信託法 第42条(損失てん補責任等の免除)
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- 受益者は、次に掲げる責任を免除することができる。
- 一第四十条の規定による責任
- 二前条の規定による責任
この条文の基本情報
損失てん補責任等の免除とは何ですか?
定義損失てん補責任等の免除とは、信託法第42条に定められた規定で、「受益者は、次に掲げる責任を免除することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第42条(損失てん補責任等の免除)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第42条の条文原文は「受益者は、次に掲げる責任を免除することができる。」で始まります。
- 信託法第42条は第三節 受託者の責任等に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第42条の前の条は信託法第41条です。
- 信託法第42条の次の条は信託法第43条です。
- 信託法第42条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第42条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第42条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/42
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法42条は、受益者が受託者の損失てん補責任(40条)と法人受託者役員の連帯責任(41条)を免除できると定める。受益者が複数なら全部免除には全員一致が必要。
Q · 家族信託で受託者が財産を減らしても、受益者が「許す」と書けば責任は消えるの?
原則消えうるが、意思能力や全員一致が争点になる
信託法42条により、受益者は受託者の損失てん補・原状回復責任(40条)と法人受託者役員の連帯責任(41条)を免除できます。ただし、署名時に受益者に意思能力がなければ免除は無効です(民法3条の2)。受益者が複数なら、全部免除や悪意・重過失による責任の一部免除は信託行為の定めにかかわらず全員一致が必要で(105条4項)、受益者代理人には免除の権限がありません(139条1項)。
解説
受託者が任務を怠って信託財産に穴を開けたとき、受益者は損失のてん補(穴埋め)や原状回復を請求できる(40条)。ただ、その請求権を持つ受益者本人は、一筆書くだけで責任を消せる。それを定めるのが42条だ。対象は二つある。受託者自身の責任(40条)と、法人受託者の理事や取締役が負う連帯責任(41条)である。家族信託でいえば、受益者は認知症が心配な親、受託者は子であることが多い。子が親に「迷惑かけたけど、責任は問わないって書いて」と頼めば、法律上はそれで終わりうる。ただし歯止めもある。受益者が複数いる信託では、全部免除や、悪意・重過失による責任の一部免除は、信託行為で多数決と定めていても全員一致が必要になる(105条4項)。受益者代理人には免除する権限がない(139条1項)。免除の書面が出てきたら、まず二つを確かめること。誰が、どんな判断能力のときに書いたのか。
法的な位置づけ
信託法42条は、受益者が受託者の損失てん補責任・原状回復責任(同法40条)および法人受託者の役員の連帯責任(同法41条)を免除できる旨を定める規定である。民法519条の債務免除に対する信託上の特則に位置付けられ、免除権者は受益者に限られ、受益者代理人はこれを行使できない(同法139条1項)。
手順
- 1.免除書の原本と作成経緯を確保する 免除書の原本を確認し、写しを保全する。署名日、作成者、立会人の有無、誰が署名を促したかを記録する
- 2.署名時の受益者の意思能力を検証する 署名日前後の診断書、カルテ、認知機能検査の結果、要介護認定の調査票、施設の記録を開示請求などで集め、免除の意思表示が有効かを検証する
- 3.受益者の人数と同意の有無を確認する 信託契約書の受益者条項と意思決定方法の条項を読み、受益者が複数なら全員の同意があるかを確認する。受益者代理人の同意だけでは免除として効かない
- 4.免除が無効なら責任追及と解任を検討する 免除が無効または効力が及ばないと判断したら、40条に基づく損失てん補・原状回復を請求し、必要に応じて受託者の解任申立て(58条)を弁護士と検討する
よくある質問 AI による整理
Q1信託法42条とは?
受益者が、受託者の損失てん補・原状回復責任(40条)と法人受託者役員の連帯責任(41条)を免除できると定める規定です。
Q2受託者の損失てん補責任とは何ですか?
受託者が任務を怠って信託財産に損失を生じさせたとき、その損失を穴埋めする責任です。変更が生じた場合は原状回復も請求されます(信託法40条)。
Q3受託者の責任免除に書面は必要?
42条自体は方式を定めていませんが、後で有効性が争われやすいため、実務上は書面、できれば公正証書で残すのが一般的です。
Q4家族信託で受託者が使い込んだらどうなる?
受益者は信託財産への損失てん補や原状回復を請求できます(40条)。受託者の解任申立て(58条)も検討対象になります。
Q5責任の一部だけ免除することはできる?
できます。ただし受益者が複数の場合、悪意・重過失による責任の一部免除は、多数決の定めがあっても全員一致が必要です(105条4項)。
Q6一度した責任免除は撤回できる?
免除の意思表示が効力を生じた後は自由に撤回できません。錯誤・詐欺・強迫があれば、民法95条・96条で取り消す余地があります。
Q7受託者の責任追及はいつまでできる?
債務不履行の損害賠償請求権の時効の例によります(信託法43条、民法166条)。受益者指定を知るまで時効は進みません(43条3項)。
Q8免除されたら受託者の解任もできない?
免除は金銭的責任の問題で、解任は別の手続きです。任務違反で信託財産に著しい損害を与えた場合などは、解任を申し立てられます(58条)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1認知症の母が書いた免除の書類って、そのまま有効になっちゃうんですか?
署名時に意思能力がなければ、その意思表示は無効だ(民法3条の2)。42条の免除も意思表示なので、同じ扱いになる。実務のポイント:争いでは署名日の主治医カルテ、長谷川式などの認知機能検査の点数、介護認定の調査票が決め手になりやすい。これらは開示請求で入手できる。早く請求するほど記録が残っている
Q2受益者が三人いて、一人だけが「許す」と言ったら、受託者の責任は消えるんですか?
受益者が複数の場合、意思決定は原則として全員一致だ(105条1項)。信託行為で多数決を定めていても、全部免除や、悪意・重過失による責任の一部免除などは全員一致が必要になる(同条4項)。実務のポイント:信託契約書の受益者の意思決定方法の条項は、作成時にほとんど検討されない。そこを読むだけで勝負が決まる案件は少なくない
Q3受益者代理人がついているなら、その人に免除してもらえば済みますか?
済まない。受益者代理人の権限からは、42条の責任免除が明文で除かれている(139条1項)。受益者代理人がいても、免除できるのは受益者本人だけだ。実務のポイント:受託者側は代理人の同意書で安心しがちだが、法的にはその書類は免除として効かない。家族信託の組成時に受益者代理人を置くなら、免除が必要になったときの手順も設計しておくべきだ
間違えやすい点 AI による整理
- 免除の書面さえあれば受託者は安泰だと思われがちだが、書面の有効性はまったく別の問題だ。署名時に受益者に意思能力がなければ、その免除は無効になる(民法3条の2)。家族信託の受益者は高齢者であることが多く、署名日前後の診断書や介護記録が後から証拠として出てくる。免除書は盾ではなく、むしろ争点の出発点になりやすい
- 「自分は受益者の代理人なのだから、受益者のために免除の判断もできる」という発想は、問いの立て方から誤っている。受益者代理人は受益者の権利について一切の裁判上・裁判外の行為をする権限を持つが、42条の免除は明文でその権限から除かれている(139条1項)。免除は受益者本人だけの判断事項だ
- 受託者の側から見れば、免除は親子間の円満な後始末にすぎない。しかし税法から見れば、対価なしに債務の免除を受けた利益とされ、贈与とみなされうる(相続税法8条)。金額が大きければ、身内の「許し」に贈与税の申告が付いてくることがある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定内容 | 信託法42条:受益者は40条・41条の責任を免除できる | 信託法105条4項:複数受益者で一定の免除は全員一致 信託法139条1項:受益者代理人の権限から免除を除外 |
| 免除できる者 | 受益者 | 受益者全員(多数決の定めがあっても全員一致を要する事項あり) 受益者代理人は免除できない |
| 実務上の争点 | 署名時の意思能力、免除の範囲 | 一人の受益者だけが免除した場合の効力 代理人の同意書を免除と誤信するリスク |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は受託人の損害賠償・回復原状責任を定めるが、受益者による免除の特則は置かず、民法の債務免除の一般則で処理される
中国は受託人の違反行為に対する恢復原状・賠償請求を定め、免除は民法典の債務免除規定によるのが基本となる
フランスは fiducie の受託者(fiduciaire)の責任を定め、免除は債務免除(remise de dette)の一般則による
米国統一信託法典は受益者の同意・免除・追認で受託者の責任を否定しつつ、不当な誘引や重要事実の不知がある場合を例外とする
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父の介護費用のために組んだ家族信託で、受託者の兄が信託口座から800万円を自分の住宅ローン返済に回していた。問い詰めると、父の署名入りの「責任免除書」が出てきた。日付は、父が要介護3と認定された二か月後。その署名が有効かどうかで、800万円が戻るかどうかが決まる
- 受託者として親の不動産を管理しているあなたは、修繕業者の選定を急いで相場の倍の工事費を払ってしまった。受益者である母に事情を説明し、免除の書面をもらうつもりでいる。だが、その書面が後で他のきょうだいにどう見られるかまで考えたことはあるだろうか
- 受益者が姉妹二人の信託で、姉だけが受託者の失策を「全部許す」と書いた。妹は納得していない。この免除は効くのか?
- 後見開始の申立ての審理が来週に迫っている。その前に受託者の叔父が、判断力の落ちた祖母から免除書にサインをもらおうと動いている。署名の日付が申立ての前か後かが、のちに無効を主張する際の重要な材料になる
- 信託会社が運用する信託で、担当役員が重大な過失で損失を出した。受益者の会社が「取引関係を考えて会社の責任だけ免除しよう」と考えた。しかし41条の役員の連帯責任まで免除するかは別の判断だ。まとめて手放せば、資力のある役員個人への請求ルートも消える
取るべき行動
被害を受けた側:1. 免除書の原本を確認し、写しを保全する。署名日、作成者、立会人の有無を記録する2. 署名日前後の受益者の診断書、要介護認定記録、施設の記録を集め、意思能力を検証する3. 受益者が複数なら、全員の同意があるかを確認する(105条)。一人だけの免除であれば、効力が及ぶ範囲を争う4. 免除が無効だと判断したら、40条に基づき損失てん補を請求し、必要に応じて受託者の解任申立て(58条)も検討する
訴えられた側:1. 任務懈怠に気付いた時点で、損失の内容と原因を書面にまとめて受益者に開示する2. 免除を求めるなら、受益者の判断能力が確かなうちに、医師の所見を添えた公正証書で行う3. 受益者が複数なら全員の同意を得る。受益者代理人の同意だけでは足りない(139条1項) 4. 無償の免除で贈与税の問題が出ないか、税理士に確認する
時効(請求できる期限):40条の責任に係る債権の消滅時効は、債務不履行による損害賠償請求権の時効の例による(信託法43条1項、民法166条:権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年)。受益者が自分が受益者に指定されたことを知るまでは時効は進行しない(43条3項)。41条の責任についても43条に別途定めがある(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)新信託法制定 大正11年の旧信託法を全面的に改めた現行信託法で、受益者による損失てん補責任等の免除が明文化された。平成19年(2007年)9月30日に施行された
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:大正11年の旧信託法を全面的に改めた新信託法(平成18年法律第108号)で、受益者による損失てん補責任等の免除が明文化された。平成19年(2007年)9月30日施行
- 信託法 第40条免除の対象となる受託者の損失てん補責任
- 信託法 第41条免除の対象となる法人受託者役員の連帯責任
- 信託法 第105条複数受益者による免除の全員一致要件
- 信託法 第139条受益者代理人の権限から免除を除外
- 信託法 第43条損失てん補責任に係る債権の時効
- 民法 第519条債務免除の一般則に対する信託上の特則
- 相続税法 第8条無償の債務免除を贈与とみなす課税規定
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