信託法 第167条(官庁等の法務大臣に対する通知義務)
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裁判所その他の官庁、検察官又は吏員は、その職務上前条第一項の申立て又は同項第二号の警告をすべき事由があることを知ったときは、法務大臣にその旨を通知しなければならない。
この条文の基本情報
官庁等の法務大臣に対する通知義務とは何ですか?
定義官庁等の法務大臣に対する通知義務とは、信託法第167条に定められた規定で、「裁判所その他の官庁、検察官又は吏員は、その職務上前条第一項の申立て又は同項第二号の警告をすべき事由があることを知ったときは、法務大臣にその旨を通知しなければなら…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第167条(官庁等の法務大臣に対する通知義務)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第167条の条文原文は「裁判所その他の官庁、検察官又は吏員は、その職務上前条第一項の申立て又は同項第二号の警告をすべき事由があることを知ったときは、法務大臣にその旨を通知しなければなら…」で始まります。
- 信託法第167条は第一節 信託の終了に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第167条の前の条は信託法第166条です。
- 信託法第167条の次の条は信託法第168条です。
- 信託法第167条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第167条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第167条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/167
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法167条は、裁判所・官庁・検察官・吏員が職務上、信託の終了命令申立てや法務大臣の警告をすべき事由を知ったとき、法務大臣への通知を義務づける規定である。
Q · 税務署や裁判所が信託の問題に気付いたら、法務省に知らされるの?
終了命令の事由がある場合に限り、通知義務がある
信託法167条により、裁判所、官庁、検察官、地方公共団体の職員(吏員)は、職務上、166条1項の終了命令の申立てや同項2号の警告をすべき事由を知ったとき、法務大臣に通知しなければなりません。対象は不法な目的の信託や、警告後も権限濫用・犯罪行為を続ける受託者がいる信託などです。通常の相続対策の家族信託は対象になりません。なお、受益者や債権者は通知を待たずに自ら166条の申立てができます。
解説
信託という仕組みには、国が強制的に幕を引く装置が組み込まれている。信託法166条の終了命令である。不法な目的で組まれた信託や、法務大臣から書面で警告されても権限の濫用や犯罪行為をくり返す受託者(財産を預かって管理する人)がいる信託は、裁判所が終わらせることができる。ただ、その事情を最初に目にするのは、たいてい法務大臣ではない。別の事件を審理している裁判官、税務調査をした税務署のような役所、捜査中の検察官、市役所の職員(条文でいう「吏員」)である。本条は、こうした公務員が職務の中でその事情を知ったときは、法務大臣に通知しなければならないと定めている。あなたが関わる家族信託や投資の仕組みの中身は、思いもよらない窓口から法務省へ伝わることがありうる。逆に、被害を受けた側の受益者や債権者は、国の動きを待たずに自分で166条の申立てができる。この点を見落としてはならない。
法的な位置づけ
信託法167条は、公益確保のための信託終了命令制度(同法166条)の端緒を確保する規定であり、裁判所、官庁、検察官及び地方公共団体の職員(吏員)に対し、職務上知った終了命令申立ての事由又は法務大臣による書面警告の事由を、法務大臣に通知する義務を課す。私人による通報の手続を定めるものではない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.信託財産の流れを記録に残す 受益者として受託者に帳簿等の閲覧を請求し(信託法38条)、信託財産の入出金や不動産収入の使途を時系列で記録する
- 2.私的救済を先に検討する 損害が受益者個人に向いたものであれば、損失てん補請求(40条)や受託者の解任請求(58条)を優先する。債権者なら詐害信託の取消し(11条)を検討する
- 3.犯罪行為の疑いがあれば告訴・告発 受託者の行為が横領や詐欺など刑罰法令に触れる疑いがある場合、警察・検察へ告訴・告発する。検察官が事件を把握すれば、本条による法務大臣への通知の契機となりうる
- 4.利害関係人として終了命令を申し立てる 不法な目的や警告後の継続的な濫用があり、公益確保のため信託の存立を許せない事情があれば、裁判所に166条1項の終了命令を申し立てる。あわせて保全処分(169条)の要否を検討する
よくある質問 AI による整理
Q1信託法167条とは何ですか?
裁判所や官庁、検察官、地方公共団体の職員が、職務上、信託の終了命令や警告の事由を知ったときに法務大臣へ通知する義務を定めた条文です。
Q2信託の終了命令とは何ですか?
不法な目的の信託や、警告後も受託者が権限濫用・犯罪行為を続ける信託について、公益確保のため裁判所が信託の終了を命じる制度です(信託法166条)。
Q3吏員とは誰のことですか?
地方公共団体の職員を指す法令用語です。市役所や県庁の職員が職務上、信託の問題を知った場合も、本条の通知義務を負います。
Q4信託の終了命令は誰が申し立てできる?
法務大臣のほか、委託者、受益者、信託債権者その他の利害関係人が申し立てられます(信託法166条1項)。国の通知を待つ必要はありません。
Q5法務大臣の警告を受けたらどうなる?
警告後もなお継続的または反覆して同じ行為をすると、終了命令の要件が揃います(166条1項2号)。直ちに行為を止め、是正の記録を残すことが重要です。
Q6通知義務に違反した公務員に罰則はある?
信託法167条自体に罰則の定めはありません。職務上の義務として位置づけられ、違反の扱いは各公務員の服務規律の問題になります。
Q7信託法167条の通知はいつまでにする?
条文に期限の定めはありません。事由を知ったときに通知する義務であり、申立てや警告の期間制限も166条には置かれていません。
Q8家族信託は終了命令の対象になる?
通常の相続対策や財産管理の家族信託は対象外です。不法な目的で組まれた場合や、受託者が警告後も濫用・犯罪行為を続けた場合に限られます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1家族信託をやってるんですが、税務署に契約書を出したら法務省に通報されたりするんですか?
普通の相続対策の信託なら、通知の対象にはならない。本条が通知を義務づけるのは、不法な目的の信託や、受託者による権限の濫用・犯罪行為の継続など、166条の終了命令や警告の理由がある場合に限られる。実務のポイント:実際に問題になりやすいのは節税ではない。債権者から財産を逃がす目的が契約書や経緯から読み取れるケースである。その場合は、まず債権者から詐害信託(11条)として攻められる
Q2受託者の使い込みを法務大臣に知らせれば、国が動いてくれますか?
本条の通知義務は公務員に課されたもので、私人が通報する手続を定めたものではない。また、終了命令は公益を守るための制度で、私的な使い込みだけで対象になるとは限らない。受益者は166条の申立てを自分でできるし、40条の損失てん補や58条の解任請求のほうが先に効く。実務のポイント:刑事告訴をして検察官が事件を把握すれば、その検察官が本条の通知義務を負うことになる
間違えやすい点 AI による整理
- 受託者に財産を使い込まれ、「国に信託をつぶしてもらおう」と考えるなら、問いの立て方がずれている。166条の終了命令は「公益を確保するため」の制度であり、個人の損害を取り戻すための道具ではない。受益者の救済は、損失てん補責任(40条)や受託者の解任(58条)が本筋であり、債権者なら詐害信託の取消し(11条)が中心になる
- 公務員の通知義務と聞くと、形だけの規定に見えるかもしれない。だが、通知義務を負うのは裁判所、あらゆる官庁、検察官、地方公共団体の職員と範囲が広い。税務調査や別件訴訟で出した信託契約書が、法務大臣の警告や終了命令申立てのきっかけになりうる。この広さを知る人は少ない
- 受託者から見れば、法務大臣の書面警告は役所からの注意書きにすぎないかもしれない。しかし法律上、その警告は終了命令の要件の一部である。警告を受けたあとも同じ行為を続けた時点で、166条1項2号の要件がほぼ揃う。軽く扱った一通が、信託の命運を決める
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 信託法167条:公的機関から法務大臣への通知(情報の経路) | 信託法166条:公益確保のための終了命令と書面警告(本体) 信託法168条:終了命令事件への法務大臣の関与 |
| 義務・権限の主体 | 裁判所その他の官庁、検察官、吏員 | 裁判所(命令)、法務大臣・委託者・受益者・信託債権者等(申立て) 法務大臣・裁判所 |
| 発動のきっかけ | 職務上、終了命令申立てや警告の事由を知ったこと | 不法目的の信託、警告後も続く受託者の濫用・犯罪行為 終了命令の申立てに係る事件の係属 |
| 私人との関係 | 私人の通報手続ではない | 受益者・債権者など利害関係人も自ら申立て可能 当事者の申立てとは別に公益の観点を手続に反映 |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾は違法目的の信託を無効とし、営業信託・公益信託以外の信託を法院の監督下に置く。日本のような公的機関から法務大臣への通知経路は定められていない
違法目的の信託等を無効事由として列挙する。終了命令と通知義務を組み合わせる日本型の構造とは異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 家族信託で受託者になった叔父が、信託財産のアパートの家賃を自分の借金返済に回していたら、どうなる? 受益者のあなたは、損失のてん補(40条)や受託者の解任(58条)をまず請求できる。ただ、使い込みが組織的な詐欺の一部で、捜査に入った検察官がそれを知った場合、話は信託そのものの存続にまで広がりうる
- あなたは信託会社の担当者で、今朝、法務大臣名の書面警告が届いた。同じ行為を今週も続ければ、166条1項2号にいう「継続的に又は反覆して」に当たり、終了命令申立ての対象になる。今日中に該当取引を止め、是正した経緯を記録に残す必要がある
- 別件の民事訴訟で、裁判官が証拠の中に、反社会的勢力の資金を隠すための信託契約を見つけた。判決とは別に、この情報は法務大臣へ伝わりうる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 受益者として帳簿の閲覧を請求し(38条)、信託財産の流れを記録に残す2. 損害が自分に向いたものなら、損失てん補(40条)や受託者の解任(58条)を優先する3. 不法な目的や受託者の犯罪行為が疑われるなら、警察や検察への告訴・告発を検討する。公的機関が事件を把握すれば、本条による法務大臣への通知が期待できる4. 利害関係人として166条の終了命令を申し立てるかどうかは、弁護士と相談して決める
訴えられた側:1. 法務大臣の書面警告を受けたら、その日のうちに問題とされた行為を止める2. 信託行為の条項と自分の行為を照らし合わせ、権限の範囲内であることを示す資料を用意する3. 終了命令の申立てがあれば、裁判所は原則として受託者の陳述を聴く(166条2項)。陳述の準備を早めに始める4. 管理命令などの保全処分(169条)に備え、信託財産の管理記録を整理しておく
時効(請求できる期限):特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。本条の通知義務にも、166条の終了命令申立てにも、期間制限の定めはない。一方、受託者に対する損失てん補の請求は一般の時効にかかる。詐害信託の取消し(信託法11条)は、民法426条の期間制限(取消しの原因を知った時から2年、行為の時から10年)を受ける(最新の改正状況をご確認ください)
学説
一般的理解:本条は終了命令制度の実効性を確保するための端緒規定であり、国が信託を常時監視する仕組みを設けず、公的機関が職務上偶然知った情報を法務大臣に集約する点に特徴がある。
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 大正11年制定の旧信託法に代わる新信託法(平成18年法律第108号)で、現行の条番号として規定された。旧法の対応条文の有無と、その後の文言修正については人による確認が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法全部改正(平成18年法律第108号)により現行条番号で規定。旧信託法との対応関係は要確認。
- 信託法 第166条公益確保のための信託終了命令と警告
- 信託法 第168条終了命令手続への法務大臣の関与
- 信託法 第169条終了命令申立て後の管理命令等保全処分
- 信託法 第163条終了命令を信託の終了事由とする規定
- 信託法 第11条債権者による詐害信託の取消し
- 会社法 第826条会社解散命令における同型の通知義務
- 刑事訴訟法 第239条公務員の告発義務、並走する通報義務
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