刑事訴訟法 第331条
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- 裁判所は、被告人の申立がなければ、土地管轄について、管轄違の言渡をすることができない。
- 2.管轄違の申立は、被告事件につき証拠調を開始した後は、これをすることができない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第331条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第331条の条文原文は「裁判所は、被告人の申立がなければ、土地管轄について、管轄違の言渡をすることができない。」で始まります。
- 刑事訴訟法第331条は第五節 公判の裁判に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第331条の前の条は刑事訴訟法第330条です。
- 刑事訴訟法第331条の次の条は刑事訴訟法第332条です。
- 刑事訴訟法第331条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第331条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第331条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/331
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法331条は、土地管轄の管轄違いを被告人の申立てがなければ言い渡せず、証拠調べ開始後は申立てできないと定める。事物管轄と違い職権では是正されない。
Q · 管轄が違う裁判所で起訴されたら、裁判所が勝手に直してくれるの?
土地管轄は直りません。自分で証拠調べ前に申立てが必要です
刑事訴訟法331条1項により、土地管轄の管轄違いは被告人が申し立てなければ裁判所が言い渡すことはありません。さらに2項で、その申立ては証拠調べを開始した後はできません。第一回公判で冒頭手続が終わり証拠調べに入ると、土地管轄を争う窓は閉じます。なお管轄違いが認められても無罪ではなく、検察官が正しい裁判所に起訴し直すだけです(刑訴329条)。
解説
あなたが福岡に住んでいるのに、なぜか東京地裁から起訴状が届いた。場所がおかしいと感じても、裁判所の方から「ここは管轄が違いますね」と言ってくれることは、土地管轄(どの地域の裁判所か)については絶対にない。刑訴法331条1項がそう定めている。動くのはあなた自身、被告人の申立てがなければ裁判所は土地管轄違いを口にしない。しかも2項にもっと怖い仕掛けがある。証拠調べが始まった後は、もう管轄違いの申立てはできない。第一回公判で冒頭手続が終わり、検察官が証拠を出し始めた瞬間、あなたが遠方の裁判所で戦い続ける運命が確定する。ここで多くの人が誤解する。管轄違いを主張しても無罪になるわけではない。検察官が正しい裁判所に起訴し直すだけだ。それでも、自分の生活圏で裁判を受けられるかどうかは、出廷の交通費、弁護人へのアクセス、防御の現実性を大きく左右する。
法的な位置づけ
刑事訴訟法331条は土地管轄に関する管轄違いの取扱いを定める規定である。第1項は、被告人の申立てがない限り裁判所が土地管轄について管轄違いを言い渡せないことを、第2項は、その申立てが被告事件につき証拠調べを開始した後はできないことを規定する。事物管轄と異なり職権是正の対象外とする点に特徴がある。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.起訴状で起訴された裁判所を真っ先に確認 起訴状を受け取ったら罪名より先に「どこの裁判所か」を確認する。犯罪地でも自分の住所・居所・現在地でもないなら、土地管轄違いの余地がある(刑訴2条)
- 2.弁護人と管轄違いの申立てを書面で準備 土地管轄違いの余地があると判断したら、直ちに弁護人に相談し、管轄違いの申立てを書面で準備する。根拠条文(刑訴2条・331条)と正しい管轄裁判所を明示する
- 3.証拠調べ開始前に申立てを提出(最重要) 申立ては第一回公判の冒頭手続の段階、証拠の取調べに入る前に提出する。証拠調べが開始されると2項により却下され、正しい主張でも一切聞いてもらえなくなる
- 4.管轄違いより19条移送の実益も検討 管轄違いで終わらせるより、19条の移送で戦いやすい裁判所へ事件を移す方が実益が大きい場合がある。狙うのは無罪ではなく防御しやすい場所の確保なので、弁護人と戦略を相談する
よくある質問 AI による整理
Q1土地管轄とは何ですか?
どの地域の裁判所が事件を扱うかという管轄です。刑事では原則として犯罪地、被告人の住所・居所・現在地の裁判所が土地管轄を持ちます(刑訴2条)。
Q2事物管轄と土地管轄の違いは何ですか?
事物管轄は簡裁か地裁かという審級・事件の重さの区分、土地管轄はどの地域かの区分です。事物管轄は職権で是正されますが、土地管轄は被告人の申立てが必要です。
Q3管轄違いの言渡しとは何ですか?
その裁判所に管轄がないとして訴訟を打ち切る判決です(刑訴329条)。無罪でも免訴でもなく、検察官は正しい裁判所に改めて起訴できます。
Q4刑事で管轄違いになると事件はどこに起訴し直されますか?
犯罪地や被告人の住所地など、土地管轄を持つ正しい裁判所に検察官が再度起訴します。事件そのものが消えるわけではありません。
Q5移送と管轄違いはどう違いますか?
管轄違いは管轄のない裁判所が訴訟を打ち切るもの、移送(刑訴19条)は管轄のある裁判所同士で事件を移すものです。実務では移送の方が便宜的に使われます。
Q6痴漢冤罪で遠方の裁判所に起訴されたらどうすればいいですか?
起訴された裁判所が犯罪地でも住所地でもなければ土地管轄違いの余地があります。証拠調べ開始前に弁護人と申立てを準備するのが鍵です。
Q7刑事と民事では管轄の争い方が違いますか?
民事は契約で事前に裁判所を合意できます(民訴11条)が、刑事の土地管轄は事前合意できず、起訴後に331条で申し立てるしかありません。
Q8管轄違いの申立ては誰ができますか?
土地管轄については被告人(または弁護人)です。裁判所は職権で言い渡せず、検察官の請求でもなく、被告人の申立てが要件となります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1管轄が違う裁判所で起訴されたら、それだけで無罪になりますか?
なりません。土地管轄違いが認められても、裁判所は『管轄違い』の言渡し(刑訴329条)をするだけで、無罪でも免訴でもありません。検察官は正しい裁判所に改めて起訴できます。実務のポイント:だから弁護人は管轄違いを単独で狙うより、それをてこに19条の移送や有利な処理を引き出すことが多い。『場所を変える』カードであって『事件を消す』カードではないと割り切るのが実務感覚です。
Q2あとから管轄がおかしいと気づいたんですが、もう間に合いますか?
証拠調べが始まっていれば、土地管轄についてはもう申立てできません(刑訴331条2項)。第一回公判で冒頭手続が終わり証拠の取調べに入った時点で窓は閉じます。実務のポイント:逆に言えば、事物管轄(簡裁か地裁かという審級の問題)は331条の制限を受けず、いつでも裁判所が職権で正します。『管轄違い』とひと括りにせず、土地管轄か事物管轄かを見分けることが、間に合うかどうかの分かれ目です。
間違えやすい点 AI による整理
- 「管轄が違うと主張すれば事件は終わる」と考える人がいるが、問いの立て方そのものが誤っている。管轄違いの言渡しは無罪でも免訴でもなく、訴訟をその裁判所で打ち切るだけの判決(刑訴329条)。検察官は正しい裁判所に改めて起訴できる。あなたが得るのは「終わり」ではなく「場所の移動」にすぎない
- 土地管轄に締切があることは知っていても、その締切が「判決まで」ではなく「証拠調べの開始前」だという深刻さを知らない人が多い。第一回公判で証人尋問や書証の取調べが始まった瞬間、もう手遅れ。猶予は思っているより遥かに短い
- 「裁判所が管轄を間違えていれば、職権で直してくれる」と思いがちだが、土地管轄ではそれが当てはまらない。事物管轄(簡裁か地裁か、という審級の問題)は職権で正されるのに対し、土地管轄(どの地域か)は被告人の申立てがなければ裁判所は動かない。同じ「管轄」でも扱いが正反対だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律内容 | 331条:土地管轄の管轄違いの取扱い(申立事項・時的限界) | 2条:土地管轄の決定基準(犯罪地・住所地等) 329条:管轄違いの判決形式 |
| 発動の主体 | 被告人の申立て(職権不可) | 法律上当然に決まる 裁判所の判決 |
| 時的限界 | 証拠調べ開始後は申立て不可(2項) | 制限なし 管轄なしと判断した時点で言渡し |
| 代替手段 | 19条の移送、18条の管轄移転 | — — |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も犯罪地・被告住所地等で土地管轄を定め、管轄なしの場合は管轄錯誤の判決を言い渡す。職権で管轄錯誤判決をなしうる点は日本とやや異なる。
韓国も土地管轄違いの申立ては被告事件についての陳述前に限るとし、時的限界を設ける点で日本331条と非常に近い。
ドイツも土地管轄の欠如の抗弁は被告人の本案陳述開始前までとし、その後は職権でも審査しない。被告人主導かつ時的限界を設ける構造が日本と共通する。
米国は原則として犯罪地(venue)で公判を行い、venue の異議は公判前に提起すべきとされる。憲法上の保障(第6修正)に裏打ちされる点が特徴。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、第一回公判が来週に迫っているのに、起訴された裁判所が明らかに遠方で土地管轄もあやしいとしたら? 動けるのは証拠調べが始まる前まで。冒頭手続のあいだに申立てを出さなければ、その権利は永久に消える。残された時間で弁護人と詰められるか、そこが分水嶺になる
- あなたが被告人で、犯罪地でも自分の住所地でもない裁判所に呼び出された。裁判所は親切に教えてはくれない。自分で331条を盾に管轄違いを申し立てるしかない
- 弁護人がまだつかない段階で何も言わずに公判が進み、証拠調べに入ってしまった。あとから「あの裁判所、土地管轄が違うのでは」と気づいても、2項の壁で門前払い。タイミングを逃した時点で、土地管轄の争いはもう終わっている
取るべき行動
被害を受けた側:あなたが被害者で加害者が起訴された場合、被告人側が土地管轄違いを申し立てると事件が別の裁判所へ移される可能性がある。ただし無罪になるわけではなく、検察官が正しい裁判所に起訴し直すだけなので、案件が消える心配は不要。気になるなら担当検察官に管轄の根拠(犯罪地か被告人の住所地か)を確認しておく。被告人は証拠調べが始まればもう争えなくなるため、第一回公判を越えれば移送リスクはほぼ消える。
訴えられた側:1. 起訴状で起訴された裁判所を確認し、犯罪地でも自分の住所・居所・現在地でもないなら土地管轄違いの余地がある(刑訴2条) 2. 弁護人に相談し、管轄違いの申立てを書面で準備する3. 最重要は時期、証拠調べが開始される前(冒頭手続の段階)に申し立てること、これを過ぎると2項で却下される4. 管轄違いで終わらせるより、19条の移送で戦いやすい裁判所へ移す方が実益が大きい場合があるので、弁護人と戦略を相談する
時効(請求できる期限):土地管轄違いの申立ては、被告事件につき証拠調べを開始した後はできない(刑訴331条2項)。起算点は起訴状の受領ではなく「証拠調べの開始」、実質的には第一回公判で冒頭手続を終えて証拠の取調べに入るまでが勝負。なお事物管轄違いには331条の制限が及ばず、裁判所が職権で判断する。
学説
通説:通説は土地管轄を相対的訴訟条件と位置づける。被告人が証拠調べ開始前に管轄違いを申し立てなければ瑕疵は治癒し、審理の安定と訴訟経済が優先される。事物管轄を絶対的訴訟条件として職権調査事項とすることと対照をなす。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 制定:現行刑事訴訟法の制定により本条が置かれ、土地管轄の管轄違いを被告人の申立事項とし、証拠調べ開始を時的限界とする枠組みが定められた。
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