信託法 第114条(議決権の代理行使)
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- 受益者は、代理人によってその議決権を行使することができる。この場合においては、当該受益者又は代理人は、代理権を証明する書面を招集者に提出しなければならない。
- 2.前項の代理権の授与は、受益者集会ごとにしなければならない。
- 3.第一項の受益者又は代理人は、代理権を証明する書面の提出に代えて、政令で定めるところにより、招集者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該受益者又は代理人は、当該書面を提出したものとみなす。
- 4.受益者が第百九条第二項の承諾をした者である場合には、招集者は、正当な理由がなければ、前項の承諾をすることを拒んではならない。
この条文の基本情報
議決権の代理行使とは何ですか?
定義議決権の代理行使とは、信託法第114条に定められた規定で、「受益者は、代理人によってその議決権を行使することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第114条(議決権の代理行使)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第114条の条文原文は「受益者は、代理人によってその議決権を行使することができる。」で始まります。
- 信託法第114条は第二款 受益者集会に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第114条の前の条は信託法第113条です。
- 信託法第114条の次の条は信託法第115条です。
- 信託法第114条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第114条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第114条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/114
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法114条は、受益者が代理人により受益者集会の議決権を行使できると定める。代理権を証明する書面を招集者に提出し、代理権は集会ごとに授与しなければならない。
Q · 信託の受益者集会、委任状を一度出せば次の集会でも使えますか?
使えません。代理権の授与は集会ごとに必要です
信託法114条2項は、議決権の代理権の授与を受益者集会ごとに行うよう求めています。過去の集会のために出した委任状や「今後一切を任せる」という包括的な委任状では、別の日に新たに招集された集会の議決権は代理行使できません。代理人を立てる場合は、集会ごとに代理権を証明する書面を招集者に提出する必要があります。招集者の承諾を得れば、書面に代えて電磁的方法で提供することもできます(同条3項)。
解説
委任状を一枚書けば済む、と考えた受益者ほど足をすくわれる。信託法114条は、受益者集会(信託行為で定めた場合に、複数の受益者が多数決で物事を決める会議)に出られない受益者が、代理人に議決権を行使させることを認めている。ただし条件は三つある。第一に、代理権を証明する書面を招集者(集会を呼びかけた受託者や受益者)に提出すること。第二に、代理権は集会ごとに与えること。「今後の集会はすべて兄に任せる」という包括的な委任状は、この条文の下では使えない。第三に、書面の代わりにメールなどの電子データで出すには、招集者の承諾が要る。ただし、あなたが招集通知を電子で受け取ることに同意していた場合、招集者は正当な理由がなければ電子での提出を断れない。受け取りを電子にした人は、提出も電子でできる権利を得ているということだ。書面を一枚出し忘れただけで、あなたの一票は集計から消える。
法的な位置づけ
信託法114条は受益者集会における議決権の代理行使を定める規定である。受益者は代理人によって議決権を行使でき、その際には代理権を証明する書面を招集者に提出しなければならない。代理権の授与は受益者集会ごとに要し、招集者の承諾を得た場合は書面に代えて電磁的方法による提供が認められる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.信託契約と招集通知を確認する 信託契約に受益者集会の定めがあるか、代理人の資格制限があるかを確認する。招集通知で集会の日時、議題、委任状の提出先と期限を把握する
- 2.電子受領の承諾を検討する 招集通知を電磁的方法で受け取ることに承諾しておけば、後で委任状を電子で提出したいとき、招集者は正当な理由なく拒めない(114条4項)
- 3.その集会専用の委任状を作成する 集会の名称・日付、代理人の氏名、受益者本人の氏名を明記した委任状を作る。包括的な委任ではなく、当該集会に限った代理権の授与にする
- 4.招集者へ提出し記録を残す 委任状は集会の前日までに招集者へ届け、受領の記録を残す。電子で出す場合は、事前に招集者の承諾を得たことを書面やメールで確保する
- 5.集計と議事録を確認する 集会後、自分の票が集計に含まれたかを議事録(120条)で確認する。扱いに疑問があれば、書面で招集者に説明を求める
よくある質問 AI による整理
Q1受益者集会とは何ですか?
信託行為に定めがある場合に、複数の受益者が多数決で意思決定を行う会議です。受託者の解任や信託の変更などが議題になることがあります。
Q2受益者集会の委任状に決まった書式はありますか?
信託法114条は書式を定めていません。代理権を証明できる書面であればよく、対象となる集会、代理人、受益者本人を特定できる内容にしておくのが実務上安全です。
Q3委任状はいつまでに提出すればいいですか?
条文上の期限はなく、集会で議決権を行使する時点までに招集者へ届いている必要があります。招集通知に提出期限の案内があれば、それに従うのが確実です。
Q4委任状をメールやPDFで出せますか?
招集者の承諾があれば、書面に代えて電磁的方法で提供できます(信託法114条3項)。承諾がない場合は、原則として書面の原本の提出が必要です。
Q5招集者は電子での委任状提出を断れますか?
受益者が招集通知の電子受領を承諾していた場合(109条2項)、招集者は正当な理由がなければ電子での提出を拒めません(114条4項)。
Q6受益者集会の代理人は誰でもなれますか?
信託法114条自体は代理人の資格を制限していません。ただし信託行為で代理人の資格を定めている場合があるため、信託契約書を確認する必要があります。
Q7委任状を出したのに票が数えられないのはなぜ?
別の集会のための委任状だった、提出先が招集者でなかった、承諾なく電子で送ったなど、114条の要件を欠いていた可能性があります。
Q8信託法114条は家族信託にも関係ありますか?
信託契約で受益者集会による意思決定を定めた家族信託には適用されます。定めがなければ受益者集会は開かれず、本条の出番もありません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1家族信託で、兄に「今後の集会は全部お願い」って委任状を一枚書いておけば楽ですよね?
楽ではあるが、その一枚が有効なのは一回の集会限りだ。信託法114条2項は代理権の授与を受益者集会ごとに求めている。実務のポイント:信託契約の段階で受益者代理人(138条)を置けば、毎回の委任状は不要になる。ただし受益者代理人がいると、本人の権利行使は大きく制限される(139条4項)。便利さと引き換えに何を手放すことになるのか、先に確かめておくべきだ
Q2委任状をスマホで撮って送るだけじゃダメなんですか?
招集者の承諾があれば、書面の代わりに電磁的方法で提供でき、書面を提出したものとみなされる(114条3項)。承諾がなければ、原則として書面の提出が必要だ。実務のポイント:招集通知の電子受領に同意している受益者(109条2項)であれば、招集者は正当な理由なく拒めない(114条4項)。通知を電子で受け取るよう設定しておくこと自体が、後の交渉材料になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「受益者代理人」と、114条の議決権の代理人を同じものだと思い込みやすい。受益者代理人は信託行為で定められる常設の代理人で(138条)、受益者のために一切の裁判上・裁判外の行為をする権限を持つ。受益者代理人がいると、受益者本人は一部の権利しか行使できなくなる(139条4項)。一方、114条の代理人は一回の集会に限った代理にすぎない。名前は似ていても、権限の範囲はまるで違う
- 委任状が必要なことは知っていても、「集会ごと」という要件の重さを知らない人が多い。延期や続行(119条)は同じ集会の延長と解されるのが一般的だが、別の日に新たに招集された集会には、前回の委任状は使えない。再提出を怠った票は、出席にも賛否にも数えられない
- 「委任状さえ出せば集会に行かなくていいのか」という問いの立て方がそもそもずれている。受益者集会には、書面による議決権行使(115条)や、招集者が認めた場合の電磁的方法による行使(116条)も用意されている。代理人を立てれば、自分の意図と違う票を入れられるリスクも抱える。賛否がすでに決まっているなら、代理より書面投票のほうが確実な場面は多い
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 制度の性質 | 信託法114条:一回の受益者集会に限った議決権の代理行使 | 信託法115条:本人による書面での議決権行使 信託法139条:信託行為で定める常設の受益者代理人 |
| 成立の根拠 | 受益者が集会ごとに代理権を授与 | 招集者が書面投票を認めた場合に利用可 信託行為の定めによる選任 |
| 本人の権利への影響 | 本人の権利はそのまま残る | 本人が自ら賛否を記載するため意思がそのまま反映される 受益者代理人がいると本人の権利行使は一部に制限される |
| 主なリスク | 代理人が本人の意図と異なる票を入れるおそれ | 議題の修正や当日の議論に対応できない 本人が信託の運営から遠ざかる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の株主総会では委託書を毎回の股東會ごとに出す仕組みで、集会ごとの授与という発想は本条と共通する
韓国の株主総会でも代理人は代理権を証明する書面を総会に提出する必要があり、本条と同じく書面による証明を要求する
ドイツの社債権者集会では代理人による議決権行使が認められ、代理権は書面などで証明する必要がある
米国の会社法ではproxyによる議決権行使が広く認められ、電子的な方法による授権も明文で許容されている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父が設定した家族信託で、受益者はあなたと弟と妹の三人。信託契約には「受益者の意思決定は受益者集会の多数決による」と書いてある。海外赴任中のあなたは、二年前に弟へ渡した「今後一切を委任する」という委任状で足りると思っていた。ところが今回の集会で受託者の解任が議題になり、あなたの票は数えられなかった。代理権の授与は集会ごとに必要だからだ
- 集会は明後日。委任状の原本を郵送していたら間に合わない。PDF をメールで送れば足りるのだろうか? 招集者の承諾がなければ、電磁的方法による提出は原則として認められない。ただし、あなたが招集通知をメールで受け取ることに同意していたなら、招集者は正当な理由なく承諾を拒めない
- 受託者として受益者集会を招集したのはあなただ。反対派の受益者の代理人が、委任状のコピーだけを持って会場に現れた。受け入れるか拒むか、その判断を誤れば決議の効力そのものを争われる。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 招集者に、自分の委任状の受領状況と集計の扱いを書面で確認する。議事録(120条)の確認も求める2. 代理権が当該集会について授与されていたか、提出先が招集者だったかを点検する3. 正当な理由なく電子での提出を拒まれた場合は、114条4項違反として決議の効力を争う余地がある。信託法には会社法のような決議取消しの訴えの明文がなく、争い方は実務上解釈が分かれるため、信託に詳しい弁護士へ早めに相談する
訴えられた側:1. 招集者として、招集通知に委任状の書式と提出先を明記する2. 109条2項の承諾をした受益者から電子での提出の申出があれば、正当な理由がない限り承諾する。拒む場合は理由を書面で残す3. 書面の真正性に疑いがあれば本人確認資料を求め、判断の経緯を記録する4. 受け付けた委任状は集会ごとに分けて保管し、後の紛争に備える
時効(請求できる期限):特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。実務上の締切は集会当日の議決権行使の時点であり、それまでに代理権を証明する書面(または承諾を得た電磁的提供)が招集者に届いていなければ、その議決権は代理行使されない。招集通知の案内も必ず確認する
学説
一般的な理解:本条は会社法310条の株主総会における代理行使規定と同様の構造をとり、集会ごとの授与を求めることで、本人の知らないところで包括的に議決権が行使される事態を防ぐ趣旨と理解されている
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 受益者集会の制度とともに、議決権の代理行使に関する規定として新設された(平成19年施行)。その後の改正の有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法の全部改正により受益者集会の制度が設けられ、議決権の代理行使に関する規定として新設された(平成19年施行)
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