信託法 第258条(受益者の定めのない信託の要件)
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- 受益者の定め(受益者を定める方法の定めを含む。以下同じ。)のない信託(公益信託に関する法律(令和六年法律第三十号)第二条第一項第一号に規定する公益信託を除く。以下この章において同じ。)は、第三条第一号又は第二号に掲げる方法によってすることができる。
- 2.受益者の定めのない信託においては、信託の変更によって受益者の定めを設けることはできない。
- 3.受益者の定めのある信託においては、信託の変更によって受益者の定めを廃止することはできない。
- 4.第三条第二号に掲げる方法によって受益者の定めのない信託をするときは、信託管理人を指定する定めを設けなければならない。この場合においては、信託管理人の権限のうち第百四十五条第二項各号(第六号を除く。)に掲げるものを行使する権限を制限する定めを設けることはできない。
- 5.第三条第二号に掲げる方法によってされた受益者の定めのない信託において信託管理人を指定する定めがない場合において、遺言執行者の定めがあるときは、当該遺言執行者は、信託管理人を選任しなければならない。この場合において、当該遺言執行者が信託管理人を選任したときは、当該信託管理人について信託行為に前項前段の定めが設けられたものとみなす。
- 6.第三条第二号に掲げる方法によってされた受益者の定めのない信託において信託管理人を指定する定めがない場合において、遺言執行者の定めがないとき、又は遺言執行者となるべき者として指定された者が信託管理人の選任をせず、若しくはこれをすることができないときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、信託管理人を選任することができる。この場合において、信託管理人の選任の裁判があったときは、当該信託管理人について信託行為に第四項前段の定めが設けられたものとみなす。
- 7.第百二十三条第六項から第八項までの規定は、前項の申立てについての裁判について準用する。
- 8.第三条第二号に掲げる方法によってされた受益者の定めのない信託において、信託管理人が欠けた場合であって、信託管理人が就任しない状態が一年間継続したときは、当該信託は、終了する。
この条文の基本情報
受益者の定めのない信託の要件とは何ですか?
定義受益者の定めのない信託の要件とは、信託法第258条に定められた規定で、「受益者の定め(受益者を定める方法の定めを含む。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第258条(受益者の定めのない信託の要件)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第258条の条文原文は「受益者の定め(受益者を定める方法の定めを含む。」で始まります。
- 信託法第258条は第十一章 受益者の定めのない信託の特例に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第258条の前の条は信託法第257条です。
- 信託法第258条の次の条は信託法第259条です。
- 信託法第258条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第258条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第258条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/258
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法258条は、受益者の定めのない信託(目的信託)を契約または遺言で設定できると定める。遺言による場合は信託管理人の指定が必要で、不在が1年続くと信託は終了する。
Q · ペットのために、受益者のいない信託をつくることはできますか?
契約か遺言でつくれるが、受託者は一定の法人に限られる
信託法258条1項により、受益者の定めのない信託(目的信託)は、信託契約または遺言によって設定できます。自己信託ではつくれません。遺言でつくる場合は信託管理人の指定が必要で(4項)、信託管理人が欠けて1年間就任者がいなければ信託は終了します(8項)。また信託法附則3項により、公益目的でない目的信託の受託者は政令で定める法人に限られるため、個人の知人には頼めません。
解説
お金を受け取る人がいない信託を、日本では法律上つくることができる。猫の世話、先祖の墓の維持、地域の祭りの継続といった「目的」そのものに財産を預ける仕組みで、目的信託と呼ばれる。ただし、つくり方は契約か遺言の二つに限られる(3条1号・2号)。自分自身を受託者にする自己信託(3条3号)では、この型はつくれない。しかも最初の設計を後から変えることはできない。受益者なしで始めた信託に、後から人を受益者として加えることはできず、受益者ありで始めた信託から受益者を外すこともできない(2項・3項)。遺言でつくる場合は、受託者(財産を預かって管理する人)を見張る信託管理人を指定しなければならない。その監視権限を削る定めを置くことも認められていない。そして見張り役がいない状態が1年続けば、信託は自動的に終わる。さらに附則により、公益目的でない目的信託の受託者は、政令で定める一定の法人に限られている。ペットに財産を残したいと考えたとき、最初に決めるべきは文案ではなく、どちらの型を使うかである。
法的な位置づけ
信託法258条は、受益者の定めのない信託(目的信託)の設定方法と構造上の制約を定める規定である。設定は信託契約または遺言に限られ、自己信託によることはできない。受益者の定めの有無は信託の変更によって切り替えることができず、遺言による目的信託では信託管理人の指定が必要とされ、その不在が1年間継続すると信託は終了する。
よくある質問 AI による整理
Q1目的信託とは何ですか?
受益者を置かず、ペットの飼育や墓の維持など一定の目的のために財産を管理させる信託です。信託法258条が設定方法と制約を定めています。
Q2目的信託は自己信託でつくれますか?
つくれません。信託法258条1項は設定方法を信託契約(3条1号)と遺言(3条2号)に限っており、自己信託(3条3号)は除外されています。
Q3目的信託 存続期間 いつまで?
信託法259条により、受益者の定めのない信託の存続期間は20年を超えることができません。長期の墓守りなどでは期間満了後の設計も必要です。
Q4信託管理人がいなくなったら信託はどうなる?
遺言による目的信託では、信託管理人が欠けて就任しない状態が1年間続くと、信託は終了します(信託法258条8項)。早めの後任選任が重要です。
Q5遺言に信託管理人を書き忘れたら無効?
無効にはなりません。遺言執行者がいれば執行者が選任し(5項)、いなければ利害関係人の申立てで裁判所が選任します(6項)。
Q6目的信託の受託者は個人でもなれる?
信託法附則3項により、公益目的でない目的信託の受託者は政令で定める一定の法人に限られます。個人の知人は受託者になれません。
Q7目的信託に税金はかかる?
受益者等が存しない信託は法人課税信託として受託者に法人税が課されます。親族が関わる場合は相続税法9条の4により受託者課税が生じることもあります。
Q8信託管理人の権限は遺言で制限できる?
遺言による目的信託では、145条2項各号(6号を除く)の権限を制限する定めは置けません(258条4項後段)。監視機能を骨抜きにできない仕組みです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1ペットのための信託って、知り合いに受託者を頼めば作れますか?
受益者のいない目的信託として作る場合、信託法附則3項により、公益目的でない限り、受託者は政令で定める一定の法人に限られる。純資産額などの要件があり、個人の知人は受託者になれない(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:世の中で「ペット信託」と呼ばれている商品の多くは、新しい飼い主や家族を受益者とする通常の信託であり、258条の目的信託ではない。名前ではなく受益者欄を見ること
Q2受益者なしで始めた信託を、途中で孫を受益者にする形に変えられますか?
できない(258条2項)。逆に、受益者ありの信託から受益者を外すこともできない(3項)。課税の前提と受益者保護の構造が根本から変わるためである。実務のポイント:どうしても切り替えたいなら、既存の信託を終了させて新しく設定し直すしかない。その際の財産移転に課税が生じうるので、専門家は最初の設計段階で両方のシナリオの税額を試算しておく
Q3信託管理人には誰がなれるんですか?
未成年者と、その信託の受託者自身はなれない(124条)。それ以外であれば、弁護士、司法書士、親族、法人なども選べる。実務のポイント:高齢の友人を一人だけ指名すると、死亡や認知症で欠けた時点で8項の1年ルールが動き出す。実務では法人を指名するか、予備者を複数書いておくのが定石である
間違えやすい点 AI による整理
- 「ペットに財産を相続させるにはどうすればいいか」という問いそのものがずれている。動物は権利の主体になれず、相続人にも受益者にもなれない。立てるべき問いは「誰に、どんな目的で、誰の監視の下で財産を管理させるか」であり、答えは人を受益者に置く信託か、受益者のない目的信託かの二択から始まる
- 信託管理人が必要なことは知っていても、その不在が深刻であることまで知る人は少ない。管理人が欠けて後任が就任しない状態が1年続けば、信託そのものが終了する(8項)。一人だけ指名した高齢の友人が亡くなったり認知症になったりすれば、それだけで何十年分の設計が止まりうる
- 「信託は後からいくらでも変更できる」と思われがちだが、受益者の有無だけは例外である。149条の変更手続をどう使っても、受益者なしと受益者ありの間を行き来することはできない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 受益者 | 信託法258条(目的信託):受益者を置かない | 通常の信託(3条):受益者を定める 公益信託(公益信託に関する法律):本条の対象外 |
| 設定方法 | 信託契約または遺言のみ(自己信託不可) | 信託契約・遺言・自己信託の三方法(3条1号〜3号) 公益信託に関する法律の定める手続による |
| 受益者の有無の変更 | 変更で受益者を設けることは不可(258条2項) | 変更で受益者の定めを廃止することは不可(258条3項)、それ以外は149条で柔軟に変更可 本条の規律対象外 |
| 存続期間・監視 | 20年上限(259条)、遺言型は信託管理人必置・不在1年で終了 | 法定の上限なし、受益者自身が受託者を監督 公益信託に関する法律の監督制度による |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾の信託法は公益信託を定めるのみで、ペットの飼育など私益目的の目的信託に関する明文規定はない。日本法のような信託管理人必置・1年終了ルールに相当する規定もない
米国の統一信託法典は動物のための信託と、確定可能な受益者のない非公益信託を明文で認め、執行者の選任を予定している
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 70代の一人暮らし。愛犬2匹を残して先に死ぬのが怖くて、遺言に「500万円を愛犬の飼育のために信託する」と書こうとしている。受益者のいない目的信託にすると、附則の制限によって受託者は信頼している近所の知人ではなく、一定の要件を満たす法人に限られる。実務家の多くが「新しい飼い主を受益者にする信託」を勧める理由はここにある
- 遺言で目的信託をつくったのに、信託管理人の指定を書き忘れていたらどうなるか? 遺言執行者がいれば、執行者に選任する義務が生じる。執行者がいなければ、利害関係人が裁判所に申し立てる。信託は無効にならないが、手続が一段増え、その間は誰も受託者を見張っていない
- あなたは目的信託を引き受けた法人の担当者だ。信託管理人が辞任し、後任が決まらないまま半年が過ぎた。あと6か月で信託は法律上終了する。今週中に後任候補を固めなければ、委託者の想いは清算手続に回される
- 先祖代々の墓を守るため、親族で目的信託を契約で設定した。10年後、「本家の長男を受益者にして余剰を配ろう」という話が出た。信託の変更ではそれはできない
- 自分を受託者にして、自分の財産を地域猫の保護のために切り分けたい。自己信託ではこの型はつくれない。最初の一歩から設計が違っている
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相続人や支援団体などの利害関係人として、遺言書または信託契約書で、信託の目的と信託管理人の定めを確認する2. 管理人が指定されていなければ、まず遺言執行者に選任を求める3. 執行者もいない、または選任しない場合は、受託者の住所地を管轄する地方裁判所(信託法262条)に信託管理人の選任を申し立てる4. 受託者の事務処理に疑いがあれば、信託管理人を通じて帳簿の閲覧や報告を求める
訴えられた側:1. 受託者として、目的に沿った支出を帳簿と領収書で記録し、信託管理人へ定期的に報告する2. 管理人が欠けたら即日、後任の選任手続(遺言執行者への要請、または裁判所への申立て)に着手する3. 存続期間は20年が上限であること(259条)を踏まえ、終了時の残余財産の帰属先をあらかじめ確認しておく4. 法人課税信託としての申告義務を税理士と詰めておく
時効(請求できる期限):特定の消滅時効はない。信託管理人が欠け、就任しない状態が1年続くと信託は終了する(本条8項)。目的信託の存続期間は20年を超えることができない(259条)。関連する金銭債権には一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 受益者の定めのない信託(目的信託)の制度が新設された。施行は平成19年(2007年)
- 令和6年(2024年)公益信託に関する法律制定に伴う改正 第1項に公益信託を除外する括弧書きが加えられたとみられる。施行日・改正範囲は要人的検証
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法全部改正により、受益者の定めのない信託(目的信託)の制度が新設された。施行は平成19年(2007年)
- 2.令和6年(2024年) 改正:公益信託に関する法律(令和6年法律第30号)の制定に伴い、第1項に同法の公益信託を本条の対象から除く括弧書きが置かれた。施行日は要確認
- 信託法 第3条信託の三つの設定方法
- 信託法 第259条目的信託の存続期間20年上限
- 信託法 第260条契約型目的信託の委託者の権限
- 信託法 第123条信託管理人の選任手続の原型
- 信託法 第149条信託の変更、本条2項3項の制限対象
- 公益信託に関する法律 第2条公益信託を本条の対象から除外
- 相続税法 第9条の4受益者等が存しない信託の受託者課税
- 法人税法 第2条法人課税信託の定義
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