信託法 第17条(信託財産に属する財産の付合等)
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信託財産に属する財産と固有財産若しくは他の信託の信託財産に属する財産との付合若しくは混和又はこれらの財産を材料とする加工があった場合には、各信託の信託財産及び固有財産に属する財産は各別の所有者に属するものとみなして、民法第二百四十二条から第二百四十八条までの規定を適用する。
この条文の基本情報
信託財産に属する財産の付合等とは何ですか?
定義信託財産に属する財産の付合等とは、信託法第17条に定められた規定で、「信託財産に属する財産と固有財産若しくは他の信託の信託財産に属する財産との付合若しくは混和又はこれらの財産を材料とする加工があった場合には、各信託の信託財産及び固…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第17条(信託財産に属する財産の付合等)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第17条の条文原文は「信託財産に属する財産と固有財産若しくは他の信託の信託財産に属する財産との付合若しくは混和又はこれらの財産を材料とする加工があった場合には、各信託の信託財産及び固…」で始まります。
- 信託法第17条は第二章 信託財産等に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第17条の前の条は信託法第16条です。
- 信託法第17条の次の条は信託法第18条です。
- 信託法第17条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第17条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第17条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/17
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法17条は、信託財産と受託者の固有財産等が付合・混和・加工した場合、別々の所有者のものとみなして民法242条〜248条を適用する規定。損をした側は償金を請求できる。
Q · 受託者が自腹でリフォームした部分は、受託者のものになるの?
ならない。付合した部分は信託財産になり、受託者には償金請求権が残る
信託法17条により、信託財産と受託者の固有財産は別々の所有者に属するものとみなされ、民法242条(不動産の付合)が適用されます。受託者が自分の資金で信託建物に取り付けた床材や手すりは建物に付合し、信託財産に属します。受託者に残るのは物ではなく、民法248条の償金請求権、または信託法48条の費用償還請求権です。支払いの証拠が乏しいと回収が難しくなるため、工事費は信託口から支払うのが安全です。
解説
家族信託で親の実家を預かった長男が、自分のお金300万円で床を張り替え、壁に手すりを固定した。工事が終わった時点で、その床材と手すりは長男のものではなくなる。建物に付合した(くっついて建物の一部になった)瞬間に、信託財産の一部になるからだ。信託法17条は、受託者の手元で「信託の財産」と「受託者自身の財産(固有財産)」、または別の信託の財産が、くっつく(付合)、混ざる(混和)、材料として加工される、のいずれかになった場合のルールである。各財産を「別々の所有者に属するもの」とみなして、民法242条から248条をそのまま当てはめる。民法の付合ルールは所有者が別人であることを前提にしている。受託者は一人の人間なので、本来はそのまま使えない。そこで法律上、受託者を財産の帳簿ごとに別人のように扱う。これで物の帰属が決まり、損をした側は民法248条によって償金(埋め合わせのお金)を請求できる。帰属が決まれば、受託者の債権者がどこまで差し押さえられるかも決まる。自腹で直す前にこの仕組みを知っていれば、支払う口座も残す書類も変わってくる。
法的な位置づけ
信託法第17条は、受託者の管理下で信託財産と固有財産、または異なる信託の信託財産との間に付合・混和・加工が生じた場合について、各財産を別個の所有者に属するものと擬制し、民法第242条から第248条までの添付規定を適用する旨を定める規定である。所有者が同一であるために民法規定が働かない事態を回避し、帰属と償金関係を確定させる機能を持つ。
よくある質問 AI による整理
Q1信託法17条とは?
信託財産と受託者の固有財産、または別の信託の財産が付合・混和・加工した場合に、各財産を別々の所有者のものとみなして民法242条〜248条を適用する規定です。
Q2家族信託の実家リフォーム費用は誰が払うべき?
信託財産の管理に必要な費用なら、信託口(信託専用口座)から支払うのが原則的な流れです。受託者が立て替えた場合は、信託法48条の費用償還で回収します。
Q3受託者が交代したら、付合した部分はどうなる?
付合した部分は信託財産に属したままです。新しい受託者が信託財産の管理を引き継ぐため、前の受託者の個人財産に戻ることはありません。
Q4動産同士がくっついたらどちらのもの?
主従を区別できれば主たる動産の所有者に帰属します(民法243条)。区別できなければ、付合時の価格の割合で共有になります(民法244条)。
Q5材料を加工してできた物は誰のもの?
原則は材料の所有者のものです。ただし工作で生じた価値が材料の価格を著しく上回る場合は加工者に帰属します(民法246条)。信託ではこれを財産の帳簿ごとに判断します。
Q6償金請求の時効はいつまで?
償金請求は不当利得返還の例によるため、一般の消滅時効が適用されます。権利を行使できると知った時から5年、行使できる時から10年です(民法166条)。
Q7信託財産と固有財産が混ざるのは違法?
受託者には分別管理義務(信託法34条)があります。混ざったこと自体が義務違反となり得て、信託財産に損失が出れば損失てん補責任(40条)を負います。
Q8付合した後に元の資材を取り外せる?
建物の一部になった時点で、資材の所有権は信託財産側に吸収されます(民法242条)。受託者が勝手に取り外すと、信託財産を損なう行為になり得ます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1親の家を信託で預かってて、自分のお金でリフォームしたんだけど、取り戻せる?
リフォーム部分は建物に付合して信託財産になるため、物としては取り戻せない。ただし17条によって民法248条が適用されるので、信託財産に対して償金を請求できるし、信託法48条の費用償還請求を使う道もある。実務のポイント:揉める原因の多くは法律論ではなく証拠不足である。領収書の宛名が個人名のままだと「贈与だった」と言われやすい。最初から信託口で払うのが一番安全だ
Q2受託者の兄が破産したら、信託してる実家も取られちゃう?
信託財産は受託者の破産財団に属しない(信託法25条1項)。兄が増築した部分も、17条と民法242条によって信託財産に付合していれば守られる。実務のポイント:落とし穴は登記である。不動産は信託の登記をしていないと、信託財産であることを第三者に対抗できない(14条)。家族信託を組んだのに信託登記が漏れている例は少なくないので、登記簿の「信託目録」を一度確認しておくとよい
Q3同じ人が二つの信託を受けてて、中身が混ざったらどうなる?
それぞれの信託を別々の所有者とみなし、民法245条(混和)と244条によって、混ざる前の価格の割合で共有することになる。共有になった後の分割は信託法19条の手続による。実務のポイント:複数の信託を一人で受託する場合、混ざった後で価格を証明するのは難しい。入庫時点の数量と単価の記録が、そのまま共有持分の証拠になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「自分のお金で直した部分は自分のもの」と考える受託者が多い。実際には、不動産に付合した資材は建物の所有者側、つまり信託財産に吸収される(民法242条)。受託者に残るのは物そのものではなく、償金請求権(民法248条)や費用償還請求権(信託法48条)というお金の請求権だけである
- 「信託口座のお金と自分の預金を混ぜたら17条で処理される」という問いは、前提がずれている。預金は銀行に対する債権であって「物」ではないため、付合・混和の対象外と考えるのが一般的で、識別できなくなった場合を扱う18条や、分別管理義務(34条)の問題として扱われることが多い。現金や預金の扱いは実務上解釈が分かれうる
- 17条で物の帰属が整理されても、混ぜてしまった行為そのものが許されるわけではない。分別管理義務(34条)に違反して信託財産に損失が出れば、受託者は損失てん補責任(40条)を負う。物の帰属の問題が片付いても、受託者の責任の問題は別に残る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 信託法17条:付合・混和・加工による物の帰属 | 信託法16条:信託財産に属する財産の範囲 信託法18条:財産を識別できなくなった場合 |
| 処理の方法 | 各財産を別の所有者とみなし、民法242条〜248条を適用 | 管理・処分等で得た財産や17条等で帰属した財産を信託財産に含める 識別不能となった当時の価格の割合で共有持分を擬制 |
| 主な場面 | 受託者が自己資材で信託建物を修繕、二つの信託の在庫が混ざった場合 | 信託不動産の売却代金、損害保険金の受領 付合・混和・加工にあたらない形で財産の区別がつかなくなった場合 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は信託財産の範囲と分別管理を信託法で定め、添附は民法の一般規定で処理する。受託者内部の擬制を明文化した日本17条に相当する規定の有無は要確認
2011年の信託法全部改正で、信託財産と固有財産等の添附について別所有者とみなして民法の添附規定を準用する規律が置かれたとされ、日本17条と構造が近い
信託財産と受託者固有財産の区別を定め、添附は民法典の一般規定によるが、受託者内部の擬制規定は置かれていない
米国は受託者の分別保管・識別義務として規律し、混合が生じた場合は信託法上の追及(tracing)とエクイティの救済で処理する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父のアパートを信託で預かる受託者として、雨漏りした外壁を急いで直すため自分の口座から120万円を払った。外壁材は建物に付合し、信託財産になる(民法242条)。あなたが持っているのは、信託財産に対する償金請求権(民法248条)か費用償還請求権(信託法48条)だけだ。領収書の宛名が「個人」のままなら、後で兄弟から「贈与だったのでは」と言われかねない
- もし受託者の兄が自己破産したら、兄が自腹で増築した信託建物の部分は債権者に持っていかれるのか? 増築部分は付合によって信託財産に属するので、兄の破産財団には入らない(信託法25条1項)。ただし兄が信託側に持つ償金請求権は兄個人の財産なので、破産管財人がそれを行使してくる可能性はある
- 二つの信託から預かった同じ等級の灯油を、受託者が一つのタンクに入れてしまった。これは混和である。民法245条と244条により、混ざる前の価格の割合で共有することになる
- 信託の終了まで、あと30日。帰属権利者(終了後に財産を受け取る人)であるあなたが清算の計算書を見ると、受託者が自分の資材で倉庫を増築し、その代金を信託財産から差し引こうとしている。差し引きを認める前に、増築の必要性、金額、支払いの記録を出させるのは今しかない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 受益者として、信託帳簿などの閲覧・謄写を請求する(信託法38条)。どの財産がいつ、何とくっついたり混ざったりしたかを確認する2. 受託者の固有財産が信託財産に付合した場合、代金の差し引きが妥当か、必要性と金額の資料を出させる3. 混ぜたこと自体で信託財産に損失が出ていれば、分別管理義務違反(34条)として損失てん補を請求する(40条) 4. 改善しない場合は、受託者の解任(58条)を検討する
訴えられた側:1. 自腹で支出した領収書、契約書、工事写真を保存する2. 付合した財産が信託財産に属することを前提に、償金請求(民法248条、17条により適用)か費用償還(信託法48条)のどちらで回収するかを整理する3. 自己取引・利益相反(31条)にあたらないかを確認し、必要なら受益者の承認を書面で取る4. 今後は信託口からの支払いに統一し、分別管理(34条)を徹底する
時効(請求できる期限):本条に固有の時効はない。償金請求は不当利得返還(民法703条、704条)の例によるため、一般消滅時効(民法166条:権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年)が適用される。受託者の損失てん補責任の時効には信託法43条の特則がある(最新の改正状況をご確認ください)
学説
一般的理解:本条は受託者の単一人格を前提に、信託財産・固有財産・他の信託財産を別所有者と擬制する技術的規定である。対象は「物」の付合・混和・加工に限られ、預金債権などの混在は18条や分別管理義務の問題として扱われることが多い。
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 旧信託法(大正11年法律)の付合等に関する規律を引き継ぎ、全部改正後の現行信託法において第17条として規定された(平成19年(2007年)9月施行)
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法全部改正(平成18年法律第108号)により、旧信託法の付合等に関する規律を引き継いで現行第17条として規定。平成19年(2007年)9月施行
- 信託法 第16条付合等で得た財産の信託財産帰属
- 信託法 第18条識別不能時の共有持分擬制
- 信託法 第19条信託財産と固有財産の共有物分割
- 信託法 第34条分別管理義務、混在防止の本則
- 信託法 第25条受託者破産時の信託財産隔離
- 民法 第242条不動産付合、本条により適用
- 民法 第244条主従不明の付合による共有
- 民法 第248条付合等に伴う償金請求
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