信託法 第155条(関係当事者の合意等)
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- 吸収信託分割は、委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができる。この場合においては、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
- 一吸収信託分割後の信託行為の内容
- 二信託行為において定める受益権の内容に変更があるときは、その内容及び変更の理由
- 三吸収信託分割に際して受益者に対し金銭その他の財産を交付するときは、当該財産の内容及びその価額
- 四吸収信託分割がその効力を生ずる日
- 五移転する財産の内容
- 六吸収信託分割によりその信託財産の一部を他の信託に移転する信託(以下この款において「分割信託」という。)の信託財産責任負担債務でなくなり、分割信託からその信託財産の一部の移転を受ける信託(以下「承継信託」という。)の信託財産責任負担債務となる債務があるときは、当該債務に係る事項
- 七その他法務省令で定める事項
- 2.前項の規定にかかわらず、吸収信託分割は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定めるものによってすることができる。この場合において、受託者は、第一号に掲げるときは委託者に対し、第二号に掲げるときは委託者及び受益者に対し、遅滞なく、同項各号に掲げる事項を通知しなければならない。
- 一信託の目的に反しないことが明らかであるとき受託者及び受益者の合意
- 二信託の目的に反しないこと及び受益者の利益に適合することが明らかであるとき受託者の書面又は電磁的記録によってする意思表示
- 3.前二項の規定にかかわらず、各信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
- 4.委託者が現に存しない場合においては、第一項の規定は適用せず、第二項中「第一号に掲げるときは委託者に対し、第二号に掲げるときは委託者及び受益者に対し」とあるのは、「第二号に掲げるときは、受益者に対し」とする。
この条文の基本情報
関係当事者の合意等とは何ですか?
定義関係当事者の合意等とは、信託法第155条に定められた規定で、「吸収信託分割は、委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第155条(関係当事者の合意等)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第155条の条文原文は「吸収信託分割は、委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができる。」で始まります。
- 信託法第155条は第一款 吸収信託分割に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第155条の前の条は信託法第154条です。
- 信託法第155条の次の条は信託法第156条です。
- 信託法第155条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第155条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第155条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/155
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法155条は、吸収信託分割を委託者・受託者・受益者の合意で行うと定める。目的に反しないことが明らかなら受託者と受益者の合意、受益者の利益にも適合するなら受託者単独で可能。
Q · 家族信託の財産の一部を、別の信託に移すことはできるの?
原則は三者合意、条件次第で受託者単独も可能
受託者が同じ信託どうしであれば、信託法155条の吸収信託分割によって財産の一部を移すことができます。原則は委託者・受託者・受益者の三者合意です。信託の目的に反しないことが明らかなら受託者と受益者の合意で、さらに受益者の利益に適合することも明らかなら受託者の書面または電磁的記録による単独の意思表示で行えます。いずれの場合も、合意に加わらなかった者には遅滞なく通知しなければなりません。また、信託行為に別段の定めがあればそれが優先します(同条3項)。
解説
家族信託で、実家とアパートをまとめて長男に託したとする。数年後、アパートだけを次女のための別の信託へ移したくなった。そのための手段が吸収信託分割である。同じ受託者が管理する二つの信託の間で、財産の一部を移す仕組みだ。原則は委託者・受託者・受益者の三者合意で決める。ただし2項に例外がある。信託の目的に反しないことが明らかであれば、受託者と受益者だけで決められる。さらに受益者の利益にも適合することが明らかであれば、受託者が書面一枚で単独で決められる。どちらの場合も、委託者には事後に通知が届くだけである。つまり委託者の立場では、知らないうちに財産を分けられていたということが法律上起こりうる。受託者の立場では、「明らか」と言える根拠を示せなければ、後でその分割を争われる。また3項により、信託契約に別のルールを書いておけば、これらはすべて上書きできる。勝負が決まるのは分割の時点ではなく、契約書を作る時点である。
法的な位置づけ
吸収信託分割とは、ある信託の信託財産の一部を、受託者を同一とする他の信託の信託財産として移転することをいう(信託法2条11項)。信託法155条はその決定方法を定める規定であり、三者合意を原則としつつ、目的適合性等が明らかな場合の簡易な決定方法と、信託行為による別段の定めを認めている。
手順
- 1.信託契約の別段の定めを確認する 分割を検討する前に、分割元と分割先の両方の信託行為を読み、分割・変更の決め方について別段の定め(155条3項)がないかを確認する。定めがあればそれが1項・2項に優先する
- 2.使うルートを決め、「明らか」の根拠を残す 三者合意(1項)、受託者と受益者の合意(2項1号)、受託者単独の意思表示(2項2号)のどれを使うかを決める。2項を使う場合は、目的に反しないことや受益者の利益への適合を裏付ける評価書・収支試算・目的条項との照合メモを作成し保管する
- 3.1項各号の事項を書面にまとめる 分割後の信託行為の内容、受益権の変更とその理由、交付財産と価額、効力発生日、移転する財産、移る債務、法務省令事項を一つの書面に整理し、合意書または単独の意思表示の書面(電磁的記録可)を作成する
- 4.債権者異議の手続を日程に組み込む 承継信託に移る債務などがある場合は、156条に基づき公告と知れている債権者への個別催告を行い、1か月以上の異議期間を確保する。融資を受けている金融機関には事前に相談しておく
- 5.通知と登記を完了させる 合意に加わらなかった委託者・受益者へ、1項各号の事項を遅滞なく通知する。信託財産に不動産が含まれる場合は、信託登記の変更手続まで段取りする
よくある質問 AI による整理
Q1吸収信託分割とは何ですか?
ある信託の財産の一部を、受託者が同じ別の信託へ移す手続です。定義は信託法2条11項にあり、決め方は155条が定めています。
Q2吸収信託分割で明らかにすべき事項は?
分割後の信託行為の内容、受益権の変更内容と理由、受益者への交付財産と価額、効力発生日、移転する財産、移る債務などです(155条1項各号)。
Q3吸収信託分割の通知は誰に送る?
受託者と受益者の合意なら委託者へ、受託者単独の意思表示なら委託者と受益者へ、遅滞なく1項各号の事項を通知します(155条2項)。
Q4委託者が亡くなっていても吸収信託分割はできる?
できます。委託者が現に存しない場合は1項の三者合意は適用されず、2項のルートで行い、単独の意思表示の場合は受益者にだけ通知します(155条4項)。
Q5信託分割で債権者の異議はいつまで?
承継信託に移る債務などがある場合、債権者には異議を述べる機会が与えられ、その期間は1か月以上とされています(156条)。日程は逆算が必要です。
Q6受託者が違う信託へ財産を移せる?
吸収信託分割は使えません。この制度は受託者を同一とする信託間の移転に限られるため、受託者が異なる場合は別の手段を検討する必要があります。
Q7信託契約で分割のルールを変えられる?
変えられます。155条3項により、信託行為に別段の定めがあれば1項・2項に優先します。決め方を起案段階で固定しておくのが実務上の要点です。
Q8吸収信託分割に法務省令事項はある?
あります。155条1項7号が「その他法務省令で定める事項」を挙げており、信託法施行規則で具体化されています。最新の規定はe-Govで確認してください。
この条文についての質問 AI による整理
Q1親が認知症になったら、家族信託の中身はもう一切変えられないんですか?
一切変えられないわけではない。1項の三者合意は難しくなるが、155条2項のルートは委託者の合意を要件にしておらず、事後の通知で足りる。ただし、目的に反しないことが「明らか」である必要がある。実務のポイント:実務では、信託契約に「受託者と受益者の合意で分割・変更できる」という別段の定め(3項)を入れておき、認知症になった後の柔軟性を契約で確保する設計が増えている。
Q2受託者が一人で分割を決めてしまうなんて、危なくないですか?
単独で決められるのは、目的に反しないことと受益者の利益に適合することの両方が「明らか」な場合に限られる(155条2項2号)。しかも受託者は委託者と受益者に遅滞なく通知しなければならない。実務のポイント:「明らか」かどうかの立証の負担は、実務上は分割した側に重くのしかかる。根拠の記録を残していない受託者は、忠実義務違反(30条)として追及される隙を自分で作っている。
Q3分割に同意してくれと言われました。とりあえずサインしても大丈夫ですか?
署名の前に、移る財産の内容と価額、受益権がどう変わるかを書面で確認したほうがよい(155条1項各号)。実務のポイント:賛成の意思表示をすると、損害を受けるおそれのある受益者が使える受益権取得請求(103条2項)を、原則として行使できなくなる(同条3項)。「家族だから」で署名した一枚が、後で退出する手段を消してしまう。
間違えやすい点 AI による整理
- 「信託を作った自分(委託者)の同意がなければ、信託財産は動かせない」と考えがちだが、それは1項の原則にすぎない。2項の要件を満たせば委託者の合意なしに分割でき、委託者には事後の通知が届くだけである。
- 受益者に拒否権があることは知っていても、その拒否権を手放す瞬間がいつなのかは知られていない。分割に賛成する意思表示をすると、損害を受けるおそれがある受益者に認められる受益権取得請求(103条2項)を、原則として使えなくなる(103条3項)。同意書への署名は、出口を一つ閉じる行為でもある。
- 「信託を分割すれば財産を自由に組み替えられる」という発想そのものが出発点を誤っている。吸収信託分割は、受託者が同じ他の信託へ移す場合に限られる(2条の定義)。受託者が違う信託へ移したいなら、この条文の守備範囲の外である。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる行為 | 信託法155条:信託財産の一部を受託者同一の既存の他の信託へ移す(吸収信託分割) | 信託法149条:信託行為の内容そのものを変更する(信託の変更) 信託法159条:信託財産の一部を新たに設定する信託へ移す(新規信託分割) |
| 原則の決定方法 | 委託者・受託者・受益者の三者合意 | 委託者・受託者・受益者の三者合意 委託者・受託者・受益者の三者合意 |
| 簡易な決定方法 | 目的に反しないことが明らかなら受託者と受益者の合意、受益者の利益適合も明らかなら受託者単独 | 変更内容に応じて受託者と受益者の合意、受託者単独などの簡易ルートあり 吸収信託分割と同様の段階的な簡易ルートあり |
| 債権者保護 | 移る債務がある場合は債権者異議手続(156条) | 財産の移転を伴わないため分割型の債権者異議手続はない 新規信託分割用の債権者異議手続が別途設けられている |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾の信託法には信託分割の明文規定がない。管理方法の変更に委託者・受託者・受益者の同意を求める15条が、三者合意を原則とする点で最も近い
韓国は2011年の信託法全部改正で信託の分割制度を導入した。分割の手続と債権者保護を定める点で日本と同様の構造をとる
米国統一信託法典は、受益者の権利を害さず信託の目的達成に悪影響を与えない限り、受託者が受益者への通知のうえで信託を分割できるとする。受託者の単独権限を認める点で155条2項2号と発想が近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父が認知症になった後に、受託者である長男がアパートを別の信託へ移したいと考えた。父は合意できる状態にないため、1項の三者合意は使えない。2項のルートなら委託者の合意は要らないが、目的に反しないことが「明らか」かどうかが争点になる。
- 受託者を務めるあなたは、受益者の利益になると考えて書面による単独の意思表示で分割を実行した。翌月、受益者の一人である弟から「自分の取り分が減った」と内容証明が届く。あなたが用意できる「明らか」の根拠は、評価書か、議事メモか、何もないのか。
- もし信託財産のアパートにローンが付いたまま分割したら、銀行はどう動くのか? 承継信託へ移る債務があれば、債権者には異議を述べる機会が与えられる(156条)。銀行への根回しを省くと、分割の日程そのものが崩れる。
- 分割の効力発生日まであと30日。債権者異議の手続には1か月以上の期間が必要なので、公告と個別の催告を今日出さなければ予定日に間に合わない。
- 兄が受託者の家族信託で、受益者である妹のもとに「分割に同意します」という書面が送られてきた。署名する前に、移る財産の内容とその価額、そして受益権がどう変わるのかを確認したほうがよい。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 分割の通知が届いたら、155条1項各号の事項(移る財産、受益権の変更、効力発生日、移る債務)が明らかにされているかを確認する2. 単独の意思表示による分割(2項2号)なら、目的に反しないことと受益者の利益への適合が「明らか」だと言える根拠の開示を求める3. 損害を受けるおそれがあれば、受益権取得請求(103条2項)を期限内に検討する4. 受託者の義務違反が疑われるなら、損失てん補の請求(40条)も視野に入れる
訴えられた側:1. 分割の前に、信託契約に別段の定め(3項)がないか確認する2. どのルートを使うかを決め、2項を使うなら「明らか」を裏付ける資料(不動産評価書、収支試算、目的条項との照合メモ)を残す3. 1項各号の事項を書面にまとめ、遅滞なく通知する4. 移る債務があれば、債権者異議の手続(156条)を日程に組み込む5. 不動産なら信託登記の変更まで段取りする
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はなく、受託者の責任追及などには一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。2項の通知は「遅滞なく」行う。債権者異議の期間は1か月以上を確保する必要がある(156条)。受益権取得請求には通知または公告から20日以内という期間制限がある(103条、最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 旧信託法には信託の分割の制度がなく、全部改正により吸収信託分割と新規信託分割の制度が設けられた。平成19年(2007年)9月30日施行。その後の文言改正の有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法全部改正により、旧信託法になかった吸収信託分割の制度が新設された。平成19年(2007年)9月30日施行。その後の文言改正の有無は要確認
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