信託法 第148条(委託者の死亡の時に受益権を取得する旨の定めのある信託等の特例)
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第九十条第一項各号に掲げる信託において、その信託の受益者が現に存せず、又は同条第二項の規定により受益者としての権利を有しないときは、委託者が第百四十五条第二項各号に掲げる権利を有し、受託者が同条第四項各号に掲げる義務を負う。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
この条文の基本情報
委託者の死亡の時に受益権を取得する旨の定めのある信託等の特例とは何ですか?
定義委託者の死亡の時に受益権を取得する旨の定めのある信託等の特例とは、信託法第148条に定められた規定で、「第九十条第一項各号に掲げる信託において、その信託の受益者が現に存せず、又は同条第二項の規定により受益者としての権利を有しないときは、委託者が第百四十五条第二項各…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第148条(委託者の死亡の時に受益権を取得する旨の定めのある信託等の特例)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第148条の条文原文は「第九十条第一項各号に掲げる信託において、その信託の受益者が現に存せず、又は同条第二項の規定により受益者としての権利を有しないときは、委託者が第百四十五条第二項各…」で始まります。
- 信託法第148条は第五章 委託者に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第148条の前の条は信託法第147条です。
- 信託法第148条の次の条は信託法第149条です。
- 信託法第148条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第148条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第148条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/148
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法148条は、遺言代用信託で受益者が不在または権利を持たない間、委託者が受託者の監督権を持つと定める。ただし信託行為で排除できる。
Q · 親が生きている間、遺言代用信託の受託者を見張れるのは誰?
原則として委託者である親本人。子は直接見張れない
信託法148条により、遺言代用信託(90条)で受益者が現に存しない、又は90条2項により受益者としての権利を有しない間は、委託者が145条2項各号の権利(帳簿閲覧、損失てん補請求、差止め請求など)を持ち、受託者は委託者に対して通知・報告などの義務を負います。ただし信託行為に別段の定めがあれば、委託者の監督権を外すことができます。外した場合は、信託管理人などの監督役を別途置く設計が検討されます。
解説
「死んだら子どもに渡す」と決めて信託を組んだ時点で、法律上ひとつの空白が生まれる。遺言代用信託(信託法90条)では、受益者(信託から利益を受け取る人)に指定された子どもは、親が亡くなるまで受益者としての権利を持たない。そもそもまだ受益者ではない設計もある。つまり親が生きている間、受託者(財産を預かって管理する人)の仕事ぶりを法的にチェックできる人が誰もいない状態になりうる。148条はこの空白を埋めるための条文である。この期間は、委託者(財産を預けた本人)が、本来なら受益者が持つ監督権を使える。たとえば帳簿の閲覧請求(38条)、損失てん補の請求(40条)、不正行為の差止め(44条)である。受託者のほうも、委託者に対して通知や報告をする義務を負う。ただし但書がある。信託契約に「委託者はこれらの権利を有しない」と書けば、空白はそのまま残る。ひな形を流用した家族信託では、この一行に気付かないまま署名する人が少なくない。
法的な位置づけ
信託法148条は、遺言代用信託における受益者不在期間の監督権の帰属を定める規定である。受益者が現に存せず、又は90条2項により受益者としての権利を有しない間、委託者が145条2項各号の権利を有し、受託者は145条4項各号の義務を負う。信託行為で別段の定めを置くことができる。
手順
- 1.信託の型を契約書で確認する 信託契約書で、受益者が誰か、委託者の死亡時に受益権を取得する定め(90条1項1号)か、死亡後に給付を受ける定め(同2号)かを確認する。当初受益者が委託者本人の自益型なら148条は働かない
- 2.但書の排除条項の有無を確認する 「委託者は信託法第145条第2項各号に掲げる権利を有しない」等の条項がないかを探す。ある場合、代わりに信託管理人や信託監督人が置かれているかを確認する
- 3.委託者名義で報告・帳簿閲覧を書面請求する 委託者の判断能力があるうちに、委託者名義で信託事務の報告(36条)と帳簿等の閲覧(38条)を受託者に書面で請求し、写しを保管する。内容証明郵便を使うと請求日を証明しやすい
- 4.不正の兆候があれば差止め・てん補請求を検討する 帳簿に不審な出金や利益相反取引があれば、違法行為の差止め(44条)や損失てん補(40条)を検討する。取消権には3か月・1年の期間制限があるため、弁護士に早期相談する
よくある質問 AI による整理
Q1遺言代用信託とは?
委託者の死亡時に指定した人が受益権を取得する、又は死亡後に給付を受ける形の信託です(信託法90条)。遺言の代わりに生前の契約で財産承継を設計します。
Q2信託の委託者の権利とは何がある?
145条2項各号に列挙された権利で、受託者の権限違反行為の取消し、帳簿等の閲覧請求、損失てん補請求、違法行為の差止め請求などが含まれます。
Q3受託者の帳簿を閲覧する方法は?
信託法38条に基づき、受託者に帳簿等の閲覧・謄写を請求します。148条の場面では委託者が請求権者となるため、委託者名義の書面で請求するのが確実です。
Q4家族信託の受託者による使い込み 取り戻せる?
受託者の任務違反で信託財産に損失が出た場合、損失てん補等を請求できます(40条)。148条の期間中は委託者が請求でき、受益者取得後は受益者が請求します。
Q5委託者が認知症になったら受託者の監督はどうなる?
148条の権利は委託者本人のものなので、判断能力を失うと事実上行使されにくくなります。成年後見人による行使の可否は解釈が分かれ、事前に監督役を置く設計が重要です。
Q6信託の利益相反行為の取消し いつまで?
受託者の利益相反行為の取消権は、原因を知った時から3か月、行為の時から1年で消滅します(27条4項・31条)。気付いたら早めの行動が必要です。
Q7自益信託でも信託法148条は適用される?
父が当初受益者となる自益型では、受益者(父)が現に存するため148条は働きません。父は受益者として監督権を行使します。
Q8信託法148条の但書 排除条項は違法?
違法ではありません。但書は信託行為で委託者の権利を外すことを認めています。ただし存命中の監督役が不在になるため、信託管理人等で補うかを検討すべきです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1親が生きてるうちに、兄が受託者として何をしてるのか、子どもの私は確認できないんですか?
受益権を親の死亡時に取得する遺言代用信託であれば、原則として子は親の存命中に受益者としての権利を持ちません(信託法90条)。監督権は148条によって委託者である親に集まります。実務のポイント:子が直接動けないなら、親に頼んで親の名義で帳簿閲覧を請求してもらうのが最短ルートです。契約の段階で、子を信託監督人や信託管理人に指定しておく設計もあります(どちらが使えるかは信託の型によります)
Q2家族信託の契約書に『委託者は信託法145条2項の権利を有しない』って書いてあるけど、そのままサインして大丈夫?
148条但書によって、信託行為に別段の定めがあればそれが優先し、委託者の監督権は外れます。受託者が自由に管理しやすくなる一方、存命中は誰も受託者を見張れない時間帯が生まれます。実務のポイント:排除条項を入れるのであれば、代わりに信託監督人などを置いて空白を埋めるのが定石です。排除条項だけが入っていて代わりの監督役がいないひな形には、特に注意してください
Q3親が亡くなったら、この委託者の権利って相続人に引き継がれるの?
原則として引き継がれません。90条の信託では、委託者の相続人は委託者の地位を相続によって承継しません(信託法147条)。親の死亡で受益者が権利を取得し、以後は受益者自身が監督する構造に切り替わります。実務のポイント:亡くなる直前の受託者の取引に不審な点があっても、相続人として委託者の権利を使うことは原則できません。まず受益者として動けるかどうかを確かめてください
間違えやすい点 AI による整理
- 「148条があるから家族信託は安心」と考える前に、自分の信託がそもそも対象かを確かめるべきである。父が自分を最初の受益者にして、亡くなった後に子へ受益権が移る自益型の家族信託では、受益者(父)が現に存在するので148条は働かない。この場合、父は受益者として監督権を持つのであり、148条の出番はない
- 但書は知っていても、その重さを知らない人が多い。「委託者は権利を有しない」という一行を入れると、受託者は気兼ねなく管理できるようになる。その代わり、委託者の存命中は受託者を法的に止められる人がいなくなる。ひな形にこの排除条項だけが入っていて、代わりの監督役が置かれていない契約は、静かに危険をはらんでいる
- 子どもから見れば「将来もらえる財産」でも、法律から見れば、親の存命中の子は受益者としての権利を持たないか、まだ受益者ですらない。しかも委託者は受益者を変更できる(90条1項)。受託者の兄が浪費していても、子の立場から直接差止めを求めることは原則できない。このずれに気付くのは、たいてい親が亡くなって財産が減った後である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用場面 | 148条:遺言代用信託で受益者不在又は権利を有しない間 | 145条:信託一般で、信託行為に定めがある場合 123条:受益者が現に存しない信託一般 |
| 監督権の担い手 | 委託者(法律上当然に付与) | 委託者(信託行為で付与した範囲) 信託管理人(信託行為又は裁判所が選任) |
| 排除・変更 | 信託行為の別段の定めで排除可能 | 定めを置かなければ委託者は原則として権利を持たない 選任しなければ監督役は置かれない |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾では委託人にも帳簿閲覧・説明請求権が一般的に認められており、日本のように受益者不在期間に限定した特例構造ではない
韓国も2011年全面改正で遺言代用信託を明文化し、委託者死亡まで受益者は権利を行使できないとする。委託者にも書類閲覧権が認められる
中国では委託者に信託財産の管理運用状況を知る権利と書類閲覧権が一般的に認められている
フランスのフィデュシーでは、委託者が自らの利益保護のため第三者を指定できる。贈与目的のフィデュシーは禁止される(art. 2013)
撤回可能信託の間は受益者の権利が委託者の支配に服し、受託者の義務は委託者のみに負う。日本の148条と機能的に最も近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父が遺言代用型の信託に3,000万円を預け、亡くなったときに長女へ一時金が渡る設計にした。父が存命中、長女が運用状況を尋ねても「受益者としての権利はまだない」と断られる。148条で帳簿閲覧や報告を求められるのは父本人であり、長女ではない
- あなたは母から実家と預金の管理を任された受託者の長男で、母が亡くなった後は妹が受益者になる契約である。生活費の立替えのつもりで、信託口口座から自分の口座へ50万円を移した。ある日、母が帳簿を見せるよう求めてきた。148条に基づく正当な要求であり、あなたに断る根拠はない
- もし委託者である父が認知症になったら、誰が受託者を見張るのか? 148条の権利は委託者本人のものなので、判断能力を失えば事実上使われなくなる。信託監督人や信託管理人を置いていなければ、監督の空白がふたたび生まれる
- 受託者が、信託財産の土地を自分の会社に相場より安く売っていた。利益相反行為の取消しは、原因を知った時から3か月以内でなければ使えなくなる。気付いた今日から時間が進んでいる
- 司法書士から勧められた家族信託のひな形を友人に見せられた。ある条項に「委託者は信託法第145条第2項各号に掲げる権利を有しない」とある。友人はその意味を知らないまま、来週公証役場で署名する予定である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自分が委託者なのか、将来の受益者なのかを契約書で確認する。存命中に監督権を持つのは原則として委託者である2. 148条を排除する定めがないかを確認する3. 委託者の名義で、信託事務の報告(36条)と帳簿の閲覧(38条)を書面で請求する4. 不正の兆候があれば、差止め(44条)や損失てん補(40条)を検討する。訴訟になりそうなら弁護士に相談する
訴えられた側:1. 信託口口座と自分の財産をはっきり分け(34条の分別管理義務)、帳簿を常に作っておく2. 委託者から閲覧や報告を求められたら、すぐに応じる。拒めば家族の不信が訴訟に変わる3. 立替金の精算など自分に利益が出る取引は、利益相反(31条)に当たらないか、信託行為の定めや必要な承認があるかを事前に確認し、記録に残す4. 家族間の不信が強ければ、監督役を置くことを自分から提案する
時効(請求できる期限):148条そのものに時効はない。権利が働くのは、受益者が権利を取得する時(通常は委託者の死亡時)までである。ただし行使する個々の権利には期限がある。受託者の権限違反行為や利益相反行為の取消しは、原因を知った時から3か月、行為の時から1年で使えなくなる(27条4項、31条)。損失てん補などの請求は、信託法43条の時効の特則に従う(最新の改正状況をご確認ください)
学説
実務上の指摘:但書により委託者の権利を排除すると、委託者存命中は受託者を監督する者が不在となりうる。そのため排除条項を置く場合は、信託管理人等の監督役を併せて置く設計が推奨される
解釈が分かれる論点:委託者が判断能力を失った場合に、成年後見人が本条により委託者に帰属する権利をどこまで代理行使できるかについては、実務上見解が分かれている
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 旧信託法(大正11年法)を全面的に改めた新信託法の制定時に新設。遺言代用信託(90条)の明文化に合わせて、受益者不在期間の監督権を委託者に付与する特例として置かれた(平成19年施行)
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法全部改正(平成18年法律第108号)により、遺言代用信託(90条)の明文化に合わせ、受益者不在期間の監督権を委託者に付与する特例として新設。平成19年施行
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