民事訴訟法 第316条(原裁判所による上告の却下)
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- 次の各号に該当することが明らかであるときは、原裁判所は、決定で、上告を却下しなければならない。
- 一上告が不適法でその不備を補正することができないとき。
- 二前条第一項の規定に違反して上告理由書を提出せず、又は上告の理由の記載が同条第二項の規定に違反しているとき。
- 2.前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
この条文の基本情報
原裁判所による上告の却下とは何ですか?
定義原裁判所による上告の却下とは、民事訴訟法第316条に定められた規定で、「次の各号に該当することが明らかであるときは、原裁判所は、決定で、上告を却下しなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第316条(原裁判所による上告の却下)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第316条の条文原文は「次の各号に該当することが明らかであるときは、原裁判所は、決定で、上告を却下しなければならない。」で始まります。
- 民事訴訟法第316条は第二章 上告に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第316条の前の条は民事訴訟法第315条です。
- 民事訴訟法第316条の次の条は民事訴訟法第317条です。
- 民事訴訟法第316条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第316条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第316条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/316
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法316条は、上告が不適法で補正不能のとき、又は上告理由書の不提出・記載不備のとき、原裁判所が決定で上告を却下すると定める。却下決定には即時抗告ができる。
Q · 上告したのに、最高裁じゃなくて負けた裁判所が却下できるって本当?
本当。原裁判所が理由書の不備などで上告を却下できます
民事訴訟法316条により、原裁判所(あなたを負かした判決を下した裁判所)は、二つの場合に決定で上告を却下しなければなりません。第一に、上告が不適法でその不備を補正できないとき。第二に、上告理由書を期限内(上告提起通知書の送達から50日、民事訴訟規則194条)に提出しなかったとき、または理由書の記載が法定の要件を満たさないときです。最高裁に事件が届く前にこの段階で終わることがあります。却下決定には、告知から1週間以内なら即時抗告ができます(同条2項、民訴332条)。
解説
最高裁まで争えば、誰かがちゃんと中身を見てくれる。そう信じて上告したのに、最高裁の机に書類が届く前に門前払いされる。それが民事訴訟法316条の世界だ。上告を最終的に裁くのは上告審(最高裁または高裁)だが、その手前にいる「原裁判所」、つまりあなたを負かした判決を下した裁判所自身が、二つの場合に上告を却下できる。第一に、上告が不適法で、しかもその不備が直せないとき。第二に、上告理由書を期限内に出さなかったとき、または理由書の中身が法律の要求を満たしていないとき。とくに二つ目が落とし穴だ。上告状を出しただけで安心していると、上告理由書の提出期限(判決確定からではなく、上告提起通知書の送達を受けてから50日、民事訴訟規則194条)が静かに過ぎ、事件の中身を一度も審理されないまま終わる。あなたを負かした裁判所に、もう一度息の根を止める権限が与えられている、それがこの条文の正体だ。
法的な位置づけ
民事訴訟法316条は、原裁判所による上告の却下を定める規定である。上告が不適法で補正不能の場合、又は上告理由書の不提出・記載不備の場合に、原裁判所は決定で上告を却下しなければならず、当該決定に対しては即時抗告が認められる。上告審の審理に先立つ形式的審査の関門として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.敗訴判決の送達後、上告期間内に上告状を提出 控訴審の敗訴判決の送達を受けたら、まず上告期間(判決送達から2週間、民訴313条が準用する285条)を確認し、その期間内に上告状を原裁判所へ提出する
- 2.上告理由書の50日期限を即カレンダー登録 上告提起通知書の送達を受けたら、その日を起算点として50日後(民訴規則194条)を赤字でカレンダーに記入する。上告状を出した安心感で後回しにせず、提出日に登録するのが鉄則
- 3.上告理由が法定の理由に当たるか吟味 自分の主張が憲法違反(312条1項)または絶対的上告理由(同2項)に当たるか確認する。当たらない場合は、判例違反等を理由とする上告受理申立て(318条)の併用を検討する
- 4.却下決定を受けたら1週間以内に即時抗告 原裁判所が316条1項で却下決定をしたら、告知から1週間以内(民訴332条の不変期間)に即時抗告を申し立てる。封筒を開けた日が起算点で、過ぎれば確定する
よくある質問 AI による整理
Q1上告理由書とは何ですか?
上告の理由(憲法違反や絶対的上告理由)を法定の方式で記載して提出する書面です。上告状とは別個の書面で、提出を怠ると民訴316条1項2号で却下されます。
Q2民事事件で上告できる理由は何ですか?
民事の上告理由は、憲法違反(民訴312条1項)と判決に影響する重大な手続違背である絶対的上告理由(同2項)に限られます。「判決が不当」だけでは理由になりません。
Q3上告と上告受理申立ての違いは何ですか?
上告は憲法違反・絶対的上告理由がある場合の不服申立て、上告受理申立て(民訴318条)は判例違反など法令解釈の重要事項がある場合に最高裁の裁量受理を求める別経路です。
Q4上告却下と上告棄却の違いは何ですか?
却下は不適法・理由書不備など形式面で門前払いする決定(316条等)、棄却は中身を審理したうえで理由なしとする判断です。却下は内容審理に入りません。
Q5上告状はどこに提出しますか?
上告状は上告審ではなく、原判決をした原裁判所に提出します。原裁判所が形式審査を行い、不備があれば316条で却下します。
Q6上告審はどこの裁判所ですか?
高等裁判所の判決に対する上告審は最高裁判所、簡易裁判所からの事件で地方裁判所が控訴審だった場合は高等裁判所が上告審になります。
Q7本人訴訟で上告するとき何に注意すべきですか?
上告状と上告理由書が別物であること、理由書の50日期限、即時抗告の1週間期限の三つの期限管理が最大の注意点です。期限切れで内容審理されず終わる例が多発します。
Q8上告理由書の記載方式に決まりはありますか?
あります。民事訴訟規則195条が記載方式を定め、これに違反すると316条1項2号により記載不備として却下されます。原判決のどの部分がどう違憲・違法かを具体的に示す必要があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1上告状さえ出せば、あとは最高裁が呼んでくれるんですよね?
違う。上告状とは別に「上告理由書」を、上告提起通知書の送達から50日以内に提出する必要がある(民事訴訟規則194条)。これを怠ると原裁判所が316条1項2号で上告を却下し、最高裁は事件の中身を一切見ない。実務のポイント:本人訴訟で上告まで来た人が最後にここで脱落する例が非常に多い。上告状を出した安心感で理由書を後回しにし、50日が静かに過ぎる。上告状を提出したその日に、理由書の締切を赤字でカレンダーに書くこと
Q2原審に上告を却下されたら、もう打つ手はないんですか?
ある。316条2項により、却下決定に対して即時抗告ができる。ただし即時抗告は決定の告知から1週間以内という不変期間(民事訴訟法332条)で、過ぎれば確定する。実務のポイント:即時抗告期間は控訴・上告の2週間より格段に短い1週間。却下決定の封筒を開けた瞬間からカウントが始まる。裁判所からの分厚い封筒を『あとで読もう』と放置する癖が、ここで致命傷になる
間違えやすい点 AI による整理
- 上告すれば最高裁が必ず中身を見てくれると思われているが、実際は原裁判所が「不適法で補正不能」または「理由書の不提出・不備」を理由に、上告審に届く前に却下できる(316条1項)。最高裁の机に事件が乗る前に終わることがある
- 上告理由書に提出期限があること自体は知っていても、その期限が上告提起通知書の送達から50日という短さで、しかも上告状とは完全に別個の書面であることの深刻さを多くの人が見落とす。上告状を出した安心感が、理由書の締切を頭から消す
- 「どうやって上告を通すか」を考える前に問うべきは、そもそも上告できる理由があるかだ。民事の上告理由は憲法違反(312条1項)と絶対的上告理由(同2項)に極端に絞られている。「判決が不当」「証拠の評価がおかしい」は、それ自体では上告理由にならない。問いの立て方そのものがずれていると、理由書を書いても却下される
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 却下する主体 | 民訴316条:原裁判所(負けた判決を下した裁判所) | 民訴317条:上告裁判所(最高裁・高裁) 民訴318条:最高裁(上告受理申立ての不受理) |
| 主な事由 | 不適法で補正不能/上告理由書の不提出・記載不備 | 不適法な上告/上告理由書の理由が明らかに不備 受理すべき重要な法令解釈の事項が含まれない |
| 審理段階 | 上告審に事件が上がる前の入口審査 | 上告審に上がった後の審査 最高裁による受理・不受理の裁量判断 |
| 不服申立て | 即時抗告(316条2項、告知から1週間) | 原則として上告審の判断で確定 不受理決定で確定 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も第三審上訴理由書の提出を要件とし、原審段階での上訴処理の仕組みを持つ点で日本と類似する。
韓国は原審裁判長による上告状・上告理由書の各下命令の制度を持ち、原審段階での形式審査という構造が日本に近い。
ドイツでは不適法な上告(Revision)の却下を上告裁判所が決定で行う。原審が却下する日本316条とは却下主体の位置づけが異なる。
米国では趣意書(brief)の不提出等を理由に控訴が却下されうるが、上告に相当する連邦最高裁への上訴は裁量上訴(certiorari)であり構造が大きく異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 控訴審で敗訴し、最高裁に望みを託して上告状を提出した。だが上告状と上告理由書が別物だと知らず、理由書を出さないまま50日が過ぎる。原裁判所は316条1項2号で上告を却下、最高裁はあなたの事件の存在すら知らない。残された道は即時抗告だけ、しかも告知から1週間
- もし、あなたが本人訴訟で控訴審まで戦い抜いた末に上告したとして、上告理由が「判決が不当だ」という不満だけだったら? 民事の上告理由は憲法違反か重大な手続違背に限られる。理由書を出しても中身が要件を満たさず、316条1項2号で却下される
- あなたが被上告人(上告された側)で、相手の上告理由書に明らかな形式不備がある。原裁判所に上申書を出して却下の職権発動を促せば、最高裁まで上がる前に決着できる。相手が即時抗告で粘っても、却下の正当性を裏づける資料を先に固めておけば守り切れる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 敗訴判決の送達を受けたら、まず上告期間(判決送達から2週間、民事訴訟法313条が準用する285条)を確認し、その期間内に上告状を原裁判所へ提出2. 次に上告理由書の期限(上告提起通知書の送達から50日、民事訴訟規則194条)を即カレンダー登録3. 自分の主張が憲法違反(312条1項)または絶対的上告理由(同2項)に当たるか吟味、当たらなければ上告受理申立て(318条)も併せて検討4. 理由書は形式要件が厳格、不安なら早期に弁護士へ起案を依頼(最新の改正状況をご確認ください)
訴えられた側:1. 相手が上告してきたら、上告状と上告理由書の形式・期限を精査、不適法な点や理由不備があれば原裁判所に上告却下の職権発動を促す上申書を提出できる2. 上告理由が憲法違反・絶対的上告理由に当たらないなら、その旨を具体的に指摘し却下(316条)を求める3. 原審が却下せず事件が上告審へ上がっても、答弁書で同じ主張を維持4. 相手の即時抗告(316条2項)に備え、却下決定の正当性を裏づける資料を先に準備しておく
時効(請求できる期限):上告理由書の提出期限は、上告提起通知書の送達を受けた日から50日(民事訴訟規則194条)。原裁判所の却下決定に対する即時抗告は、決定の告知を受けた日から1週間の不変期間(民事訴訟法332条)。いずれも起算点は「送達・告知を受けた日」であり、判決確定日ではない
学説
通説:316条は明らかに不適法又は理由不備の上告を原裁判所の段階でふるい落とし、上告審が重要な法律問題の審理に集中できるようにする関門と解される。却下事由を形式的・客観的な場合に限定し、即時抗告によるチェックを残すことで、原審の自己審査による利益相反を抑制すると説明される。
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 旧民事訴訟法から条文番号が再編され、原裁判所による上告却下の規律として現行316条が整備された。上告理由書の不提出・理由不備を却下事由として明確化し、却下決定に対する即時抗告の道を2項で明記した
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法全部改正により条文番号が再編され、原裁判所による上告却下の規律として現行316条が整備された。上告理由書の不提出・記載不備を却下事由として明確化し、却下決定に対する即時抗告を2項に明記した。
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