信託法 第115条(書面による議決権の行使)
クイックジャンプ
- 受益者集会に出席しない受益者は、書面によって議決権を行使することができる。
- 2.書面による議決権の行使は、議決権行使書面に必要な事項を記載し、法務省令で定める時までに当該記載をした議決権行使書面を招集者に提出して行う。
- 3.前項の規定により書面によって行使した議決権は、出席した議決権者の行使した議決権とみなす。
この条文の基本情報
書面による議決権の行使とは何ですか?
定義書面による議決権の行使とは、信託法第115条に定められた規定で、「受益者集会に出席しない受益者は、書面によって議決権を行使することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第115条(書面による議決権の行使)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第115条の条文原文は「受益者集会に出席しない受益者は、書面によって議決権を行使することができる。」で始まります。
- 信託法第115条は第二款 受益者集会に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第115条の前の条は信託法第114条です。
- 信託法第115条の次の条は信託法第116条です。
- 信託法第115条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第115条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第115条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/115
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法115条は、受益者集会に出席しない受益者が書面で議決権を行使できると定める。法務省令で定める時までに招集者へ提出した書面は出席とみなされる。
Q · 受益者集会に行けないとき、書面で投票しても意味はあるの?
書面で議決権を行使でき、期限内に届けば出席扱いになる
信託法115条により、受益者集会に出席しない受益者は議決権行使書面に必要事項を記載し、法務省令で定める時までに招集者へ提出することで議決権を行使できます。提出した書面による議決権は「出席した議決権者の行使した議決権」とみなされるため、定足数(113条)にも賛否の集計にも入ります。一方、返送しなかった議決権は反対票にはならず、単なる欠席として扱われます。期限は投函日ではなく到着時点で判断されます。
解説
受益者集会の会場に行かなくても、手元の一枚の紙で集会の結論を動かせる。信託法115条は、出席しない受益者が書面で議決権を行使できると定めている。ただ、肝心なのは第3項のほうだ。書面で行使した議決権は「出席した議決権者の行使した議決権」とみなされる。受益者集会の決議には、議決権の一定割合を持つ受益者が出席していることという定足数(決議を有効にするために必要な最低出席数)の要件がある(113条)。返送されなかった書面は、反対票にすらならず「欠席」として扱われる。その欠席が積み重なると、決議そのものが成立しない。逆に、黙って放置した人の分だけ、会場にいる少数の声が相対的に重くなる。書面には提出期限があり、法務省令(信託法施行規則)で定める時までに招集者へ届いていなければ効力を持たない。郵便局の消印ではなく、到着した時点が勝負になる。封筒を開けずに引き出しへしまう人と、期限の前に返送する人とでは、信託財産の行方に対する影響力がまったく違う
法的な位置づけ
信託法115条は書面による議決権行使を定める規定であり、受益者集会に出席しない受益者が、議決権行使書面に必要事項を記載して法務省令で定める時までに招集者へ提出することにより議決権を行使できる旨を規定する。書面により行使された議決権は出席した議決権者の議決権とみなされ、受益者集会の定足数および決議の集計に算入される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.招集通知で提出期限と送付先を確認 受益者集会の招集通知と議決権行使書面が届いたら、議題より先に書面の提出期限と送付先(招集者)を確認し、カレンダーに記録する
- 2.参考書類を読み賛否を決める 参考書類(110条)で議案の内容と理由を確認し、賛否を判断する。当日修正動議が出た場合の書面の扱いが記載されていないかも確認する
- 3.書面に記載し追跡可能な方法で送付 賛否欄に明確に記載し、控えのコピーを取ったうえで、到着までの日数を見込んで期限の数営業日前に追跡可能な郵送方法で招集者へ送る
- 4.集会後に議事録で集計を確認 自分の書面が集計に反映されたか疑問があれば、議事録(120条)の閲覧を求めて出席議決権数と賛否の数を確認し、不審な点があれば弁護士に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1受益者集会とは何ですか?
受益者が複数いる信託で、信託行為に定めがある場合に受益者の意思決定を多数決で行うための会議体です。信託法105条以下に招集・決議の手続が定められています。
Q2受益者集会の書面投票とは?
集会に出席しない受益者が、議決権行使書面に賛否を記載して招集者に提出し、議決権を行使する方法です。信託法115条が根拠で、提出した議決権は出席扱いになります。
Q3議決権行使書面の提出期限はいつまで?
法務省令(信託法施行規則)で定める時までで、原則として集会日時の直前の営業時間の終了時とされます。投函日ではなく招集者への到着時点で判断されます。
Q4議決権行使書面を返送しないとどうなる?
反対票にも賛成票にもならず、欠席として扱われます。出席議決権に算入されないため、定足数の充足にも寄与せず、会場の出席者だけで決議が成立しうることになります。
Q5家族信託でも受益者集会は開かれる?
受益者が複数いて、信託行為に受益者集会での多数決の定めを置いていれば開かれます(105条)。信託の規模ではなく信託行為の書き方で決まります。
Q6書面で出した議決権は定足数に入る?
入ります。信託法115条3項により、書面で行使した議決権は出席した議決権者の議決権とみなされるため、113条の定足数の計算にも算入されます。
Q7書面投票の後に集会へ出席できる?
条文上の明示はなく、取扱いは招集時の定めや実務運用によります。二重行使の扱いが問題になるため、招集通知や参考書類の注意書きを確認しておくのが安全です。
Q8議決権行使書面は誰に送ればいい?
受益者集会の招集者に提出します(115条2項)。招集者は受託者や受益者の場合があるため、招集通知に記載された送付先を必ず確認してください。
この条文についての質問 AI による整理
Q1書面で賛否を書いて出したら、もう集会には行かなくていいんですよね?
はい。115条3項により、書面で行使した議決権は出席した受益者の議決権とみなされるため、定足数にも賛否の集計にも入る。実務のポイント:集会当日に議案が修正された場合、事前に出した書面がその修正案にどう数えられるかは招集時の取扱いの定めによって変わる。参考書類や記載欄の注意書きに修正動議の扱いが書かれていないか、一度確認しておくとよい
Q2期限ギリギリに速達で出したら、間に合ったことになりますか?
基準は到着時点で、法務省令で定める時までに招集者へ届いていなければ書面行使の効力はない(115条2項)。消印が期限内でも、到着が遅れれば数えられない。実務のポイント:連休や年末年始をはさむ集会では、郵便の遅れで書面が無効になる事故が起きやすい。期限の三営業日前には投函し、追跡番号の残る方法で送るのが実務の安全策だ
間違えやすい点 AI による整理
- 「書面を返さなければ、反対したのと同じだろう」と考えがちだが、実際は違う。返送しない議決権は出席にも反対にも数えられない。反対の意思があるなら、反対と記載して期限内に届けない限り、法的にはただの欠席者だ
- 書面行使ができることは知っていても、期限の重さを軽く見ている人が多い。提出期限は法務省令で定める時(原則として集会日時の直前の営業時間の終了時とされる。最新の改正状況をご確認ください)で、集会当日の朝に届いた書面は原則として数えられない。投函日ではなく到着日で判断される
- 「受益者集会なんて投資信託や大口の信託の話で、家族信託には関係ない」という問いの立て方自体がずれている。受益者が複数いて、信託行為に受益者集会での多数決の定めを置けば(105条)、親族だけの信託でもこの条文がそのまま動く。関係するかどうかは信託の規模ではなく、信託行為の書き方で決まる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 行使方法 | 信託法115条:議決権行使書面を招集者に提出 | 信託法114条:代理人に議決権を行使させる 信託法116条:電磁的方法で議決権を行使 |
| 本人の関与 | 本人が事前に賛否を確定させて提出 | 代理人が会場で行使(代理権を証する書面が必要) 本人が事前に電磁的方法で賛否を送信 |
| 当日の議論への対応 | 当日の質疑・修正動議に対応しにくい | 代理人が会場で議論に応じて対応できる 書面と同様、当日の議論に対応しにくい |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾では投資信託の受益人會議の規定があり、会社法には株主総会の書面表決制度がある。日本の受益者集会の書面行使と比較する際の参照先となる
韓国では投資信託の受益者総会(集合投資者総会)について書面による議決権行使の仕組みが設けられている
フランスの株式会社では通信による投票(vote par correspondance)が認められ、出席扱いに算入される点で構造が近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 受益証券発行信託の受益権を少額持っている。ある日「受益者集会招集通知」と議決権行使書面が届いた。議題は信託報酬の引上げと受託者の変更。忙しくて会場には行けない。もし書面も返送しなかったら、どうなる? あなたの議決権は出席にも反対にもカウントされず、引上げに賛成の受益者だけで決議が通りうる
- あなたは家族信託で受益者の一人になっている。信託行為には「受益者集会の多数決で決める」と書いてあり、兄が信託不動産の売却を議題にした集会を招集した。遠方に住むあなたは反対だが、集会は来週。今日中に書面を投函しなければ、到着が提出期限に間に合わないかもしれない
- あなたが招集者の立場で、書面の到着期限を通知に書き忘れた。期限が不明確なまま集計した決議は、後で手続の瑕疵(手続上の欠陥)を突かれる火種になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 招集通知と議決権行使書面を受け取ったら、提出期限と送付先(招集者)を確認する2. 議題に反対なら賛否欄に明確に記載し、到着までの日数を見込んで早めに送る。追跡できる郵送方法を使い、控えのコピーを残す3. 自分の書面が集計されなかった疑いがあれば、議事録(120条)の閲覧を求めて出席議決権数を確認する。なお信託法には会社法831条のような決議取消しの訴えの明文がなく、手続の瑕疵をどう争うかは実務上、解釈が分かれているため、早めに弁護士に相談する
訴えられた側:招集者として書面集計の不備を指摘された場合:1. 通知に提出期限と記載方法を明記していたか、議決権行使書面と参考書類を交付していたか(110条)を確認する2. 到着日時の記録と受領した書面の原本を保存し、期限後に届いたものを除いた理由を説明できるようにしておく3. 瑕疵が大きいなら、同じ議題で集会を招集し直すほうが、争い続けるより低コストになることが多い
時効(請求できる期限):書面の提出期限は法務省令(信託法施行規則)で定める時。原則として受益者集会の日時の直前の営業時間の終了時とされ、招集者が別の時を定めることもある(最新の改正状況をご確認ください)。投函日ではなく招集者への到着時で判断される
学説
立法趣旨(一般的理解):受益者が広く分散する信託を想定し、会場に出席できない受益者の意思を決議に反映させるため、会社法の株主総会における書面投票制度と同様の仕組みを受益者集会に導入したものと理解されている
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 旧信託法を全面的に改める新信託法の制定に伴い、受益者集会の制度とあわせて書面による議決権行使の規定が置かれた。その後の改正の有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法の全部改正(平成18年法律第108号)により受益者集会の制度が設けられ、書面による議決権行使の規定が置かれた。その後の改正の有無は人的検証が必要
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