刑事訴訟法 第350条の24
クイックジャンプ
- 第三百五十条の二十二の決定のための審理及び即決裁判手続による審判については、第二百八十四条、第二百八十五条、第二百九十六条、第二百九十七条、第三百条から第三百二条まで及び第三百四条から第三百七条の二までの規定は、これを適用しない。
- 2.即決裁判手続による証拠調べは、公判期日において、適当と認める方法でこれを行うことができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第350条の24は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第350条の24の条文原文は「第三百五十条の二十二の決定のための審理及び即決裁判手続による審判については、第二百八十四条、第二百八十五条、第二百九十六条、第二百九十七条、第三百条から第三百二…」で始まります。
- 刑事訴訟法第350条の24は第二節 公判準備及び公判手続の特例に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第350条の24の前の条は刑事訴訟法第350条の23です。
- 刑事訴訟法第350条の24の次の条は刑事訴訟法第350条の25です。
- 刑事訴訟法第350条の24には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第350条の24 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第350条の24(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/350_24
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法350条の24は、即決裁判手続では被告人の出頭や冒頭陳述など通常公判の規定を適用除外し、証拠調べを適当と認める方法で簡略に行えると定める規定である。
Q · 即決裁判に同意すると、なぜ裁判があんなに速く終わるの?
通常公判の手続を適用除外し、証拠調べを簡略化するからです
刑事訴訟法350条の24は、即決裁判手続による審判について、被告人の出頭(284条)、検察官の冒頭陳述(296条)、厳格な証拠調べ(300条以下)といった通常公判の規定を適用除外とし、証拠調べを「適当と認める方法」で行えると定めます。これにより起訴から数週間、公判一回で判決に至ります。代償として証拠を争う土俵が縮小し、判決後は事実誤認を理由とする不服申立てが制限されます。同意は執行猶予がほぼ確実(350条の29)と引き換えの選択です。
解説
万引きや薬物の初犯で逮捕され、罪を全部認めている。検察官が「即決裁判手続」を申し立て、あなたが同意すると、裁判は驚くほど速く終わる。早ければ起訴から数週間、公判は一回、その日のうちに判決が出る。350条の24は、その速さの正体だ。通常の裁判で被告人を守るはずの規定、被告人の出頭(284条、285条)、検察官の冒頭陳述(296条)、証拠調べの厳格な手順(300条以下)を、まとめて適用除外にする。さらに2項では、証拠調べを「適当と認める方法で」行ってよいとする。本来なら一つ一つ厳格に取り調べるはずの証拠が、ざっくり一括で処理される。速さの代償は、あなたが本来握っていた手続上の盾を、自分から下ろすことだ。引き換えに得られるのは、ほぼ確実な執行猶予(350条の29)。だが一度同意して判決が出れば、事実誤認を理由にした不服申立ては原則として封じられる。速いことが、いつでもあなたの得とは限らない。
法的な位置づけ
刑事訴訟法350条の24は、即決裁判手続における審理と証拠調べの特則を定める規定である。被告人の出頭強制や検察官の冒頭陳述など通常公判の規定を適用除外し、証拠調べを公判期日において適当と認める方法で行えるものとする。被告人の同意と自白を前提に、迅速な審理を可能にする手続的特例として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.起訴事実に争いがないか精査する 弁護人とともに起訴状を一字一句確認し、やっていない部分まで書き込まれていないか、争点が本当にゼロかを点検する。少しでも事実に異論があれば、この段階で同意を見送る方向に傾ける
- 2.弁護人に証拠開示を求め客観証拠を確認する 自白以外の客観証拠(防犯カメラ、鑑定、第三者供述など)を点検し、自白の任意性に疑いがないかを検討する。簡略化された証拠調べでは後から任意性を争えないため、同意前が唯一の検証機会となる
- 3.速さと手続保障のトレードオフを天秤にかける メリット(執行猶予がほぼ確実・早期社会復帰)とデメリット(証拠調べの簡略化・事実誤認の不服申立て制限)を比較する。通常裁判でも執行猶予が堅い事件なら、即決のメリットは速さだけである点を意識する
- 4.限られた準備期間内に同意の可否を回答する 同意は最後の選択肢であって最初の選択肢ではない。証拠確認を終えてから返事をし、急かされても確認前に頷かない。同意して判決が出れば後戻りは困難であることを前提に判断する
よくある質問 AI による整理
Q1即決裁判手続のデメリットは何ですか?
証拠調べが簡略化され、判決後は事実誤認を理由とする不服申立てが制限されます。速さと引き換えに、後から無実や自白の不本意を争う土俵を失う点が最大のデメリットです。
Q2即決裁判の対象になる事件はどんな事件ですか?
比較的軽微で、被告人が事実を争わず自白している事件が対象です。死刑・無期・短期1年以上の懲役禁錮に当たる事件などは対象外で、重い事件は入口に入りません。
Q3即決裁判は被害者の同意がいりますか?
被害者の同意は要件ではありません。検察官・被告人・裁判所の間で進むため、被害感情を量刑に反映させたい場合は検察官へ早期に伝える必要があります。
Q4即決裁判だと判決はいつ出ますか?
公判は原則一回で、その日のうちに判決が言い渡されることが多く、起訴から数週間で終わることもあります。350条の24の手続簡略化がこの速さを支えています。
Q5即決裁判でも前科はつきますか?
有罪判決である以上、前科は記録されます。執行猶予が必要的に付されますが(350条の29)、無罪になるわけではない点に注意が必要です。
Q6即決裁判に弁護人は必要ですか?
即決裁判手続では弁護人の関与が前提とされ、同意の前提として弁護人の助言が重要です。証拠開示を求め、自白以外の客観証拠を確認してから判断すべきです。
Q7即決裁判で実刑になることはありますか?
即決裁判手続では拘禁刑の実刑を言い渡すことはできず、必ず執行猶予が付されます(350条の29)。実刑相当の事件はそもそも対象になりません。
Q8即決裁判の証拠調べはどのように行われますか?
350条の24第2項により、公判期日において適当と認める方法で行えます。厳格な取調べ手順は省かれ、争いのない自白事件であることが前提とされています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1即決裁判に同意すると、本当に執行猶予になるんですか?
即決裁判手続で拘禁刑(旧・懲役・禁錮)の実刑を言い渡すことは法律上できず、必ず執行猶予を付さなければなりません(刑訴法350条の29)。ただし、そもそも執行猶予相当の軽微な事件しか即決裁判の対象になりません。実務のポイント:弁護人が即決を勧めるのは、実刑回避がほぼ保証されるからです。逆に言えば、通常裁判でも執行猶予が堅い事件なら、即決のメリットは速さだけ。争点があるなら、速さを捨てて通常裁判を選ぶ価値がある
Q2同意したあとで『やっぱり争いたい』と思ったら、取り消せますか?
判決前であれば、被告人が有罪である旨の陳述を撤回するなど一定の場合、即決裁判による旨の決定が取り消される余地があります(350条の25関連、現行効力を要確認)。しかし判決後は、即決裁判による判決に対して事実誤認を理由とする不服申立てが制限されます(控訴制限規定あり、要確認)。実務のポイント:弁護士の間では『即決の同意は実質的に上訴権の一部放棄』と理解されている。だから経験ある弁護人ほど、同意の前に証拠を徹底的に洗う
Q3証拠調べが『適当な方法』でいいって、いい加減にならないんですか?
350条の24第2項は証拠調べを公判期日で適当と認める方法で行えるとしますが、被告人が争わない自白事件が前提なので、厳格な証拠調べを省いても誤判リスクが低いという建付けです。実務のポイント:ただし『争わない』はずの事件で、実は取調べの圧力で不本意に認めているケースもある。簡略化された証拠調べでは、その自白の任意性をその場で争う土俵がない。だから同意の前段階、取調べ対応こそが本当の勝負どころになる
間違えやすい点 AI による整理
- 「即決裁判は罪が軽くなる特別なご褒美」と思われがちだが、即決裁判手続そのものが量刑を引き下げるわけではない。執行猶予が必要的(350条の29)なのは事実だが、それは執行猶予相当の軽微な事件しか即決裁判の入口に入れないからだ。重い事件はそもそも対象にならない
- 同意すれば速く終わると知っている人は多い。だが、その速さが「証拠を争わないこと」と同義である深刻さを分かっていない。350条の24で証拠調べが簡略化される結果、警察調書がほぼそのまま証拠として通る。後で「あの自白は不本意だった」と思っても、争う土俵がもう残っていない
- 「同意するかどうかは自分の自由だ」と考える被告人は、問いの立て方を間違えている。本当の問いは『同意するか否か』ではなく『この事件は本当に争う余地がゼロか』だ。少しでも争点があるなら、速さと引き換えにそれを捨てる判断を、限られた準備期間で下すことになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続の速さ | 即決裁判手続(350条の24):公判ほぼ一回、起訴から数週間 | 通常公判(284条・296条・300条以下):複数期日、数か月 略式手続(461条以下):公判を開かず書面審理 |
| 証拠調べ | 適当と認める方法で簡略に実施(350条の24第2項) | 厳格な順序と方式で実施(300条以下) 書面審査のみ、公判での証拠調べなし |
| 言い渡せる刑 | 拘禁刑は必ず執行猶予(350条の29) | 実刑・執行猶予いずれも可能 100万円以下の罰金・科料に限定 |
| 不服申立て | 事実誤認を理由とする上訴が制限される | 事実誤認・量刑不当いずれも控訴可能 正式裁判の請求が可能(14日以内) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は認罪協商と簡易程序で自白事件を迅速処理する。被告の同意を前提とする点で日本の即決裁判と発想が近い。
韓国は被告人が公判で自白した場合に簡易公判手続へ移行し、証拠調べを簡略化する。日本同様、自白を前提とする迅速化である。
ドイツの迅速手続は事案が単純で証拠が明白な場合に短期間で審理する。言い渡せる刑に上限がある点も即決裁判と類似する。
米国は有罪答弁と司法取引が刑事手続の中心を占め、答弁により陪審裁判を回避する。事実上の上訴権放棄を伴う点で構造的に共通する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 覚醒剤の自己使用で初めて捕まり、全部認めている。国選弁護人から「即決裁判手続に同意しますか」と聞かれる。同意すれば執行猶予がほぼ確実、断れば通常裁判で時間がかかる。だが同意した瞬間、あなたは証人尋問で警察の取調べのやり方を争う道を、自分から手放す
- もし、やってもいない部分まで起訴状に書き込まれていたら、即決裁判に同意していいのか? 同意して有罪判決が出れば、事実誤認を理由にした不服申立てはほぼ閉ざされる(控訴制限規定あり、現行効力を要確認)。速さに飛びつく前に、起訴事実を一字一句確認する時間が要る
- 万引きの常習で起訴された。即決裁判なら一回で終わる。だが常習性が重く見られて執行猶予が付かないとなれば、即決裁判の前提そのものが崩れる
- 即決裁判手続に同意するか、あと数日で弁護人に返事をしなければならない。同意の意思を示せば、後戻りは難しくなる。この数日の判断が、その後のあなたの前科の付き方と社会復帰の速さを左右する
取るべき行動
被害を受けた側:事件の被害者で、加害者が即決裁判手続にかけられると知った場合:1. 即決裁判は被害者の同意を要件としない、検察官・被告人・裁判所の間で進む点をまず理解する2. 量刑に被害感情を反映させたいなら、即決は速いので、検察官に処罰感情や被害状況を早期かつ迅速に伝える3. 損害賠償は刑事とは別軌道、民事(民法709条)または損害賠償命令の利用を検討4. 示談を求められたら、即決でも示談の有無は量刑に響くので条件を慎重に詰める
訴えられた側:被告人として即決裁判への同意を求められたら:1. まず起訴事実に本当に争いがないか弁護人と精査、少しでも事実に異論があれば同意しない2. 弁護人に証拠開示を求め、自白以外の客観証拠を確認3. 同意のメリット(執行猶予がほぼ確実、早期社会復帰)とデメリット(証拠調べの簡略化、事実誤認の不服申立て制限)を天秤にかける4. 一度同意して判決が出れば後戻りは困難、返事を急かされても証拠確認を終えてから答える
時効(請求できる期限):即決裁判手続の申立ては、検察官が公訴提起と同時に書面で行う(刑訴法350条の16)。同意の意思確認やその後の手続は通常より早く進み、公判期日も早期に設定される。特定の時効はないが、同意するか否かの判断は限られた準備期間内に迫られる点に注意(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:350条の24による手続簡略化は、被告人の同意と自白を前提とすることで誤判リスクを抑え、執行猶予の必要的付与(350条の29)と合わせて手続保障縮減の代償を量刑面で埋め合わせる構造と理解されている。同意は実質的に上訴権の一部放棄に近いとされ、同意前の証拠検討が決定的に重要とされる。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)新設・平成18年(2006年)施行 即決裁判手続の創設に伴い、迅速な審理のための適用除外と簡易な証拠調べを定める規定として新設された
- 平成28年(2016年)改正 証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度(350条の2以下)の新設に伴い、即決裁判手続の各条が繰り下げられ、本条も条番号が現行の350条の24へ変更された
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:即決裁判手続の創設に伴い、迅速な審理のための規定の適用除外と簡易な証拠調べを定める規定として新設された(平成18年施行)。
- 2.平成28年(2016年) 改正:証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度(350条の2以下)の新設に伴い即決裁判手続の各条が繰り下げられ、本条の条番号が現行の350条の24へ変更された。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める