刑事訴訟法 第513条の2
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- 正当な理由がなく、第五百九条第一項又は第五百十一条の二第一項の規定による電磁的記録提供命令に違反したときは、その違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
- 2.法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても同項の罰金刑を科する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第513条の2は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第513条の2の条文原文は「正当な理由がなく、第五百九条第一項又は第五百十一条の二第一項の規定による電磁的記録提供命令に違反したときは、その違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑又は三百万円…」で始まります。
- 刑事訴訟法第513条の2は第二章に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第513条の2の前の条は刑事訴訟法第513条です。
- 刑事訴訟法第513条の2の次の条は刑事訴訟法第514条です。
- 刑事訴訟法第513条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第513条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第513条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/513_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法513条の2は、正当な理由なく電磁的記録提供命令に違反した者を1年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金に処する。両罰規定により、従業者の違反では法人にも罰金が科される。
Q · 会社宛に届いたデータ提供命令、無視したら誰が罰せられるの?
正当な理由なく無視すれば担当者個人が処罰され、会社にも罰金が科されます。
刑事訴訟法513条の2第1項により、正当な理由なく電磁的記録提供命令(同法509条1項・511条の2第1項)に違反した者は、1年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金に処せられます。罰せられるのは「その違反行為をした者」、つまり実際に判断した現場の担当者個人です。さらに第2項の両罰規定により、従業者が業務に関して違反した場合は、行為者の処罰に加えて法人または事業主にも300万円以下の罰金刑が科されます。争点は「正当な理由」の有無に集約され、技術的に復元不能である、そもそも当該データを保有していない、命令の特定が不明確で応じようがないといった事情が該当し得ます。
解説
捜査機関から一枚の書面が届く。「電磁的記録提供命令」。サーバー管理者、クラウド事業者、社内の情報システム担当者、あるいはSNS運営会社の法務窓口。そこに宛てられた命令に対して、正当な理由なく応じなかった瞬間、あなた個人が刑事被告人になる。1年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金。ここで見落とされがちなのは第2項だ。従業員が判断ミスで無視した場合、会社にも300万円以下の罰金が科される。両罰規定である。つまり現場担当者一人の「面倒だから後回しにした」が、法人の前科になる。逆に言えば、あなたが握っている防御の鍵はただ一つ、「正当な理由」の四文字だ。技術的に復元不可能だった、そもそもそのデータを保有していない、命令の特定が不明確で応じようがない。これらは正当な理由になりうる。だが「顧客のプライバシーが心配」だけでは、実務上ほぼ通らない。
法的な位置づけ
刑事訴訟法513条の2は、電磁的記録提供命令の実効性を担保する罰則規定である。第1項は、正当な理由なく同法509条1項または511条の2第1項の命令に違反した行為者を1年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金に処する。第2項は両罰規定として、従業者が業務に関して違反した場合、行為者の処罰に加えて事業主たる法人または人にも同項の罰金刑を科す。
よくある質問 AI による整理
Q1電磁的記録提供命令とは何ですか?
捜査機関が電磁的記録の保有者に対し、その記録の提供を命じる処分です。刑事訴訟法509条1項・511条の2第1項が根拠で、データを直接押収せず保有者に出させる仕組みです。
Q2電磁的記録提供命令を拒否するとどうなりますか?
正当な理由なく違反すれば、刑事訴訟法513条の2第1項により1年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。罰せられるのは会社ではなく違反行為をした担当者個人です。
Q3データ提供命令の期限を過ぎたらどうなりますか?
期限徒過の時点で構成要件該当性が問題になります。期限内に何も申し出ずに沈黙した場合、後から技術的困難を主張しても正当な理由として認められにくくなります。
Q4電磁的記録提供命令は個人事業主も対象ですか?
対象です。第2項は「法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者」と定め、個人事業主も両罰規定の事業主に含まれます。従業者の違反で事業主も罰金の対象になります。
Q5海外サーバーにあるデータも提供義務がありますか?
日本法人が名宛人であれば命令自体は及びますが、実データが海外リージョンにあり現地法で提供が制限される場合、正当な理由に当たるかは実務上解釈が分かれる論点です。
Q6電磁的記録提供命令に不服申立てはできますか?
命令の適法性は刑事手続内で争うことになります。実務上は不服を理由に沈黙するのではなく、期限内に書面で対応可否と制約を申し出て記録を残すことが防御の起点になります。
Q7提供命令を受けたら弁護士に相談すべきですか?
相談すべきです。名宛人の特定、対象データの保有有無、技術的可否の切り分けは初動が決定的で、受領当日に窓口を一本化できるかが後の正当な理由の認定を左右します。
Q8電磁的記録提供命令違反の公訴時効は何年ですか?
法定刑が1年以下の拘禁刑であるため、刑事訴訟法250条2項に基づき3年と解されます。ただし実務上決定的なのは公訴時効ではなく命令書記載の提供期限です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1うちの会社、命令されたデータを本当に持ってないんですけど、どう証明すればいいんですか?
「保有していない」ことの疎明は、削除ログ、データ保存期間規程、システムの設定画面のスクリーンショットなど客観資料の提出で行う。第509条1項の命令は保有者に対するものなので、非保有なら構成要件を欠く。実務のポイント:捜査機関が最も疑うのは、命令を受けてから慌てて消したケース。だからこそ、平時から自動削除ポリシーが文書として存在し、命令受領前から運用されていた記録が決定的な意味を持つ
Q2従業員が勝手に無視して会社が罰金って、さすがに理不尽じゃないですか?
第2項の両罰規定は、法人に選任監督上の過失があったと推定する構造になっている。判例上、法人が相当の注意及び監督を尽くしたことを立証すれば免責される余地がある。実務のポイント:この免責主張が通るかどうかは、事件後に作った資料ではほぼ判定されない。命令受領時の社内フロー規程、担当者研修の実施記録、これらが事件前の日付で存在するかどうかが分水嶺になる
Q3ユーザーに黙ってデータを渡したら、後でそのユーザーから訴えられませんか?
刑事訴訟法上の命令に基づく提供は法令に基づく行為であり、原則として民事上の違法性が阻却される。個人情報保護法上も法令に基づく場合は第三者提供の本人同意が不要とされる。実務のポイント:多くの事業者は利用規約に「法令に基づく開示」条項を入れているが、それとは別に、開示実績を年次で件数のみ公開する透明性レポートを出す企業が増えている。ユーザーへの信頼維持と法令遵守を両立させる実務上の落としどころになっている
間違えやすい点 AI による整理
- 「会社宛の命令だから、責任を負うのは会社だ」と考えるのは前提が逆立ちしている。第1項が罰するのは「その違反行為をした者」、つまり現場で判断した個人である。法人への罰金(第2項)は個人処罰に上乗せされるものであって、個人の身代わりではない
- 電磁的記録提供命令に応じるとプライバシー侵害で訴えられる、と多くの担当者が恐れている。だが刑事訴訟法上の命令に応じた提供は法令に基づく行為であり、原則として民事上の違法性を欠く。恐れる方向が逆で、本当のリスクは応じないこと側にある
- 「正当な理由があれば大丈夫」というところまでは知っていても、その立証責任が事実上どちら側にあるかまで意識している人は少ない。正当な理由は抗弁であり、期限内に何も申し出ず沈黙したまま期限を過ぎた場合、後から「実は技術的に無理でした」と主張しても認められにくい。沈黙は最悪の選択肢である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規範の性質 | 刑訴513条の2:命令違反に対する罰則(実効性担保) | 刑訴509条1項:電磁的記録提供命令そのものの根拠 刑法104条:証拠隠滅罪(積極的な隠滅行為の処罰) |
| 処罰される行為 | 正当な理由なく命令に応じない不作為 | 処罰規定ではなく、保有者に提供を義務づける処分 他人の刑事事件の証拠を隠滅・偽造・変造する作為 |
| 主体 | その違反行為をした者(個人)+両罰規定で法人・事業主 | 命令の名宛人=電磁的記録の保有者 他人の刑事事件について隠滅した者 |
| 法定刑 | 1年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(法人は300万円以下の罰金) | —(命令自体に法定刑はない) 3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も保有者への提出強制の枠組みを持つが、不応諾に対する独立した刑事罰則条文は置かれておらず、扣押など強制処分への移行で実効性を確保する構造
韓国は電子情報の押収範囲を条文上限定しつつ、電気通信事業者に協力義務を課す。義務違反の制裁は通信秘密保護法側に置かれる点で日本と構造が異なる
ドイツは提出義務違反に対し刑罰ではなく § 70準用の秩序金・秩序拘禁という間接強制手段を用いる。日本が刑罰を選択した点が対照的
米国は令状・裁判所命令による開示強制を用い、不応諾には裁判所侮辱(contempt)で対応する。独立の罰則条文ではなく裁判所の一般的強制権限に依拠する構造
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 中小企業の情シス担当のあなたに、警察から電磁的記録提供命令が届いた。社長は出張中、顧問弁護士は不在。「とりあえず社長が帰ってから」と机に置いた。命令書に記載された期限は5日後。期限を過ぎた瞬間、罰せられるのは社長ではなくあなた本人であり、さらに会社にも罰金が科されうる
- クラウドサービス運営会社の法務担当。ユーザーのアカウントデータの提供命令を受けたが、利用規約には「法令に基づく場合を除き第三者提供しない」と書いてある。その「法令に基づく場合」がまさにこれだ。ユーザーに黙って出せば信用問題、拒めば刑事罰。板挟みに見えるが、法的にはすでに答えが出ている
- もし、命令されたデータをすでに保存期間満了で自動削除していたら、どうなる? 「ない物は出せない」は正当な理由になりうる。ただし削除ログとリテンションポリシーの文書が残っていることが前提。口頭で「消しました」と言うだけでは、隠匿を疑われる立場に置かれる
- 退職した元従業員の業務用端末に残るデータの提供命令。端末は初期化済み、バックアップの復元には外部業者に依頼して2週間かかる。命令の期限は7日。この場合、期限内に「技術的困難と対応見込み」を書面で申し出るかどうかが、正当な理由の認定を左右する
取るべき行動
被害を受けた側:捜査側または命令の実効性を確保したい立場から。1. 命令の対象データを技術的に特定可能な水準まで具体化して記載する。特定が曖昧だと相手方に「応じようがなかった」という正当な理由を与える2. 提供期限と提供形式を明示3. 不応答があれば、督促と期限延長の記録を残し、正当な理由の不存在を積み上げる4. 従業者の違反であれば、法人側の管理体制の不備も併せて立証対象にする
訴えられた側:1. 命令書の名宛人と対象データの範囲を確認、自分が名宛人か、対象データを実際に保有しているかを最初に切り分ける2. 技術的に提供困難なら、その理由(保存期間満了、暗号化により復元不能、海外リージョン所在等)を証拠付きで期限内に書面提出3. 弁護人を早期に選任、捜査機関との窓口を一本化4. 法人であれば、従業者への周知・研修・規程整備の記録を確保、両罰規定における法人の免責主張(相当の注意を尽くしたこと)の材料になる
時効(請求できる期限):本罪自体に特別の期間制限はない。公訴時効は法定刑(1年以下の拘禁刑)に応じ、刑事訴訟法250条2項により3年(最新の改正状況をご確認ください)。実務上決定的なのは公訴時効ではなく、命令書に記載された提供期限であり、これを徒過した時点で構成要件該当性が問題になる
学説
通説(両罰規定の過失推定説):第2項の両罰規定は事業主の無過失責任ではなく、従業者の選任監督についての過失を推定する規定と解される。事業主が相当の注意および監督を尽くしたことを立証できれば免責の余地があるが、その資料は違反発生前の日付で存在する必要がある
正当な理由の解釈に関する実務的理解:「正当な理由」は抗弁であり、対象データの非保有、暗号化等による技術的復元不能、命令の特定不明確が典型例とされる。他方、利用者のプライバシーへの配慮のみを理由とする不応諾は、法令に基づく提供である以上、正当な理由として通りにくいと理解されている
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.令和年間(2020年代) 新設:刑事手続のデジタル化に対応する刑事訴訟法改正により、電磁的記録提供命令(509条1項・511条の2第1項)の実効性を担保する罰則として新設された。段階施行のため、施行日および最新の条文内容は e-Gov 法令検索で必ず確認が必要
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