信託法 第43条(損失塡補責任等に係る債権の期間の制限)
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- 第四十条の規定による責任に係る債権の消滅時効は、債務の不履行によって生じた責任に係る債権の消滅時効の例による。
- 2.第四十一条の規定による責任に係る債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
- 一受益者が当該債権を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
- 二当該債権を行使することができる時から十年間行使しないとき。
- 3.第四十条又は第四十一条の規定による責任に係る受益者の債権の消滅時効は、受益者が受益者としての指定を受けたことを知るに至るまでの間(受益者が現に存しない場合にあっては、信託管理人が選任されるまでの間)は、進行しない。
- 4.前項に規定する債権は、受託者がその任務を怠ったことによって信託財産に損失又は変更が生じた時から二十年を経過したときは、消滅する。
この条文の基本情報
損失塡補責任等に係る債権の期間の制限とは何ですか?
定義損失塡補責任等に係る債権の期間の制限とは、信託法第43条に定められた規定で、「第四十条の規定による責任に係る債権の消滅時効は、債務の不履行によって生じた責任に係る債権の消滅時効の例による。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第43条(損失塡補責任等に係る債権の期間の制限)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第43条の条文原文は「第四十条の規定による責任に係る債権の消滅時効は、債務の不履行によって生じた責任に係る債権の消滅時効の例による。」で始まります。
- 信託法第43条は第三節 受託者の責任等に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第43条の前の条は信託法第42条です。
- 信託法第43条の次の条は信託法第44条です。
- 信託法第43条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第43条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第43条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/43
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法43条は、受託者の任務懈怠による損失てん補等の請求権の時効を定める。受益者が指定を知るまで時効は進行せず、損失発生から20年で消滅する。
Q · 受託者の使い込みに何年も気付かなかったら、もう請求できないの?
指定を知るまで時効は進まないが、損失から20年が上限
信託法43条3項により、受託者への損失てん補等の請求権(40条・41条)の消滅時効は、受益者が受益者としての指定を受けたことを知るまで進行しません。指定を知った後は、知った時から5年・行使できる時から10年の枠で時効が進みます。ただし同条4項により、損失又は変更が生じた時から20年を経過すると、受益者の認識にかかわらず請求権は消滅します。
解説
信託の世界では、時効の時計が「受益者が自分の立場に気付くまで」止まっている。受託者(他人の財産を預かって管理する人)が任務を怠って信託財産に損失を出したとき、受益者は40条により、損失を埋め合わせることや元の状態に戻すことを請求できる。この請求権は、本来なら一般の債務不履行と同じく、知った時から5年、行使できる時から10年で消える。ところが本条3項は、受益者が自分は受益者に指定されていると知るまで、時効は進まないと定める。祖父が孫のあなたを受益者にし、叔父に賃貸マンションを預けていたとする。あなたがそれを知らされないまま9年が過ぎ、その間に家賃の一部が叔父の口座へ流れていた。この場合でも、あなたの時計は指定を知った日から動き出す。ただし、いつまでも止まっているわけではない。4項により、損失が生じた時から20年で請求権は消える。押さえるべき日付は「知った日」と「20年目」の二つである。法人受託者の役員個人を追う41条の請求も、同じく5年と10年の枠で動く。
法的な位置づけ
信託法43条は、受託者の損失てん補責任等(40条)および法人受託者の役員の連帯責任(41条)に係る債権の消滅時効を定める規定である。40条の債権は債務不履行責任の時効の例により、41条の債権は知った時から5年・行使できる時から10年で消滅する。受益者が指定を知るまで時効は進行せず、損失発生から20年で請求権は消滅する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.受益者指定を知った日を証拠化する 信託契約書の写しを受け取った日、受託者から通知を受けた日、親族から知らされた日などを、メール・書面・日記で日付ごと記録する。この日が43条3項の起算点を左右する
- 2.20年の上限を先に確認する 損失又は変更が生じた時期を特定し、そこから20年を経過していないかを最初に確認する。4項の期間は受益者の認識に関係なく進むため、最優先でチェックする
- 3.帳簿等の閲覧・謄写を書面で請求する 信託法38条に基づき、受託者に帳簿等の閲覧・謄写を書面で請求し、損失の時期と金額を特定する。拒否や遅延があればその経過も記録に残す
- 4.時効完成が近ければ猶予措置をとる 知った時から5年の完成が迫っている場合、まず協議を行う旨の書面合意を求める(民法151条)。応じない場合は内容証明で催告し、6か月以内に訴訟を提起する
- 5.損失てん補請求訴訟を提起する 受託者に対し40条の損失てん補・原状回復を、法人受託者の役員に悪意又は重大な過失があれば41条の連帯責任を、それぞれ請求する
よくある質問 AI による整理
Q1信託法43条とは何ですか?
受託者や法人受託者の役員に対する損失てん補等の請求権について、消滅時効の期間・進行停止・20年の上限を定めた規定です。
Q2受託者への損失てん補請求の時効は何年?
受益者が請求できると知った時から5年、または請求できる時から10年です。40条の請求は民法の債務不履行の時効の例によります。
Q3受益者が信託を知らなかった場合、時効はいつから進む?
受益者としての指定を受けたと知った時から進みます(43条3項)。知らない間は時効が進行しません。
Q4信託の請求権は20年で必ず消える?
はい。損失又は変更が生じた時から20年を経過すると、受益者が知っていたかに関係なく消滅します(43条4項)。
Q5受益者がまだいない信託の時効はどうなる?
受益者が現に存在しない場合、信託管理人が選任されるまでの間は時効が進行しません(43条3項括弧書)。
Q6信託の時効を止める方法はある?
協議を行う旨の書面合意(民法151条)、催告(民法150条)、訴訟提起、受託者による債務の承認などで完成猶予・更新が生じます。
Q7家族信託の受託者の横領は訴えられる?
受託者が任務を怠り信託財産に損失を生じさせた場合、受益者は40条により損失てん補を請求できます。期限は43条の枠で判断します。
Q8時効が過ぎたら受託者は自動的に責任を免れる?
時効による消滅には受託者側の援用が必要です(民法145条)。ただし4項の20年は除斥期間と解されるのが一般的です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1親が組んだ家族信託で兄が受託者なんですけど、10年以上前の使い込みでも返してもらえるんですか?
可能性はある。40条の請求は知った時から5年、行使できる時から10年で消えるのが原則である。ただし受益者が指定を知らなかった間、時効は進まない(43条3項)。上限は損失から20年(4項)。実務のポイント:帳簿の閲覧(38条)は口頭ではなく書面で求めること。受託者が拒んだり引き延ばしたりすれば、その記録自体が後の交渉や訴訟で効いてくる
Q2受託者が信託会社のときって、担当役員個人にも請求できるんですか?
役員が悪意または重大な過失で任務違反に関与していれば、41条により法人と連帯して責任を負う。期限は知った時から5年、行使できる時から10年である(43条2項)。実務のポイント:重大な過失の立証は重い。それでも、役員個人の責任を視野に入れていると示すだけで、法人側が早期和解の社内決裁を通しやすくなる場面がある。社内の決裁記録を入手できるかが鍵である
間違えやすい点 AI による整理
- 「10年前の使い込みなら、もう時効だ」と諦める人が多い。しかし、受益者が指定を知らなかった期間は時効が進まない(3項)。決め手は経過した年数ではなく、あなたがいつ知ったかである
- 「受託者を訴えられる期限は何年か」という問いの立て方自体が粗すぎる。受託者本人への40条請求と、法人受託者の役員個人への41条請求は別々の請求権である。さらに3項の停止と4項の20年上限が重なる。期限は一本ではなく、相手ごとに別々の時計が動いている
- 受託者から見れば「毎年報告書を送っていたのだから、受益者は知っていたはずだ」となる。だが法律が問うのは、受益者が損失と請求の相手を把握し、請求できると知った時点である。報告書から損失が読み取れなければ、送っただけで起算点(時効の数え始め)が早まるとは限らない。起算点がいつかは、事案ごとに争われる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 請求の相手 | 43条:40条・41条の請求権の期限を規律 | 40条:受託者本人 41条:法人受託者の理事・取締役等 |
| 時効期間 | 受益者の認識まで停止、損失から20年で消滅 | 債務不履行の例(知った時から5年・行使可能時から10年) 知った時から5年・行使可能時から10年(43条2項) |
| 責任の要件 | 要件ではなく期限を定める | 任務を怠ったことによる損失又は変更 役員の悪意又は重大な過失 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾では受託人の損害賠償・回復原状責任に特則的な時効停止規定はなく、民法の一般時効(15年)によるのが基本とされる
知った時から5年の時効と、権利発生から20年の上限期間(délai butoir)という二段構造が日本の43条と類似する
受益者に問題を開示する報告書の送付から1年、報告がない場合は一定の事由から5年で訴権が制限される。報告の内容が起算点を左右する点は日本の議論と共通する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 祖父の四十九日のあと、叔父がうっかり「お前が受益者の信託がある」と口にした。信託契約書を取り寄せると、9年前に祖父があなたを受益者に指定し、叔父を受託者にしていた。家賃台帳には、毎月数万円が説明のないまま引き出されている。「もう時効だろう」と諦める前に、指定を知ったのが今日だという事実を書面で固める。時計はそこから動き出す(ただし損失の発生から20年が上限)
- もしあなたが信託会社の取締役で、部下の運用ミスを決裁で見逃していたとしたら? その見逃しが重大な過失と評価されれば、41条により会社と連帯して、あなた個人も責任を負う。受益者が請求できると知った時から5年、行使できる時から10年。この二本の期限が、あなたの個人資産が狙われうる期間である
- 受託者の流用に気付いてから4年10か月が経った。5年の時効完成まで、残りは2か月しかない。猶予を書面で確保する手順を、今週中に決めなければならない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 受益者に指定されたと知った日と、損失に気付いた日を、証拠付きで記録する。2. 信託法38条に基づいて帳簿等の閲覧・謄写を書面で請求し、損失の時期と金額を特定する。3. 損失の発生から20年(4項)が迫っていないかを最初に確認する。4. 5年の完成が近ければ、まず協議を行う旨の合意を書面で求める。応じてもらえなければ内容証明で催告し、6か月以内に訴訟を起こす
訴えられた側:1. 受益者への報告記録(信託法36条、37条)を時系列に整理し、受益者が損失を知り得た時期を立証する材料にする。2. 時効が完成していても、援用(時効の利益を受けると主張すること)をしなければ効果は生じない(民法145条)。必ず明示的に援用する。3. 受益者が責任を免除していないか(信託法42条)を確認する。4. 交渉中に一部を弁済したり、非を認める謝罪文を出したりすると、債務の承認として時効が更新される(民法152条)。安易に送らない
時効(請求できる期限):40条の請求:受益者が行使できることを知った時から5年、または行使できる時から10年(1項。債務不履行の例による、民法166条1項)。41条の請求:知った時から5年、行使できる時から10年(2項)。どちらも、受益者が指定を知るまで(受益者がまだ存在しない場合は信託管理人が選任されるまで)は進行しない(3項)。いずれも、損失または変更が生じた時から20年で消滅する(4項。一般に除斥期間と解されている)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
除斥期間説(一般的理解):4項の20年は文言上「時効によって」とされていないため除斥期間と解され、援用不要・完成猶予や更新なしとされる。受益者の認識の有無を問わず客観的に権利関係を確定させる趣旨である。
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年) 旧信託法を全面的に改めた現行信託法の制定に伴い新設された。平成29年(2017年)の民法改正に伴う整備で文言が変わったかどうか、変わった場合の内容は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:旧信託法(大正11年法律第62号)を全面的に改めた現行信託法の制定に伴い、受託者等の責任に係る債権の期間制限として新設された
- 信託法 第40条損失てん補責任の本体規定
- 信託法 第41条法人受託者の役員の連帯責任
- 信託法 第42条受益者による責任免除
- 信託法 第38条帳簿閲覧で損失を発見する手段
- 信託法 第88条受益者への通知義務と指定の認識
- 民法 第166条債務不履行の一般消滅時効
- 民法 第151条協議合意による時効完成猶予
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