信託法 第74条(受託者の死亡により任務が終了した場合の信託財産の帰属等)
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- 第五十六条第一項第一号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合には、信託財産は、法人とする。
- 2.前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、信託財産法人管理人による管理を命ずる処分(第六項において「信託財産法人管理命令」という。)をすることができる。
- 3.第六十三条第二項から第四項までの規定は、前項の申立てに係る事件について準用する。
- 4.新受託者が就任したときは、第一項の法人は、成立しなかったものとみなす。ただし、信託財産法人管理人がその権限内でした行為の効力を妨げない。
- 5.信託財産法人管理人の代理権は、新受託者が信託事務の処理をすることができるに至った時に消滅する。
- 6.第六十四条の規定は信託財産法人管理命令をする場合について、第六十六条から第七十二条までの規定は信託財産法人管理人について、それぞれ準用する。
この条文の基本情報
受託者の死亡により任務が終了した場合の信託財産の帰属等とは何ですか?
定義受託者の死亡により任務が終了した場合の信託財産の帰属等とは、信託法第74条に定められた規定で、「第五十六条第一項第一号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合には、信託財産は、法人とする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第74条(受託者の死亡により任務が終了した場合の信託財産の帰属等)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第74条の条文原文は「第五十六条第一項第一号に掲げる事由により受託者の任務が終了した場合には、信託財産は、法人とする。」で始まります。
- 信託法第74条は第四款 信託財産管理者等に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第74条の前の条は信託法第73条です。
- 信託法第74条の次の条は信託法第75条です。
- 信託法第74条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第74条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第74条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/74
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法74条は、個人の受託者が死亡すると信託財産を法人とし、相続財産から切り離す規定。必要なら裁判所が信託財産法人管理人に、新受託者の就任まで管理させる。
Q · 家族信託の受託者が亡くなったら、信託した財産は受託者の家族が相続するの?
相続されません。信託財産は法人となり、新受託者に引き継がれます
信託法74条1項により、受託者である個人が死亡して任務が終了すると、信託財産は法人となり、受託者の相続財産には入りません。新受託者が決まるまでの間、必要があれば利害関係人の申立てにより裁判所が信託財産法人管理人による管理を命じます(同条2項)。新受託者が就任すると法人は成立しなかったものとみなされますが、管理人が権限内でした行為は有効なまま残ります(同条4項)。受託者不在が1年続くと信託は終了する点に注意が必要です(163条3号)。
解説
家族信託で父の賃貸アパートを預かっていた長男が、父より先に急死した。登記簿の名義は長男、口座名義も「父 信託口 長男」。普通に考えれば、長男の妻と子が相続しそうに見える。ところが信託法74条1項は、受託者である個人が死亡して任務が終わった時点で、信託財産そのものを「法人」にする。財産は独立した人格として宙に浮き、長男の相続財産には入らない。あなたが受益者や委託者なら、押さえるべき点は三つある。第一に、新しい受託者が決まるまでの空白期間は、裁判所に申し立てて「信託財産法人管理人」(裁判所が選ぶ臨時の管理担当者)を付けてもらえる。第二に、新受託者が就任すると、法人は最初から成立しなかったものとみなされる。ただし管理人が権限内で結んだ契約は有効なまま残る。第三に、空白を放置して受託者不在の状態が1年続くと、信託そのものが終了する(163条3号)。
法的な位置づけ
信託財産法人とは、受託者である個人の死亡により受託者の任務が終了した場合に、信託法74条1項に基づき信託財産そのものに法人格が与えられる制度をいう。受託者の相続財産から信託財産を分離し、新受託者が就任するまで財産の独立性を保つ。新受託者の就任により、法人は遡って成立しなかったものとみなされる。
手順
- 1.信託契約書の後継受託者条項を確認する 受託者の死亡を知ったら、まず信託契約書(信託行為)に第二受託者・後継受託者の定めがあるかを確認する。指定があれば、その人に就任の意思を確認し、就任を促す
- 2.受託者の相続人に保管・引継ぎを書面で求める 受託者の相続人に対し、信託口の預金や権利証は信託財産であり遺産ではないこと、保管と引継ぎの義務があること(信託法60条)を書面で伝え、流用や遺産への混入を防ぐ
- 3.新受託者を選任する 後継受託者の定めがない場合、委託者と受益者の合意で新受託者を選任する(62条1項)。合意ができないときや委託者が意思表示できないときは、利害関係人が裁判所に選任を申し立てる
- 4.待てない管理行為があれば管理命令を申し立てる 家賃の回収や修繕など、新受託者の就任を待てない管理行為がある場合、選任手続と並行して裁判所に信託財産法人管理命令を申し立てる(74条2項)。受託者不在が1年続くと信託が終了する点も意識して進める
よくある質問 AI による整理
Q1信託財産法人とは何ですか?
個人の受託者が死亡して任務が終了したとき、信託財産そのものが法人となる仕組みです。信託法74条1項が根拠で、受託者の遺産から財産を切り離します。
Q2受託者が死亡したら信託はいつまで続く?
受託者が欠けた状態で新受託者が就任しないまま1年が経過すると、信託は終了します(信託法163条3号)。それまでに新受託者を立てる必要があります。
Q3信託財産法人管理人は誰が申し立てできる?
利害関係人が裁判所に申し立てます(信託法74条2項)。受益者や委託者、信託財産に対する債権者などが典型で、裁判所が必要と認めたときに管理命令が出ます。
Q4受託者の相続人は信託財産をどう扱うべき?
遺産として分けたり使ったりせず、新受託者などが事務処理できるまで保管し、引継ぎに必要な行為をする義務があります(信託法60条)。
Q5信託財産法人管理人は不動産を売却できる?
保存行為などを超える行為には裁判所の許可が必要です(74条6項による66条準用)。売却のように財産の性質を変える行為は、許可なしにはできません。
Q6後継受託者はどうやって決めておく?
信託契約などの信託行為で、第二・第三受託者を指定しておくのが基本です。指定があれば、受託者の死亡後も速やかに新受託者が就任でき、法人化の空白が短くなります。
Q7受託者が法人の場合も信託財産は法人になる?
なりません。74条1項は56条1項1号、つまり受託者である個人の死亡による任務終了に限った規定です。法人受託者の解散などは別の規定で処理されます。
Q8新受託者が就任したら管理人の権限はどうなる?
新受託者が信託事務を処理できるようになった時点で、管理人の代理権は消滅します(74条5項)。信託財産法人も成立しなかったものとみなされます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1家族信託の受託者だった息子が死んだら、信託した家は息子の嫁のものになるんですか?
ならない。受託者個人の死亡で任務が終わると、信託財産は法人になる(74条1項)。そのため受託者の相続財産には入らない。嫁などの相続人に課されるのは、財産を保管して引き継ぐ義務である(60条)。実務のポイント:契約書に後継受託者の定めがなくても、委託者と受益者が合意すれば新受託者を選べる(62条1項)。親が元気なうちなら、家族会議で済むことが多い
Q2信託財産法人管理人って、頼むとどれくらいお金がかかるの?
管理人の報酬や費用は、原則として信託財産から支払われる(74条6項による71条準用)。ただし申立ての際、裁判所から予納金を求められることがあり、金額は事案と裁判所によって異なる(最新の運用をご確認ください)。実務のポイント:管理人はあくまで新受託者が決まるまでのつなぎである。本命は新受託者の選任なので、管理命令の申立てと並行して選任の手続も進めるのが無駄のない進め方である
Q3管理人がやった賃貸契約、新しい受託者が気に入らなければ白紙にできる?
原則としてできない。新受託者が就任すると法人は成立しなかったものとみなされるが、管理人が権限内で行った行為の効力は残る(74条4項ただし書)。信託に関する権利義務は新受託者に承継される(75条)。実務のポイント:就任を引き受ける前に、管理人が結んだ契約の一覧と裁判所の許可の記録を必ず確認しておく。長期の賃貸借などを知らずに引き継いでしまうケースは少なくない
間違えやすい点 AI による整理
- 遺族から見れば「亡くなった息子名義の不動産」でも、法律から見ればそれは息子とは別の「法人」である。登記簿の名義人と財産の帰属先が食い違う。この食い違いに気づかず遺産分割協議書に信託不動産を書き込むと、登記申請の段階で通らず、協議をやり直すことになる
- 「受託者が死んだら、信託財産は誰が相続するのか」という問いは、立て方そのものが間違っている。信託財産は受託者の相続の対象ではない。正しい問いは「次の受託者は誰か、そして決まるまでの間は誰が管理するのか」である。問いを取り違えると、相続人を探すのに時間を使い、1年の期限を食いつぶしてしまう
- 後継受託者を決めておく必要があることは、知っている人が多い。見落とされがちなのは、その深刻さである。委託者の父が認知症で意思表示できなくなっていると、委託者と受益者の合意で新受託者を選ぶ道(62条1項)が使いにくくなり、裁判所への申立てしか残らない場合がある。認知症対策として組んだ信託ほど、この落とし穴にはまりやすい
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する場面 | 74条:個人受託者の死亡で信託財産が法人化 | 60条:前受託者の相続人等による保管・引継ぎ 62条:新受託者の選任 |
| 担い手 | 裁判所が命じた信託財産法人管理人 | 死亡した受託者の相続人等 委託者・受益者の合意、または裁判所 |
| 役割 | 新受託者就任までの臨時管理(権限外行為は裁判所許可) | 財産の保管と引継ぎに必要な行為 信託事務を本格的に担う後継者を確定 |
| 終了時点 | 新受託者が事務処理可能となった時に代理権消滅(74条5項) | 新受託者等が事務処理できるに至るまで 就任により承継が完了(75条) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は受託者死亡時に信託財産が遺産に属しないと明文で定めるが、日本のように信託財産を法人とする構成は採っていない
韓国も信託財産を受託者の相続財産から除外し、新受託者選任の手続を置く。法人化の構成の有無は要確認
中国は信託財産が受託者の遺産に属しないこと、受託者死亡で信託が終了しないことを明文化している
米国は受託者の欠缺時に後継受託者を指定順・合意・裁判所の順で補充する。信託財産を法人とする構成はとらない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 家族信託の受託者だった兄が交通事故で亡くなった。信託した賃貸アパートの家賃は、まだ兄名義の信託口口座に振り込まれてくる。この家賃は誰が受け取り、雨漏りの修繕は誰が発注するのか? 信託財産は法人になっているので、兄の妻にその権限はない。取れる道は、新受託者を立てるか、裁判所に管理人を付けてもらうかの二つである
- 亡くなった夫の遺品を整理していて、夫が義父の信託の受託者だったと初めて知った。夫名義だからと、信託口の預金から葬儀費用を払ってしまった。しかしそのお金は夫の遺産ではない。受託者の相続人には信託財産を保管し、引き継ぐための義務がある(60条)。善意で払ったつもりでも、信託財産を勝手に使ったと言われかねない
- 受託者が亡くなってから11か月が経つが、誰も新受託者を立てていない。このままだと、来月には法律上、信託が終了する。
- 取引先の不動産会社が、信託不動産の購入決済を目前にしていたところ、売主側の受託者が死亡した。決済の相手は誰になるのか? 管理人は付いたが、売却のように財産の性質を変える行為には裁判所の許可が必要になる(66条準用)。決済日は確実にずれる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 受託者の死亡を知ったら、まず信託契約書の「後継受託者」条項を確認する。指定があれば、その人に就任するよう促す2. 指定がなければ、委託者と受益者の合意で新受託者を選ぶ(62条1項)。合意できなければ裁判所に選任を申し立てる3. 家賃の回収や修繕など待てない管理行為があれば、並行して信託財産法人管理命令を申し立てる(74条2項) 4. 受託者の相続人には、信託財産を保管し引き継ぐよう書面で求める
訴えられた側:1. 亡くなった家族が受託者だったと分かったら、信託口の財産には手を付けず、固有の遺産と分けて保管する(60条) 2. 遺産分割協議や相続税申告に信託財産を含めない3. すでに葬儀費用などに使ってしまったなら、使った金額と経緯を記録し、新受託者または管理人に正直に報告して精算する4. 知っている受益者には死亡の事実を早めに伝え、引継ぎに協力する姿勢を示しておく
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。ただし受託者が欠けた後、新受託者が就任しない状態が1年続くと信託は終了する(信託法163条3号、起算点は受託者が欠けた時)。管理人の代理権は、新受託者が信託事務を処理できるようになった時点で消える(74条5項)。財産を流用した場合の返還請求には一般消滅時効(民法166条、知った時から5年、権利行使できる時から10年)が適用される(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:信託財産法人は、民法の相続財産法人と同様に、権利の主体が一時的に欠ける財産を保全するための技術的な法人格であり、新受託者の就任で遡及的に消滅する暫定的な存在と理解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 現行信託法(平成18年法律第108号)の制定とともに置かれた規定。旧信託法のどの条文に対応するか、また制定後に改正されたかどうかは人による検証が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:現行信託法(平成18年法律第108号)の制定に伴い置かれた規定。受託者死亡時に信託財産を法人とし、管理人制度を設けた。制定後の改正の有無は人による確認が必要
- 信託法 第56条受託者の死亡による任務終了事由
- 信託法 第60条前受託者の相続人の保管・引継義務
- 信託法 第62条新受託者の選任手続
- 信託法 第66条管理人の権限と裁判所の許可(準用元)
- 信託法 第163条受託者不在1年で信託終了
- 民法 第896条包括承継の原則から信託財産を除外する特則
- 不動産登記法 第100条受託者交代時の新受託者単独申請(現行効力を要確認)
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