信託法 第63条(信託財産管理命令)
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- 第五十六条第一項各号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合において、新受託者が選任されておらず、かつ、必要があると認めるときは、新受託者が選任されるまでの間、裁判所は、利害関係人の申立てにより、信託財産管理者による管理を命ずる処分(以下この款において「信託財産管理命令」という。)をすることができる。
- 2.前項の申立てを却下する裁判には、理由を付さなければならない。
- 3.裁判所は、信託財産管理命令を変更し、又は取り消すことができる。
- 4.信託財産管理命令及び前項の規定による決定に対しては、利害関係人に限り、即時抗告をすることができる。
この条文の基本情報
信託財産管理命令とは何ですか?
定義信託財産管理命令とは、信託法第63条に定められた規定で、「第五十六条第一項各号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合において、新受託者が選任されておらず、かつ、必要があると認めるときは、新受託者が選任されるまでの…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第63条(信託財産管理命令)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第63条の条文原文は「第五十六条第一項各号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合において、新受託者が選任されておらず、かつ、必要があると認めるときは、新受託者が選任されるまでの…」で始まります。
- 信託法第63条は第四款 信託財産管理者等に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第63条の前の条は信託法第62条です。
- 信託法第63条の次の条は信託法第64条です。
- 信託法第63条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第63条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第63条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/63
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法63条は、受託者の任務終了後に新受託者が未選任で必要があるとき、裁判所が利害関係人の申立てにより信託財産管理者に管理を命じる手続を定める。
Q · 家族信託の受託者が倒れて誰も管理できなくなったら、どうすればいいの?
裁判所に信託財産管理命令を申し立て、仮の管理人を置けます
信託法63条により、受託者の任務が後見開始・破産・辞任などで終了し、新受託者がまだ選任されていない場合、受益者などの利害関係人は裁判所に信託財産管理命令を申し立てられます。裁判所が必要と認めれば信託財産管理者が選任され、新受託者が決まるまで財産を管理します。受託者が欠けた状態が1年続くと信託は終了する(163条3号)ため、早めの対応が重要です。
解説
家族信託を組んだ家庭でよく見落とされるのが、受託者が一人しかいないという弱点である。受託者が後見開始・保佐開始の審判を受けた、破産した、辞任した。そうなると、信託財産の預金も賃貸アパートも、管理する人がいないまま宙に浮く。家賃の入金確認、修繕の発注、固定資産税の支払いが止まる。信託法63条はこの空白期間に使う応急処置である。新受託者がまだ決まっておらず、必要があると裁判所が認めれば、利害関係人(受益者、委託者、信託財産の債権者など、その信託に法的な利害を持つ人)の申立てにより、裁判所は信託財産管理者に管理させる「信託財産管理命令」を出せる。却下するときは理由を付けなければならない。不服がある利害関係人は即時抗告(期間の短い上級裁判所への不服申立て)ができる。空白を放置すれば、後で触れる1年の終了タイマーが進み続ける。
法的な位置づけ
信託財産管理命令とは、信託法第63条に基づき、受託者の任務が同法第56条第1項各号の事由により終了し新受託者が未選任である場合に、裁判所が利害関係人の申立てにより、新受託者が選任されるまでの間、信託財産管理者に信託財産を管理させる処分をいう。裁判所は事後にこれを変更し、または取り消すことができる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.任務終了事由と発生日を特定する 後見開始・保佐開始の審判書、破産手続開始決定書、辞任届などで、受託者の任務終了事由(信託法56条1項各号)と発生日を確認する。個人受託者の死亡なら74条の信託財産法人管理命令に切り替える
- 2.新受託者選任の見込みを判断する 信託契約に第二受託者の定めがないか、委託者・受益者の合意で新受託者を立てられるか(62条)を確認する。すぐに決まらない見込みなら、管理命令の申立てを並行して準備する
- 3.管理の必要性を示す資料をそろえる 家賃入金、修繕費、固定資産税、ローン返済など期限が迫る支払いと収入を一覧にし、管理が止まると生じる損害を具体的に示す
- 4.利害関係人として裁判所に申し立てる 受益者などの利害関係人として、信託財産管理命令の申立書を裁判所に提出する。予納金を求められることがあるため、事前に裁判所へ確認する
- 5.命令後の期限と取消しを管理する 命令や却下に不服があれば告知から2週間以内に即時抗告する。新受託者が就任できる状況になったら、命令の取消し(63条3項)を裁判所に求め、163条3号の1年期限も併せて管理する
よくある質問 AI による整理
Q1信託財産管理命令とは何ですか?
受託者が欠けて新受託者が決まっていないとき、裁判所が信託財産管理者に財産を管理させる処分です。信託法63条が根拠で、新受託者選任までのつなぎです。
Q2信託財産管理命令を申し立てできるのは誰?
利害関係人です。受益者、委託者、信託財産に対する債権者など、その信託に法的な利害を持つ人が該当します。どこまで認められるかは個別判断です。
Q3信託財産管理命令はどこの裁判所に申し立てる?
信託法上の非訟事件として地方裁判所に申し立てます。管轄裁判所や必要書類の細部は、申立て前に裁判所へ確認するのが確実です。
Q4受託者が破産したら信託財産も差し押さえられる?
信託財産は受託者の破産財団に属しません(信託法25条1項)。ただし受託者の任務は終了するため、管理する人を63条の命令や62条の選任で確保する必要があります。
Q5受託者がいないまま1年たつとどうなる?
受託者が欠けて新受託者が就任しない状態が1年続くと、信託は終了します(信託法163条3号)。管理命令の申立てと新受託者探しを並行して進めることが大切です。
Q6信託財産管理命令の申立てが却下されたらどうする?
却下の裁判には理由が付されます(63条2項)。理由を確認したうえで、利害関係人は告知を受けた日から2週間以内に即時抗告できます(同条4項)。
Q7新受託者が決まったら信託財産管理命令はどうなる?
命令は新受託者選任までの暫定措置です。裁判所は命令を変更・取消しできる(63条3項)ため、選任後は取消しを求め、管理者報酬の負担を早めに止めます。
Q8受託者が辞任して連絡が取れない場合も使える?
辞任は56条1項の任務終了事由に当たるため、新受託者が未選任で管理の必要があれば申立ての対象になります。辞任の事実を示す資料を揃えておきます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1受託者の兄が認知症になっちゃったんですけど、成年後見人が代わりに信託の管理をしてくれるんですよね?
してくれない。後見開始の審判で受託者の任務は終わり(信託法56条1項)、兄の成年後見人は兄本人の財産を管理する立場で、信託財産の受託者になるわけではない。新受託者を立てるか(62条)、それまでのつなぎとして信託財産管理命令を申し立てる(63条)ことになる。実務のポイント:後見人がつけば信託も回ると思い込み、数か月を無駄にする家庭は多い。後見の申立てと信託の手当ては別の手続として、並行して進める
Q2信託財産管理者の費用って誰が払うんですか? 家族の持ち出し?
信託財産管理者は、裁判所が定める額の費用と報酬を信託財産から受け取る仕組みになっている。家族の財布から直接出るわけではないが、そのぶん受益者が受け取る財産は減る。申立て時に予納金を求められることもある。実務のポイント:管理者の報酬は管理が長引くほど膨らむ。管理命令はあくまでつなぎと割り切り、親族間で新受託者の候補を一本化してから申し立てると、命令から取消し(63条3項)までの期間を短くできる
間違えやすい点 AI による整理
- 「受託者がいなくなったら、新しい受託者が決まるまで信託はただ止まるだけ」と思われがちだが、止まっているあいだも信託は終了へのカウントダウンを進めている。受託者が欠けて新受託者が就任しない状態が1年続くと、信託は終了する(信託法163条3号)。家族信託で財産承継の設計をしていた家庭では、それが崩れて想定外の清算と相続の問題が噴き出す
- 「受託者が死亡した場合も63条で対応する」と考えるのは前提がずれている。個人の受託者が死亡して新受託者が就任していないときは、信託財産そのものが法人とみなされ、74条の信託財産法人管理命令という別の仕組みが用意されている。どの事由で任務が終わったかによって、申し立てる手続が変わる
- 信託財産管理者を「新しい受託者」と同じものだと思うと痛い目を見る。管理者は新受託者が決まるまでの暫定的な管理人であり、財産を処分するような大きな行為には原則として裁判所の許可が必要になる(66条)。売却による資金化を急ぐ家族にとって、選任されたからといってすぐに物件を売れるとは限らない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 役割 | 信託法63条:新受託者が決まるまでの暫定管理(信託財産管理命令) | 信託法62条:新受託者の選任(本来の解決手段) 信託法74条:個人受託者死亡時の信託財産法人管理命令 |
| 発動の前提 | 56条1項各号の事由で任務終了+新受託者未選任+必要性 | 受託者の任務終了(合意または裁判所による選任) 個人受託者の死亡+新受託者未就任 |
| 財産を管理する人 | 裁判所が選任する信託財産管理者(64条) | 新受託者(受託者としての全権限) 信託財産法人管理人 |
| 終わり方 | 新受託者選任後の変更・取消し(63条3項) | 新受託者の就任により信託が通常運営に戻る 新受託者の就任による信託財産法人の消滅 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では受託者変更時、委託者が新受託者を指定できない場合に、裁判所が利害関係人または検察官の申立てで新受託者を選任し必要な処分をする。日本のような独立した管理命令制度ではなく、選任と処分が一体化している
韓国も2011年の信託法全部改正で信託財産管理人の制度を整備し、受託者の任務終了時に裁判所が管理人を選任できる
フランスのフィデュシーでは、受託者が義務を怠る場合などに、裁判所が暫定的な受託者(fiduciaire provisoire)を選任できる
米国統一信託法典では受託者の欠員を補充する手順を定め、裁判所は必要に応じて special fiduciary を選任できる。採用状況は州ごとに異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 認知症の母のために長男が受託者となり、実家と収益マンションを信託した。その長男が交通事故で重い障害を負い、後見開始の審判を受けた。第二受託者を決めていなかったため、マンションの管理会社への支払いも入居者の更新手続も止まった。次男が受益者代理人として63条の申立てを検討している
- 受託者だった中小企業が破産手続開始決定を受けたら、預けていた信託財産はどうなる? 信託財産は受託者の固有財産から分けて扱われ、破産財団には入らない。ただ、それを管理する人は誰もいない。受益者側から信託財産管理命令を申し立てて、管理者を立てることになる
- あなたは信託財産の管理者に選ばれた弁護士と対立している元受託者の家族側である。裁判所の命令に納得できないなら、即時抗告の期限は告知を受けた日から2週間しかない(非訟事件手続法67条)。週末をはさめば、実際に動ける日数はもっと少ない
- 受託者が辞任届を出し、そのまま連絡がつかなくなった。新受託者を立てる話し合いは半年も進んでいない。信託は止まっていても、時計は止まっていない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 受託者の任務終了事由(後見開始、破産、辞任、解任など、56条1項各号)と発生日を、審判書や決定書で特定する。個人受託者の死亡なら74条の手続に切り替える2. 新受託者の選任(62条)の見込みを判断し、すぐには決まらないなら、受益者などの利害関係人として裁判所へ信託財産管理命令を申し立てる3. 家賃・税金・ローンなど期限が迫っている支払いを一覧にして、管理の必要性を示す資料として添える4. 163条3号の1年の期限を家族で共有する
訴えられた側:1. 元受託者やその家族の側なら、通帳、契約書、帳簿を整理して管理者に引き継ぐ準備をする。隠すと後に責任追及の材料になる2. 命令の内容や管理者の人選に不服があれば、利害関係人として告知から2週間以内に即時抗告する3. 新受託者が就任できる状況になったら、命令の変更・取消し(63条3項)を裁判所に求め、管理者の報酬負担を早めに止める
時効(請求できる期限):申立て自体に期限はない。ただし、受託者が欠けて新受託者が就任しない状態が1年続くと信託は終了する(信託法163条3号)。命令や却下に対する即時抗告は、告知を受けた日から2週間以内(非訟事件手続法67条、最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 現行信託法(平成18年法律第108号、平成19年9月30日施行)の制定に伴い、信託財産管理命令の制度が新設された。その後、非訟事件手続法の全面改正(平成23年)に伴う整備で文言が変わったかどうかは要検証
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法の全部改正(平成18年法律第108号)により、受託者の任務終了後の空白期間に対応する信託財産管理命令の制度が新設された。施行は平成19年(2007年)9月30日
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