信託法 第110条(受益者集会参考書類及び議決権行使書面の交付等)
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- 招集者は、前条第一項の通知に際しては、法務省令で定めるところにより、知れている受益者に対し、議決権の行使について参考となるべき事項を記載した書類(以下この条において「受益者集会参考書類」という。)及び受益者が議決権を行使するための書面(以下この款において「議決権行使書面」という。)を交付しなければならない。
- 2.招集者は、前条第二項の承諾をした受益者に対し同項の電磁的方法による通知を発するときは、前項の規定による受益者集会参考書類及び議決権行使書面の交付に代えて、これらの書類に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。ただし、受益者の請求があったときは、これらの書類を当該受益者に交付しなければならない。
- 3.招集者は、前条第四項の規定による公告をした場合において、受益者集会の日の一週間前までに無記名受益権(無記名式の受益証券が発行されている受益権をいう。第八章において同じ。)の受益者の請求があったときは、直ちに、受益者集会参考書類及び議決権行使書面を当該受益者に交付しなければならない。
- 4.招集者は、前項の規定による受益者集会参考書類及び議決権行使書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、受益者の承諾を得て、これらの書類に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該招集者は、同項の規定によるこれらの書類の交付をしたものとみなす。
この条文の基本情報
受益者集会参考書類及び議決権行使書面の交付等とは何ですか?
定義受益者集会参考書類及び議決権行使書面の交付等とは、信託法第110条に定められた規定で、「招集者は、前条第一項の通知に際しては、法務省令で定めるところにより、知れている受益者に対し、議決権の行使について参考となるべき事項を記載した書類(以下この条にお…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第110条(受益者集会参考書類及び議決権行使書面の交付等)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第110条の条文原文は「招集者は、前条第一項の通知に際しては、法務省令で定めるところにより、知れている受益者に対し、議決権の行使について参考となるべき事項を記載した書類(以下この条にお…」で始まります。
- 信託法第110条は第二款 受益者集会に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第110条の前の条は信託法第109条です。
- 信託法第110条の次の条は信託法第111条です。
- 信託法第110条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第110条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第110条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/110
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法110条は、受益者集会の招集者に、招集通知とともに受益者集会参考書類と議決権行使書面を交付する義務を課す。電子提供の場合でも、受益者が請求すれば紙で交付しなければならない。
Q · 受益者集会の通知に、議案の資料も投票用紙も入っていなかったらどうすればいい?
本条を根拠に、招集者へ書類の交付を請求できます
信託法110条1項により、招集者は招集通知(109条)に際して、知れている受益者に受益者集会参考書類と議決権行使書面を交付しなければなりません。電子提供に同意していても、請求すれば紙で交付されます(2項ただし書き)。無記名受益権の受益者は、集会の一週間前までに請求すれば直ちに交付を受けられます(3項)。請求はメールや内容証明郵便など記録に残る方法で行うのが安全です。
解説
封筒の中身で、勝負の半分はもう決まっている。受益者が複数いる信託で、信託行為(信託契約や遺言など、信託を作るときの取り決め)が受益者集会での多数決を採用している場合がある。このとき、受託者などの招集者は、招集通知と一緒に二種類の書類をあなたに渡さなければならない。一つは「受益者集会参考書類」で、議案の中身と判断材料をまとめた説明資料である。もう一つは「議決権行使書面」で、会場に行かなくても賛否を書いて返せる投票用紙にあたる。電子通知に同意した受益者にはデータで提供してもよいが、あなたが紙を求めれば紙で交付する義務が残る。無記名の受益証券しか持たない人は、集会の一週間前までに請求すれば、招集者は直ちに書類を交付しなければならない。議案の中身を知らされないまま多数決に飲み込まれる事態を、条文は前もって封じている。届いた封筒に何が入っていないかを確かめることが、あなたにとって最初の防御になる。
法的な位置づけ
受益者集会参考書類とは、信託法第110条に基づき、招集者が受益者集会の招集通知に際して受益者に交付する、議決権の行使について参考となるべき事項を記載した書類である。議決権行使書面は、受益者が集会に出席せずに議案への賛否を記載して議決権を行使するための書面であり、両者は一体として交付される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.受益者の区分を整理する 招集者は、知れている受益者の名簿を作成し、電磁的方法による通知への承諾の有無、無記名受益権の有無を区分ごとに整理する。区分によって交付方法と期限が異なるため、最初に一覧化する
- 2.参考書類と議決権行使書面を作成する 法務省令で定める記載事項に沿って受益者集会参考書類を作成し、賛否を記入できる議決権行使書面を用意する。行使期限も明記する
- 3.招集通知と同時に交付・電子提供する 集会の日の二週間前までに招集通知を発し、同時に書類を交付する。電子提供に承諾した受益者にはデータで提供してよいが、紙の請求があれば速やかに郵送する
- 4.無記名受益権者の請求に即時対応する 公告をした場合、集会の一週間前までに無記名受益権の受益者から請求があれば、直ちに参考書類と議決権行使書面を交付する。承諾を得れば電子提供も可能
- 5.交付記録を保存する 発送記録、電子提供の承諾記録、紙の交付請求への対応記録を保存し、後から手続の適正を立証できるようにしておく
よくある質問 AI による整理
Q1受益者集会参考書類とは?
議案の内容や賛否の判断材料をまとめた説明資料です。信託法110条1項により、招集者が招集通知の際に知れている受益者へ交付しなければなりません。
Q2議決権行使書面とは何ですか?
受益者集会に出席しなくても、議案への賛否を記入して返送できる投票用紙にあたる書面です。参考書類と一緒に交付されます(信託法110条)。
Q3受益者集会の書類はいつまでに届く?
招集通知は集会の日の二週間前までに発する必要があり(109条1項)、参考書類と議決権行使書面はその通知に際して交付されます。
Q4受益者集会の書類を電子提供するには受益者の承諾が必要?
必要です。電磁的方法による通知に承諾した受益者(109条2項)に限り、書類の交付に代えて電子提供ができます(110条2項)。
Q5無記名受益権の受益者は書類をどうやって受け取る?
個別通知ではなく公告で招集されるため、集会の一週間前までに招集者へ請求する必要があります。請求があれば招集者は直ちに交付します(110条3項)。
Q6家族信託でも受益者集会の書類は必要?
受益者が複数いて、信託行為で受益者集会による多数決を定めている場合は、家族信託でも本条の書類交付ルールが適用されます。
Q7受益者集会参考書類に何を書けばいい?
記載事項は法務省令(信託法施行規則)で定められています。議案の内容や提案の理由など、賛否の判断に必要な事項を記載します。最新の規則を確認してください。
Q8受益者集会の書類を交付しないと違法?
本条の交付義務に違反します。その決議の効力の評価は解釈が分かれますが、受託者責任や決議の手続を争う根拠になりえます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1メールで届いた案内にリンクが貼ってあるだけなんですが、紙で送ってって言ってもいいんですか?
言ってよい。電子提供に同意していても、受益者が請求すれば招集者は書類を交付しなければならない(110条2項ただし書き)。実務のポイント:請求は記録が残る方法で出し、あわせて議決権行使書面の提出期限(115条、法務省令で定める時まで)を確認しておくこと。紙が届いた時点で期限ぎりぎりだった、という事態を防げる
Q2受託者が書類を送ってこないまま、集会で決議されてしまいました。もう覆せないんですか?
本条違反の手続で成立した決議の効力は、実務上、解釈が分かれている。ただし手は残っている。反対した受益者は一定の決議について受益権取得請求ができる(103条)。損失が出れば、受託者の損失てん補責任(40条)も視野に入る。実務のポイント:集会の場で「書類の交付を受けていない」と異議を述べ、その発言を議事録に残させること。この一行が、後で争うときの出発点になる
間違えやすい点 AI による整理
- 電子通知に同意したら紙の書類はもう受け取れない、と思い込む人がいる。実際には、2項ただし書きにより、受益者が請求すれば招集者は書類を交付しなければならない。電子提供への同意は、紙を受け取る権利を手放すことを意味しない
- 受託者から見れば、書類を同封するのは事務作業の一つにすぎない。しかし法律から見ると、決議の正当性を支える前提条件である。書類を欠いたまま行われた決議の効力をどう評価するかは、会社法831条のような明文の取消訴訟制度との対比も含めて、実務上、解釈が分かれている。この不確実さこそが、後になって受託者を追い詰める
- 「参考書類はいつ届くのか」と待っていること自体が、問いの立て方として間違っている。無記名受益権の受益者には個別の通知が届かず、公告で済まされる。自分から請求しない限り、書類は届かない(3項)
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する内容 | 信託法110条:招集通知に添える参考書類・議決権行使書面の交付 | 信託法109条:招集通知・公告の期限と方法 信託法115条:議決権行使書面による議決権の行使 |
| 主な義務者・行為者 | 招集者(書類を交付する義務) | 招集者(通知・公告を発する義務) 受益者(書面で議決権を行使する) |
| 期限 | 通知に際して交付;無記名受益権者は集会の一週間前までの請求で直ちに交付 | 通知は集会の日の二週間前まで;公告は三週間前まで 法務省令で定める時までに提出 |
| 電子化 | 承諾した受益者には電子提供可、ただし請求があれば紙で交付 | 受益者の承諾を得て電磁的方法で通知可 書面による行使が前提 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾では証券化商品の受益人會議について特別法で手続が定められている。家族信託を含む一般信託の多数決集会手続との対応関係は個別に確認が必要
韓国も信託法改正により受益者集会制度を導入しており、日本と同種の多数決による意思決定の枠組みをもつ。書類交付の細目は条文で確認が必要
ドイツには一般信託の受益者集会制度はなく、社債権者集会(Gläubigerversammlung)が多数決集会の手続保障として類比対象となる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父が設定した不動産管理の信託で、兄弟三人が受益者になっている。信託契約には受益者集会での多数決条項がある。受託者の長兄から「信託の変更」を議題とする集会の通知が届いた。ところが封筒の中身は日時と場所を書いた紙一枚だけで、参考書類も議決権行使書面も入っていない。賛否を決める材料がないまま当日を迎える前に、本条を根拠に書類の交付を求めることができる
- あなたは受託者として、初めて受益者集会を招集する立場になった。受益者は40名で、そのうち12名は電子通知に同意している。PDF をメールで送れば済むと考えていたところ、同意済みの1名から「紙で送ってほしい」と請求が来た。2項ただし書きにより、この1名には紙で交付しなければならない。集会まで残り10日しかなく、今日中に印刷と郵送の段取りを組まないと間に合わない
- 無記名式の受益証券しか持っておらず、公告で集会の開催を知った場合、議案の資料はどうやって手に入れるのか。集会の日の一週間前までに招集者へ請求すれば、招集者は直ちに書類を交付しなければならない。八日前に請求するか六日前に請求するかで、交付義務が生じるかどうかが分かれる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 通知に参考書類と議決権行使書面が同封されているかを確認する。電子提供の場合はリンク先の中身まで開いて確かめる2. 欠けていれば、本条に基づいて交付を求める書面を、日付が記録に残る方法(メールや内容証明郵便など)で送る3. 無記名受益権の場合は、集会の一週間前という期限を逆算してすぐに請求する4. 交付されないまま集会が開かれた場合は、異議を述べたことを議事録に残させる。そのうえで、受益権取得請求(103条)や受託者の責任追及(40条)を専門家と検討する
訴えられた側:1. 招集者になったら、知れている受益者の名簿、電子提供への承諾の有無、無記名受益権の有無を整理する2. 参考書類は法務省令で定める記載事項に沿って作成し、議決権行使書面と一緒に通知期限(109条)までに発送する3. 電子提供した受益者から紙の請求が来たら、すぐに交付する4. 発送記録と承諾記録を保存し、手続の適正を後から立証できるようにしておく
時効(請求できる期限):特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。手続の期限としては、招集通知が集会の日の二週間前まで(109条1項)、無記名受益権がある場合の公告が三週間前まで(109条4項)、無記名受益者による書類の請求が集会の一週間前まで(本条3項)である。受益権取得請求には別に期間の制限がある(103条以下、最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 旧信託法には受益者集会の制度がなく、現行信託法の制定にあわせて受益者集会の手続規定の一つとして新設された(平成19年施行)。その後の改正の有無は要確認
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法全部改正(平成18年法律第108号)により、受益者集会制度の手続規定の一つとして新設。旧信託法には受益者集会の制度はなかった。平成19年施行
- 信託法 第109条招集通知と公告の期限・方法
- 信託法 第105条複数受益者の意思決定方法の原則
- 信託法 第115条議決権行使書面による書面投票
- 信託法 第103条反対受益者の受益権取得請求
- 投資信託及び投資法人に関する法律 第17条投資信託約款変更の書面決議の特則(現行効力を要確認)
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