刑事訴訟法 第316条の9
クイックジャンプ
- 被告人は、公判前整理手続期日に出頭することができる。
- 2.裁判所は、必要と認めるときは、被告人に対し、公判前整理手続期日に出頭することを求めることができる。
- 3.裁判長は、被告人を出頭させて公判前整理手続をする場合には、被告人が出頭する最初の公判前整理手続期日において、まず、被告人に対し、終始沈黙し、又は個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨を告知しなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第316条の9は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第316条の9の条文原文は「被告人は、公判前整理手続期日に出頭することができる。」で始まります。
- 刑事訴訟法第316条の9は第一目 通則に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第316条の9の前の条は刑事訴訟法第316条の8です。
- 刑事訴訟法第316条の9の次の条は刑事訴訟法第316条の10です。
- 刑事訴訟法第316条の9には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第316条の9 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第316条の9(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/316_9
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法316条の9は、被告人が公判前整理手続期日に出頭できると定める。出頭は権利であり義務ではないが、裁判所は必要と認めるとき出頭を求めることができる。
Q · 公判前整理手続に、被告人本人も行けるんですか?
出頭は権利であり義務ではないが、節目の回には出た方がよい
刑事訴訟法316条の9第1項により、被告人は公判前整理手続期日に出頭することができます。出頭は権利であって義務ではないため、欠席それ自体で不利益を受けることはありません。ただし第2項により裁判所が必要と認めて出頭を求めることができ、第3項により被告人を出頭させる場合、裁判長は最初の期日でまず黙秘権を告知しなければなりません。手続終結後は証拠調べ請求が制限される(316条の32)ため、争点と証拠が固まる回への出頭には実質的な意味があります。
解説
起訴されてから第一回公判が開かれるまでの間に、裁判官・検察官・弁護人が非公開の部屋に集まって、争点と証拠を絞り込む会議がある。これが公判前整理手続だ。刑事訴訟法316条の9は、その会議にあなた自身が出席できると定めている。「できる」であって「しなければならない」ではない。ここが分岐点になる。弁護人だけが出席し、あなたは拘置所で待つ選択もできる。だが会議室で決まるのは、どの証拠を法廷に出すか、何を争点とするか、証人を何人呼ぶか、そして公判が何日で終わるかだ。この手続で「主張しなかったこと」は、後の公判で新たに持ち出そうとしても制限を受ける(316条の32)。あなたが座っていなかった部屋で、あなたの裁判の設計図が引かれる。第3項が定めるのは、出席した最初の期日で裁判長があなたに黙秘権を告げる義務。公判廷の冒頭手続と同じ告知が、この非公開の会議室でも必要とされている理由を考えてほしい。ここは、あなたが口を開けば記録が残る場所なのである。
法的な位置づけ
刑事訴訟法316条の9は、公判前整理手続期日における被告人の出頭を定める規定である。第1項は被告人に出頭権を認め、第2項は裁判所が必要と認めるときに出頭を求める権限を定め、第3項は被告人を出頭させる場合における最初の期日での黙秘権告知義務を裁判長に課している。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.期日の日程と各回の議題を弁護人から取り寄せる 公判前整理手続の期日がいつ入っているか、各回で何が決まるか(証拠開示・争点整理・予定主張明示・終結)を一覧で出してもらう。どの回が節目かを把握しないと、出頭の判断ができない
- 2.出頭したい旨を弁護人経由で裁判所に伝える 316条の9第1項の出頭は被告人自身の権利であり、弁護人の判断のみで放棄されるものではない。出頭を希望する回を特定して弁護人に伝え、勾留中であれば身柄の押送手配が必要になるため早めに申し出る
- 3.出頭前に争点と予定主張を弁護人と文書で確認する 何を争点にするか、どの主張を出しどれを留保するかを、期日前に文書で共有して合意しておく。会議室で初めて意見が食い違うと、その場の流れで弁護人の案が確定してしまう
- 4.最初の期日では黙秘権告知を受けた後、即答しない 第3項により裁判長から黙秘権が告知される。その場の質問に反射的に答えず、弁護人と相談する時間を求める。ここでの説明は予定主張明示(316条の17)として記録に残り、後の公判で変更すると追及材料になる
- 5.終結前に、落とされる主張と未請求の証拠を最終確認する 手続終結後はやむを得ない事由がある場合を除き証拠調べ請求ができなくなる(316条の32)。争点から落とす主張については理由を弁護人に説明させ、記録に残る形で意思を伝えておく
よくある質問 AI による整理
Q1公判前整理手続とは何ですか?
第一回公判の前に、裁判所・検察官・弁護人が非公開で争点と証拠を整理し、審理計画を立てる手続です。刑事訴訟法316条の2以下が定めています。
Q2公判前整理手続の期間はどのくらいですか?
事件により大きく異なり、数か月から1年以上に及ぶこともあります。証拠開示の範囲と争点の数で長さが決まり、法律上の上限期間はありません。
Q3公判前整理手続には誰が出席しますか?
裁判官、検察官、弁護人が出席します。弁護人がいなければ手続は行えません(316条の4)。被告人は316条の9により出頭することができます。
Q4裁判所から出頭を求められたら断れますか?
第2項の出頭要求に強制力はありませんが、実務上は応じるのが前提です。正当な理由なく応じないと、審理計画の調整で不利に働く場面があります。
Q5公判前整理手続が終わると新しい証拠は出せませんか?
やむを得ない事由がある場合を除き、新たな証拠調べ請求はできません(316条の32)。出したい証拠は終結前にすべて洗い出す必要があります。
Q6公判前整理手続は傍聴できますか?
できません。公開の法廷ではなく非公開の手続であり、傍聴人や報道は入れません。内容は公判前整理手続調書に記録されます。
Q7裁判員裁判では公判前整理手続は必須ですか?
必要的です。裁判員の参加する刑事裁判に関する法律49条により、裁判員裁判対象事件は必ず公判前整理手続に付されます。
Q8期日間整理手続と公判前整理手続の違いは何ですか?
公判前整理手続は第一回公判前に、期日間整理手続は公判が始まった後に行う整理手続です。目的は同じで、被告人の出頭に関する扱いも準用されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1公判前整理手続って、行かなかったら不利になりますか?
出席は権利であって義務ではないため、欠席それ自体を理由に不利益な判断をされることはない。ただし第2項で裁判所から出頭を求められた場合は、応じるのが実務上の前提になる。実務のポイント:弁護人が「来なくていい」と言うのは、多くの場合あなたの負担への配慮であって、出席が無意味という意味ではない。争点の絞り込みに納得がいかない可能性があるなら、出席したい旨を明確に伝えてよい。
Q2会議室で裁判長に黙秘権を告げられました。何か言った方がいいんでしょうか?
第3項の告知は、その場での発言が手続上の意味を持つという合図である。整理手続では予定主張の明示(316条の17)が求められるが、それは弁護人を通じて整理された形で行うのが原則だ。実務のポイント:この場で被告人本人が感情的に弁解を始めると、後の公判で主張を変えたときに「整理手続での説明と違う」と追及される材料になる。話すべき内容は事前に弁護人と詰めておくのが実務の常道である。
間違えやすい点 AI による整理
- 「公判前整理手続は専門家同士の技術的な打合せだから、素人が行っても意味がない」と思われがちだが、そこで決まるのは争点そのものだ。争点設定は技術ではなく、あなたが何を争いたいかという価値判断を含む。弁護人の訴訟戦略とあなたの納得が食い違ったまま設計が固まると、公判では修正がきかない
- 出席「できる」という条文の軽さから、参加してもしなくても同じだと受け取る人が多い。だが実質を見れば逆で、公判前整理手続を経た事件では、その後の証拠調べ請求が原則として制限される(316条の32)。参加の可否が軽いのではなく、参加しなかった場合に失われるものが重い
- 黙秘権の告知は法廷の冒頭手続だけのものだと理解されているが、第3項は非公開の整理手続にも同じ告知義務を課している。法律から見れば、この会議室はすでに「あなたの供述が意味を持つ場」なのだ。あなたが打合せの延長と感じている場所を、法は手続の一部として扱っている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 316条の9:被告人の出頭(権利)と黙秘権告知 | 316条の4:弁護人の関与(弁護人がなければ手続不能) 291条:公判廷の冒頭手続における黙秘権告知 |
| 出席・関与の性質 | 出頭することが「できる」=権利、欠席しても手続は進む | 弁護人の出席は必要的、欠席なら期日を開けない 被告人の在廷は原則必要(公開の法廷) |
| 公開性 | 非公開の整理手続期日、傍聴不可 | 非公開の整理手続期日、傍聴不可 公開の法廷、傍聴可 |
| 手続を逃した場合の効果 | 欠席自体に制裁はないが、争点設計への関与機会を失う | 弁護人不在なら期日そのものが成立しない 冒頭手続の告知漏れは手続の法令違反となりうる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も第一回公判前に準備程序期日を設け、争点整理・証拠調べ範囲の確定を行う。被告の到庭が原則とされる点で、出頭を権利構成とする日本と設計思想が異なる
韓国は2007年改正で공판준비기일を導入。被告人は法院の召喚がなくても公判準備期日に出席できると明記されており、日本316条の9第1項と極めて近い権利構成をとる
ドイツには日本のような包括的な整理手続はなく、裁判所と当事者の手続状況の協議(Erörterung des Verfahrensstands)と期日準備の規定で対応する。被告人の関与の程度は事件により裁判所の裁量に委ねられる
米国の pretrial conference は争点整理の点で本条の淵源に近いが、同規則は被告人本人が署名した書面によらない限り、会議での自白的陳述を被告人に不利に用いてはならないと明記する点に特色がある
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 裁判員裁判の対象事件で起訴された。弁護人から「公判前整理手続は私が出ますので、あなたは来なくて結構です」と言われた。だがその会議で、あなたが一番言いたかったアリバイの主張が「立証の見込みが薄い」として落とされていたら? 出席権はあなたのものであり、弁護人の判断だけで放棄されるべきものではない
- 保釈中の被告人。仕事を休んで裁判所に行くべきか迷っている。出席は権利であって義務ではないため、欠席しても不利益な扱いは受けない。ただし第2項で裁判所から出頭を求められた場合は、事実上出席せざるを得ない場面になる
- 初めて公判前整理手続期日に出頭した被告人が、裁判長から「終始沈黙し、又は個々の質問に対し陳述を拒むことができる」と告げられた。ここで焦って弁解を始めると、その内容が主張明示(316条の17)として記録に残り、後で覆すのが極めて難しくなる。会議室だから雑談的に話してよい、という場所ではない
- あと2週間で第一回の公判前整理手続期日。弁護人との打合せは30分しか取れていない。この期日で予定主張を出すか留保するかが決まり、そこで出さなかった主張は公判で制限される。時間圧は公判の日ではなく、この非公開の会議の側にある
取るべき行動
被害を受けた側:被害者側は公判前整理手続の当事者ではなく、原則として出席できない。ただし被害者participation制度(刑事訴訟法316条の33以下)により、公判段階での参加申出は可能である。整理手続の進行状況は、検察官または被害者支援の担当者を通じて確認する。証拠として提出してほしい資料(診断書、被害状況の記録)があるなら、整理手続が終わる前に検察官へ渡すこと。手続終結後は証拠請求が制限されるため、タイミングを逃すと法廷に出せない。
訴えられた側:1. 弁護人に公判前整理手続の期日と、各回で何が決まるかを一覧で出してもらう2. 第一回と予定主張明示の回には原則出席する3. 出席した最初の期日で黙秘権の告知を受けたら、その場の質問に反射的に答えず、弁護人と相談する時間を求める4. 争点から落とされそうな主張があれば、落とす理由を弁護人に説明させ、記録に残す形で意思を伝える5. 手続終結後は新たな証拠調べ請求が制限される(316条の32)ため、出したい証拠はすべて終結前に洗い出す。
時効(請求できる期限):本条自体に特定の期間制限はない。ただし実務上の期限は、公判前整理手続の終結時点である。終結後は、やむを得ない事由がある場合を除き新たな証拠調べ請求ができなくなる(316条の32)。期日の指定は裁判所が行うため、通知を受けたらその日までに弁護人との打合せを完了させる必要がある。
学説
通説:316条の9第1項の出頭は被告人固有の権利と解され、弁護人の必要的関与(316条の4)とは別個の保障である。第3項の告知義務は、非公開の整理手続における被告人の供述も手続上の意味を持つことを前提に、憲法38条1項の趣旨を手続内で具体化したものと理解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:裁判員制度の導入に伴う刑事訴訟法改正により、公判前整理手続(316条の2以下)が新設され、その一部として被告人の出頭に関する本条が置かれた。平成17年(2005年)11月から施行。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める