信託法 第131条(信託監督人の選任)
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- 信託行為においては、受益者が現に存する場合に信託監督人となるべき者を指定する定めを設けることができる。
- 2.信託行為に信託監督人となるべき者を指定する定めがあるときは、利害関係人は、信託監督人となるべき者として指定された者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就任の承諾をするかどうかを確答すべき旨を催告することができる。ただし、当該定めに停止条件又は始期が付されているときは、当該停止条件が成就し、又は当該始期が到来した後に限る。
- 3.前項の規定による催告があった場合において、信託監督人となるべき者として指定された者は、同項の期間内に委託者(委託者が現に存しない場合にあっては、受託者)に対し確答をしないときは、就任の承諾をしなかったものとみなす。
- 4.受益者が受託者の監督を適切に行うことができない特別の事情がある場合において、信託行為に信託監督人に関する定めがないとき、又は信託行為の定めにより信託監督人となるべき者として指定された者が就任の承諾をせず、若しくはこれをすることができないときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、信託監督人を選任することができる。
- 5.前項の規定による信託監督人の選任の裁判があったときは、当該信託監督人について信託行為に第一項の定めが設けられたものとみなす。
- 6.第四項の申立てについての裁判には、理由を付さなければならない。
- 7.第四項の規定による信託監督人の選任の裁判に対しては、委託者、受託者若しくは受益者又は既に存する信託監督人に限り、即時抗告をすることができる。
- 8.前項の即時抗告は、執行停止の効力を有する。
この条文の基本情報
信託監督人の選任とは何ですか?
定義信託監督人の選任とは、信託法第131条に定められた規定で、「信託行為においては、受益者が現に存する場合に信託監督人となるべき者を指定する定めを設けることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第131条(信託監督人の選任)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第131条の条文原文は「信託行為においては、受益者が現に存する場合に信託監督人となるべき者を指定する定めを設けることができる。」で始まります。
- 信託法第131条は第二款 信託監督人に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第131条の前の条は信託法第130条です。
- 信託法第131条の次の条は信託法第132条です。
- 信託法第131条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第131条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第131条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/131
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法131条は、信託行為で信託監督人を指定できると定め、指定がない場合も受益者が受託者を監督できない特別の事情があれば、裁判所が利害関係人の申立てで選任できるとする。
Q · 家族信託の契約に監督人の定めがなくても、受託者を見張る人を後から立てられる?
特別の事情があれば裁判所に選任を申し立てられる
信託法131条4項により、受益者が受託者の監督を適切に行えない特別の事情があり、信託行為に信託監督人の定めがないか、指定された者が就任しない場合は、利害関係人の申立てで裁判所が信託監督人を選任できます。申立先は受託者の住所地を管轄する地方裁判所です(262条)。選任の裁判には理由が付され、委託者・受託者・受益者・既存の信託監督人に限り即時抗告ができ、即時抗告には執行停止の効力があります。
解説
家族信託の契約書には、親の財産を預かる子(受託者)を見張る役を置く欄を作れる。その見張り役が信託監督人だ。本条は置き方を二通り用意している。一つは、信託契約など(信託行為)で最初から指名しておく方法(1項)。もう一つは、指名がない、または指名された人が引き受けないときに、裁判所に選んでもらう方法(4項)。押さえるべき点は、受益者が「現に存する」場合の制度だということ。受益者がまだ生まれていない、または決まっていない場合は信託管理人(123条)の出番で、ここを取り違えると申立ての前提が崩れる。裁判所に頼めるのは、受益者が受託者を適切に監督できない「特別の事情」があるときに限られる。認知症の母が受益者で、通帳を握る長男が何をしているか誰にも分からない。この状態なら、弟妹であるあなたも利害関係人として申立てできる余地がある(利害関係人に当たるかどうかは事案ごとに判断される)。黙って疑い続けるか、制度で見張り役を立てるか。その分かれ目がここにある。
法的な位置づけ
信託監督人とは、受益者が現に存する信託において、受益者のために自己の名をもって受託者を監督する権限を有する者をいう。信託法131条は、その選任方法として信託行為による指定と、特別の事情がある場合の裁判所による選任の二つを定め、指定された者への就任催告と、期間内に確答がない場合の不承諾擬制も規定する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.信託契約書の監督人条項を確認する 信託契約書(信託行為)の写しを入手し、信託監督人を指定する定めの有無と、停止条件・始期が付いているかを確認する
- 2.指定された候補者に就任を催告する 指定の定めがあるのに候補者が就任していない場合、相当の期間を定めて就任を承諾するかどうか確答するよう催告する。期間内に委託者(いなければ受託者)への確答がなければ不承諾とみなされる
- 3.特別の事情を示す資料を集める 受益者の判断能力の低下を示す診断書や要介護認定の記録などを集め、受益者が受託者を適切に監督できない特別の事情を書面で整理する
- 4.地方裁判所に選任を申し立てる 受託者の住所地を管轄する地方裁判所に、信託監督人選任の申立てを行う(信託法131条4項・262条)。候補者を併せて提示すると審理が具体化しやすい
よくある質問 AI による整理
Q1信託監督人とは何ですか?
受益者のために自己の名で受託者を監督する者です。受益者が現に存する信託で置かれ、帳簿閲覧請求や差止請求などの権限を行使できます(信託法131条・132条)。
Q2信託監督人の選任申立てはどこの裁判所にしますか?
家庭裁判所ではなく、受託者の住所地を管轄する地方裁判所です(信託法262条)。申立先を誤ると手続が遅れるため、事前に管轄を確認しましょう。
Q3信託監督人の選任を申し立てられるのは誰?
利害関係人です(信託法131条4項)。受益者の親族などが該当しうるものの、利害関係人に当たるかは事案ごとに裁判所が判断します。
Q4信託監督人に資格は必要ですか?
弁護士などの資格は不要です。ただし未成年者や当該信託の受託者自身は就任できません(信託法137条による124条の準用)。
Q5信託監督人の選任に不服があるときはどうする?
委託者・受託者・受益者・既存の信託監督人に限り、告知から2週間以内に即時抗告できます(信託法131条7項、非訟事件手続法67条)。執行停止の効力があります。
Q6信託監督人の就任を催告できるのはいつから?
指定の定めに停止条件や始期が付いている場合は、条件成就または始期到来の後に限られます(信託法131条2項ただし書)。それ以外はいつでも催告できます。
Q7裁判所が選任した信託監督人は契約上どう扱われる?
選任の裁判があると、その信託監督人について信託行為に指定の定めが設けられたものとみなされます(信託法131条5項)。以後は契約で指定された監督人と同様に扱われます。
Q8受益者が判断能力十分でも信託監督人は選任される?
裁判所による選任には、受益者が受託者を適切に監督できない特別の事情が必要です(信託法131条4項)。受益者が十分に監督できるなら、選任は認められにくいでしょう。
この条文についての質問 AI による整理
Q1家族信託で兄が受託者、母が受益者なんです。兄が使い込んでないか確かめる方法ってありますか?
信託契約に監督人の定めがなく、母が認知症などで兄を監督できない事情があれば、利害関係人として地方裁判所に信託監督人の選任を申し立てられる(131条4項)。選ばれた監督人は、受益者のために自分の名前で帳簿の閲覧請求や差止請求などを行える(132条)。実務のポイント:申立書で一番効くのは兄の素行の話ではなく、母の判断能力を示す医療記録だ。裁判所が見ているのは受託者の悪さより、「受益者が見張れない事情」のほうである
Q2契約書に勝手に信託監督人として名前を書かれてたんですが、断れますか?
断れる。指名されても就任する義務は生じない。利害関係人から催告を受けた場合、期間内に委託者(いなければ受託者)へ返事をしなければ、承諾しなかったものとみなされる(131条3項)。実務のポイント:引き受けると善管注意義務(プロとして当然払うべき注意の水準)と誠実公平義務を負い(133条)、監督を怠れば責任を問われる余地がある。報酬の定めがないまま好意で引き受けるのが一番危ない。受けるなら報酬と任期を書面で確かめてからにする
間違えやすい点 AI による整理
- 「信託監督人は弁護士でなければなれない」と思われがちだが、法律上は資格を限っていない。親族や信頼できる知人でもなれる。就任できないのは、未成年者や当該信託の受託者自身などに限られる(137条による124条の準用)
- 「母に成年後見人がつけば監督人はいらない」という考え方は、問いの立て方がずれている。後見人は母の財産と生活の全体を見る立場で、信託財産の運用を専任で見張る役ではない。後見人がいる場合に「受益者が監督を適切に行えない特別の事情」が認められるかは事案次第で、実務上も解釈が分かれている
- 指名を断れることは知っていても、返事をしないだけで断ったとみなされることはあまり知られていない。委託者の側から見ると、候補者の事前承諾を取らずに契約書へ名前を書くのは危うい。いざというとき誰も監督しない信託が残るだけだ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 制度が使われる場面 | 信託法131条:受益者が現に存する場合の信託監督人 | 信託法123条:受益者が現に存しない場合の信託管理人 信託法138条:受益者を代理する受益者代理人 |
| 裁判所による選任 | 可能(特別の事情+利害関係人の申立て、4項) | 可能(利害関係人の申立て、123条4項) 規定なし(信託行為の定めによる) |
| 権限の性質 | 受益者のために自己の名で監督権限を行使(132条) | 受益者の権利に関する一切の行為を自己の名で行う 受益者を代理して裁判上・裁判外の行為を行う |
| 受益者本人の権利行使 | 受益者本人も権利行使可能 | 受益者が現に存しないため問題とならない 一部を除き受益者本人の権利行使が制限される |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾では、受益者不特定・未存在のほか、受益者保護に必要な場合にも、裁判所が利害関係人または検察官の申立てで信託監察人を選任できる。日本の信託管理人と信託監督人の機能を一つの制度で担う。
フランスのフィデュシーでは、設定者が自己の利益の保全を確保する第三者を指定できる。契約による監督者の指定という点で本条1項と通じる。
米国では、信託条項で trust protector などの指図権者を置く実務が広がっている。日本のような裁判所の選任による監督人制度とは発想が異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 認知症が進んだ母を受益者、長男を受託者とする家族信託。次男のあなたが帳簿を見せてほしいと頼んでも、兄は「母さんのためにやってる」と言うだけ。信託契約に監督人の定めはない。ここで使えるのが4項の選任申立てだ。出す先は家庭裁判所ではなく、受託者の住所地を管轄する地方裁判所。ここを間違える人が多い(262条)
- もし、父の信託で受託者を務めるあなたのもとに、妹の申立てで信託監督人を選任したという裁判所の決定が届いたら、どうする? 選任に即時抗告(不服申立て)ができるのは委託者・受託者・受益者・既存の信託監督人だけで、あなたはその一人だ。ただし期限は告知から2週間しかない
- 叔父の信託で監督人に指名されていたが、引き受ける気はない。催告状が届いても、期間内に返事をしなければ断ったものとみなされる(3項)。
- あなたは受託者で、監督人に指名された父の旧友の税理士から一年以上返事がない。監督人が決まらないままで、重要な処分に踏み切れない。利害関係人として「1か月以内に確答を」と催告すれば、期間が過ぎた時点で辞退とみなされ、4項による裁判所の選任へ進める。宙に浮いた状態を終わらせるのは催告状一通だ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 信託契約書(信託行為)の写しを入手し、信託監督人の定めがあるか確認する2. 定めがあるのに候補者が就任していなければ、相当の期間を定めて催告する(2項)。返事がなければ辞退とみなされる3. 受益者の判断能力の低下を示す診断書や要介護認定の記録を集め、「特別の事情」を書面にまとめる4. 受託者の住所地を管轄する地方裁判所に選任を申し立てる(4項、262条)
訴えられた側:1. 申立てを敵対行為と受け止めず、受託者に作成が義務づけられている帳簿や財産状況の資料(37条)を整えて透明性を示す2. 「特別の事情」がないと考えるなら、受益者本人の監督能力や既存のチェック体制を具体的に主張する3. 選任の裁判に不服があれば、告知から2週間以内に即時抗告する(7項)。即時抗告には執行停止の効力がある(8項) 4. 自分から信頼できる第三者を候補者として提案するのも一つの手だ
時効(請求できる期限):即時抗告は、裁判の告知を受けた日から2週間以内(非訟事件手続法67条1項)。催告への確答期間は、催告する側が定める「相当の期間」。選任申立てそのものに期限はない。ただし、受託者の任務違反による損失てん補請求などの権利は一般消滅時効(民法166条:知った時から5年、行使できる時から10年)にかかりうる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
実務上の議論:受益者に成年後見人が付いている場合に、受益者が受託者の監督を適切に行えない特別の事情が認められるかは、事案ごとの判断となり、見解が分かれている。
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 大正11年の旧信託法に代わる新信託法の制定に伴い、受益者が現に存する場合の監督機関として信託監督人制度が設けられた。その後の非訟事件手続法制定に伴う整備などで文言が改正されたかは要検証
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:大正11年の旧信託法に代わる新信託法(平成18年法律第108号)の制定により、受益者が現に存する場合の監督機関として信託監督人制度が設けられた。
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