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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年7月4日読了 7 分7 分7 分

信託法 第182条(残余財産の帰属)

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  1. 残余財産は、次に掲げる者に帰属する。
  2. 一信託行為において残余財産の給付を内容とする受益債権に係る受益者(次項において「残余財産受益者」という。)となるべき者として指定された者
  3. 二信託行為において残余財産の帰属すべき者(以下この節において「帰属権利者」という。)となるべき者として指定された者
  4. 2.信託行為に残余財産受益者若しくは帰属権利者(以下この項において「残余財産受益者等」と総称する。)の指定に関する定めがない場合又は信託行為の定めにより残余財産受益者等として指定を受けた者のすべてがその権利を放棄した場合には、信託行為に委託者又はその相続人その他の一般承継人を帰属権利者として指定する旨の定めがあったものとみなす。
  5. 3.前二項の規定により残余財産の帰属が定まらないときは、残余財産は、清算受託者に帰属する。

この条文の基本情報

残余財産の帰属とは何ですか?

定義残余財産の帰属とは、信託法第182条に定められた規定で、「残余財産は、次に掲げる者に帰属する。」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 信託法第182条(残余財産の帰属)は、日本の信託法に含まれる条文です。
  2. 信託法第182条の条文原文は「残余財産は、次に掲げる者に帰属する。」で始まります。
  3. 信託法第182条は第二節 信託の清算に置かれています。
  4. 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
  5. 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
  6. 信託法第182条の前の条は信託法第181条です。
  7. 信託法第182条の次の条は信託法第183条です。
  8. 信託法第182条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式信託法(平成十八年法律第百八号)第182条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108
  • 本サイト収録信託法(平成十八年法律第百八号)第182条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/182

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点信託法182条は、信託終了時の残余財産の帰属先を定める。信託行為で指定された残余財産受益者・帰属権利者、指定がなければ委託者やその相続人、なお定まらなければ清算受託者に帰属する。

Q · 家族信託が終わったら、残った財産は誰のものになるの?

契約で指定した人、なければ委託者側、最後は清算受託者

信託法182条により、残余財産はまず信託行為で指定された残余財産受益者または帰属権利者に帰属します(1項)。指定がない場合や指定された全員が放棄した場合は、委託者またはその相続人などが帰属権利者に指定されていたものとみなされます(2項)。それでも帰属が定まらないときは、清算受託者に帰属します(3項)。予備的な指定を契約に入れておくことが紛争予防の要になります。

解説

家族信託の契約書を作るとき、多くの家族は「誰に管理させるか」の議論に時間の九割を使い、「信託が終わったら誰がもらうか」は一行で済ませてしまう。信託法182条は、その一行の出来ですべてが決まる条文である。残余財産(信託が終わり、債務を払い終えた後に残る財産)の行き先は、三段の階段で決まる。第一段は、信託契約で指定された残余財産受益者か帰属権利者。第二段は、指定がない場合や、指定された全員が権利を放棄した場合で、このときは委託者か、その相続人などが帰属権利者に指定されていたものとみなされる。第三段は、それでも決まらない場合で、財産は清算受託者(信託の後始末を担う管理役)のものになる。危ないのは第二段である。父の死後に信託が終わり、財産が「相続人」に戻る形になると、家族信託で避けたはずの相続人どうしの話し合いがまた必要になる可能性がある。複数の相続人の間で取り分をどう決めるかは、実務上、解釈が分かれている。契約書の最後の条項を読み飛ばした家族ほど、ここでつまずく。

法的な位置づけ

信託法182条は、信託の清算において債務を弁済した後に残る残余財産の帰属を定める規定である。信託行為で指定された残余財産受益者または帰属権利者を第一順位とし、指定の欠缺または全員の放棄がある場合は委託者またはその相続人その他の一般承継人を帰属権利者とみなし、なお定まらない場合は清算受託者に帰属させる三段階の構造をとる。

よくある質問 AI による整理

Q1信託法182条とは?

信託が終わり清算した後に残る財産(残余財産)の行き先を定めた条文です。指定された者、委託者側、清算受託者の三段階で帰属が決まります。

Q2家族信託が終了したら残余財産はいつ渡される?

清算受託者が信託の債務を弁済した後、または弁済に必要な財産を確保した後に引き渡されます(信託法181条)。終了と同時に受け取れるわけではありません。

Q3帰属権利者に受託者自身を指定できる?

信託法に指定を禁じる規定はなく、家族信託では受託者の子を帰属権利者に定める例もあります。ただし遺留分や課税関係は別途検討が必要です。

Q4帰属権利者が先に死亡したらどうなる?

予備的な指定がない場合、2項の「定めがない場合」に当たるのか、帰属権利者の相続人が引き継ぐのかは実務上解釈が分かれています。契約で次順位を決めておくのが安全です。

Q5信託終了後の不動産の名義変更はどうする?

帰属権利者への所有権移転登記と信託登記の抹消を申請します。登記原因や添付書類は信託契約の内容で変わるため、司法書士への相談が一般的です。

Q6帰属権利者が受け取った財産に税金はかかる?

相続税法9条の2により、信託終了時に残余財産を取得した者は贈与または遺贈で取得したものとみなされ、贈与税や相続税の対象になりえます。

Q7清算受託者とは?

信託終了後に清算事務を担う受託者です。現務の結了、債権の取立て、債務の弁済、残余財産の給付を行い、帰属先が定まらなければ自ら残余財産を取得します。

Q8委託者自身を帰属権利者にできる?

できます。ただし委託者など信託行為の当事者である帰属権利者は、権利を放棄できません(信託法183条)。委託者存命中の終了に備えた設計に使われます。

この条文についての質問 AI による整理

Q1家族信託で、帰属権利者を書き忘れたらどうなるんですか?

182条2項により、委託者またはその相続人などを帰属権利者とする定めがあったものとみなされる。委託者が存命なら委託者に戻り、亡くなっていれば相続人へ移る。問題は相続人が複数いる場合の割合で、法定相続分によるのか、遺産分割協議が必要なのかは、実務上、解釈が分かれている。実務のポイント:登記の実務では相続人全員の関与を求められやすく、話し合いが要らないはずの家族信託が、結局きょうだい全員の実印集めに戻ることがある

Q2信託を使えば、遺留分を気にせず長男に全部渡せますか?

渡せるとは限らない。帰属権利者を長男だけにしても、ほかの相続人による遺留分侵害額請求(民法1046条)の対象になりうるというのが有力な見解である。東京地判平成30.9.12は、遺留分制度を逃れる意図があった信託の一部を、公序良俗違反として無効とした。実務のポイント:財産の行き先を一人に寄せる設計ほど、裁判で狙われやすい。遺留分にあたる金銭を別に用意しておくのが、紛争予防の定石である

Q3帰属権利者に指定されたけど、受け取りたくない。断れる?

断れる。受託者に放棄の意思表示をすれば、最初から権利を取得していなかったものとみなされる(183条)。ただし委託者自身が帰属権利者であるなど、信託行為の当事者である場合は放棄できない。実務のポイント:放棄した財産は、ほかに指定された人へ、いなければ委託者や相続人へ流れる(182条2項)。放棄は「誰かに譲る」行為ではない。特定のきょうだいに渡したいなら、課税も含めて別の手段を考えないと、狙いと逆の結果になる

間違えやすい点 AI による整理

  • 「信託財産は最後に誰がもらうのか」と考える人は多いが、問いの立て方がずれている。本当に問うべきは「その人が受け取れなくなったら、次は誰か」である。帰属権利者に指定した長男が委託者より先に亡くなった場合、2項の「指定に関する定めがない場合」に当たるのか、長男の相続人が権利を引き継ぐのかは、実務上、解釈が分かれている。予備的な指定がない契約書は、この論点を抱えたまま動いている
  • 相続人のいない人の財産は最終的に国庫へ行く(民法959条)、と覚えている人から見れば、身寄りのない人の財産の行き先は国である。しかし信託を使っていて帰属先の定めもないと、法律上の行き先は国庫ではなく清算受託者になる(3項)。管理を頼んだ姪や知人が、最後にすべてを受け取る構造になりうる。本人がそれを望んでいたかどうかを、条文は問わない
  • 「残余財産受益者」と「帰属権利者」は名前が違うだけだと思われがちだが、実際は違う。残余財産受益者は信託が続いている間から受益者であり、受託者を監督する権利を持つ。帰属権利者が受益者とみなされるのは清算中だけである(183条)。親の財産管理を早くから見張りたい子にとって、どちらで指定されるかは大きな差になる
比較の観点この条文ほかの条文
規律する場面信託法182条:残余財産が誰に帰属するか(帰属先の順位)信託法183条:帰属権利者の権利取得・放棄と受益者とのみなし
信託法181条:債務弁済前の残余財産給付の制限
主な対象者残余財産受益者・帰属権利者・委託者側・清算受託者帰属権利者(信託行為の当事者でない者)
清算受託者
実務上の要点予備的指定がないと2項・3項に落ちる放棄すると最初から権利がなかったものとみなされ、次順位へ流れる
債務を払う前に引き渡すと受託者の責任問題になりうる

他国ではどう定めているか 5 か国

台湾
中華民国信託法第65条

信託行為に別段の定めがなければ、全部の信託利益を享受する受益者、次いで委託者またはその相続人に帰属させる。日本と同じく委託者側への復帰を基本とするが、清算受託者への最終帰属の明文はない

韓国
신탁법 제101조

信託行為で定めた者、次いで委託者またはその相続人に帰属させる構造で、日本法と近い

中国
信托法 第54条

信託文書に定めがない場合、受益者またはその相続人、次いで委託者またはその相続人の順で帰属させる。受益者側を委託者より先順位に置く点が日本と異なる

フランス
Code civil art. 2030

fiducie 終了時に受益者がいなければ財産は当然に委託者へ復帰する。受託者への最終帰属という発想はない

アメリカ
Uniform Trust Code § 817 / resulting trust

信託目的が尽きて帰属先が定まらない財産は、resulting trust により委託者またはその承継人に復帰するのが原則

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 父が委託者、長男が受託者の家族信託。帰属権利者の欄には「長男」とだけ書いた。ところが長男が父より先に病死した。父の死亡で信託が終わったとき、実家は長男の妻子のものになるのか、父の相続人全員のものになるのか。予備的な指定がないため、この点は実務上、解釈が分かれており、親族間の争いの火種になる
  • もし帰属権利者に指定された次女が「遺産争いに巻き込まれたくない」と権利を放棄したら、どうなる? ほかに指定された人がいなければ、財産は委託者かその相続人が帰属権利者に指定されていたものとみなされる(2項)。次女の放棄が、結果的にきょうだい全員を交渉の場に引き戻すことになる
  • あなたは受託者として母の賃貸アパートを管理してきた。母が亡くなって信託は終わり、あなたは清算受託者になった。帰属権利者の弟からは名義を早く移せと催促される。しかし未払いの修繕費やローンが残っている。債務を払う前に財産を引き渡すと、あなた自身が責任を問われうる(181条)
  • 子どものいない叔母の財産管理を、信託で引き受けた。叔母に相続人はおらず、契約書には帰属先の定めもない。最後にその財産を受け取るのは国ではなく、あなたかもしれない
  • 清算受託者から、最終計算(清算の最終的な収支報告)の書面が届いた。中身に納得できない点があっても、承認を求められてから1か月以内に異議を述べなければ、承認したものとみなされる(184条)。封筒を開けずに放っておく余裕はない
  • 事業承継のために自社株を信託した経営者が、帰属権利者を後継者と定めていなかった。信託が終わると株は相続人全員に戻る可能性があり、議決権が分散して後継者の経営を縛ることになる

取るべき行動

被害を受けた側:1. 信託契約書(公正証書)の写しを取り寄せ、残余財産受益者・帰属権利者の条項と、予備的な指定があるかを確認する2. 自分が帰属権利者なら、清算中は受益者とみなされるため(183条)、受託者に財産の状況を報告するよう求められる3. 清算受託者が債務を払う前に、ほかの人へ財産を渡していないかを確認する(181条) 4. 最終計算の書面が届いたら、1か月以内に内容を精査し、疑問があれば書面で異議を出す(184条)

訴えられた側:1. 清算受託者になったら、まず債権者への支払いを済ませるか、支払いに必要な財産を確保してから残余財産を渡す(181条) 2. 帰属先が1項から3項のどれに当たるかを契約書と戸籍で確定させる。はっきりしない場合は、渡す前に関係者全員の書面での合意を取る3. 3項で自分に財産が帰属しうる場合は、ほかの親族への説明と、税理士への課税関係の確認を先に済ませる4. 最終計算を作成して全員に承認を求め、相手が受け取った日を記録する(184条)

時効(請求できる期限):残余財産の帰属そのものに特定の時効はない。帰属権利者が財産の引渡しを求める権利には、一般消滅時効(民法166条:知った時から5年、行使できる時から10年)が問題となる(受益債権の時効の特則である信託法102条がどこまで準用されるかは要確認)。清算受託者の最終計算は、承認を求められた時から1か月以内に異議を述べないと承認したものとみなされる(信託法184条3項。最新の改正状況をご確認ください)

学説

2項適用とみる見解:指定された帰属権利者が信託終了前に死亡し予備的指定もない場合、指定に関する定めがない場合と同視し、2項により委託者またはその相続人などに帰属するとみる考え方

帰属権利者の相続人の承継を認める見解:帰属権利者としての地位が相続の対象となりうるとし、指定された者の相続人が残余財産を取得するとみる考え方。信託行為の解釈により結論が分かれ、実務上は予備的指定で回避するのが通例

改正沿革 AI による整理

  • 平成18年(2006年)信託法全部改正により制定 旧信託法62条(信託行為に定めた帰属権利者がいないときは、委託者またはその相続人に帰属する)を引き継ぎつつ、残余財産受益者と帰属権利者を区別した。あわせて、指定された全員が放棄した場合の扱いや、最終的に清算受託者に帰属する規定を整備した。平成19年(2007年)9月30日施行

改正の年表

  1. 1.大正11年(1922年) 新設:旧信託法62条で、信託行為に定めた帰属権利者がいないときは委託者またはその相続人に帰属すると規定
  2. 2.平成18年(2006年) 新設:信託法全部改正により現行182条を制定。残余財産受益者と帰属権利者を区別し、全員放棄の場合の扱いと清算受託者への最終帰属を整備。平成19年(2007年)9月30日施行

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信託法の全文を見る所属する編章節を開く:第二節 信託の清算

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

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