信託法 第153条(信託の併合後の信託の信託財産責任負担債務の範囲等)
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信託の併合がされた場合において、従前の信託の信託財産責任負担債務であった債務は、信託の併合後の信託の信託財産責任負担債務となる。
この条文の基本情報
信託の併合後の信託の信託財産責任負担債務の範囲等とは何ですか?
定義信託の併合後の信託の信託財産責任負担債務の範囲等とは、信託法第153条に定められた規定で、「信託の併合がされた場合において、従前の信託の信託財産責任負担債務であった債務は、信託の併合後の信託の信託財産責任負担債務となる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第153条(信託の併合後の信託の信託財産責任負担債務の範囲等)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第153条の条文原文は「信託の併合がされた場合において、従前の信託の信託財産責任負担債務であった債務は、信託の併合後の信託の信託財産責任負担債務となる。」で始まります。
- 信託法第153条は第二節 信託の併合に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第153条の前の条は信託法第152条です。
- 信託法第153条の次の条は信託法第154条です。
- 信託法第153条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第153条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第153条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/153
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法153条により、信託の併合がされると従前の各信託の信託財産責任負担債務は併合後の信託の債務となる。債権者は152条の異議手続で保護を求められる。
Q · 信託が別の信託と併合されたら、元の信託の借金はどうなるの?
消えずに、併合後の信託の債務として引き継がれる
信託法153条により、併合前の各信託で信託財産から支払う責任を負っていた債務(信託財産責任負担債務)は、そのまま併合後の信託の信託財産責任負担債務になります。債務は消えませんが、併合相手の信託の債務とも同じ信託財産から支払われることになります。そのため債権者は、152条の異議手続により、期間内に異議を述べて弁済や担保の提供などを求めることができます。
解説
二つの信託がひとつになるとき、財産だけが合流するわけではない。借金もまとめて合流する。信託法153条によれば、併合前の各信託で「信託財産責任負担債務」(信託の財産から支払う責任を負う債務)だった債務は、そのまま併合後の信託の債務になる。数字で見ると重さが分かる。資産1億円・債務2,000万円の信託 A と、資産3,000万円・債務4,000万円の信託 B が併合すれば、A の債権者が頼れるのは資産1億3,000万円に対して、債務6,000万円を抱えた財産になる。安全な財布を当てにしていた A の債権者も、A 由来の財産を当てにしていた受益者も、B の借金と同じ土俵に立たされる。法律はこれを見越して152条で債権者に異議を述べる機会を与えている。あなたが信託の債権者や受益者であれば、併合の公告や催告が届いた時点で、相手の信託の貸借対照表を取り寄せることが最初の一手になる。何もしないまま異議期間が過ぎると、併合は進んでしまう。
法的な位置づけ
信託法153条は、信託の併合(受託者を同一とする二以上の信託の信託財産の全部を一の新たな信託の信託財産とすること)がされた場合に、従前の各信託の信託財産責任負担債務が併合後の信託の信託財産責任負担債務となる旨を定める、債務の包括的承継に関する規定である。
手順
- 1.異議期間の満了日を確定する 併合の公告または個別の催告書を受け取ったら、記載された異議期間と満了日をすぐに確認し、カレンダーに登録する。期間が過ぎると併合を承認したものとみなされる
- 2.併合相手の信託の財産状況を確認する 受託者に対し、併合後の信託行為の内容と、併合相手の信託の財産・債務の状況の開示を書面で求める。受益者であれば信託法38条の帳簿等の閲覧等請求も検討する
- 3.回収への影響を評価する 併合後の信託財産の総額と債務総額を比べ、自分の債権の回収見込みがどれだけ下がるかを試算する。限定責任の特約の有無(154条)も確認する
- 4.期間内に書面で異議を述べる 回収に影響がある場合は、期間内に受託者宛てに書面(内容証明郵便が確実)で異議を述べ、弁済、相当の担保の提供、または相当の財産の信託を求める(152条)
よくある質問 AI による整理
Q1信託の併合とは何ですか?
受託者を同一とする二つ以上の信託の信託財産の全部を、一つの新たな信託の信託財産とすることです(信託法2条)。手続は151条以下に定められています。
Q2信託財産責任負担債務とは?
受託者が信託財産に属する財産をもって履行する責任を負う債務のことです。範囲は信託法21条1項に列挙され、併合時は153条で併合後の信託に引き継がれます。
Q3信託の併合 債権者異議の期間はいつまで?
信託法152条により、異議を述べることができる期間は1か月以上とされます。具体的な期限は公告や個別の催告に記載された期間で確認します。
Q4信託の併合に受益者の同意は必要?
原則として委託者・受託者・受益者の合意が必要です(信託法151条1項)。ただし同条2項の場合や信託行為に別段の定めがある場合は、その定めに従います。
Q5信託の併合で異議を述べなかったらどうなる?
期間内に異議を述べなかった債権者は、併合を承認したものとみなされます。その後に弁済や担保の提供を求めることは難しくなります。
Q6家族信託同士は併合できる?
受託者が同一であれば、家族信託同士でも併合できます。ただし一方の信託にローンがあれば、もう一方の財産からも支払われる債務になるため、事前の確認が欠かせません。
Q7信託の併合で不動産の登記は必要?
信託財産に不動産が含まれる場合は、信託目録の記録の変更など登記手続が必要になる場合があります。具体的な手続は司法書士に確認するのが確実です。
Q8信託の併合と信託の分割の違いは?
併合は複数の信託を一つにまとめる手続で、分割(信託法155条以下)は一つの信託の財産の一部を別の信託に移す手続です。どちらにも債権者保護手続があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1併合されたら、前の信託に請求してた分はチャラになるんですか?
なくならない。153条により、従前の信託の信託財産責任負担債務は、そのまま併合後の信託の債務になる。請求先は併合後の信託財産に変わるだけである。実務のポイント:消えないかわりに、ほかの債権者と取り合う相手が増えるのが本当のリスクである。債権が残ることに安心して異議期間をやり過ごすと、回収の確実性を守る機会を逃す
Q2受託者個人にも請求できた債務は、併合後どうなりますか?
本条が扱うのは信託財産から払われる責任の承継である。受託者の固有財産で払う責任は、21条2項の区分に従って別に考える。信託財産だけを引当てにする限定責任の債務は、154条により併合後も限定責任のまま引き継がれる。実務のポイント:契約書に責任財産を限定する特約があるかどうかで、併合後に請求できる範囲がまったく違ってくる。まず手元の契約書を確認すべきである
Q3受益者だけど、併合に反対なら何ができますか?
まず151条の合意に受益者が入っているか、信託行為に別の定めがないかを確認する。併合で損害を受けるおそれがある場合は、103条に基づいて受託者に受益権を公正な価格で取得するよう請求できる余地がある。実務のポイント:受益債権は信託債権より後回しになる(101条)ため、相手の信託の債務が大きい併合ほど受益者が実質的な損失を受けやすい。退出するか残るかを、債務の数字を見てから決めるべきである
間違えやすい点 AI による整理
- 併合は管理を一本化する事務手続にすぎず、自分の債権には影響しないと思われがちである。実際には、153条によって他方の信託の債務も同じ信託財産から払われることになる。あなたの債権の担保価値は、併合相手の財務状態によって上がりも下がりもする
- 債務が引き継がれることは知っていても、受益者への影響の深刻さが見過ごされやすい。受益者の受益債権は、同じ信託財産だけを引当てにする信託債権より後回しになる(101条)。併合で債権者の数と債務額が増えれば、受益者への分配はその分だけ後ろへ下がる
- 受託者の目から見れば併合はコスト削減策だが、法律の目から見れば、二つの責任財産を一つにまとめて債権者の地位を書き換える行為である。だからこそ会社の合併と同じように債権者異議手続が組み込まれている。受託者がこの落差を軽く見て手続を省けば、自分が責任を問われる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 信託法153条:併合後の信託への信託財産責任負担債務の承継 | 信託法152条:併合に対する債権者の異議手続 信託法154条:信託財産限りの責任の債務の扱い |
| 効果の発生 | 併合により当然に承継され、債権者の意思は問わない | 債権者が期間内に異議を述べた場合に保護が発動 併合後も信託財産限りの責任のまま承継 |
| 債権者にとっての意味 | 債権は消えないが、併合相手の債権者と同じ財産を取り合う | 弁済・担保の提供・相当の財産の信託を求める足場 受託者の固有財産へ請求できない範囲が維持される |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾の信託法には信託の併合を直接定める明文がなく、信託財産の独立性(12条・24条)を軸に個別に処理される。日本のような債務承継と債権者異議の一体的な仕組みは置かれていない
韓国は2011年の信託法全面改正で信託の合併制度を導入し、債権者保護手続を設けている。日本の2006年改正と構造が近い
米国統一信託法典は、受益者の権利を害さないことなどを条件に受託者による信託の結合(combination)を認める。債権者保護は州法や一般原則に委ねられる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 賃貸マンションを信託財産とする信託に修繕工事代金を請求している工務店。ある日、受託者から「別の信託と併合する、異議があれば1か月以内に」という催告書が届く。相手の信託が多額の借入れを抱えていれば、回収の当てにしていた家賃収入はその借入れの返済と取り合いになる。この書類を読み飛ばすかどうかで、工事代金の回収見込みは大きく変わる
- あなたが受託者として信託を二つ管理していて、事務コストを下げるために併合を検討しているとしたら? 片方の信託の債務を背負わされる受益者が出てくる。151条の合意、152条の債権者異議手続、103条の受益権取得請求への対応を一つでも抜かせば、任務懈怠として後から責任を問われる種になる
- 家族信託で父の自宅と賃貸アパートを別々の信託にしていたが、管理を一本化するため併合することにした。アパート側のローンは、これから自宅も含んだ一つの信託財産から返す債務になる
- 異議期間の満了まであと5日。あなたは併合される信託の取引先で、相手の信託に巨額の未払金があるという噂を聞いた。今週中に書面で異議を出さなければ、弁済や担保提供を求める足場を失う
取るべき行動
被害を受けた側:1. 催告書または公告の日付から異議期間の満了日を確定させる2. 受託者に併合後の信託行為の内容と、併合相手の信託の財産・債務の状況の開示を書面で求める3. 債権回収に影響がありそうなら、期間内に書面で異議を述べ、弁済、担保の提供、相当の財産の信託のいずれかを求める(152条) 4. 受益者であれば、併合で損害を受けるおそれがあるときは103条の受益権取得請求を検討する
訴えられた側:1. 受託者として併合を進めるなら、151条の合意要件と信託行為の定めを確認する2. 152条の公告と知れている債権者への個別催告を漏れなく行い、記録を残す3. 異議が出たら、債権者を害するおそれがないことを裏付ける資料を用意するか、弁済・担保提供で解消する4. 手続の不備は40条の損失てん補責任などにつながるおそれがあるため、専門家の確認を受ける
時効(請求できる期限):債権者の異議期間は1か月以上とされ(信託法152条、最新の改正状況をご確認ください)、公告と催告に記載された期間内に異議を述べる必要がある。引き継がれた債務自体に本条固有の時効はなく、一般消滅時効(民法166条、債権者が権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年)が適用される
学説
一般的理解:信託の併合は会社の合併にならった制度であり、債務は当然に包括承継される一方、各信託財産の独立性を前提に取引した債権者の保護は、152条の異議手続と154条の限定責任維持により図られると理解されている
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法の全面改正(平成18年法律第108号)により、信託の併合・分割の制度とともに新設。旧信託法(大正11年)には併合の規定はなかった。平成19年(2007年)9月30日施行
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