信託法 第146条(委託者の地位の移転)
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- 委託者の地位は、受託者及び受益者の同意を得て、又は信託行為において定めた方法に従い、第三者に移転することができる。
- 2.委託者が二人以上ある信託における前項の規定の適用については、同項中「受託者及び受益者」とあるのは、「他の委託者、受託者及び受益者」とする。
この条文の基本情報
委託者の地位の移転とは何ですか?
定義委託者の地位の移転とは、信託法第146条に定められた規定で、「委託者の地位は、受託者及び受益者の同意を得て、又は信託行為において定めた方法に従い、第三者に移転することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第146条(委託者の地位の移転)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第146条の条文原文は「委託者の地位は、受託者及び受益者の同意を得て、又は信託行為において定めた方法に従い、第三者に移転することができる。」で始まります。
- 信託法第146条は第五章 委託者に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第146条の前の条は信託法第145条です。
- 信託法第146条の次の条は信託法第147条です。
- 信託法第146条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第146条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第146条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/146
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法146条は、委託者の地位を、受託者及び受益者の同意を得るか信託行為で定めた方法に従って第三者に移転できると定める。委託者が複数なら他の委託者の同意も要る。
Q · 家族信託の委託者の立場って、他の人に譲ることはできるの?
受託者と受益者の同意か、契約で定めた方法があれば移せる
信託法146条1項により、委託者の地位は、受託者及び受益者の同意を得るか、信託行為(信託契約など)で定めた方法に従えば、第三者に移転できます。委託者が二人以上いる場合は、他の委託者の同意も必要です(同条2項)。契約で設定した信託では、委託者の死亡により地位が相続人に承継されると一般に解されているため、生前に移転先を契約へ書き込んでおくことが実務上の要点になります。
解説
家族信託の契約書に、司法書士が「委託者の地位は受益者の地位とともに移転する」という一行を入れてきたなら、それは飾りではない。信託法146条は、委託者(財産を預けた本人)の地位を、受託者と受益者の同意を得るか、信託契約で決めた方法に従うことで、第三者に移せると定める。委託者が二人以上いれば、他の委託者の同意も必要になる。わざわざ地位を移す仕組みがあるのは、財産を預けた後も委託者には力が残るからだ。受託者・受益者と合意して信託の中身を変える権限(149条)、受益者と合意して信託をいつでも終わらせる権限(164条)などである。しかも、遺言ではなく契約で作った信託では、委託者が死亡するとこの地位は相続人に引き継がれると一般に解されている(147条の反対解釈)。疎遠だった長男が、親の死後に信託の終了を決める当事者として現れることもありうる。それを防ぐには、本条に基づく移転ルールを信託契約にあらかじめ書き込んでおくしかない。
法的な位置づけ
信託法146条は委託者の地位の移転を定める規定であり、委託者の地位は、受託者及び受益者の同意を得て、又は信託行為において定めた方法に従い、第三者に移転することができるとする。委託者が二人以上ある信託では、同意を要する者に他の委託者が加わる。平成18年の信託法全部改正で新設された規定である。
手順
- 1.信託契約書の承継・移転条項を確認する 信託契約書に、委託者の地位の移転方法や、委託者死亡時の地位の帰属(相続により承継しない旨など)が定められているかを確認する。定めがあれば、その方法が146条1項の「信託行為において定めた方法」となる
- 2.譲受人が得る権限を整理する 譲受人が信託の変更(149条)、終了(164条)、受託者の解任(58条)などにどこまで関与できるかを、信託行為による権利制限(145条)と照らし合わせて書き出し、受託者・受益者に説明できる状態にする
- 3.受託者・受益者(共同委託者なら他の委託者)の同意を取得する 信託行為に別の方法が定められていない場合、受託者及び受益者全員の同意を得る。委託者が二人以上なら他の委託者全員の同意も必要(146条2項)。同意は書面で取り付け、日付と署名を残す
- 4.移転合意書を作成し、信託目録の変更登記を行う 委託者と譲受人の間で地位移転合意書を作成し、受益権は移転しない旨など税務上の整理も明記する。信託財産に不動産が含まれる場合は、司法書士に依頼して信託目録の委託者に関する変更登記を申請する
よくある質問 AI による整理
Q1委託者の地位の移転とは何ですか?
信託を設定した委託者の立場を、生前に第三者へ引き継がせることです。信託法146条が根拠で、受託者・受益者の同意または信託行為で定めた方法が必要です。
Q2委託者の地位を移転するのに受益者の同意は必要?
原則として必要です。信託法146条1項は受託者及び受益者の同意を要件とします。ただし信託契約で別の移転方法を定めていれば、その方法に従えば足ります。
Q3委託者の地位を移転したら登記も変える必要がある?
信託財産に不動産があれば、信託目録に記録された委託者の氏名・住所を変更する登記が必要になります。放置すると売却時などに確認の手間が生じます。
Q4親が認知症になったら委託者の地位は移せる?
移転には委託者本人の有効な意思表示が必要なため、意思能力を失った後は本人の意思による移転が難しくなります。判断能力があるうちの手当てが重要です。
Q5受益権を譲渡すると委託者の地位も一緒に移る?
自動的には移りません。受益権の譲渡と委託者の地位の移転は別の手続です。両方を移したい場合は、それぞれについて要件を満たす必要があります。
Q6委託者の地位を引き継ぐと何ができるようになる?
信託行為で制限されていない限り、受託者・受益者との合意による信託の変更(149条)や、受益者との合意による終了(164条)などに関与できる立場を得ます。
Q7委託者の地位の移転は書面がないと無効?
条文上、書面は要件とされていません。ただし同意の有無が後に争われやすいため、移転合意書と各当事者の同意書を作成し、公正証書化も検討するのが実務です。
Q8委託者の地位の移転はいつまでにやるべき?
法定の期限はありませんが、委託者が意思能力を失う前、遅くとも死亡前が事実上の期限です。その後は本人の意思による移転ができなくなります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1家族信託で父が亡くなったら、委託者って誰になるんですか?
遺言で設定した信託であれば、委託者の相続人は原則として地位を承継しない(信託法147条)。一方、契約で設定した信託には同様の規定がなく、相続人に承継されると一般に解されている。実務のポイント:実務の契約書では「委託者の地位は相続により承継せず、受益者に移転する」と定めるのが定番である。しかし、ひな形を流用しただけの契約では抜け落ちていることがある。親が元気なうちに条項を一読しておくべきだ
Q2委託者の地位を移すと、税金がかかったりしませんか?
信託の課税は、原則として受益者を基準に判断される(相続税法9条の2)。委託者の地位だけを移し、受益者が変わらなければ、直ちに贈与税が生じるとは通常考えられていない。ただし、受益権の移動と同時に行えば課税対象になりうる。実務のポイント:移転の合意書に受益権は動かさない旨を明記し、事前に税理士に確認しておけば、税務調査での説明が一言で済む(最新の改正状況をご確認ください)
Q3兄弟で共同委託者なんですが、一人が勝手に地位を誰かに譲ったら有効ですか?
信託行為に別の定めがない限り、他の委託者、受託者、受益者全員の同意が必要である(信託法146条2項)。同意を欠いた移転は効力を生じないと考えられる。実務のポイント:共同委託者型の信託では、将来誰かが抜けることを想定し、「受託者の承諾のみで移転できる」といった方法を信託行為で決めておく。そうしておけば、一人が協力しないだけで全員が身動きできなくなる事態を避けられる
間違えやすい点 AI による整理
- 「財産を預けた時点で委託者の役目は終わる」という前提自体が誤っている。信託行為で制限されていない限り、委託者には信託の変更(149条)、信託の終了(164条)、受託者の解任(58条)について合意する権限などが残る。役目が終わっていないからこそ、誰がその地位を持つかが争いになる
- 受益者が変われば委託者も自動的に入れ替わると考えられがちだが、受益権の譲渡と委託者の地位の移転は別々の手続である。受益権だけを動かして委託者を放置すると、元の委託者やその相続人が信託の意思決定に関与できる状態が残る。その危険は、紛争が起きて初めて表に出てくる
- 家族から見れば「父の財産を守るために長女に任せた信託」でも、法律から見れば委託者・受託者・受益者の三者関係である。契約信託で委託者が死亡すれば、その一角が相続によって複数の相続人に分かれて引き継がれうる。家族の感覚と法律の構造とのこの落差が、遺産分割協議とは別の場所で新しい火種を生む
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 信託法146条:委託者の地位の生前の移転 | 信託法147条:遺言信託で委託者が死亡した場合の相続人の地位 信託法145条:委託者が有する権利の範囲と信託行為による制限 |
| 要件・原則 | 受託者・受益者(複数委託者なら他の委託者も)の同意、または信託行為で定めた方法 | 遺言信託では委託者の相続人は原則として地位を承継しない 信託行為で委託者の権利の全部または一部を制限できる |
| 信託行為による調整 | 移転の方法を信託行為で事前に定められる | 信託行為に別段の定めがあれば承継させられる 信託行為で権利の有無・範囲を設計できる |
他国ではどう定めているか 2 か国
委託人の地位の移転について明文規定はなく、信託契約の約定に委ねられる。委託人の権限については同法3条などが関係する
2011年の全部改正で委託者の地位の移転規定が置かれ、受託者と受益者の同意による移転を認める点で日本と同趣旨
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父が委託者兼受益者、長女が受託者という典型的な家族信託を組んでいた。父の死後、絶縁状態だった次男が「自分も委託者の地位を相続した。信託を終わらせるなら自分の同意が要る」と主張してきた。契約書に委託者の地位の行き先が書かれていなければ、この主張を簡単には退けられない
- 母の主治医から「判断能力の低下が始まっている」と告げられたら、委託者の地位を受益者に移すための時間はどれくらい残っているのか? 信託契約で方法を決めていない場合、移転には母自身の意思表示が欠かせない。意思能力を失った後では成年後見の問題になり、家族だけでは動かせなくなる
- 受託者を務めるあなたに、委託者から「地位を知人に譲りたいので同意書に判を押してほしい」と頼まれた。その知人は受益者と組めば信託を終了させられる立場まで手に入れる。判を押す前に、そこまで理解しているだろうか
- 収益不動産を信託して受益権を投資家に売却するスキーム。受益権だけが移り、委託者の地位が元の売主に残ったままだと、信託の変更に旧所有者が関与する余地が残る。買主側の弁護士が受益権売買契約に委託者の地位の承継まで書き込むことが多いのは、このためだ
- 兄弟三人が共同委託者となった実家の信託で、一人が海外赴任を前に自分の地位を妻に譲りたいと言い出した。出発まであと2週間。信託契約に別の方法が定められていなければ、146条2項により、他の二人の委託者、受託者、受益者全員の同意書がそろわない限り移転は成立しない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 信託契約書で、委託者の地位の承継または移転に関する条項を確認する2. 契約信託でその定めがない場合は、委託者の相続人全員が地位を承継したと主張される可能性を前提に動く3. 委託者が存命で判断能力があるうちに、受託者と受益者の同意を得て、地位を受益者などに移す合意書を作る。公正証書にすることも検討する4. 不動産が信託財産に入っていれば、信託目録の変更登記を司法書士に依頼する
訴えられた側:1. 移転への同意を求められたら、譲受人が手にする権限(149条の変更、164条の終了、58条の解任の合意など)を書き出し、影響を検討する2. 信託行為が定める方法に従っているか、委託者が複数なら他の委託者全員の同意があるか(146条2項)を確認する3. 同意しない場合は、その理由を書面で残す4. 要件を欠いた移転を前提に信託の変更や終了を迫られたら、その効力を争う
時効(請求できる期限):特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。実務上の期限は、委託者が意思能力を失う時点と死亡する時点である。それ以降は、本人の意思による移転ができなくなる
学説
一般的理解:遺言信託について委託者の相続人の地位承継を原則否定する147条の反対解釈として、契約信託では委託者の地位が相続により承継されると解されている。このため実務では、信託契約で承継しない旨や移転先を定めることが多い
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正、平成19年(2007年)9月30日施行 旧信託法(大正11年法律第62号)には委託者の地位の移転に関する明文規定がなかった。新信託法で、受託者・受益者の同意または信託行為の定めによって移転できる旨が新設された
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法全部改正(平成18年法律第108号)により新設。旧信託法(大正11年法律第62号)には委託者の地位の移転に関する明文規定がなかった。平成19年(2007年)9月30日施行
- 信託法 第145条移転対象となる委託者の権利の範囲
- 信託法 第147条遺言信託で相続人の地位承継を否定
- 信託法 第149条委託者が当事者となる信託の変更
- 信託法 第164条委託者と受益者の合意による終了
- 信託法 第182条残余財産で委託者を帰属権利者とみなす
- 不動産登記法 第97条信託目録に委託者を記録、変更登記の根拠
- 相続税法 第9条の2受益者基準の信託課税、地位移転時の確認点
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