や悪意・重過失による責任の一部免除などはどう定めても全員一致が必要です(同条3項・4項)。

解説

受益者が二人以上いる信託で、何かを決めるには原則として受益者全員の同意が必要になる。信託法105条1項は、受益者の意思決定を「すべての受益者の一致」で決すると定めている。たとえば兄弟三人を受益者にした家族信託なら、信託の変更への同意も受託者(財産を預かって管理する人)への指図も、三人がそろわなければ動かない。ただし、信託行為(信託契約や遺言など、信託を設定する文書)に別の定めを置けば、多数決にも代表者に任せる形にも変えられる。ここまでは自由に設計できる。その自由が狭くなるのが3項と4項である。受託者の損失てん補責任(預かった財産に損害を出したときの埋め合わせ義務)を免除する決め方として効力があるのは、受益者集会の多数決という定めだけである。さらに、責任の全部免除と、悪意・重過失による責任の一部免除は、どのような定めを置いても全員一致に戻る。あなたの一票は、思っているより重い。

法的な位置づけ

信託法第105条は、複数の受益者が存在する信託における受益者の意思決定方法を定める規定である。全受益者の一致を原則とし、信託行為による別段の定めを許容する一方、受託者の責任免除については受益者集会の多数決による定めのみを有効とし、責任の全部免除等については全員一致を強行的に要求する。

よくある質問 AI による整理

Q1信託法105条とは何ですか?

受益者が二人以上いる信託で、受益者の意思決定を原則として全員一致で決めると定めた条文です。信託行為で別の決め方に変えることもできます。

Q2家族信託 受益者 複数 決め方はどうなる?

信託契約に定めがなければ全員一致です。契約で多数決、受益者集会、代表者方式などを定めておけば、その方法で決められます。

Q3受益者 全員一致 いつ必要?

信託行為に別段の定めがない場合の意思決定全般と、受託者の責任の全部免除、悪意・重過失による責任の一部免除などでは常に必要です。

Q4受託者の責任免除 多数決でできる?

信託行為に受益者集会の多数決による旨の定めがある場合に限り可能です。ただし全部免除や悪意・重過失の一部免除は多数決ではできません。

Q5受益者が一人反対したら信託の変更はできない?

信託行為に別段の定めがなければ、受益者側の同意は全員一致が必要なため、一人の反対で止まります。裁判所による変更命令(150条)の余地は別途あります。

Q6信託契約 受益者の意思決定 条項 書き方は?

何を誰の何分のいくつで決めるかを議題ごとに明記します。責任免除は受益者集会の多数決という形でしか書けない点に注意が必要です。

Q7受益者集会 欠席 どうなる?

信託行為で受益者集会の多数決が定められていれば、欠席しても出席者の決議で決まり得ます。議決権の代理行使や書面行使の可否を確認しましょう。

Q8受益者代理人がいると受益者は意思決定に関われない?

受益者代理人がいると、代理される受益者は92条の権利などを除き原則として自ら権利行使できなくなります(139条4項)。

この条文についての質問 AI による整理

Q1受益者の一人が認知症になったら、全員一致ってどうなるんですか?

105条1項の全員一致原則のもとでは、意思表示ができない受益者がいると意思決定が止まる。成年後見人が代わりに判断するが、後見人は本人の財産を守る立場なので、受託者の責任免除などにはまず同意しない。実務のポイント:設計段階で受益者代理人(138条、139条)を置くか、意思決定方法の別段の定めを入れておけば、この停止は避けられる。認知症対策のための家族信託が、受益者側の認知症で止まるという逆転は実務でたびたび起きている

Q2契約書に「多数決で決める」って書いておけば、受託者の責任も多数決で免除できますか?

単に多数決と書くだけでは効力がない。105条3項により、42条の責任免除の決め方として有効なのは受益者集会での多数決の定めだけである。さらに4項により、全部免除、悪意・重過失による責任の一部免除、41条の責任の一部免除は、どう書いても全員一致になる。実務のポイント:ひな形には「代表受益者が単独で受託者の責任を免除できる」といった条項が紛れ込んでいることがある。免除の場面では効かない条項なので、受託者側が安心材料にしていたら、それは錯覚である

Q3受益者一人だけで、勝手にできることってあるんですか?

ある。92条に列挙された権利は、信託行為でも制限できず、105条の全員一致の対象からも外れている。帳簿等の閲覧請求(38条)、損失てん補・原状回復の請求(40条)、受託者の違反行為の差止請求(44条)などがこれに当たる。実務のポイント:受託者が「受益者全員の同意がないと見せられない」と言って帳簿を渋るのは、法的には通らない。一人で書面請求すれば足りる

間違えやすい点 AI による整理

  • 「信託は受託者が決めるものだから、受益者が何人いても関係ない」と思われがちである。実際には、受託者の判断とは別に受益者側にも意思決定の場面があり、信託の変更への同意や受託者の責任免除などがそれに当たる。そして受益者側の意思決定は、原則として全員一致である。受益者を増やすほど、信託は動かしにくくなる
  • 「多数決にしておけば安心か」という問いの立て方そのものが粗い。何についての意思決定なのかで、ルールは三つに分かれる。一つ目は、帳簿閲覧や差止請求のように一人で行使できる権利で、92条の単独受益者権にあたり、本条の対象外である。二つ目は、信託契約で自由に設計できる一般的な意思決定。三つ目は、どう設計しても全員一致に戻る責任免除である。条項を一本書いただけで、全部が多数決になるわけではない
  • 受託者である兄から見れば、家族同士の口約束で片付く話に見える。しかし法律から見ると、悪意・重過失による損害の一部免除には受益者全員の同意が必要で、一人の「いいよ」では何も成立しない。家族の気遣いと法的な効力の間にあるこの落差が、何年も後に相続争いの火種になる
比較の観点この条文ほかの条文
対象となる権利・事項信託法105条:92条の権利を除く受益者の意思決定全般信託法92条:帳簿閲覧・損失てん補請求・差止請求など単独受益者権
信託法113条:受益者集会の決議事項
決め方原則すべての受益者の一致受益者一人で単独行使できる
議決権の多数決(普通決議・特別決議等)
信託行為による変更原則変更可。ただし責任免除は受益者集会多数決の定めに限り有効、全部免除等は変更不可信託行為で制限できない
信託行為に別段の定めがあればそれに従う(105条2項ただし書)

他国ではどう定めているか 3 か国

台湾
信託法第15条

複数受益者の意思決定を一般的に定める条文はなく、管理方法の変更など個別場面で受益者の同意を要求する方式。受益者会議は不動産証券化など特別法で整備されている

韓国
신탁법 제71조

2011年全部改正で、受益者が複数いる場合の意思決定を原則全員一致とし、信託行為による別段の定めと受益者集会制度を置く構造を採用した

アメリカ
Uniform Trust Code § 1009

受益者の同意・免除・追認による受託者責任の解除を定めるが、受託者の不当な影響や重要事実の不開示があれば効力を否定される

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 父が自宅とアパートを長男に託し、受益者を母と妹の二人にした家族信託。信託契約にアパートの売却権限がなく、売るには信託の変更が必要になった。母は賛成、妹は反対している。これでどうなるのか? 信託契約に別段の定めがなければ、受益者側の意思は全員一致でしか決まらないので、妹の反対だけで変更は止まる
  • あなたは受託者として実家のアパートを管理していたが、修繕を業者任せにして水漏れを半年放置し、家賃収入が大きく減った。受益者の姉は「家族だから責任は問わない」と言ってくれたが、受益者はもう一人いる。責任の全部免除は、残る一人が同意しない限り成立しない。姉の言葉は、あなたを何も守らない
  • 契約書に「受益者の意思決定は代表受益者が単独で行う」と書いた。それでも受託者の責任免除だけは、この条項では決められない
  • 信託受益権を小口で販売する投資商品の受益者として、受益者集会の招集通知が届いた。議題は受託者の責任の一部免除で、集会は二週間後である。欠席すれば、自分の議決権を一度も使わないまま、出席者の多数決で免除が決まる可能性がある
  • 友人から LINE が来た。「兄が受託者で、信託の帳簿を見せてと頼んだら、受益者全員の同意がいると言われた」。帳簿等の閲覧請求(38条)は、92条に列挙された単独受益者権の一つなので105条の全員一致ルールの対象外であり、友人一人で請求できる

取るべき行動

被害を受けた側:1. 信託契約書(信託行為)の写しを入手し、受益者の意思決定、受益者集会、受益者代理人の各条項を確認する。2. 求められている同意が、92条の単独受益者権なのか、一般的な意思決定なのか、42条の責任免除なのかを分類する。3. 全部免除や悪意・重過失の一部免除であれば、自分が同意しない限り成立しないことを前提に交渉する。4. 帳簿閲覧(38条)で損害額を把握し、損失てん補請求(40条)を検討する

訴えられた側:1. 受託者として損害を出したら、すぐに全受益者へ事実と金額を開示する。隠すほど悪意・重過失と評価されやすくなる。2. 免除を求めるなら、議題の類型ごとに必要な同意の数を確認する。3. 信託契約に受益者集会の多数決条項がなければ、全員の個別同意を書面で取りつける。4. 一人でも拒否したら免除にこだわらず、分割弁済や補填案での和解に切り替える

時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。受託者の損失てん補責任(40条)に係る債権は、債務不履行による責任の例により消滅時効にかかる(43条、民法166条:権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年)。受益者が受益者として指定されたことを知るまでは時効は進行しない旨の特則もある(最新の改正状況をご確認ください)

学説

条文構造に基づく一般的理解:105条は全員一致を任意規定的な原則とし、信託行為による設計の自由を広く認めるが、受託者の責任免除については3項・4項で強行的制限を置き、受託者による自己に有利な免除設計を防止する二段構造と理解される

改正沿革 AI による整理

  • 平成18年(2006年)信託法全部改正(平成19年(2007年)施行) 旧信託法(大正11年)を全面的に改めた新信託法で新設された。受益者が複数いる場合の意思決定ルール(全員一致の原則、信託行為による別段の定め、受益者集会制度との接続、責任免除についての強行的な制限)を初めて明文化した

改正の年表

  1. 1.平成18年(2006年) 新設:信託法全部改正(平成18年法律第108号、平成19年施行)により新設。複数受益者の意思決定の全員一致原則、信託行為による別段の定め、受益者集会制度との接続、責任免除の強行的制限を明文化した

ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。

信託法の全文を見る所属する編章節を開く:第一款 総則

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

次に調べる

判例を探す:条文単位の判例の紐づけは準備中です。上のカードから法令名で検索できます。裁判所「裁判例検索」で探す ›