信託法 第154条
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信託の併合がされた場合において、前条に規定する従前の信託の信託財産責任負担債務のうち信託財産限定責任負担債務(受託者が信託財産に属する財産のみをもって履行する責任を負う信託財産責任負担債務をいう。以下この章において同じ。)であるものは、信託の併合後の信託の信託財産限定責任負担債務となる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第154条は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第154条の条文原文は「信託の併合がされた場合において、前条に規定する従前の信託の信託財産責任負担債務のうち信託財産限定責任負担債務(受託者が信託財産に属する財産のみをもって履行する責…」で始まります。
- 信託法第154条は第二節 信託の併合に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第154条の前の条は信託法第153条です。
- 信託法第154条の次の条は信託法第155条です。
- 信託法第154条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第154条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第154条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/154
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法154条は、信託の併合前に信託財産限定責任負担債務だった債務は、併合後の信託でも同じく信託財産のみで履行する債務になると定める。
Q · 信託が併合されたら、「信託財産からしか返さない」約束の借金は受託者個人にも請求できるようになる?
できない。限定責任は併合後もそのまま引き継がれる
信託法154条により、信託の併合前に信託財産限定責任負担債務だった債務は、併合後の信託でも同じ性質の債務となります。併合で債務そのものは併合後の信託に承継されますが(153条)、その性質も維持されます。債権者が請求できる財産は併合後の信託財産全体に広がる一方、受託者の固有財産には及びません。併合相手側の債権者は、152条の異議手続で保護されます。
解説
「この借金は信託の財産からしか返さない」という約束(責任財産限定特約)は、信託同士を合併させても消えない。信託法154条が定めるのはそこだ。受託者が同じ二つ以上の信託を一つにまとめる「信託の併合」では、前条153条により、従前の信託が負っていた債務がまるごと併合後の信託に引き継がれる。154条はその上乗せとして、「信託財産だけで返せばよい」とされていた債務(信託財産限定責任負担債務)は、併合後も同じ性質のまま残ると定めている。債権者から見ると、取り立てられる財産の範囲は併合後の大きな信託財産全体に広がる。一方で、受託者個人の財布(固有財産)には、併合前と同じく手を出せない。受託者から見ると、併合を口実に個人責任が復活する心配はない。ここで要注意なのは、もう一方の信託の債権者である。限定責任の債権者と同じ財産を分け合うことになるため、取り分が薄まる可能性がある。だからこそ152条の異議手続が用意されている。併合の通知が届いたら、まず自分の債権がどちらの種類かを確かめる。そこを見誤ると、異議を出すべき一か月を見送ってしまう
法的な位置づけ
信託法154条は、信託の併合における信託財産限定責任負担債務の承継を定める規定である。従前の信託の債務のうち、受託者が信託財産に属する財産のみをもって履行責任を負うものは、信託の併合後の信託においても信託財産限定責任負担債務として扱われ、受託者の固有財産は引き続き責任財産とならない。
よくある質問 AI による整理
Q1信託の併合とは何ですか?
受託者を同一とする二つ以上の信託の信託財産の全部を、一つの新たな信託の信託財産とすることです。信託法2条に定義があり、従前の債務は併合後の信託に承継されます。
Q2信託の併合で借金はどうなる?
従前の信託の債務は併合後の信託にまるごと承継されます(153条)。そのうち信託財産からしか返さない債務は、併合後も同じ限定責任の性質を保ちます(154条)。
Q3ノンリコースローンは信託の併合で条件が変わる?
責任財産限定特約付きの債務であれば、併合後も信託財産のみが責任財産です。受託者の固有財産に請求できない条件は154条により維持されます。
Q4信託の併合 債権者の異議はいつまで?
受託者が公告・催告で定める異議申述期間内です。期間は1か月を下ることができず(152条2項)、期間内に異議を述べないと併合を承認したものとみなされます。
Q5信託の併合に債権者の同意は必要?
同意は要件ではありません。併合は委託者・受託者・受益者の合意等で行い(151条)、債権者は152条の異議手続で弁済や担保提供を求める形で保護されます。
Q6家族信託を二本から一本にまとめられる?
受託者が同じなら「信託の併合」として一本化できます。信託内の借入れに限定特約があれば、その性質は併合後も維持されるため、事前に契約内容を確認します。
Q7信託の併合後、債務者は誰になる?
併合は受託者を同一とする信託同士で行うため、債務者は引き続き同じ受託者です。変わるのは責任財産となる信託財産の範囲で、併合後の信託財産全体になります。
Q8信託の併合の公告はどこで見られる?
受託者は異議手続として、官報への公告と、知れている債権者への個別の催告を行う必要があります(152条)。見落とし防止には個別催告書面の確認が確実です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1信託が合併したら、受託者の個人財産にも請求できるようになるんですか?
できない。もともと信託財産からしか返済を受けられない債務だったのなら、154条により、併合後の信託でも同じく信託財産限定責任負担債務として扱われる。変わるのは対象となる信託財産の範囲だけで、こちらは併合後の大きな信託財産に広がる。実務のポイント:ノンリコースの貸し手は、併合によって担保として見られる資産が増えることを理由に、金利条件の見直し交渉を持ちかけることがある
Q2うちは限定特約なしで貸してるけど、併合で損することってありますか?
ありうる。併合後は、受託者の固有財産に請求できない限定債権者と、同じ信託財産を分け合うことになる。信託財産が足りないと、回収できる額が目減りするおそれがある。そのため152条の異議手続で、弁済や担保の提供を求めることが認められている。実務のポイント:異議申述期間を逃した債権者が後から争おうとしても、併合を承認したものとみなされ、ほとんど手が残らない
間違えやすい点 AI による整理
- 「信託を合併すれば債務も一本化され、条件もリセットされる」と考えがちだが、そうではない。限定責任という性質は個々の債務にくっついたまま、併合後の信託へ移る。受託者にとって個人責任が復活しない保証であり、債権者にとって固有財産に請求できない制約が続くことを意味する
- 限定責任の債権者は「併合で取れる財産が増えて得をする」とだけ見られがちだ。だが本当に揺さぶられるのは、限定特約のない側の債権者である。同じ信託財産を、固有財産へ逃げ道のない債権者と分け合うことになり、信託財産の上では競争が激しくなる。異議手続(152条)が存在するのは、この立場の人を守るためだ
- 「自分の債権は限定責任か」を問う前に、確認すべき前提がある。信託財産限定責任負担債務になるのは、限定責任信託(216条以下)の債務、または21条2項各号のように法律や合意で範囲が限定された債務に限られる。契約書に特約がなければ、原則どおり受託者の固有財産にも請求できる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律対象 | 154条:併合時の信託財産限定責任負担債務の性質の承継 | 153条:併合時の信託財産責任負担債務全般の承継 217条:限定責任信託における固有財産への執行制限 |
| 受託者の固有財産への請求 | 併合後も不可(限定責任の性質が維持される) | 非限定の債務は併合後も固有財産に請求可能 限定責任信託の債務は原則として固有財産に執行不可 |
| 責任財産の範囲 | 併合後の信託財産全体(固有財産は除く) | 併合後の信託財産(+非限定なら固有財産) 当該限定責任信託の信託財産 |
| 債権者保護の手段 | 152条の異議手続(主に併合相手側の非限定債権者) | 152条の異議手続 限定責任信託の登記・名称表示による公示 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾信託法は受託人の受益者に対する責任を信託財産の限度に限定する規定を持つが、信託の併合そのものに関する明文規定はない。日本法のような併合時の性質承継ルールは置かれていない
韓国は2011年の信託法全部改正で信託の合併と有限責任信託を導入した。日本の2006年改正と同様に組織法的規律を備える
フランスのフィデュシー契約では、責任を patrimoine fiduciaire のみに限定する条項を置けるが、明示的に承諾した債権者にのみ対抗できるとされる
統一信託法典は受託者による信託の結合・分割を認め、受託者の個人責任の限定についても別途規定を置く。州ごとに採用状況が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 不動産信託のレンダー担当として、ノンリコース条件で融資した信託が、同じ信託銀行の別の信託と併合されると通知を受けた。担保として見られる資産は増えるが、受託者の固有財産には今後も請求できない。あなたの融資条件は併合後もそのまま続く
- 受託者側の担当者として併合スキームを設計している。限定責任特約付きの債務を抱えた信託を、特約のない債務を抱えた信託と一つにまとめたら、受託者個人の責任はどこまで広がるのか?154条に従えば、限定責任の部分はそのまま守られる。広がらない
- 併合の公告を見たのは異議申述期間が終わる5日前だった。あなたの債権には限定特約が付いておらず、併合後は限定責任の債権者と同じ信託財産を分け合うことになる。今週中に異議を述べなければ、併合を承認したものとみなされる
- 家族信託を二本組んでいた依頼人が、管理を楽にするため一本にまとめたいと言い出した。片方には「信託財産の範囲内で返済する」という約定付きの借入れがある。その約定が併合後も生きるのかを、司法書士として説明する場面である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 契約書を見て、自分の債権が信託財産限定責任負担債務にあたるか確認する(21条2項各号の要件、限定責任信託の登記の有無) 2. 限定特約がない場合は、併合によって信託財産を限定債権者と分け合う影響を試算する3. 不利益があれば、152条の期間内に異議を述べ、弁済や担保の提供を求める4. 受託者に、併合後の信託の財産状況と債務一覧の開示を求める
訴えられた側:1. 受託者側は、併合前に全債務を限定・非限定に仕分け、根拠となる契約条項を一覧にしておく2. 152条の公告と個別催告を漏れなく行い、異議が出た債権者には弁済・担保提供・信託財産の十分性の証明のいずれかで対応する3. 併合後に限定債権者から固有財産へ請求されたら、本条と限定特約を根拠に拒む4. 限定責任信託の場合は、登記と名称表示の要件が保たれているか確認する
時効(請求できる期限):本条そのものに時効の定めはない。ただし併合時には、債権者の異議申述期間(152条2項、1か月を下回ることはできない)を過ぎると、併合を承認したものとみなされる。債権そのものには一般の消滅時効(民法166条、知った時から5年または権利を行使できる時から10年)が適用される(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条は153条による債務承継を前提に、債務の責任財産の範囲という性質も併合後に維持することを確認する規定。受託者の予測可能性を守り、併合相手側債権者の不利益は152条の異議手続で調整するという二本立ての構造と理解される
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法制定 旧信託法(大正11年)の全面改正により、信託の併合・分割の制度とともに新設された。平成19年(2007年)9月30日施行
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:旧信託法(大正11年)の全面改正により、信託の併合・分割の制度とともに新設。平成19年(2007年)9月30日施行
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