刑事訴訟法 第345条の2
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- 裁判所は、罰金の裁判(その刑の執行猶予の言渡しをしないものに限る。以下同じ。)の告知を受けた被告人について、当該裁判の確定後に罰金を完納することができないこととなるおそれがあると認めるときは、勾留状を発する場合を除き、検察官の請求により、又は職権で、決定で、裁判所の許可を受けなければ本邦から出国してはならないことを命ずるものとする。
- 2.前項の被告人について、保釈を許し、又は勾留の執行停止をする場合において、罰金の裁判の確定後に罰金を完納することができないこととなるおそれがあると認めるときも、同項と同様とする。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第345条の2は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第345条の2の条文原文は「裁判所は、罰金の裁判(その刑の執行猶予の言渡しをしないものに限る。」で始まります。
- 刑事訴訟法第345条の2は第五節 公判の裁判に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第345条の2の前の条は刑事訴訟法第345条です。
- 刑事訴訟法第345条の2の次の条は刑事訴訟法第345条の3です。
- 刑事訴訟法第345条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第345条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第345条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/345_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法345条の2は、執行猶予なしの罰金判決を受けた被告人が確定後に完納できないおそれがあるとき、裁判所の許可なき出国を禁ずる命令を定める。令和5年新設の逃亡防止制度。
Q · 罰金刑なのに、出国できなくなることがあるって本当ですか?
本当です。完納のおそれがあれば出国は許可制になります
刑事訴訟法345条の2により、執行猶予のつかない罰金の裁判の告知を受けた被告人が、確定後に罰金を完納できないおそれがあると裁判所に認められると、勾留状を発する場合を除き、検察官の請求または職権で、裁判所の許可なく本邦から出国してはならない旨を命じられます。令和5年の逃亡防止改正で新設された制度で、帰国すれば回収が困難になる外国人被告人にとくに強く働きます。完納すれば前提が消え、やむを得ない事情があれば出国許可を申し立てる道があります。
解説
罰金で済んだ、これで終わりだ。そう安堵した被告人が、いざ出国しようとして空港で止められる。345条の2が生んだ新しい現実だ。執行猶予のつかない罰金の裁判の告知を受けた被告人について、確定後に罰金を完納できないおそれがあると裁判所が認めれば、勾留状を発する場合を除き、検察官の請求または職権で、裁判所の許可なく日本から出国してはならないと命じられる。狙いは罰金の取りはぐれ防止、つまり払わずに国外へ逃げる人を止めることだ。とりわけ重くのしかかるのは外国人。母国に帰れば罰金を払う動機も手段も消えるからこそ、出国制限の網は外国人被告人に強くかかる。保釈や勾留執行停止を認める場面でも同じ判断が働く(2項)。刑罰の中で最も軽いはずの罰金が、移動の自由という重い権利を縛る。その逆説を、あなたは知っておくべきだ。
法的な位置づけ
刑事訴訟法345条の2は、令和5年改正で新設された出国制限命令の規定であり、執行猶予のつかない罰金の裁判の告知を受けた被告人につき、確定後に完納できないおそれがあると認められる場合に、裁判所の許可なき本邦からの出国を禁ずる制度を定める。罰金債権の取りはぐれ防止を目的とする手続的措置である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.命令書で制限の根拠と理由を確認 まず出国制限命令の決定書を取得し、制限の根拠条文と、裁判所が『完納できないおそれ』を認めた具体的な理由を確認する。争う余地があるかをここで見極める
- 2.罰金を納付して前提を消す 罰金を一括または分割で確実に納付できるなら、納付して『完納できないおそれ』という前提自体を消し、命令の取消しを求める。発動後に争うより前提を崩す方が早い
- 3.やむを得ない出国は許可を申し立てる すぐ払えないが出国の必要がある場合、帰国の確実性を示す資料を添えて裁判所に出国許可を申し立てる。担保の厚さが許可の出やすさを直接左右する
- 4.おそれの認定自体を争う 完納の意思と資力があるのに認定された場合、預金残高・収入・安定した住居や就労の疎明資料を揃え、命令の取消しや不服申立てを検討する
よくある質問 AI による整理
Q1出国制限命令とは何ですか?
刑事訴訟法345条の2に基づき、罰金を完納できないおそれがある被告人に、裁判所の許可なき出国を禁じる命令です。令和5年改正で新設されました。
Q2刑事訴訟法345条の2はいつから施行されましたか?
令和5年(2023年)の逃亡防止改正で新設された規定です。施行は段階的に進められたため、適用時期は最新の施行状況をご確認ください。
Q3完納できないおそれとは何を意味しますか?
罰金確定後に支払いが見込めない状態を指します。現に払えるかではなく、資力や定着度から将来の納付可能性を見通す見込みの段階の概念です。
Q4外国人は出国制限を受けやすいですか?
帰国すると罰金回収が困難になるため、外国人被告人にはとくに強く働きます。在留状況や帰国予定が裁判所の判断材料になります。
Q5出国制限命令に違反するとどうなりますか?
裁判所の許可なき出国を禁ずる正式な命令であり、違反は別途の不利益につながります。単に旅行を諦めれば済む注意ではありません。
Q6罰金を払えないと労役場に入れられますか?
罰金を完納できない場合、刑法18条により労役場留置の換刑処分が科されることがあります。出国制限はその前段階で発動しうる別の措置です。
Q7出国制限はいつ解除されますか?
罰金を完納するか、完納できないおそれが消えたとして裁判所が取消決定をすれば効力を失います。完納証明を備えて速やかに取消しを求めるのが実務です。
Q8保釈中でも出国制限はかかりますか?
かかります。345条の2第2項は、保釈や勾留執行停止を認める場合にも、完納のおそれがあれば同様に出国制限を命じうると定めます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1罰金くらいで本当に出国できなくなるんですか?
なります。345条の2は、執行猶予のつかない罰金判決を受けた被告人について、確定後に完納できないおそれがあると裁判所が認めれば、許可なき出国を禁じると定めます。とくに帰国すれば回収が難しくなる外国人に強く働きます。実務のポイント:実務で鍵を握るのは『おそれ』の認定で、安定した住居・就労・資産があるほど命令は出にくい。罰金額そのものより、あなたの日本への定着度が見られている。
Q2どうしても海外に行く用事があるときは、出国できないんですか?
完全に封じられるわけではありません。出国制限命令が出ても、裁判所に出国の許可を申し立てる道が残されています(345条の2の制度)。仕事や家族の事情など、必要性と帰国の確実性を示せれば許可されえます。実務のポイント:許可の可否は『戻ってくる保証』の厚さで決まる。帰国便の予約、保証金、国内に残す家族や財産といった担保材料を揃えてから申し立てるのが定石。
Q3罰金を払い終えれば、出国制限はすぐ解けますか?
完納すれば『完納できないおそれ』という前提自体が消えるため、出国制限命令は取り消されるのが筋です。命令は罰金の取りはぐれ防止が目的だからです(345条の2第1項)。実務のポイント:完納しても自動で制限が消えるとは限らず、取消しの手続が要る場合がある。納付証明を手に速やかに取消しを求めること。空港で止められてから慌てないために、領収書は携帯しておく。
間違えやすい点 AI による整理
- 罰金は刑罰の中で一番軽いから、払えば何の制約もないと思われている。だが2023年改正後は、確定前の段階で完納のおそれを理由に出国そのものを止められる。軽い刑だからこそ逃げやすいと見られ、移動の自由が先に縛られる
- 出国制限があること自体は聞いていても、その重さを見誤っている人が多い。これは単なる『出るな』という注意ではなく、裁判所の許可なき出国を禁じる正式な命令で、違反には別途の不利益が用意されている。旅行をあきらめれば済む話ではない
- 『罰金を払えるかどうか』が問題だと考えがちだが、条文が見ているのは『完納できないおそれ』という見込みの段階だ。今は払えなくても将来払える人と、払う気がないと見られる人、その線引きをめぐる攻防こそが本当の争点になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 発動時点 | 345条の2:罰金の裁判の告知後・確定前(おそれの認定) | 刑法18条:罰金確定後・不完納が現実化した段階 刑訴490条:罰金確定後の執行段階 |
| 制約内容 | 裁判所の許可なき本邦からの出国を禁止 | 労役場に留置して身体を拘束(換刑処分) 検察官が財産に対し強制執行(身体拘束なし) |
| 目的 | 確定前の逃亡・取りはぐれ防止 | 罰金不完納時の代替的執行 罰金債権の財産的回収 |
| 解除・回避 | 完納または出国許可の申立て、取消決定 | 罰金の完納による留置の回避・終了 完納または執行対象財産の不存在 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は2019年改正で刑事手続上の限制出境・出海を明文化。逃亡防止という機能は近いが、罰金完納の確保という日本のような特化規定ではなく、刑事手続全般の出国制限である
韓国は出入国管理法で出国禁止を定め、一定額以上の罰金・追徴金の未納者も対象とする。司法手続ではなく行政(法務部長官)による出国禁止である点が日本と構造的に異なる
ドイツは公的金銭債務の逃避を理由に旅券の発給拒否・無効化を認める。日本の『裁判所による出国制限命令』とは異なり、旅券行政の枠組みで実現される
米国は重大な滞納(seriously delinquent tax debt)を理由に国務省が旅券の発給拒否・取消をする制度を持つ。財政債権の確保を出国制限で担保する発想は共通だが、対象は主に租税で刑事罰金ではない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 技能実習や就労で日本にいるあなたが、ながらスマホの事故や軽微な傷害で罰金刑を受けた。確定後すぐに払えないと見られれば、帰国の航空券を握っていても出国を止められる。母国の家族が急病でも、裁判所の許可がなければ空港から先に進めない
- もし罰金確定の直前に、どうしても外せない海外商談が三日後に控えていたら? 出国制限命令が出れば、裁判所に出国の許可を申し立てて判断を待つしかない。商談に間に合うかどうかは、申立てのタイミング次第で決まる
- 保釈中のあなたに、有罪と罰金の見込みが立った。その瞬間、保釈の条件に出国制限が上乗せされうる。パスポートは手元にあっても、自由には使えない
- 知人の外国人が罰金刑で出国を止められたと相談してきた。あなたが教えられるのは、完納すれば前提が消えて制限は解け、それが無理でも裁判所への出国許可の申立てという道があるという一点だ
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず命令書で、制限の根拠と『完納できないおそれ』とされた理由を確認する2. 罰金を一括または分割で納められるなら、納付して前提を消し、命令の取消しを求める3. すぐ払えないが出国の必要があるなら、帰国の確実性を示す資料(帰国便、保証金、国内に残す家族・資産)を添えて出国許可を申し立てる4. おそれの認定自体に争いがあれば、資力や納付意思の証拠を揃えて命令の取消し・不服申立てを検討する
訴えられた側:1. 執行猶予なしの罰金が見込まれる段階で、出国予定と納付計画を早めに整理する2. 完納の意思と資力を預金残高や具体的な納付計画で可視化し、おそれの認定を入口で崩す3. 保釈・勾留執行停止を求める場面では、出国制限が条件に上乗せされうる前提で弁護人と方針を詰める4. 外国籍なら在留・帰国予定が判断を左右するため、入管手続との整合も同時に確認する
時効(請求できる期限):出国制限命令に固有の出訴期限はないが、不服があれば速やかに争うこと。命令は罰金を完納するか、完納できないおそれが消えたとして裁判所が取消決定をするまで効力が続く。なお罰金そのものの刑の時効は3年(刑法32条、最新の改正状況をご確認ください)。
学説
立法趣旨・通説的理解:本条は、確定罰金の取りはぐれと国外逃亡を防ぐため、被告人の出国を裁判所の許可制に置く措置と理解される。海外渡航の自由(憲法22条2項)への制約となるため、勾留状を発する場合を除くという補充性と、完納できないおそれという要件の絞り込みで均衡を図ると説かれる。
改正沿革 AI による整理
- 令和5年(2023年)新設 被告人等の逃亡を防止するための制度を導入する刑事訴訟法等改正により新設。カルロス・ゴーン元会長の国外逃亡事件等を契機に、執行猶予のつかない罰金判決を受けた被告人について、確定後の納付確保のため、裁判所の許可なき出国を禁ずる出国制限命令制度を創設した。施行時期は段階的であり、最新の施行状況をご確認ください
改正の年表
- 1.令和5年(2023年) 新設:被告人等の逃亡を防止するための刑事訴訟法等改正により新設。カルロス・ゴーン元会長の国外逃亡事件等を契機に、執行猶予のつかない罰金判決を受けた被告人について、確定後の納付確保を目的とする出国制限命令制度を創設。施行は段階的であり、最新の施行状況をご確認ください。
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