信託法 第129条(新信託管理人の選任等)
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- 第六十二条の規定は、前条第一項において準用する第五十六条第一項各号の規定により信託管理人の任務が終了した場合における新たな信託管理人(次項において「新信託管理人」という。)の選任について準用する。
- 2.新信託管理人が就任した場合には、信託管理人であった者は、遅滞なく、新信託管理人がその事務の処理を行うのに必要な事務の引継ぎをしなければならない。
- 3.前項の信託管理人であった者は、受益者が存するに至った後においてその受益者となった者を知ったときは、遅滞なく、当該受益者となった者に対しその事務の経過及び結果を報告しなければならない。
この条文の基本情報
新信託管理人の選任等とは何ですか?
定義新信託管理人の選任等とは、信託法第129条に定められた規定で、「第六十二条の規定は、前条第一項において準用する第五十六条第一項各号の規定により信託管理人の任務が終了した場合における新たな信託管理人(次項において「新信託管理人…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第129条(新信託管理人の選任等)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第129条の条文原文は「第六十二条の規定は、前条第一項において準用する第五十六条第一項各号の規定により信託管理人の任務が終了した場合における新たな信託管理人(次項において「新信託管理人…」で始まります。
- 信託法第129条は第一款 信託管理人に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第129条の前の条は信託法第128条です。
- 信託法第129条の次の条は信託法第130条です。
- 信託法第129条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第129条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第129条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/129
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法129条は、信託管理人が欠けたとき62条を準用して後任を選任すると定める。前任者は後任への事務引継ぎと、受益者出現後の経過報告を遅滞なく行う義務を負う。
Q · 信託管理人が辞めたり亡くなったりしたら、後任はどう決まり、前の人には何が残るの?
後任は62条の手順で決まり、前任者には引継ぎと報告の義務が残る
信託法129条1項は、信託管理人の任務が終了した場合の新信託管理人の選任に、新受託者の選任に関する62条を準用しています。まず信託行為の定めに従い、定めがなければ関係者の合意で決め、それも難しければ利害関係人の申立てにより裁判所が選任します。前任者は、新信託管理人が就任したら遅滞なく事務を引き継ぎ(2項)、のちに受益者が現れてその者を知ったときは、遅滞なく事務の経過と結果を報告しなければなりません(3項)。
解説
受益者がまだこの世にいない信託がある。生まれてくる孫のための家族信託や、遺言で設定する受益者の定めのない信託がそうだ。そこで受託者を見張るのが信託管理人(受益者の代わりに受託者を監督し、権利を使う番人)である。ただ、番人も人間なので、死亡や辞任、解任で席は空く。本条は、その空席を埋める手順を受託者交代のルール(62条)から借りてくる。後任はまず信託行為(信託契約や遺言)の定めに従って決める。定めがなければ委託者などの合意で決め、それも難しければ利害関係人の申立てを受けて裁判所が選ぶ。前任者には宿題が二つ残る。一つは後任への事務の引継ぎ、もう一つは、後に受益者が現れてその人を知ったときに行う、事務の経過と結果の報告である。辞めた瞬間に責任が消えると思っていたなら、そこが落とし穴になる。番人がいない間、受託者を見ている人はほとんどいない。その空白を何日で閉じられるかが勝負になる。
法的な位置づけ
信託法129条は、信託管理人の任務終了後における新信託管理人の選任手続と前任者の義務を定める規定である。選任には新受託者の選任に関する62条が準用され、信託行為の定め、関係者の合意、利害関係人の申立てによる裁判所の選任という順で後任が決まる。前任者は新信託管理人への引継義務と、受益者出現後の報告義務を負う。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.信託行為の後任条項を確認する 信託契約書や遺言を開き、信託管理人の後任者または後任の指名方法についての定めがあるかを最初に確認する。定めがあれば、指定された者に就任の意思を確認する
- 2.定めがなければ関係者で後任を協議する 信託行為に定めがない、または指定された者が就任しない場合、委託者など関係者で後任候補を協議し、合意内容を書面に残す
- 3.合意できなければ裁判所に選任を申し立てる 協議がまとまらない、または関係者が動かない場合、利害関係人として裁判所に新信託管理人の選任を申し立てる。遺言による受益者の定めのない信託では、空席が1年続くと信託が終了するため早めに着手する
- 4.前任者から事務の引継ぎを受ける 新信託管理人の就任後、前任者に対し、受託者との協議記録・承認事項・保管書類の引渡しを遅滞なく求め、受領書を交わす
- 5.受益者出現に備えて報告記録を保存する 前任者は引継ぎ資料の写しを保管し、受益者が現れてその者を知ったときに、事務の経過と結果を遅滞なく報告できる状態にしておく
よくある質問 AI による整理
Q1信託管理人とは何ですか?
受益者がまだ存在しない、または特定されていない信託で、受益者に代わって受託者を監督し権利を行使する人です。信託行為で指定するか、裁判所が選任します(信託法123条)。
Q2新信託管理人は誰が選びますか?
信託法129条1項が62条を準用するため、まず信託行為(信託契約や遺言)の定めに従います。定めがなければ関係者の合意で、それも難しければ利害関係人の申立てにより裁判所が選びます。
Q3信託管理人の任務が終わるのはどんなとき?
128条1項が56条1項各号を準用するため、死亡、後見開始、破産手続開始、辞任、解任、信託行為で定めた事由などで任務が終了します。129条はその後の後任選任を扱います。
Q4信託管理人の引継ぎには何が含まれますか?
新信託管理人が事務を行うのに必要な一切の引継ぎです。受託者とのやり取りの記録、承認した事項、保管書類、未解決の懸案などを整理して渡すのが実務上の基本になります。
Q5信託管理人の報告義務はいつ発生しますか?
受益者が存するに至った後、元信託管理人がその受益者となった者を知ったときに発生します(129条3項)。そのときから遅滞なく、事務の経過と結果を報告する必要があります。
Q6裁判所に信託管理人の選任を申し立てられるのは誰?
62条の準用により利害関係人が申し立てられます。委託者や受託者のほか、将来受益者となる者の親族などが該当しうるため、該当性は専門家に確認すると安全です。
Q7信託管理人の引継ぎを怠るとどうなる?
引継義務(129条2項)違反となり、後任の監督が遅れて損害が出れば、善管注意義務(126条)違反として損害賠償責任を問われる可能性があります。
Q8家族信託の契約書に信託管理人の後任を書くべき?
書いておくべきです。62条の準用で信託行為の定めが最優先されるため、後任の候補者や指名方法を定めておけば、空席期間を短くし裁判所手続を避けやすくなります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1信託管理人を辞めたら、もう何もしなくていいんですか?
そうではない。新しい信託管理人が就任したら、遅滞なく事務を引き継ぐ義務がある(信託法129条2項)。さらに、後で受益者が現れ、その人を知ったときは、遅滞なく事務の経過と結果を報告しなければならない(同条3項)。実務のポイント:辞任届を出す時点で、引継ぎ資料と報告用の記録を一冊にまとめておけば、数年後に孫世代から問い合わせが来ても慌てずに済む。
Q2信託管理人が亡くなって後任が決まらないまま放置されたら、どうなりますか?
62条の準用により、利害関係人は裁判所に新しい信託管理人の選任を申し立てられる(信託法129条1項、62条4項)。遺言による受益者の定めのない信託では、信託管理人のいない状態が1年続くと信託自体が終了する(258条8項)。実務のポイント:受託者は、監視役がいない状態の解消を急ぐとは限らない。気付いた親族が自ら申立人になれるかどうかを、まず専門家に確認しておくべきだ。
間違えやすい点 AI による整理
- 辞任した本人から見れば、役目はもう終わっている。だが法律から見ると、後任への引継ぎと、将来受益者が現れたときの報告という二つの義務がまだ残っている。この認識のずれが、数年後に受益者から説明を求められたときに本人を追い詰める。
- 「後任を決める権利は誰にあるのか」と争う前に、確かめるべきことがある。信託行為(信託契約や遺言)に後任の定めがあるかどうかだ。62条の準用により、信託行為の定めがまず優先される。条文の手順を調べる前に、契約書を開くのが正しい順番である。
- 信託管理人の空席を手続が遅れているだけだと考える人は、その深刻さを見落としている。受益者がまだ存在しない信託では、番人がいない間、受託者の判断に異議を述べられる人がほとんどいなくなる。空白期間に行われた財産処分は、後から覆すのが難しい。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる交代 | 信託法129条:信託管理人の交代 | 信託法62条:受託者の交代(本条が準用) 信託法77条:新受託者への信託事務の引継ぎ |
| 後任の決め方 | 62条準用:信託行為の定め → 関係者の合意 → 利害関係人の申立てで裁判所が選任 | 信託行為の定め → 委託者・受益者の合意 → 利害関係人の申立てで裁判所が選任 選任後の引継ぎ手続を定める(選任自体は扱わない) |
| 前任者の義務 | 新信託管理人への遅滞ない事務の引継ぎ(2項) | 選任手続の規定で、前任者の義務は別条が規律 前受託者による計算と受益者への承認を求める手続等 |
| 受益者への報告 | 受益者出現後、その者を知ったとき遅滞なく経過と結果を報告(3項) | 規定なし 受益者(現存)に対する計算の承認が中心 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾では受益者が不特定・未存在の場合に裁判所が信託監察人を選任できる。辞任・解任時は指定・選任した者が新信託監察人を選任し、できなければ利害関係人または検察官の申請で裁判所が選任する点が特徴
韓国も受益者が特定されていない・存在しない場合の신탁관리인制度を持ち、任務終了と後任選任の規定を置く
米国では受益者不在の監督機関という発想より、trust protector など指図権者を信託証書で置く実務が中心で、後任は信託証書の定めに委ねられることが多い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 孫のための家族信託で信託管理人を務めていた叔父が急に亡くなったら、誰が受託者を見張るのか? 席が空いたまま受託者が信託財産の土地を売っても、異を唱える人がほとんどいない。
- あなたは信託管理人を辞任し、後任も決まった。ところが、引継ぎを後回しにしたまま三か月が過ぎた。後任から「受託者との協議記録が一切ない」と連絡が来たとき、遅滞なく引き継ぐ義務(本条2項)を怠った責任を問われるのは、辞めたあなたのほうである。
- 遺言で設定した受益者の定めのない信託で、信託管理人が欠けてから10か月が過ぎた。あと2か月で後任が就任しなければ、信託そのものが終了する(258条8項)。今週中に裁判所への選任申立ての準備を始めないと間に合わない。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 信託契約や遺言を開き、後任の信託管理人についての定めがあるか確認する。2. 定めがなければ委託者など関係者と後任を協議する。まとまらなければ、利害関係人として裁判所に選任を申し立てる(本条1項、62条4項)。3. 後任が就任したら、前任者に引継ぎ資料の提出を求める。4. 受益者になった後は、元信託管理人に事務の経過と結果の報告を求める(本条3項)。
訴えられた側:1. 辞任や解任が決まったら、受託者とのやり取り、承認した事項、保管している書類を一覧にする。2. 後任が就任したら遅滞なく引き継ぎ、受領を確認する書面をもらう。3. 記録の写しは手元に残し、将来受益者が現れたときの報告に備える。4. 引継ぎを怠って損害が出れば、善管注意義務(126条)違反として責任を追及されうる。引継ぎを終えた証拠を残すことが最大の防御になる。
時効(請求できる期限):本条の引継ぎ義務と報告義務には具体的な期間がなく、「遅滞なく」と定められている。特定の時効はないが、義務違反による損害賠償請求には一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。遺言による受益者の定めのない信託では、信託管理人のいない状態が1年続くと信託が終了する(信託法258条8項、最新の改正状況をご確認ください)。
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 現行信託法(平成18年法律第108号)の制定に伴い新設された。新信託管理人の選任に62条を準用し、前任者の引継義務と受益者への報告義務を明文化した
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法(平成18年法律第108号)の制定により新設。新信託管理人の選任に62条を準用し、前任者の引継義務と受益者出現後の報告義務を明文化した
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