信託法 第177条(清算受託者の職務)
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- 信託が終了した時以後の受託者(以下「清算受託者」という。)は、次に掲げる職務を行う。
- 一現務の結了
- 二信託財産に属する債権の取立て及び信託債権に係る債務の弁済
- 三受益債権(残余財産の給付を内容とするものを除く。)に係る債務の弁済
- 四残余財産の給付
この条文の基本情報
清算受託者の職務とは何ですか?
定義清算受託者の職務とは、信託法第177条に定められた規定で、「信託が終了した時以後の受託者(以下「清算受託者」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第177条(清算受託者の職務)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第177条の条文原文は「信託が終了した時以後の受託者(以下「清算受託者」という。」で始まります。
- 信託法第177条は第二節 信託の清算に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第177条の前の条は信託法第176条です。
- 信託法第177条の次の条は信託法第178条です。
- 信託法第177条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第177条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第177条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/177
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法177条は、信託終了後の受託者を清算受託者とし、現務の結了、債権の取立てと債務の弁済、受益債権の弁済、残余財産の給付の四つの職務を定める。
Q · 家族信託が終わったら、受託者は何をしなければいけないの?
債務を払い終えるまで、残余財産は原則渡せない
信託法177条により、信託終了後の受託者は清算受託者として、①続いている取引を片付ける(現務の結了)、②信託財産の債権を取り立てて信託の債務を払う、③受益者への未払いの給付を払う、④残った財産を給付する、の四つを行います。181条により、②③の債務を払うか、払うのに必要な財産を取り分けておかない限り、残余財産を帰属権利者に給付することは原則できません。最後に184条の最終計算と承認が必要です。
解説
信託は「終了」した瞬間に消えるわけではない。信託法176条により、清算が結了するまで信託はなお存続するものとみなされる。その間、受託者は「清算受託者」に変わり、本条が定める四つの職務を担う。一つ目は、続いている取引を片付けること(現務の結了)。二つ目は、未収の家賃や貸付金を回収し、信託の借金を払うこと。三つ目は、受益者への未払いの給付を払うこと。四つ目が、最後に残った財産を渡すことである。肝心なのは順番だ。181条により、債務を払い終えるか、払うのに必要な財産を取り分けておかない限り、残った財産(残余財産)を帰属権利者に渡すことは原則できない。あなたが家族信託の受託者なら、親が亡くなった翌週に兄弟から「実家と預金を早く分けて」と迫られる場面が来る。そこで手順を飛ばすと、任務を怠ったとして損失てん補責任(40条)を問われる余地が生まれる。最後には184条の最終計算と、全員の承認が待っている。信託をきれいに閉じられるのは、この終わり方を知っている人だけである。
法的な位置づけ
清算受託者とは、信託法177条に基づき、信託が終了した時以後の受託者をいう。清算受託者は、現務の結了、信託財産に属する債権の取立て及び信託債権に係る債務の弁済、受益債権に係る債務の弁済、残余財産の給付を職務とし、清算が結了するまで受託者としての善管注意義務・忠実義務を引き続き負う。
手順
- 1.財産目録と債務一覧を作る 信託終了日時点の信託財産(不動産・信託口口座・債権)と、固定資産税・修繕代金・ローンなどの信託債務を一覧化する。信託契約書で清算受託者と帰属権利者も確認する
- 2.続いている契約を整理する(現務の結了) 賃貸借、管理委託、ローンなど継続中の契約を洗い出し、終了・引継ぎの方針を決める。賃貸建物は帰属権利者に移せば賃貸人の地位も通常移るため、敷金返還債務の引継ぎを詰める
- 3.債権を取り立て、信託債務を払う 未収家賃などを回収し、信託債権に係る債務を弁済する。財産で債務を払いきれないと分かったら、直ちに破産手続開始を申し立てる(179条)
- 4.受益債権を弁済し、残余財産を給付する 受益者への未払給付を払った後、残余財産を帰属権利者に給付する。争いのある債務があれば、その弁済に必要な財産を留保してから給付する(181条ただし書)
- 5.最終計算をして承認を求める 職務が終わったら遅滞なく最終計算を行い、受益者・帰属権利者等に承認を求める。承認を求めた時から1か月以内に異議がなければ承認したものとみなされる(184条)
よくある質問 AI による整理
Q1清算受託者とは?
信託が終了した時以後の受託者のことです。信託法177条が定める呼び名で、清算が結了するまで、信託の後始末を担う立場として受託者の義務を引き続き負います。
Q2清算受託者の職務は何がありますか?
現務の結了、信託財産の債権の取立てと信託債務の弁済、受益債権の弁済、残余財産の給付の四つです(信託法177条)。181条により、債務の弁済を先に済ませる順番が重要です。
Q3現務の結了とはどういう意味ですか?
信託終了時点で続いている取引や事務を片付けることです。賃貸借をすべて解約する意味ではなく、契約の引継ぎ先を決めて整理することも含まれます。
Q4清算中に信託不動産を売却できますか?
清算受託者には清算のために必要な一切の行為をする権限があります(信託法178条)。換価も可能ですが、信託行為に別段の定めがあればそれに従います。
Q5帰属権利者が決まっていない場合、残余財産は誰のものになりますか?
信託法182条により、まず信託行為で指定された残余財産受益者・帰属権利者、指定がなければ委託者またはその相続人等、それでも決まらなければ清算受託者に帰属します。
Q6最終計算の承認を拒否するとどうなりますか?
承認を求められてから1か月以内に異議を述べれば、承認擬制は生じません(信託法184条)。異議があれば受託者の責任追及の余地が残ります。
Q7信託終了後の不動産登記はどうしますか?
信託登記の抹消と、帰属権利者への所有権移転登記を行うのが一般的です。受託者自身が帰属権利者なら変更登記で処理する場合があり、司法書士への早めの相談が有効です。
Q8清算が終わるまでどれくらいかかりますか?
法律上の期限はありません。債務の洗い出し、不動産の換価・登記、口座手続、最終計算の承認まで含め、財産構成によって数か月から1年以上かかることもあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1親が亡くなったら、信託口口座のお金ってすぐ引き出して兄弟で分けていいんですか?
すぐには分けられない。信託は清算が結了するまで存続するものとみなされ(176条)、まず信託の債務を払う必要がある。残余財産を給付できるのはその後である(177条、181条)。実務のポイント:信託口口座の終了手続に必要な書類は金融機関ごとにかなり違う。口座を開設する段階で、終了時に何を求められるか確認しておかないと、清算がそこで止まる
Q2受託者の私が帰属権利者にもなっています。自分に財産を渡すのって問題ないの?
信託行為で帰属権利者に指定されていれば、残余財産の給付そのものは清算受託者の職務である(177条4号)。ただし、債務の弁済を先に済ませる順番は変わらない(181条)。実務のポイント:不動産の場合、受託者と帰属権利者が同じ人なら、所有権移転ではなく「固有財産となった旨」の変更登記(不動産登記法104条の2)で処理する。登記の形が違うので、司法書士に早めに伝えておく
Q3清算中にアパートローンの残高のほうが多いと分かりました。受託者の私が自腹で払うんですか?
清算受託者は直ちに破産手続開始を申し立てる義務を負う(179条)。また受託者は、信託のために負った債務について、原則として自分の財産でも責任を負いうる(21条2項の例外を除く)。実務のポイント:家族信託でローンを組むとき、銀行はたいてい受託者個人を債務者にする。信託財産が足りなければ、子どもが親の借金を自分の財布でかぶる構造になる。契約前にこの点を確認していない家族は意外に多い
間違えやすい点 AI による整理
- 「委託者が亡くなったら、信託財産は自動的に帰属権利者のものになる」と思われがちだが、実際は違う。終了後も清算が結了するまで信託は存続するものとみなされ、名義は受託者のままである。給付の手続や登記を経て初めて、帰属権利者の手に渡る
- 「残った財産を誰がもらえるか」から考え始める人が多いが、それでは順番が逆である。清算で最初に問うべきなのは「信託として払うべきものが何か」だ。信託債権と受益債権を払った後でなければ、残余財産の給付は原則できない(181条)。分け方の議論は最後に回すべき問題である
- 受託者本人から見れば、自分は親の財産を預かった家族の世話役にすぎない。だが法律から見れば、清算中であっても善管注意義務(プロとして当然払うべき注意のレベル、29条)と忠実義務(30条)を負う受託者のままである。「家族だから大目に見てもらえる」という感覚と法律上の評価との落差が、兄弟間の訴訟の火種になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する内容 | 信託法177条:清算受託者の四つの職務 | 信託法181条:債務弁済前の残余財産給付の制限 信託法184条:最終計算と承認 |
| 清算のどの段階か | 清算の全工程(何をするか) | 給付の直前(どの順番でするか) 職務終了時(どう締めくくるか) |
| 守らない場合の典型リスク | 任務懈怠による損失てん補責任(40条) | 弁済前給付による信託債権者・受益者からの責任追及 承認が得られず清算が締まらない |
| 関係者の対抗手段 | 帳簿閲覧請求(38条、183条6項) | 必要財産の留保を求める(181条ただし書) 1か月以内の異議 |
他国ではどう定めているか 3 か国
信託関係消滅後、財産移転までは信託関係が存続するとみなし、受託者は結算書と報告書を作成して承認を得る。日本と同じく清算終了まで存続を擬制する構造である。
信託終了後の財産帰属、存続擬制、清算報告を定め、受益者等の承認で受託者の責任が解除される仕組みを持つ。
信託終了時、受託者は分配前に分配計画を受益者に通知し、異議の機会を与えることができる。債務整理後に分配する点は日本と共通する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父の死亡で家族信託が終了した。受託者の長男であるあなたは、信託口口座の残高を妹と半分ずつ振り込もうとしている。ところが、信託不動産の固定資産税とアパートの修繕代金がまだ払われていない。先に分けてしまえば、払うべき順番を誤った清算受託者として、あとで妹から責任を問われかねない
- 信託財産のアパートにまだ入居者が住んでいたら、清算のために全員に退去してもらう必要があるのか? 原則としてその必要はない。現務の結了は賃貸借の解約を意味しない。対抗要件を備えた賃貸借なら、建物を帰属権利者に移せば賃貸人の地位も通常は一緒に移る(民法605条の2)。詰めておくべきなのは敷金返還債務の引継ぎである
- 清算の途中で、信託財産では借金を払いきれないと分かった。清算受託者は直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない(179条)。黙って抱え込むのが最悪の手である
- 兄から「最終計算書」が届き、承認を求められた。中身に納得できない帰属権利者のあなたに残された時間は、承認を求められた時から1か月である。異議を述べないまま期間が過ぎると承認したものとみなされ、不正な行為がない限り兄の責任は免除される(184条)
- 家族信託の受託者からリフォームを請け負い、工事代金をまだ受け取っていない工務店のあなた。委託者が亡くなり「信託は終わった」と告げられても、代金請求権は消えない。清算受託者には、信託財産に属する債権を取り立てるだけでなく、信託債権に係る債務を弁済することも職務として課されている
取るべき行動
被害を受けた側:1. 信託契約書で終了事由、清算受託者、帰属権利者を確認する2. 清算中は受益者とみなされるため、帳簿や財産状況の閲覧を請求する(38条、183条6項) 3. 最終計算の承認を求められたら1か月以内に精査し、疑問があれば書面で異議を述べる4. 不当な処分で損失が出ていれば損失てん補(40条)を請求し、重大な任務違反があれば裁判所に受託者の解任を申し立てる(58条4項)
訴えられた側:1. 終了日時点の財産目録と債務一覧を作る2. 賃貸、管理委託、ローンなど続いている契約を洗い出し、引継ぎ先を決める3. 信託債権の弁済、受益債権の弁済、残余財産の給付の順に進める。争いのある債務があれば、その分の財産を取り分けておく(181条ただし書) 4. 財産が足りないと分かったら直ちに破産を申し立てる(179条) 5. 職務が終わったら遅滞なく最終計算をして、全員に承認を求める(184条)
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。最終計算の承認を求められた時から1か月以内に受益者や帰属権利者が異議を述べないと、承認したものとみなされる(信託法184条)。財産で債務を払いきれないと明らかになった場合の破産申立ては「直ちに」行う必要がある(179条)
学説
通説:清算受託者の職務は177条の順に並ぶが、181条により債務弁済が残余財産給付に優先する。清算中も信託は存続擬制され、受託者の善管注意義務・忠実義務は継続する。
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正(平成19年9月30日施行) 大正11年制定の旧信託法を全部改正した現行信託法で、清算受託者の職務が明文で規定された。その後の改正の有無は要人的検証
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:旧信託法(大正11年法律第62号)の全部改正により現行信託法が制定され、清算受託者の職務が明文化された(平成19年9月30日施行)。
- 信託法 第176条清算結了まで信託の存続を擬制
- 信託法 第179条債務超過判明時の破産申立義務
- 信託法 第181条債務弁済前の残余財産給付の制限
- 信託法 第182条残余財産の帰属先の決定順序
- 信託法 第184条職務終了時の最終計算と承認
- 相続税法 第9条の2残余財産取得のみなし贈与・遺贈課税
- 破産法 第244条の2信託財産の破産手続の特則
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