刑事訴訟法 第350条の29
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即決裁判手続において拘禁刑の言渡しをする場合には、その刑の全部の執行猶予の言渡しをしなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第350条の29は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第350条の29の条文原文は「即決裁判手続において拘禁刑の言渡しをする場合には、その刑の全部の執行猶予の言渡しをしなければならない。」で始まります。
- 刑事訴訟法第350条の29は第四節 公判の裁判の特例に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第350条の29の前の条は刑事訴訟法第350条の28です。
- 刑事訴訟法第350条の29の次の条は刑事訴訟法第351条です。
- 刑事訴訟法第350条の29には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第350条の29 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第350条の29(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/350_29
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法350条の29は、即決裁判手続で拘禁刑を言い渡す場合、裁判所がその刑の全部の執行猶予を必ず付さなければならないと定める規定である。
Q · 即決裁判に同意したら、拘禁刑でもすぐ刑務所に入るの?
原則として直ちには服役せず、執行猶予が必ず付きます
刑事訴訟法350条の29により、即決裁判手続で拘禁刑を言い渡す場合、裁判所はその刑の全部について執行猶予を付さなければなりません。したがって同手続で実刑判決が下り、その場で収監されることはありません。ただし執行猶予は有罪判決そのものであり前科は残ります。猶予期間中に再び罪を犯せば執行猶予は取り消され、今回の刑と新しい刑を合わせて服役することになります(刑法26条)。
解説
覚醒剤の自己使用や万引きで現行犯逮捕され、証拠も明白、本人も認めている。そんなとき検察官が「即決裁判手続」を持ちかけてくる。これに同意すると、起訴からおおむね二週間以内に一回の審理で判決が出る。普通の刑事裁判より圧倒的に速い。だが本当の見返りはこの条文にある。即決裁判で拘禁刑が言い渡される場合、裁判所は必ずその全部の執行猶予を付けなければならない。つまり同意した瞬間、あなたが刑務所に直行する道は法律上閉ざされる。ただし代償もある。簡略化された証拠調べを受け入れ、事実認定を争う控訴の道(刑訴法403条の2)を実質的に手放すことになる。スピードと執行猶予の保証を取るか、争う権利を残すか。その選択を迫られているのが、いま取調室にいるあなただ。
法的な位置づけ
刑事訴訟法350条の29は即決裁判手続における必要的執行猶予を定める規定であり、同手続で拘禁刑を言い渡す場合には、その刑の全部について執行猶予を付すことを裁判所に義務づける。迅速な手続処理と引き換えに、被告人を即時の実刑拘束から保護する機能を担う実体的特則である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.即決裁判を提案されたら即答しない 取調室や検察官から即決裁判への同意を求められても、その場で頷かない。返事をする前に必ず時間を取り、当番弁護士でもよいので弁護人に相談する旨を伝える
- 2.弁護人に事実を争う余地を確認させる 弁護人に、起訴事実のすべてを認めてよいのか、一部でも身に覚えのない部分や正当化事由がないかを精査させる。即決裁判では事実誤認を理由とする控訴がほぼ封じられるため、ここが唯一の検証機会となる
- 3.全面自白かつ前科なしなら同意を検討 事件を全面的に認めており前科もない場合、執行猶予が法律上保証される即決裁判は早期社会復帰の有力な選択肢になる。同意の意向を早めに示すことで、検察官が通常起訴ではなく即決裁判を選ぶ動機にもなる
- 4.一部でも争うなら通常手続を選ぶ 事実に少しでも争いがあるなら同意しない。通常手続を選び、証拠調べと事実誤認控訴の道を残す。スピードと執行猶予の保証より、争う権利の確保を優先する判断を弁護人と確認する
よくある質問 AI による整理
Q1即決裁判手続とは何ですか?
争いのない明白軽微な事件を、検察官の申立てと被告人の同意により一回の審理で迅速に判決する刑事手続です。起訴からおおむね二週間以内に判決が出ます。
Q2即決裁判の対象になる事件は?
死刑・無期・短期一年以上の拘禁刑にあたる重大事件を除く、事案が明白かつ軽微で証拠調べが速やかと見込まれる事件が対象です。覚醒剤自己使用や万引きなどが典型です。
Q3即決裁判に同意しないとどうなりますか?
同意しなければ通常の刑事手続で審理されます。手続は長くなりますが、事実を争う証拠調べと事実誤認を理由とする控訴の道が保たれます。
Q4必要的執行猶予とは何ですか?
裁判所が裁量ではなく法律上必ず執行猶予を付さなければならないことを指します。即決裁判で拘禁刑を言い渡す場合がこれにあたります(刑訴法350条の29)。
Q5即決裁判はどれくらいの期間で終わりますか?
公訴提起と同時に申立てがなされ、原則として起訴からおおむね二週間以内に一回の公判で判決が言い渡されます。即日確定し帰宅できることもあります。
Q6即決裁判の同意は撤回できますか?
判決前であれば撤回や手続からの離脱が可能ですが、手続が進むほど実質的に難しくなります。同意の前後の数日が引き返せる唯一の時間です。
Q7即決裁判でも前科はつきますか?
つきます。執行猶予が付いても有罪判決であることに変わりはなく、前科として記録されます。執行猶予は服役を猶予するだけで無罪化ではありません。
Q8即決裁判と簡易公判手続の違いは何ですか?
簡易公判手続は証拠調べを簡略化するだけですが、即決裁判は迅速処理に加えて拘禁刑に必ず執行猶予が付き、事実誤認控訴が制限される点が異なります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1即決裁判に同意したら、もう刑務所には入らなくて済むんですか?
今回の判決については、拘禁刑が言い渡されても全部執行猶予が必ず付くので(刑訴法350条の29)、直ちに服役することはありません。ただし猶予期間中に再び罪を犯すと猶予が取り消され、今回の刑も服役対象になります(刑法26条)。実務のポイント:弁護士は「即決裁判=刑務所回避」と説明しがちだが、本当のリスクは猶予期間中の再犯。覚醒剤事件で執行猶予を得た人が再使用で取り消され、二つの刑をまとめて服役する例は珍しくない
Q2同意して判決が出たあと、やっぱり納得いかないから控訴できますか?
事実誤認を理由とする控訴は、即決裁判ではほぼ封じられています(刑訴法403条の2)。同意した事実関係を後から争うことは原則できず、量刑不当など限られた理由でしか控訴できません。実務のポイント:これが即決裁判の最大の代償。一部でも身に覚えがない部分があるなら、執行猶予の保証に釣られて同意してはいけない。控訴の道を残すなら通常手続を選ぶべきで、この判断は同意の前にしかできない
間違えやすい点 AI による整理
- 「即決裁判は検察に有利な制度で、被告人は損をする」と思われがちだが、拘禁刑が必ず執行猶予になる点では被告人に大きな利益がある。問題は損か得かではなく、事実を争う気が本当にないかどうかだ
- 「即決裁判に同意すれば軽くなる」という問いの立て方そのものがずれている。即決裁判は有罪を全面的に認めている事件のための制度であって、無罪を勝ち取る手続ではない。争う気があるなら、選ぶべきは通常手続のほうだ
- 「執行猶予がつくなら何の問題もない」と軽く考える人が多いが、執行猶予でも有罪判決は有罪判決。前科がつき、猶予期間中に再び罪を犯せば執行猶予が取り消され、今回の刑と新しい刑を合わせて服役する(刑法26条)。執行猶予はなかったことにはならない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 本条の役割 | 350条の29:即決裁判の拘禁刑に必ず全部執行猶予を付す(実体効果) | 350条の16:即決裁判手続の申立て(手続の起点) 403条の2:即決裁判判決への事実誤認控訴の制限 |
| 被告人への意味 | 実刑による即時収監の回避が保証される | 同意が求められ、手続選択の岐路に立たされる 争う権利(事実認定控訴)を実質的に失う |
| 証拠調べ | 前提として簡略化された証拠調べを受け入れている | 申立て段階では通常の手続 350条の25による簡略化が控訴制限の前提 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の協商程序も自白を前提に手続を簡略化し量刑の合意を可能とするが、執行猶予の必要的付与までは法律で一律に義務づけていない点が日本と異なる
韓国の簡易公判節次は被告人の自白を前提に証拠調べを簡略化する点で類似するが、拘禁刑への必要的執行猶予という効果は伴わない
ドイツの迅速手続は明白な事件を簡易に処理する制度で、科刑上限の制約はあるが執行猶予を必ず付すという日本型の保護は採らない
米国の答弁取引は有罪答弁と引き換えに量刑を交渉する制度で柔軟だが、執行猶予が法律上保証されるわけではなく、合意内容と裁判官の裁量に依存する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 覚醒剤自己使用で逮捕され、検察官が即決裁判手続を提案してきた。同意するかの実質的な返事は数日以内。同意すれば執行猶予が保証されるが、事実を争う控訴の道はほぼ閉じる。「一部はやっていない」と感じる部分があるなら、ここで安易に頷いてはいけない
- もし、あなたが事件を全面的に認めていて、前科もなく、一日でも早く社会に戻りたいとしたら? 即決裁判は最短ルートかもしれない。一回の審理で執行猶予付き判決が確定し、その日のうちに自宅へ帰れる可能性がある
- 不法残留で入管に摘発された外国人。即決裁判で執行猶予判決が出て、退去強制手続へ進む。実刑で長期収容されるより早く母国へ帰れることがある
- 友人が万引きで捕まり「即決裁判に同意していいか」とあなたに相談してきた。あなたが知っておくべきは、執行猶予が保証される一方、後で「あれは冤罪だった」と思っても、事実誤認を理由にはほぼ控訴できないという点だ
取るべき行動
被害を受けた側:あなたが万引きや軽微な傷害の被害者で、加害者が即決裁判を受ける場合、加害者には執行猶予が法律上保証される。実刑を望んでもこの手続では叶わない。1. 量刑に不満があれば検察官に被害感情を伝え、被害者参加・意見陳述(刑訴法292条の2等)を検討2. 損害賠償は刑事の執行猶予とは無関係に、別途民事(民法709条)で請求できる3. 加害者が猶予期間中に再犯すれば執行猶予が取り消されることを念頭に、示談の条件を組む
訴えられた側:1. 検察官から即決裁判を提案されたら即答せず、当番弁護士でもよいので必ず弁護人に相談2. 事件を全面的に認めていて前科がなければ、執行猶予が保証される即決裁判は有力な選択肢3. 一部でも事実に争いがあるなら同意しない、通常手続で争う道を残す4. 同意は書面で行い、後の控訴は事実誤認を理由にはほぼできない(刑訴法403条の2)ことを理解したうえで判断する
時効(請求できる期限):即決裁判手続の申立ては公訴提起と同時に行われ(刑訴法350条の16)、被告人の同意も限られた期間に求められる。同意するかどうかの実質的な判断時間は数日しかない。特定の消滅時効ではなく、手続上の即時性そのものが時間的制約になる
学説
通説:本条は即決裁判手続の迅速性を被告人保護で均衡させる政策的規定と理解される。簡略な証拠調べによる事実認定の精度低下リスクを、拘禁刑の必要的全部執行猶予という安全弁で補い、被告人が即時の実刑拘束という不可逆的不利益を被らないよう担保するものと解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)公布、平成18年(2006年)施行 即決裁判手続の導入に伴い新設(当時は350条の14)。明白軽微な事件の迅速処理と引き換えに、拘禁刑には必ず執行猶予を付すことを義務づける被告人保護規定として創設された
- 平成28年(2016年) 証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度(いわゆる司法取引)の新設に伴い即決裁判手続の条文が後ろへ移動し、本条は350条の14から350条の29へ条番号が変更された
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 懲役・禁錮の拘禁刑統合に伴い、条文中の「懲役又は禁錮」が「拘禁刑」に改められた
改正の年表
- 1.平成16年(2004年)公布、平成18年(2006年)施行 新設:即決裁判手続の導入に伴い新設(当時は350条の14)。明白軽微な事件の迅速処理と引き換えに、拘禁刑には必ず執行猶予を付すことを義務づける被告人保護規定として創設
- 2.平成28年(2016年) 改正:証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度(司法取引)の新設に伴い条文が後ろへ移動し、本条は350条の14から350条の29へ条番号が変更
- 3.令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 改正:懲役・禁錮の拘禁刑統合に伴い、条文中の『懲役又は禁錮』が『拘禁刑』に改められた
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