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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年7月4日読了 6 分6 分6 分

信託法 第9条(脱法信託の禁止)

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法令によりある財産権を享有することができない者は、その権利を有するのと同一の利益を受益者として享受することができない。

この条文の基本情報

脱法信託の禁止とは何ですか?

定義脱法信託の禁止とは、信託法第9条に定められた規定で、「法令によりある財産権を享有することができない者は、その権利を有するのと同一の利益を受益者として享受することができない。」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 信託法第9条(脱法信託の禁止)は、日本の信託法に含まれる条文です。
  2. 信託法第9条の条文原文は「法令によりある財産権を享有することができない者は、その権利を有するのと同一の利益を受益者として享受することができない。」で始まります。
  3. 信託法第9条は第一章 総則に置かれています。
  4. 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
  5. 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
  6. 信託法第9条の前の条は信託法第8条です。
  7. 信託法第9条の次の条は信託法第10条です。
  8. 信託法第9条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式信託法(平成十八年法律第百八号)第9条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108
  • 本サイト収録信託法(平成十八年法律第百八号)第9条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/9

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点信託法9条は、法令上ある財産権を持てない者が、受益者としてその権利と同一の利益を受けることを禁じる。農地や鉱業権の保有制限は信託で回避できない。

Q · 法律で持てない財産でも、信託の受益者になれば利益を受け取れるの?

受け取れない。法令で持てない財産の利益は信託でも享受不可

信託法9条により、法令上ある財産権を享有できない者は、受益者としてその権利を有するのと同一の利益を享受できません。たとえば農地法3条の許可を得られない者が農地を信託財産とする信託の受益者になっても、その利益を受けることは認められません。合意の有無にかかわらず働く規定であり、信託全体が無効になるか受益部分だけが否定されるかは、信託の目的との関係で解釈が分かれます。

解説

条文はたった一文で、罰則もない。それでも信託の設計図を丸ごと白紙に戻す力がある。法律が「あなたはこの財産を持てない」と定めているのに、名義は他人に預けて中身の利益だけ受け取る。信託法9条は、その迂回路をふさぐ。典型例は農地である。農地法3条は、農地の権利を移すには農業委員会の許可が必要だと定め、信託の引受けによる取得は農協などの例外を除いて原則として許可されない。鉱業権は日本国民と日本法人しか持てず(鉱業法17条)、外国人は日本で航空機を登録できない(航空法4条)。こうした制限を「受益者(信託から利益を受け取る人)」という立場ですり抜けようとしても、法はその利益を受け取ることを認めない。注意すべきは効力の範囲である。信託全体が無効になるのか、受益部分だけが否定されるのかは、実務上、解釈が分かれている。家族信託の契約書に判を押す前に、信託財産の中に「持つことを法律が制限している財産」が混じっていないかを確かめておきたい。

法的な位置づけ

信託法9条は脱法信託の禁止を定める規定であり、法令上ある財産権を享有できない者が、受益者という地位を通じて、その権利を有するのと同一の利益を享受することを否定する。農地法、鉱業法、航空法など個別法による保有主体の制限を、信託による名義と利益の分離によって潜脱することを防ぐ趣旨である。

よくある質問 AI による整理

Q1脱法信託とは何ですか?

法律上その財産を持てない人が、信託の受益者になることで実質的な利益だけを得ようとする信託です。信託法9条がこれを禁じています。

Q2信託法9条に違反するとどうなる?

受益者として利益を享受することが否定されます。罰則はありませんが、信託全体の効力にも影響しうるため、後から不当利得返還などの争いになりえます。

Q3農地は家族信託に入れられない?

農地のままでは原則困難です。農地法3条の許可が必要で、信託の引受けによる取得は農協などの例外を除き許可されません。

Q4鉱業権を外国人が信託で持つことは違法?

鉱業法17条は鉱業権者を日本国民・日本法人に限るため、外国人が受益者として鉱業権の利益を受ける信託は信託法9条に抵触します。

Q5信託法9条に罰則はある?

ありません。ただし民事上の効力が否定されるため、売却や相続の場面で信託が機能しないことが判明し、大きな損失につながることがあります。

Q6脱法信託の無効はいつまで主張できる?

無効の主張自体に期間制限はないと解されています。ただし受け取った利益の返還請求には民法166条の消滅時効(5年/10年)が適用されます。

Q7信託法9条は旧信託法の何条?

旧信託法(大正11年法律)10条です。2006年の全部改正で現代語化され、新信託法9条に実質的な変更なく引き継がれました。

Q8外国人が日本の宅地を信託で取得するのは違法?

違法ではありません。現在は外国人の一般的な土地取得を禁じる政令がないため、宅地は直接所有でき、信託法9条の問題にはなりません。

この条文についての質問 AI による整理

Q1家族信託で実家の畑も一緒に入れたいんですが、できますか?

農地のままでは、原則として難しい。農地法3条は農地の権利移転に農業委員会の許可を求めており、信託の引受けによる取得は農協などの例外を除き許可されないからである。許可のない権利移転は効力を生じない。実務のポイント:実務では、宅地に地目変更してから信託に入れる、転用許可を条件にした信託にする、農地は遺言で別に手当てする、といった回避策を組み合わせる。最初の面談で農地の有無を自分から伝えるだけで、設計の手戻りが一度減る

Q29条に引っかかると、信託契約は全部ダメになるんですか?

条文は「同一の利益を享受することができない」としか書いておらず、信託全体が無効になるのか、その受益部分だけが否定されるのかは実務上、解釈が分かれている。信託の目的がその財産に依存している場合は、全体の効力に波及すると考えられやすい。実務のポイント:争いになった場合、9条だけでなく民法90条(公序良俗)や各規制法の効力規定もあわせて主張されることが多い。契約書に「一部が無効でも他の部分は有効とする」という分離条項があるかどうかが、実際の勝負を分ける

Q3外国人の友人に、日本の土地を信託で持たせてあげることはできますか?

宅地などの一般的な土地なら、外国人でもそもそも直接所有できるので、信託で迂回する必要はない。9条が問題になるのは、農地(農地法3条)、鉱業権(鉱業法17条)、日本籍の航空機(航空法4条)など、法律が持ち主を個別に限定している財産である。実務のポイント:重要土地等調査法の対象区域では、取得そのものは禁止されていなくても、利用状況の調査や届出の対象になりうる。所有できるかどうかと、監視の対象になるかどうかは、分けて確認する

間違えやすい点 AI による整理

  • 「契約で決めたことだから、当事者が合意していれば有効だ」と考えがちだが、9条は当事者の合意を超えて働く。全員が納得していても、法令上その財産を持てない人が受益者に入っていれば、その利益を受け取ることは認められない。合意の有無は問題ではない
  • 「外国人は日本の土地を買えないから、信託で回避する必要がある」という問いの立て方自体が誤っている。外国人土地法は政令による制限を予定しているだけで、現在は一般的な土地取得を禁じる政令はない。信託法9条が本当に問題になるのは、農地・鉱業権・航空機登録のように、個別の法律がはっきり持ち主を限定している財産である
  • 9条違反は罰則がないから軽い、と受け止められやすい。しかし怖さは刑罰ではなく時間差にある。信託はふつう何年、何十年と続くため、問題が表に出るのは売却や相続のときになりやすい。そのころには委託者が亡くなっていて、設計をやり直せないことが多い
比較の観点この条文ほかの条文
規制の対象信託法9条:法令上財産権を持てない者が受益者となる脱法信託信託法10条:訴訟行為をさせることを主たる目的とする訴訟信託
信託法11条:委託者が債権者を害することを知ってした詐害信託
守ろうとする利益農地法・鉱業法など個別法の保有主体制限の実効性弁護士代理の原則など訴訟制度の健全性
委託者の債権者の責任財産
効果受益者としての利益享受の否定(信託全体への波及は解釈に委ねられる)当該信託をすることができない(無効)
債権者による詐害信託の取消請求

他国ではどう定めているか 3 か国

台湾
信託法第5條第4款

依法不得受讓特定財產權之人を受益者とする信託行為を「無効」と明記する。日本法は受益の享受を否定する書き方で、効果の範囲に解釈の余地を残す点が異なる

韓国
신탁법 제7조

日本法とほぼ同じ文言で、法令上財産権を享有できない者が受益者として同一の利益を享受することを禁じる

アメリカ
Restatement (Third) of Trusts § 29

米国では脱法信託を独立に定める条文はなく、違法・公序違反目的の信託の無効という一般原則で処理される

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 父の認知症対策で家族信託を組んだ。自宅とアパートと一緒に、実家の田んぼも信託財産の目録に入れた。数年後に売却しようとして司法書士から告げられる。「田んぼの部分は信託登記ができていません」。農地法の許可がない限り、農地は信託財産として動かない
  • 外国籍の投資家から、日本法人を受託者にして中身の利益だけ受け取れるスキームを組んでほしいと頼まれた。対象は鉱業権がからむ事業である。設計を引き受けたあなたは、9条に真正面からぶつかる仕組みの作成者になる。報酬を受け取る前に、スキームそのものが無効と判断されるリスクを説明できるか?
  • もし、農地を持てない親族が受益者になる信託がすでに動いていて、その親族が地代を何年も受け取り続けていたとしたら、どうなる? ほかの相続人が信託の無効を主張すれば、受け取ったお金が不当利得(法律上の理由なく得た利益)として返還を求められる火種になる
  • 相続税の申告期限まであと4か月。税理士から信託を使った節税案が出てきたが、財産目録に山林と農地が混ざっている。期限に追われて契約を結ぶと、あとで信託の一部が機能していないことが分かり、遺産分割を最初からやり直すことになりかねない

取るべき行動

被害を受けた側:1. 相続人や関係者として信託の内容に疑問があれば、信託契約書・財産目録・登記事項証明書を取り寄せ、農地・鉱業権・航空機など持ち主が制限された財産がないか確認する2. 該当する財産があれば、農業委員会の許可など必要な手続を経ているか調べる3. 受益者が受け取った利益がある場合、無効の主張や不当利得返還請求の可否を弁護士に相談する。信託全体が無効になるか、一部だけ否定されるかは解釈が分かれるため、主張は段階的に組み立てる

訴えられた側:1. 信託の設計者・受託者の立場なら、問題の財産を信託財産から外すか、受益者を権利を持てる人に変更する修正を、委託者の判断能力があるうちに行う2. 農地なら、地目変更(農地転用)や、信託以外の手段(任意後見、遺言との併用)を検討する3. 信託全体の無効ではなく一部の問題にとどまると主張できるよう、信託の目的と各財産の関係を書面で整理しておく

時効(請求できる期限):9条違反を主張できる期間に特別な定めはなく、無効の主張自体に期間制限はないと解されている。一方、受け取った利益の返還を求める不当利得返還請求には一般の消滅時効(民法166条:権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年)が適用される

学説

通説:本条は各規制法の目的を信託経由でも貫徹させる趣旨の規定であり、合意の有無を問わず適用される。違反の効果は受益者としての利益享受の否定であり、信託全体の効力は信託目的と当該財産の関係に応じて判断されるとする見解がある

改正沿革 AI による整理

  • 平成18年(2006年)信託法全部改正 旧信託法(大正11年法律)10条の脱法信託禁止規定を、現代語化したうえで新信託法9条に引き継いだ。規律内容に実質的な変更はない

改正の年表

  1. 1.大正11年(1922年) 新設:旧信託法10条として、法令により財産権を享有できない者が受益者としてその権利と同一の利益を享受することを禁じる規定を設けた
  2. 2.平成18年(2006年) 改正:信託法全部改正(平成18年法律第108号)。旧10条を現代語化して新信託法9条に移行した。規律内容に実質的な変更はない

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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

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