信託法 第125条(信託管理人の権限)
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- 信託管理人は、受益者のために自己の名をもって受益者の権利に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
- 2.二人以上の信託管理人があるときは、これらの者が共同してその権限に属する行為をしなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
- 3.この法律の規定により受益者に対してすべき通知は、信託管理人があるときは、信託管理人に対してしなければならない。
この条文の基本情報
信託管理人の権限とは何ですか?
定義信託管理人の権限とは、信託法第125条に定められた規定で、「信託管理人は、受益者のために自己の名をもって受益者の権利に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第125条(信託管理人の権限)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第125条の条文原文は「信託管理人は、受益者のために自己の名をもって受益者の権利に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定…」で始まります。
- 信託法第125条は第一款 信託管理人に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第125条の前の条は信託法第124条です。
- 信託法第125条の次の条は信託法第126条です。
- 信託法第125条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第125条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第125条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/125
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法125条により、信託管理人は受益者のために自己の名で一切の裁判上・裁判外の行為ができる。複数いれば原則共同行使で、信託行為で変更できる。
Q · 信託管理人は、受託者を自分の名前で訴えられるの?
できる。ただし信託行為で権限が制限されることがある
信託法125条1項により、信託管理人は受益者のために自己の名をもって、受益者の権利に関する一切の裁判上又は裁判外の行為ができます。受託者の違反行為の差止め(44条)や損失てん補の請求(40条)も、信託管理人自身が原告となって訴えを起こせます。ただし信託行為に別段の定めがあればその範囲に限られ、二人以上いる場合は原則として共同で行使する必要があります(同条2項)。
解説
孫が生まれる前から、その孫のために財産を信託できる。ただ、受益者がまだこの世にいない間は、受託者が預かった財産を勝手に使い込んでも、異議を唱えられる人がいない。本条はその空白を埋めるために置かれた条文である。受益者が現に存在しない信託では、信託管理人(受益者の代わりに権利を行使する人)が、受益者のために「自己の名をもって」、裁判上か裁判外かを問わず、受益者の権利に関する一切の行為をできる。帳簿の閲覧請求も、受託者の違反行為の差止めも、損失てん補(受託者が信託財産に与えた損失の穴埋め)の請求訴訟も、自分が原告になって起こせる。さらに、法律上受益者に送るべき通知は、すべて信託管理人宛てになる。あなたが家族信託を設計する側なら、確認すべきことは二つある。一つは、信託管理人の権限を信託行為(信託契約や遺言)で削りすぎていないか。もう一つは、二人置いた場合に意見が割れると何も決められなくなる「共同行使」の原則に手当てをしているか、である。
法的な位置づけ
信託法第125条は信託管理人の権限を定める規定であり、信託管理人は受益者のために自己の名をもって、受益者の権利に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。二人以上あるときは共同行使を原則とし、受益者に対してすべき通知の宛先を信託管理人とする。1項・2項は信託行為による別段の定めを許容する。
手順
- 1.信託行為の信託管理人条項を確認する 信託契約書や遺言を開き、信託管理人の指定の有無、権限を制限する但書、二人以上の場合の単独行使の定めの三点を確認する
- 2.信託管理人がいなければ裁判所に選任を申し立てる 受益者が現に存在せず信託行為に信託管理人の定めもない場合、将来の受益者の親など利害関係人として裁判所に信託管理人の選任を申し立てる(信託法123条4項)
- 3.帳簿等の閲覧を書面で請求する 信託管理人として、受託者に信託財産目録と帳簿の閲覧・謄写を書面で請求する(信託法38条)。記録を先に押さえ、資金の流れを確認する
- 4.違反行為の差止め・損失てん補を自己の名で請求する 法令・信託行為違反で信託財産に著しい損害のおそれがあれば差止め(44条)、任務懈怠で損失が生じていれば損失てん補(40条)を自己の名で請求する。二人体制なら事前にもう一人の同意を書面で得る
よくある質問 AI による整理
Q1信託管理人とは?
受益者が現に存在しない信託で、受益者に代わって受託者を監督し権利を行使する人です。信託法123条で選任され、権限は125条が定めます。
Q2信託管理人には誰がなれる?
信託行為で指定された人がなります。ただし未成年者や、その信託の受託者本人は信託管理人になれません(信託法124条)。
Q3信託管理人の選任を裁判所に申し立てる方法は?
信託行為に信託管理人の定めがない場合、利害関係人が裁判所に選任を申し立てることができます(信託法123条4項)。
Q4信託管理人は報酬をもらえる?
信託行為に報酬の定めがあれば受け取れます。費用や報酬の扱いは信託法127条が規律しているため、契約段階で明記しておくのが安全です。
Q5信託管理人が二人いて意見が割れたらどうなる?
信託行為に別段の定めがなければ共同で行使する必要があるため、一人だけでは動けません(信託法125条2項)。単独行使の定めを置くのが対策です。
Q6信託管理人の権限は契約で制限できる?
できます。信託法125条1項但書により、信託行為に別段の定めがあればその範囲に限られます。ただし削りすぎると不正を追及できない空白が生じます。
Q7信託管理人は登記される?
信託不動産の場合、信託目録に信託管理人の氏名・住所が記録されます(不動産登記法97条)。登記事項証明書で誰でも確認できます。
Q8受益者がいない信託の通知はどこに届く?
法律上受益者に対してすべき通知は、信託管理人がいるときは信託管理人に対して行います(信託法125条3項)。受託者の辞任通知などが該当します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1信託管理人って、受託者の悪いところを見つけたら本当に訴えられるんですか?
訴えられる。信託法125条1項により、信託管理人は受益者のために自己の名をもって裁判上の行為ができ、自分が原告になる。判決の効力は受益者にも及ぶ(民事訴訟法115条1項2号)。実務のポイント:実際に訴訟まで行く例は少ない。その前の帳簿閲覧請求の段階で、受託者が使い込んだ分を自主的に戻すことが多い。最初の請求書の文面が勝負になる
Q2孫が生まれたら信託管理人の仕事はどうなるの?
受益者が現に存在するに至ったときは、信託管理人による事務の処理は終了する(信託法130条1項1号)。以後は受益者本人(未成年なら親権者)が権利を行使する。実務のポイント:終了の瞬間に引継ぎの空白が生まれやすい。生まれた後の監督役として受益者代理人や信託監督人を最初から契約に書いておくと、空白期間を作らずに済む
間違えやすい点 AI による整理
- 「家族信託のお目付け役=信託管理人」と覚えている人は、問いの立て方から間違えている。信託管理人を置けるのは受益者が現に存在しない場合(信託法123条)に限られる。認知症の親が受益者として存在しているなら、置くべきは信託監督人(131条)か受益者代理人(138条)である。名前を取り違えた契約書は、肝心なときに機能しない
- 信託管理人は受益者の権利の「一部」を代わりに使えるだけと思われがちだが、実際の範囲はもっと広い。原則は一切の裁判上・裁判外の行為であり、しかも受益者の名前ではなく自分の名前で訴訟を起こせる。逆に言えば、信託行為の但書で権限を絞った場合、その範囲の外にある不正は誰も追及できない空白地帯になる
- 受託者から見れば「受益者がいないから監視はゆるい」と感じるかもしれない。だが法律から見れば、通知の宛先も、帳簿閲覧の請求者も、損失てん補を請求する原告も、すべて信託管理人に一本化されている。監視者が一人に集約されているぶん、追及の動きはかえって速い
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 置かれる場面 | 信託法125条(信託管理人):受益者が現に存しない場合(123条) | 信託法132条(信託監督人):受益者は存在するが、自ら監督を適切に行えない特別の事情がある場合(131条) 信託法139条(受益者代理人):受益者が存在し、その代理人を信託行為で定めた場合(138条) |
| 権限の範囲 | 受益者の権利に関する一切の裁判上・裁判外の行為(信託行為で制限可) | 受託者監督に関する92条所定の権利(一部除く)に関する行為 代理する受益者の権利(42条の責任免除に係るものを除く)に関する一切の行為 |
| 行為の名義 | 自己の名をもって行う | 自己の名をもって行う 受益者の代理人として行う(代理する受益者の範囲を示せば足りる) |
| 受益者本人への影響 | 受益者が不存在のため問題にならない | 受益者は引き続き自ら権利を行使できる 92条各号等の権利を除き、受益者本人は権利行使できなくなる(139条4項) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では信託監察人が自己名義で訴訟上・訴訟外の行為をする。複数人の場合は過半数で決するのが原則で、日本の共同行使原則より機動的
2011年全部改正後の韓国信託法も、受益者不存在などの場合に信託管理人を置き、受益者のための権限行使を認める
中国では信託監察人は公益信託で必置とされ、自己名義で訴訟提起できる。私益信託の不在受益者保護の明文は日本ほど整っていない
米国では未出生・不特定の受益者のために裁判所が代表者を選任する仕組みがあり、常設の監督機関というより手続ごとの代表という色彩が強い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父が遺言で「将来生まれる長男の子」を受益者とする信託を設定し、叔父が受託者になった。三年後、信託口座から叔父の事業資金へ毎月30万円が流れている。受益者はまだ生まれていない。止められるのは信託管理人だけで、信託管理人は自分の名前で差止めも損失てん補の請求もできる
- 受託者のあなたが、信託財産のアパートを親族に相場より安く貸した。受益者がいないから誰にも咎められないと思っていたら、信託管理人から帳簿閲覧の請求書が届いた。利益相反取引(信託法31条)を疑われている
- 信託管理人が二人いる信託で、片方が受託者を訴えるべきだと言い、もう片方が反対したら、どうなる? 信託行為に定めがなければ共同で行使しなければならないので、訴えは起こせない。その間にも損失は膨らみ続ける
- 家族信託の契約書の案を司法書士から受け取った。「信託管理人の権限は帳簿の閲覧に限る」と一行書いてある。署名は来週。この一行を見落とせば、将来の受益者は受託者の不正に対して手も足も出なくなる
- 受託者が辞任した。法律上は受益者に通知すべき場面だが、受益者はまだいない。通知は信託管理人に届く。信託管理人が郵便を開けずに放置すれば、新受託者の選任が止まったまま時間だけが過ぎる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 将来の受益者の親など利害関係人の立場なら、まず信託行為に信託管理人の定めがあるか確認する。なければ裁判所に選任を申し立てる(123条4項) 2. 信託管理人に就いたら、信託財産目録と帳簿の閲覧を書面で請求する(38条) 3. 利益相反取引や流用の痕跡があれば、差止め(44条)と損失てん補(40条)を自分の名前で請求する4. 二人体制なら、もう一人の同意を書面で取ってから動く
訴えられた側:1. 受託者として信託管理人から請求を受けたら、信託行為の但書で権限が制限されていないかをまず確認する2. 二人体制で一人だけが動いている場合は、共同行使の原則(本条2項)違反を指摘できる余地がある3. 支出の正当性を示す帳簿と証憑を揃え、利益相反取引なら受益者の利益を害さないことの根拠を準備する4. 争いが長引くと任務懈怠で解任される(58条)リスクがあるため、早めに説明の場を設ける
時効(請求できる期限):本条自体に特定の期間制限はない。受託者に対する損失てん補請求には一般の消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が基本となるが、信託法43条に特則があり、受益者が受益者として指定を受けたことを知るまでは時効が進行しないなど起算点が修正されている(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:信託管理人は受益者の権利を自己の名で行使する法定訴訟担当者であり、受益者の名で行為する受益者代理人とは名義の点で区別される。判決効は民訴115条1項2号により受益者に及ぶ
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 旧信託法8条の信託管理人制度を承継し、権限の範囲、複数人の場合の共同行使、通知の宛先を明文化した条文として現行法に設けられた。以後、本条の文言改正は確認されていない
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法全部改正(平成18年法律第108号)により新設。旧信託法8条の信託管理人制度を承継し、権限範囲・共同行使・通知宛先を明文化。2007年9月30日施行
- 信託法 第123条信託管理人の選任要件、受益者不存在が前提
- 信託法 第124条信託管理人の欠格事由、受託者の兼任禁止
- 信託法 第126条善管注意義務と誠実公平義務
- 信託法 第130条受益者出現による事務処理の終了
- 信託法 第258条遺言による目的信託での信託管理人の定め
- 民事訴訟法 第115条訴訟担当の判決効が受益者に及ぶ根拠
- 不動産登記法 第97条信託目録への信託管理人の登記
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