受講中の講座ブックマーク無料で登録

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年7月4日読了 7 分7 分7 分

信託法 第62条

クイックジャンプ
  1. 第五十六条第一項各号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合において、信託行為に新たな受託者(以下「新受託者」という。)に関する定めがないとき、又は信託行為の定めにより新受託者となるべき者として指定された者が信託の引受けをせず、若しくはこれをすることができないときは、委託者及び受益者は、その合意により、新受託者を選任することができる。
  2. 2.第五十六条第一項各号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合において、信託行為に新受託者となるべき者を指定する定めがあるときは、利害関係人は、新受託者となるべき者として指定された者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就任の承諾をするかどうかを確答すべき旨を催告することができる。ただし、当該定めに停止条件又は始期が付されているときは、当該停止条件が成就し、又は当該始期が到来した後に限る。
  3. 3.前項の規定による催告があった場合において、新受託者となるべき者として指定された者は、同項の期間内に委託者及び受益者(二人以上の受益者が現に存する場合にあってはその一人、信託管理人が現に存する場合にあっては信託管理人)に対し確答をしないときは、就任の承諾をしなかったものとみなす。
  4. 4.第一項の場合において、同項の合意に係る協議の状況その他の事情に照らして必要があると認めるときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、新受託者を選任することができる。
  5. 5.前項の申立てについての裁判には、理由を付さなければならない。
  6. 6.第四項の規定による新受託者の選任の裁判に対しては、委託者若しくは受益者又は現に存する受託者に限り、即時抗告をすることができる。
  7. 7.前項の即時抗告は、執行停止の効力を有する。
  8. 8.委託者が現に存しない場合における前各項の規定の適用については、第一項中「委託者及び受益者は、その合意により」とあるのは「受益者は」と、第三項中「委託者及び受益者」とあるのは「受益者」と、第四項中「同項の合意に係る協議の状況」とあるのは「受益者の状況」とする。

この条文の基本情報

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 信託法第62条は、日本の信託法に含まれる条文です。
  2. 信託法第62条の条文原文は「第五十六条第一項各号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合において、信託行為に新たな受託者(以下「新受託者」という。」で始まります。
  3. 信託法第62条は第三款 新受託者の選任に置かれています。
  4. 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
  5. 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
  6. 信託法第62条の前の条は信託法第61条です。
  7. 信託法第62条の次の条は信託法第63条です。
  8. 信託法第62条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式信託法(平成十八年法律第百八号)第62条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108
  • 本サイト収録信託法(平成十八年法律第百八号)第62条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/62

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点信託法62条は、受託者の任務が終了した場合の新受託者の選任手続を定める。信託行為の指定者への催告、委託者と受益者の合意、裁判所による選任の順で決まる。

Q · 家族信託の受託者が亡くなったら、次の受託者はどうやって決まるの?

指定者への催告→委託者と受益者の合意→裁判所の順で決まる

信託法62条によれば、受託者の任務が死亡等で終了した場合、信託行為に後継受託者の指定があれば、利害関係人がその人に相当の期間を定めて就任の諾否を催告でき、期間内に確答がなければ辞退とみなされます(2項・3項)。指定がない、または辞退された場合は委託者と受益者の合意で選任し(1項)、合意できなければ利害関係人の申立てにより裁判所が選任します(4項)。新受託者不在が1年続くと信託は終了しえます(163条3号)。

解説

家族信託の契約書は、受託者が元気でいることを前提に書かれていることが多い。だが受託者の長男が先に亡くなる、認知症で後見が始まる、破産する。そのどれが起きても受託者の任務は終わり(信託法56条1項)、実家やアパートの名義人が事実上いなくなる。しかも信託財産は長男の遺産にはならない。受託者の地位は相続されないからだ。では誰が引き継ぐのか。本条の答えは三段構えになっている。契約書で後継受託者が指定されていれば、まずその人に就任するかどうかの返事を催告する。期間内に返事がなければ、断ったものとみなされる。指定がなければ、委託者と受益者の合意で選ぶ。合意ができなければ、利害関係人が裁判所に選任を申し立てる。押さえておきたいのは、この空白が1年続くと信託そのものが終了しうることだ(163条3号)。契約書に後継受託者を一行書いておくかどうかで、残された家族が数年分の手間を負うかどうかが決まる。

法的な位置づけ

信託法62条は、受託者の任務が同法56条1項各号の事由により終了した場合における新受託者の選任手続を定める規定である。信託行為で指定された者への就任催告と不確答時の辞退擬制、委託者及び受益者の合意による選任、利害関係人の申立てによる裁判所の選任を段階的に定め、委託者が現に存しない場合は受益者のみで選任できるものとする。

手順・フロー

AI による整理。効力は条文原文が基準です

手順

  1. 1.任務終了事由と日付を確定する 受託者の死亡・後見開始・破産・辞任など、信託法56条1項のどの事由で任務が終わったかと、その日付を戸籍謄本や審判書で確定する。この日から信託終了までの1年(163条3号)の起算が問題になる。前受託者の相続人等には信託財産の保管を求める(60条)
  2. 2.後継受託者の指定の有無を確認する 信託契約書の「後継受託者」「新受託者」の条項を確認する。停止条件や始期が付いている場合は、その条件成就・始期到来後でなければ催告できない(62条2項ただし書)
  3. 3.指定者に期間を定めて催告する 指定があれば、利害関係人として指定者に対し、相当の期間を定めて就任を承諾するか確答するよう書面で催告する。期間内に確答がなければ辞退とみなされる(62条2項・3項)
  4. 4.委託者と受益者の合意で選任する 指定がない、または辞退された場合は、委託者と受益者が合意して新受託者を選ぶ(62条1項)。委託者が存しなければ受益者のみで選任できる(8項)。合意内容は選任合意書として書面化し、金融機関・法務局への提出に備える
  5. 5.合意できなければ裁判所に選任を申し立てる 協議が整わない場合、利害関係人として裁判所に新受託者の選任を申し立てる(62条4項)。即時抗告には執行停止の効力があるため(7項)、163条3号の1年の期限を逆算して早めに動く

よくある質問 AI による整理

Q1新受託者の選任とは何ですか?

受託者の任務が死亡・後見開始・破産・辞任等で終わったとき、信託を引き継ぐ新しい受託者を決める手続です。信託法62条が根拠です。

Q2後継受託者が就任を断ったらどうなりますか?

指定者が引き受けない場合は、委託者と受益者の合意で新受託者を選任します(62条1項)。合意できなければ裁判所への申立てが可能です。

Q3後継受託者への催告に返事がないとどうなる?

定めた期間内に委託者・受益者へ確答しなければ、就任を承諾しなかったものとみなされます(62条3項)。次の段階の合意選任へ進めます。

Q4新受託者 選任 申立て どこの裁判所?

信託法62条4項の選任申立ては非訟事件として扱われ、原則として受託者の住所地を管轄する地方裁判所に申し立てます。事前に裁判所へ確認すると確実です。

Q5受託者がいないまま放置するとどうなる?

受託者が欠けた状態で新受託者が就任しないまま1年が経過すると、信託は終了します(信託法163条3号)。放置は信託そのものを失う危険があります。

Q6委託者が亡くなっていても新受託者を選べますか?

選べます。委託者が現に存しない場合、62条8項の読替えにより受益者だけで新受託者を選任できます。

Q7新受託者が決まったら不動産の登記はどうする?

信託不動産があれば受託者変更の登記が必要です。不動産登記法100条により新受託者が単独で申請できる場合があります。

Q8裁判所の選任決定に不服があるときは?

委託者・受益者・現に存する受託者に限り即時抗告ができ、執行停止の効力があります(62条6項・7項)。期間は告知から2週間です。

この条文についての質問 AI による整理

Q1受託者だった兄が亡くなったんですけど、信託の口座って兄の相続人が解約できるんですか?

できない。信託財産は受託者個人の財産ではなく、受託者の任務は死亡で終わる(56条1項1号)。相続人に残るのは通知と保管の義務だけである(60条)。新受託者が就任すると、前受託者の任務が終わった時点で権利義務を引き継いだものとみなされる(75条1項)。実務のポイント:信託口口座を扱う金融機関の多くは、後継受託者の定めか選任合意書がないと手続に応じない。書類をそろえてから窓口へ行かないと、何度も足を運ぶことになる

Q2母が認知症で、委託者として合意なんてとてもできません。もう裁判所に頼むしかないんでしょうか?

合意による選任(62条1項)には委託者と受益者の双方の意思が要るので、委託者に判断能力がなければ成立は難しい。委託者の成年後見人が代わりに合意できるかは、実務上、解釈が分かれている。確実なのは、利害関係人として裁判所に申し立てる道である(4項)。実務のポイント:信託行為に「後継受託者は受益者が指定する」といった新受託者に関する定めを置いておけば、この行き詰まりはそもそも生じにくい

間違えやすい点 AI による整理

  • 受託者が亡くなれば、その相続人が受託者の立場を引き継ぐと考える人は多い。実際には受託者の地位は相続されない。相続人に残るのは、知れている受益者への通知と、新受託者が事務を始められるまで信託財産を保管する義務(60条)だけである。財産を売ったり貸したりする権限はない
  • 家族はすぐ「誰を新受託者にするか」で揉め始めるが、その問い自体が順番を飛ばしている。最初に確かめるべきは、契約書に後継受託者の指定があるかどうかだ。指定があれば、まず指定された人への催告(2項)から始まる。合意による選任(1項)が出番になるのは、指定がない場合か、指定された人が引き受けない・引き受けられない場合に限られる
  • 最後は裁判所に頼めば何とかなる、と知ってはいても、その道の重さまで知っている人は少ない。選任の裁判に対しては委託者・受益者・現に存する受託者が即時抗告でき、しかもその即時抗告には執行停止の効力がある(6項・7項)。反対する受益者がひとり抗告するだけで、裁判が確定するまで新受託者は就任できない。その間も163条3号の1年は進み続ける
比較の観点この条文ほかの条文
規律する場面信託法62条:任務終了後に新受託者を選任する手続信託法63条:受託者不在の間の信託財産管理命令
信託法163条:受託者不在1年継続による信託終了
誰が動くか利害関係人(催告・申立て)、委託者及び受益者(合意)利害関係人の申立てにより裁判所が管理人を選任
法律上当然に終了(誰の行為も要しない)
目的・効果信託の担い手を恒久的に補充し、信託を継続させる新受託者が決まるまでの暫定的な財産保全
長期の不在を放置した信託を清算に移行させる

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
中華民国信託法第36条第3項・第45条

受託者の死亡・破産・監護宣告等による任務終了時は、委託者が新受託者を指定し、指定できないときは利害関係人または検察官の申立てで裁判所が選任する。日本の催告・辞退擬制に当たる規定はない

韓国
신탁법 제21조

2011年全部改正後の韓国信託法も、委託者と受益者の合意による選任と、利害関係人の申立てによる裁判所の選任という二段構造をとる

中国
中華人民共和国信託法 第40条

信託文書の定め → 委託者 → 受益者という順で選任権者を法定する。裁判所選任の段階は日本ほど整備されていない

アメリカ
Uniform Trust Code § 704

信託条項で指定された者 → 適格受益者の全員一致 → 裁判所の順で空席を補充する。日本の62条と発想が近い

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 受託者だった長男が交通事故で急に亡くなったら、父の実家の売却計画はどうなる? 契約書に後継受託者の定めがなければ、売却も賃貸管理も止まる。長男の妻が相続で受託者を引き継げると考えがちだが、受託者の任務は死亡で終わり(56条1項1号)、地位は相続されない。まずは父と受益者の合意で新受託者を選ぶ(62条1項)ことになる
  • 叔父の信託で後継受託者に指名されていたが、正直なところ引き受けたくない。そこへ受益者のいとこから「2週間以内に就任するかどうか回答されたい」という内容証明が届いた。黙っていれば、就任を断ったものとみなされる(62条3項)。逆に引き受けるつもりなら、期限内に委託者と受益者へ承諾を伝えないと、その機会を失う
  • 委託者の母は亡くなり、受益者の兄と妹は新受託者をめぐって意見が割れた。合意ができないまま半年が過ぎている。残り半年のうちに、妹は裁判所へ選任を申し立てる(62条4項)かどうかを決めなければならない

取るべき行動

被害を受けた側:1. 受託者の任務終了事由(死亡・後見開始・破産・辞任など、56条1項)とその日付を確定し、前受託者の相続人などに信託財産の保管を求める(60条)。2. 契約書を見て後継受託者の指定を確認する。指定があれば、相当の期間を定めて書面で催告する(62条2項)。3. 指定がない、または辞退された場合は、委託者と受益者の合意で選任する(1項)。委託者がすでにいなければ受益者だけで選べる(8項)。4. 合意できなければ裁判所に選任を申し立てる(4項)。不動産があれば、新受託者が受託者変更の登記を申請する

訴えられた側:1. 後継受託者として催告を受けたら、期間内に委託者と受益者へ書面で諾否を伝える。何も言わなければ辞退とみなされる(3項)。2. 引き受ける前に、善管注意義務(29条、プロとして当然払うべき注意)や分別管理義務(34条、自分の財産と混ぜない義務)の重さを確認する。3. 裁判所の選任に不服がある委託者・受益者は即時抗告でき、執行停止の効力もある(6項・7項)。ただし争いを引き延ばすうちに1年が過ぎれば、信託そのものが終了しうることも計算に入れておく

時効(請求できる期限):特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。実務上の期限は別にあり、受託者が欠けたまま新受託者が就任しない状態が1年続くと信託は終了する(信託法163条3号)。選任の裁判に対する即時抗告は、裁判の告知を受けた日から2週間以内にしなければならない(非訟事件手続法67条)(最新の改正状況をご確認ください)

改正沿革 AI による整理

  • 平成18年(2006年)信託法全部改正 大正11年制定の旧信託法に代わり、現行信託法(平成18年法律第108号)で新受託者の選任手続が本条に整理された。後継受託者の指定者への催告と、返事がない場合の辞退擬制が明文化された。その後の一部改正の有無は人的検証が必要

改正の年表

  1. 1.平成18年(2006年) 新設:大正11年制定の旧信託法に代わる現行信託法(平成18年法律第108号)の制定により、新受託者の選任手続が本条に整理された。後継受託者として指定された者への催告と、確答がない場合の辞退擬制が明文化された。その後の一部改正の有無は要確認

ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。

信託法の全文を見る所属する編章節を開く:第三款 新受託者の選任

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

次に調べる

判例を探す:条文単位の判例の紐づけは準備中です。上のカードから法令名で検索できます。裁判所「裁判例検索」で探す ›