民事再生法 第190条(破産手続開始の決定又は新たな再生手続開始の決定がされた場合の取扱い等)
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- 再生計画の履行完了前に、再生債務者について破産手続開始の決定又は新たな再生手続開始の決定がされた場合には、再生計画によって変更された再生債権は、原状に復する。ただし、再生債権者が再生計画によって得た権利に影響を及ぼさない。
- 2.第百八十五条の規定は、前項の場合について準用する。
- 3.第一項の破産手続開始の決定に係る破産手続においては、再生債権であった破産債権については、その破産債権の額は、従前の再生債権の額から同項の再生計画により弁済を受けた額を控除した額とする。
- 4.前項の破産手続においては、同項の破産債権については、第一項の再生計画により弁済を受けた場合であっても、従前の再生債権の額をもって配当の手続に参加することができる債権の額とみなし、破産財団に当該弁済を受けた額を加算して配当率の標準を定める。ただし、当該破産債権を有する破産債権者は、他の同順位の破産債権者が自己の受けた弁済と同一の割合の配当を受けるまでは、配当を受けることができない。
- 5.第一項の破産手続開始の決定がされたときは、再生債務者が再生手続終了後に再生計画によらずに再生債権者に対してした担保の供与は、その効力を失う。
- 6.新たな再生手続においては、再生債権者は、再生債権について第一項の再生計画により弁済を受けた場合であっても、その弁済を受ける前の債権の全部をもって再生手続に参加することができる。
- 7.新たな再生手続においては、前項の規定により再生手続に参加した再生債権者は、他の再生債権者が自己の受けた弁済と同一の割合の弁済を受けるまでは、弁済を受けることができない。
- 8.新たな再生手続においては、第六項の規定により再生手続に参加した再生債権者は、第一項の再生計画により弁済を受けた債権の部分については、議決権を行使することができない。
- 9.新たな再生手続においては、従前の再生手続における共益債権は、共益債権とみなす。
この条文の基本情報
破産手続開始の決定又は新たな再生手続開始の決定がされた場合の取扱い等とは何ですか?
定義破産手続開始の決定又は新たな再生手続開始の決定がされた場合の取扱い等とは、民事再生法第190条に定められた規定で、「再生計画の履行完了前に、再生債務者について破産手続開始の決定又は新たな再生手続開始の決定がされた場合には、再生計画によって変更された再生債権は、原状に復する。た…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事再生法第190条(破産手続開始の決定又は新たな再生手続開始の決定がされた場合の取扱い等)は、日本の民事再生法に含まれる条文です。
- 民事再生法第190条の条文原文は「再生計画の履行完了前に、再生債務者について破産手続開始の決定又は新たな再生手続開始の決定がされた場合には、再生計画によって変更された再生債権は、原状に復する。た…」で始まります。
- 民事再生法第190条は第八章 再生計画認可後の手続に置かれています。
- 民事再生法の公布日は平成11年12月22日です。
- 民事再生法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事再生法第190条の前の条は民事再生法第189条です。
- 民事再生法第190条の次の条は民事再生法第191条です。
- 民事再生法第190条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第190条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000225 - 本サイト収録
民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第190条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000225/190
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事再生法190条は、再生計画の履行完了前に会社が破産すると、計画で減額された再生債権が原状に復し満額へ巻き戻ると定める。既受領額は債権額から控除される。
Q · 民事再生で7割カットに同意した債権、会社がその後また潰れたらどうなるの?
減額分は原状に復し、既受領額は控除されます
民事再生法190条1項により、再生計画の履行完了前に会社が破産または新たな再生手続へ移行すると、計画で減免された再生債権は原状に復し、満額に巻き戻ります。既に受け取った弁済額は返還不要で、従前の債権額から控除されます(3項)。ただし4項ただし書により、先に弁済を受けた割合分は、他の同順位債権者が同じ割合に追いつくまで配当を留保され、債権者間の公平が回復されます。減額同意は『計画が完遂された場合の』条件付き譲歩にすぎません。
解説
あなたが部品メーカーで、取引先に売掛金1,000万円を抱えていたとする。ある日その取引先が民事再生に入り、再生計画で「債権は3割に減額、残り7割は免除」と決まった。あなたは泣く泣く300万円で手を打つ。ところが二年後、その会社は計画を履行しきれずに破産した。ほとんどの債権者はここで「残り700万円は永久に消えた」と諦める。だが民事再生法190条はそう書いていない。再生計画の履行が完了する前に破産または新たな再生手続が始まると、計画で削られた再生債権は原状に復する。つまりあなたの債権は元の1,000万円に巻き戻る。すでに受け取った弁済額は差し引かれるが、減免された700万円分が破産手続の中で復活し、配当の母数に戻ってくる。さらに4項のただし書は、先に弁済を受けていた債権者は他の同順位債権者が同じ割合に追いつくまで配当を受けられないと定め、債権者間の公平を回復する。一度諦めた数字が、計画の頓挫とともに蘇る。
法的な位置づけ
民事再生法190条は、再生計画の履行完了前に再生債務者が破産手続または新たな再生手続へ移行した場合における再生債権の原状回復を定める規定である。減免された再生債権は変更前の額に復し、既受領額は控除され、先行弁済分は他の同順位債権者が同率に達するまで配当・弁済が留保される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.当初の再生債権額を立証する原始資料を保全 取引先が牽連破産または再度の再生へ転じたら、まず減額前の元本を証明できる契約書・請求書・再生債権認否の記録を別フォルダに集める。3項の控除計算は『従前の再生債権の額』が基準になるため、これがないと復活の恩恵を取りこぼす
- 2.計画により既に受け取った弁済額を正確に把握 再生計画に基づいて受領した弁済額を日付・金額単位で集計する。この額が従前の債権額から控除され、届出額の計算基礎になる
- 3.破産債権として届出(原状回復額 − 既受領額) 破産手続で、原状回復した従前の満額から既受領額を控除した額を破産債権として、裁判所の定める債権届出期間内に届け出る。届出を怠れば復活した権利ごと配当から外れる
- 4.配当順位の調整を織り込み回収時期を試算 4項ただし書により、既に弁済を受けた割合分は他の同順位債権者が同率に追いつくまで配当を待つ点を前提に、実際の回収見込みとタイミングを試算する
よくある質問 AI による整理
Q1牽連破産とは何ですか?
再生手続が頓挫し、それに連続して開始される破産手続をいいます。民事再生法250条以下が規律し、この移行局面で190条の原状回復が働きます。
Q2民事再生法190条の原状回復はいつ生じますか?
再生計画の履行完了前に、破産手続開始決定または新たな再生手続開始決定がされた時点で当然に生じます。特別な申立ては不要です。
Q3再生計画が失敗したら債権はどうなりますか?
履行完了前に破産・新再生へ移行すると、計画で減免された再生債権は原状に復し満額に戻ります。ただし既受領額は控除されます。
Q4民事再生と破産の違いは何ですか?
民事再生は事業を継続しながら再建する手続、破産は財産を清算して配当する手続です。再生が頓挫すると牽連破産へ移行することがあります。
Q5民事再生法190条9項の共益債権はどう扱われますか?
従前の再生手続における共益債権は、新たな再生手続でも共益債権とみなされ、随時弁済される優先的地位が維持されます。
Q6再生計画外に出した担保は破産で無効になりますか?
190条5項により、再生手続終了後に計画によらず再生債権者へ供与した担保は、牽連破産の開始決定があると効力を失います。
Q7二度目の民事再生で既に弁済を受けた債権者はどう扱われますか?
6項により弁済前の全額で参加できますが、7項で他の債権者が同率に追いつくまで弁済を受けられず、8項で既弁済部分に議決権はありません。
Q8破産債権の届出には期限がありますか?
破産手続では裁判所が定める債権届出期間内に届け出る必要があります(破産法111条)。徒過すると原状回復した債権でも配当参加が制約されえます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1民事再生で減額に同意したら、もう取り返せないんですよね?
計画が最後まで履行されれば確かに減額が確定します。しかし履行完了前に会社が破産したり再び再生手続に入ると、190条1項により減免された部分は原状に復し、債権は満額に巻き戻ります。実務のポイント:弁護士はこの『条件付きの譲歩』という性質を理解した上で再生計画案への賛否を判断します。再建の見込みが薄い計画なら、減額に同意しても破綻時に満額が復活するので失うものは少ない。この一点を知っているかどうかで、決議での投票行動も債権保全の動きもまるで変わります
Q2計画どおりに受け取った弁済金、会社がまた潰れたら返金させられますか?
返金義務はありません。190条3項は受領額を従前の債権額から控除すると定めるだけで、返還を求めていません。ただし4項ただし書により、先に弁済を受けた割合分は、他の同順位債権者が同じ割合に追いつくまで次の配当を受けられません。実務のポイント:これは『早く受け取った者勝ち』を防ぐ公平調整です。だからこそ計画弁済は迷わず受け取ってよい。受け取っても最終的な取り分は均されるので、受領自体が不利になることはなく、手元資金を先に確保できる分むしろ有利です
Q3再生を終えた会社が後から特定の銀行にだけ担保を出していたら、破産になったときどうなりますか?
190条5項により、再生手続終了後に再生計画によらず再生債権者へ供与した担保は、牽連破産の開始決定があると効力を失います。一部の債権者への抜け駆け的な担保提供を無効化する規定です。実務のポイント:再建の局面では『うちにだけ担保を』という個別交渉が水面下で起きがちですが、計画外の供与は破産で巻き戻されます。担保を取れたつもりの債権者ほど油断する。逆に他の債権者は、こうした計画外担保の存在を疑って破産管財人に調査を促す価値があります
間違えやすい点 AI による整理
- 「再生計画で債権が減額されたら、その減額は確定的で永久だ」と信じている債権者が大半だが、計画の履行が完了する前に破産や新たな再生が来れば、減免された部分は原状に復する。減額は『計画が最後まで履行された場合の』条件付きの譲歩にすぎない
- 債権が復活することは知っていても、その復活の『質』を見落としている人が多い。満額に戻るとはいえ、すでに弁済を受けた債権者は4項ただし書・7項により、他の同順位債権者が同じ割合に追いつくまで配当も弁済も受けられない。早く受け取った者が得をするわけではなく、最終的な取り分は公平に均される。復活=即・満額回収、ではない
- 「計画どおり弁済を受けた分は、再破産したら返還しなければならないのか」と問う人がいるが、その問いの立て方自体がずれている。3項は受領額を債権額から控除すると定めるだけで、返還を求めていない。返すのではなく、控除と配当順位の調整で帳尻を合わせる仕組みになっている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 原状回復の契機 | 190条:計画履行完了前の破産手続開始・新再生手続開始の決定 | 189条:再生計画の取消しの決定 185条:計画取消時の原状回復(準用の基準規定) |
| 効果 | 変更(減免)された再生債権が原状に復し満額へ巻き戻る | 取消しにより計画の効力が失われる前提局面 原状回復の一般的な処理則を提供(190条が準用) |
| 既受領弁済の扱い | 返還不要・従前の債権額から控除(3項)/先行弁済分は配当留保(4項) | 取消しの帰結として原状回復規律に接続 準用元として控除・調整の枠組みを供給 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は独立した『民事再生』法典を持たず、会社の再建は公司法の重整、個人・一般は破產法と消費者債務清理条例で処理する。重整が頓挫した場合の債権の巻き戻し・清算移行の思想は共通する
韓国は再生と破産を単一法典に統合。回生計画の遂行が困難となり破産へ移行する局面での債権の処遇調整は日本と類似の構造を持つ
ドイツは計画(Insolvenzplan)に基づく弁済で債務者が著しく遅滞した場合、猶予・免除された債権が Wiederaufleben(復活)する規定を置く。頓挫時の債権復活という発想が近い
米国は Chapter 11の再建が奏功しない場合に Chapter 7清算へ転換(conversion)でき、転換の効果として債権の扱いが定まる。日本の牽連破産・原状回復に機能的に対応する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 下請けのあなたが、元請けの民事再生で売掛金を8割カットされ、2割だけ受け取った。その元請けが計画途中で力尽きて破産。あなたが知るべきは、ここで債権がカット前の満額に巻き戻ること。受け取った2割を引いた残り全部を、破産債権として届け出られる。諦めて債権届を出さなければ、復活した権利ごと配当から外れる
- もし計画に従って受け取った弁済金を、再破産したら返さなきゃいけないとしたら? 答えはノー。3項により受領額は債権額から控除されるだけで返還義務はない。ただし4項ただし書で、あなたは他の債権者が同じ割合に追いつくまで次の配当を待つ。返すのではなく、順番を譲る構造になっている
- 再生手続を終えた社長が、息のかかった取引先や役員の親族にだけ後から担保を差し入れた。その後に牽連破産が来ると、5項によりその担保供与は効力を失う。再建の名を借りた身内への抜け駆けは、破産の局面で巻き戻される
- あなたの会社が一度目の民事再生に失敗し、すぐ二度目の再生手続に入った。一度目の計画で3割の弁済を受けていた債権者は、6項により弁済を受ける前の満額で二度目の手続に参加できる。ただし7項で他の債権者が同率に追いつくまで弁済を受けられず、8項で既弁済分には議決権がない。二度目の再生計画案の票読みが、一度目とまるで変わる
- あと数週間で取引先の再生計画の弁済期。あなたは「とりあえず計画どおり受け取るべきか、相手の体力が尽きそうだから様子を見るべきか」を迷っている。実は受け取っても190条で巻き戻るので、受領自体が不利になることはない。受け取った上で破産に備えて債権額の証拠を固めるのが定石
取るべき行動
被害を受けた側:1. 取引先が牽連破産または再度の再生に転じたら、まず当初の再生債権額(減額前の元本)を立証できる原始資料を集める。3項の控除計算の基準になる2. すでに計画で受け取った弁済額を正確に把握、これが債権額から差し引かれる3. 破産手続では原状回復した満額から既受領額を控除した額で破産債権を届け出る。届出を怠れば復活した権利ごと配当から外れる4. 4項ただし書により、既に弁済を受けた割合分は他の債権者が追いつくまで配当を待つ点を織り込み、回収見込みのタイミングを試算する
訴えられた側:1. 再生債務者・経営側であれば、再生手続終了後に特定債権者へ計画外の担保を供与しない。5項により牽連破産時に効力を失い、偏頗行為として問題化する2. 計画の履行が困難と判明した段階で、漫然と一部の債権者にだけ弁済を続けると公平を欠く。早期に申立代理人・監督委員と再建続行か破産移行かを協議3. 二度目の再生を目指す場合、6項から8項により既弁済債権者の参加・議決権が制限される構造を踏まえ、計画案の可決可能性を再計算する
時効(請求できる期限):190条自体に固有の期間制限はないが、破産手続では破産債権の届出は裁判所の定める債権届出期間内に行う必要がある(破産法111条)。期間を徒過すると原状回復した債権でも配当手続への参加が制約されうる(最新の改正状況をご確認ください)。原状回復の効果は、破産手続開始決定または新たな再生手続開始決定の時点で当然に生じる
学説
通説:190条は、再生計画の頓挫により各債権者の処遇を一旦リセットして原状回復させつつ(1項)、既受領額は返還させず控除で処理し(3項)、先行弁済者は他の同順位債権者が同率に達するまで配当・弁済を留保する(4項・7項)という二段構えで、形式的な巻き戻しと実質的な債権者平等を同時に達成する設計と理解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:民事再生法(平成11年法律第225号)制定に伴い新設。再生計画が履行完了前に頓挫し破産・新再生へ移行する局面での再生債権の原状回復と債権者間の公平調整を規律する。
- 民事再生法 第185条再生計画取消時の原状回復、本条が準用する基準規定
- 民事再生法 第189条再生計画の取消し、原状回復が生じる前提局面
- 民事再生法 第188条再生手続終結の決定、履行完了との区分
- 民事再生法 第174条再生計画認可の決定、変更された再生債権の発生根拠
- 民事再生法 第250条牽連破産の開始決定、破産手続移行の入口(現行効力を要確認)
- 破産法 第100条破産債権の行使方法、原状回復した債権の手続的扱い
- 破産法 第194条配当率の決定、4項の公平調整が接続する規律
- 破産法 第111条破産債権の届出、復活債権の参加手続(現行効力を要確認)
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