信託法 第123条(信託管理人の選任)
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- 信託行為においては、受益者が現に存しない場合に信託管理人となるべき者を指定する定めを設けることができる。
- 2.信託行為に信託管理人となるべき者を指定する定めがあるときは、利害関係人は、信託管理人となるべき者として指定された者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就任の承諾をするかどうかを確答すべき旨を催告することができる。ただし、当該定めに停止条件又は始期が付されているときは、当該停止条件が成就し、又は当該始期が到来した後に限る。
- 3.前項の規定による催告があった場合において、信託管理人となるべき者として指定された者は、同項の期間内に委託者(委託者が現に存しない場合にあっては、受託者)に対し確答をしないときは、就任の承諾をしなかったものとみなす。
- 4.受益者が現に存しない場合において、信託行為に信託管理人に関する定めがないとき、又は信託行為の定めにより信託管理人となるべき者として指定された者が就任の承諾をせず、若しくはこれをすることができないときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、信託管理人を選任することができる。
- 5.前項の規定による信託管理人の選任の裁判があったときは、当該信託管理人について信託行為に第一項の定めが設けられたものとみなす。
- 6.第四項の申立てについての裁判には、理由を付さなければならない。
- 7.第四項の規定による信託管理人の選任の裁判に対しては、委託者若しくは受託者又は既に存する信託管理人に限り、即時抗告をすることができる。
- 8.前項の即時抗告は、執行停止の効力を有する。
この条文の基本情報
信託管理人の選任とは何ですか?
定義信託管理人の選任とは、信託法第123条に定められた規定で、「信託行為においては、受益者が現に存しない場合に信託管理人となるべき者を指定する定めを設けることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第123条(信託管理人の選任)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第123条の条文原文は「信託行為においては、受益者が現に存しない場合に信託管理人となるべき者を指定する定めを設けることができる。」で始まります。
- 信託法第123条は第一款 信託管理人に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第123条の前の条は信託法第122条です。
- 信託法第123条の次の条は信託法第124条です。
- 信託法第123条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第123条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第123条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/123
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法123条は、受益者がいない信託で信託管理人を信託行為により指定でき、指定がないか不就任の場合は利害関係人の申立てにより裁判所が選任すると定める。
Q · 信託管理人に指定された人が催告に返事をしないと、どうなるの?
沈黙は辞退扱い。期間内に確答しないと不就任とみなされる
信託法123条3項により、利害関係人から相当の期間を定めて催告を受けた指定者が、その期間内に委託者(委託者がいなければ受託者)へ確答しない場合は、就任を承諾しなかったものとみなされます。この場合、受益者が現に存しなければ、利害関係人は裁判所に信託管理人の選任を申し立てることができます(同条4項)。選任の裁判に即時抗告できるのは、委託者・受託者・既に存する信託管理人に限られます(同条7項)。
解説
信託では、まだ生まれていない孫や、これから設立される団体を受益者にする設計ができる。では、受益者がいない間、受託者の仕事ぶりは誰が見張るのか。その役が信託管理人である。本条は、受益者が現に存しない場合に備えて、信託行為(信託契約や遺言)で信託管理人を指定しておけると定める(1項)。指定された人が引き受けるのかはっきりしないときは、利害関係人が期間を区切って返事を求められる。期間内に委託者(委託者がいなければ受託者)へ返事がなければ、「断った」とみなされる(2項・3項)。指定がない場合や、指定された人が断った場合は、裁判所が選任する(4項)。見落とされやすいのは、黙っていることが「承諾」ではなく「拒絶」として扱われる点だ。親友に頼んだつもりの監督役も、催告を放っておくだけで不在になる。家族信託を組むなら、本人の事前承諾書と予備の候補者まで信託行為に書き込んでおくべきだ。席が空いている間、受託者は事実上誰にも見張られていない。
法的な位置づけ
信託法123条は、受益者が現に存しない信託において信託管理人を指定・選任する手続を定める規定である。信託行為による指定、利害関係人による就任諾否の催告と沈黙の不就任擬制、裁判所による選任、選任の裁判に対する即時抗告の主体の限定と執行停止効を順に規律し、受益者不在の間に監督の空白が生じることを防ぐ。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.信託行為の定めを確認 信託契約書または遺言を取り寄せ、信託管理人の指定があるか、停止条件や始期が付いていないか、受益者が現に存しないかを確認する。条件付きなら成就・到来の前は催告できない
- 2.指定者に就任諾否を催告 利害関係人として、指定された者に相当の期間を定め、委託者(委託者がいなければ受託者)へ就任を承諾するかどうか確答するよう書面で催告する。内容証明郵便・配達証明で到達日を記録する
- 3.確答の有無を確認 催告期間の満了後、委託者または受託者に確答があったかを確認する。確答がなければ不就任とみなされ(3項)、選任申立ての要件である「就任の承諾をせず」を書面で示せる
- 4.地方裁判所に選任を申し立てる 受託者の住所地を管轄する地方裁判所に、利害関係人として信託管理人の選任を申し立てる。候補者案と、受益者不在の事情や受託者の問題行動を示す資料を添える
- 5.選任の裁判と即時抗告に対応 理由付きの選任の裁判が告知される。委託者・受託者・既存の信託管理人は告知から2週間以内に即時抗告でき、即時抗告には執行停止の効力がある
よくある質問 AI による整理
Q1信託管理人とは何ですか?
受益者が現に存しない信託で、受益者に代わり自己の名で受益者の権利を行使する者です。信託法123条で指定・選任され、125条で権限が定められています。
Q2信託管理人の選任申立てはどこの裁判所にしますか?
受託者の住所地を管轄する地方裁判所です(信託法262条)。申立てができるのは利害関係人で、候補者案を添えることができます。
Q3信託管理人の就任催告の期間はどれくらい?
法律に日数の定めはなく、催告する側が「相当の期間」を定めます。2週間程度の例が多いものの、短すぎると相当性が争われる余地があります。
Q4信託管理人の指定に条件を付けることはできますか?
停止条件や始期を付けることができます。その場合、条件成就または始期到来の後でなければ就任の催告はできません(123条2項ただし書)。
Q5信託管理人は誰に就任の返事をすればいい?
委託者に確答します。委託者が現に存しないときは受託者に確答します(123条3項)。催告をした利害関係人ではない点に注意が必要です。
Q6信託管理人の選任に親族は不服申立てできる?
できません。選任の裁判に即時抗告できるのは委託者・受託者・既に存する信託管理人に限られます(123条7項)。親族は申立て側に回ることはできます。
Q7信託管理人がいないと信託は終わる?
遺言で設定した受益者の定めのない信託では、信託管理人が存しない状態が1年間続くと信託が終了します(258条8項)。通常の信託では直ちに終了するわけではありません。
Q8裁判所が選んだ信託管理人は信託行為で指定した扱いになる?
なります。選任の裁判があると、その信託管理人について信託行為に指定の定めが設けられたものとみなされます(123条5項)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1信託管理人って、信託監督人とどう違うんですか?
信託管理人は受益者が現に存しないときに置かれ、受益者に代わって自分の名前で受益者の権利を行使する(125条)。信託監督人は受益者がいる場合に受託者を監督する役である(131条)。実務のポイント:家族信託の書式には、この二つを混同した条項が少なくない。孫世代を受益者にする設計なら、孫が生まれる前は信託管理人、生まれた後は信託監督人という二段構えにしておくと、監督の空白が生まれない
Q2裁判所が選んだ信託管理人の報酬は、誰が払うんですか?
信託管理人の費用や報酬は、127条の規律に従って信託財産から支払われるのが基本である(最新の規定をご確認ください)。つまり報酬の分だけ、受益者に渡るはずの財産が減る。実務のポイント:選任申立てでは候補者を推薦できるが、裁判所が弁護士などの専門職を選ぶこともある。小さな信託ほど報酬負担の割合が重くなるため、最初から信頼できる身内を本人の承諾付きで指定しておく方が、結局は安く済む
間違えやすい点 AI による整理
- 「指定された人が返事をしないなら、黙って引き受けたことになる」と考えがちだが、結論は逆である。催告期間内に委託者(委託者がいなければ受託者)へ確答しなければ、就任を承諾しなかったものとみなされる(3項)。沈黙すれば、監督役の席は空席として確定する
- 「受益者がいないのだから監督は要らない」という考え方自体がずれている。受益者がいない信託ほど、受託者の権限濫用に気付く人がいない。信託管理人は受益者のために自分の名前で、受益者の権利に関する裁判上・裁判外の一切の行為をする権限を持つ(125条)。まさにこの穴を埋めるための仕組みである
- 選任に不満な親族から見れば、自分も利害関係人なのだから当然不服を言えるはずだと思うだろう。しかし法律上、選任の裁判に即時抗告できるのは委託者・受託者・既にいる信託管理人に限られる(7項)。選任の申立ては利害関係人に広く開かれているのに、不服申立ての入口は狭い。この差を知らずに動くと、手続の入口で門前払いになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 設置される場面 | 信託法123条 信託管理人:受益者が現に存しない場合 | 信託法131条 信託監督人:受益者は存するが、受託者の監督を適切に行えない特別の事情がある場合 信託法138条 受益者代理人:受益者が存し、その代理を要する場合 |
| 権限の性質 | 受益者の権利に関する一切の行為を自己の名で行う(125条) | 受託者を監督するための一定の権利を自己の名で行使する(132条) 代理する受益者のために受益者の権利に関する一切の行為を行う(139条) |
| 裁判所による選任 | あり(利害関係人の申立て、123条4項) | あり(利害関係人の申立て、131条4項) なし(信託行為による指定のみ) |
| 受益者が現れた後 | 受益者の出現等により事務が終了(130条) | 受益者の存在を前提に継続 受益者の存在を前提に継続 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾では受益人が未特定・未存在等の場合に法院が信託監察人を選任する。検察官も聲請できる点が日本と異なり、信託行為で選任方法を定めればそれに従う
韓国も受益者不存在時などに法院が신탁관리인を選任できる。日本の旧信託法を母体とし、2011年の全面改正で規律が整備された
受益者のいない目的信託では、信託条項で指定された者または裁判所が選任した enforcer が信託を執行する。機能は日本の信託管理人に近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 愛犬のための信託を遺言で設定した叔母が亡くなった。信託管理人には獣医の名前が書かれているが、本人は連絡しても返事をしない。この信託はどうなるのか? 受託者は利害関係人として、相当の期間を定めて就任するかどうかの確答を催告できる。期間内に返事がなければ不就任とみなされ、裁判所への選任申立てに進める。遺言による受益者の定めのない信託は、信託管理人がいない状態が1年続くと終了しうる(258条)。催告書は今週中に出したい
- 友人の家族信託で、これから生まれる孫のための信託管理人に指定されていた。ある日、受託者である友人の長男から「2週間以内に就任するかどうか、母(委託者)へ回答してください」という書面が届いた。放っておけば辞退扱いになる。引き受ければ善管注意義務(プロとして当然払うべき注意のレベル)を負う(126条)。迷っている時間はあまりない
- 委託者の長男である受託者が、信託財産のアパートを相場よりかなり安く売ろうとしている。受益者になる甥はまだ生まれていない。止める立場の人が誰もいない今、裁判所に信託管理人の選任を申し立てるのがいちばん早い手である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 信託契約や遺言を取り寄せ、信託管理人の指定があるか、停止条件や始期が付いていないかを確認する2. 指定があるのに就任するかどうか不明なら、利害関係人として相当の期間を定め、書面で確答を催告する。配達証明で記録を残す3. 期間内に委託者(委託者がいなければ受託者)への確答がなければ不就任とみなされる。受託者の住所地を管轄する地方裁判所に選任を申し立てる(262条) 4. 申立書には候補者案と、受託者の問題行動を示す資料を添える
訴えられた側:1. 指定された側は、催告期間内に委託者(委託者がいなければ受託者)へ、引き受けるかどうかを書面ではっきり返す。沈黙は辞退とみなされる2. 受託者側は、選任申立てに対して、候補者の欠格事由(124条)や報酬負担(127条)について意見を述べる3. 選任の裁判に不服があれば、委託者・受託者・既にいる信託管理人に限り即時抗告でき、執行停止の効力がある(7項・8項)。期限は裁判の告知を受けた日から2週間である
時効(請求できる期限):本条に特定の時効はない。催告の「相当の期間」は催告する側が定め、その期間が過ぎると不就任が確定する。選任の裁判に対する即時抗告は、告知を受けた日から2週間以内(非訟事件手続法67条)。遺言による受益者の定めのない信託では、信託管理人がいない状態が1年続くと信託が終了する(258条、最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法制定 大正11年の旧信託法を全面的に置き換える新信託法で、信託管理人の指定・催告・裁判所による選任の枠組みが本条として整備された。その後の整備法による文言修正の有無は、人による確認が必要である
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:大正11年制定の旧信託法を全面的に置き換える新信託法(平成18年法律第108号)で、信託管理人の指定・就任諾否の催告・裁判所による選任・即時抗告の枠組みが本条として整備された
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