信託法 第16条(信託財産の範囲)
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- 信託行為において信託財産に属すべきものと定められた財産のほか、次に掲げる財産は、信託財産に属する。
- 一信託財産に属する財産の管理、処分、滅失、損傷その他の事由により受託者が得た財産
- 二次条、第十八条、第十九条(第八十四条の規定により読み替えて適用する場合を含む。以下この号において同じ。)、第二百二十六条第三項、第二百二十八条第三項及び第二百五十四条第二項の規定により信託財産に属することとなった財産(第十八条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により信託財産に属するものとみなされた共有持分及び第十九条の規定による分割によって信託財産に属することとされた財産を含む。)
この条文の基本情報
信託財産の範囲とは何ですか?
定義信託財産の範囲とは、信託法第16条に定められた規定で、「信託行為において信託財産に属すべきものと定められた財産のほか、次に掲げる財産は、信託財産に属する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第16条(信託財産の範囲)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第16条の条文原文は「信託行為において信託財産に属すべきものと定められた財産のほか、次に掲げる財産は、信託財産に属する。」で始まります。
- 信託法第16条は第二章 信託財産等に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第16条の前の条は信託法第15条です。
- 信託法第16条の次の条は信託法第17条です。
- 信託法第16条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第16条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第16条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/16
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法16条は、信託財産の管理・処分・滅失・損傷等により受託者が得た財産も信託財産に属すると定める。売却代金や保険金、賃料も信託財産となる。
Q · 家族信託の不動産を売ったら、その代金は受託者のものになるの?
なりません。代金も16条で信託財産になります
信託法16条1号により、信託財産に属する財産の管理・処分・滅失・損傷その他の事由で受託者が得た財産は、当然に信託財産に属します。不動産の売却代金、賃料、火災保険金、加害者への損害賠償請求権がこれにあたり、信託契約書に定めがなくても結論は変わりません。ただし受託者の固有財産と混ざって識別できなくなると18条の共有みなしの問題となるため、信託口口座での分別管理(34条)が欠かせません。
解説
信託に入れたアパートが火事で燃えたとき、支払われる火災保険金は受託者個人のものではない。信託財産である。信託法16条は、信託行為(信託契約や遺言など、信託を設定する行為)で定めた財産に加えて、もう一つの財産も自動的に信託財産に入ると定めている。信託財産の管理、処分、滅失、損傷などによって受託者が得た財産である。具体的には、賃料、売却代金、保険金、そして壊した相手への損害賠償請求権がこれにあたる。財産が姿を変えても、信託の「囲い」の外には出ない。あなたの家族にとっては、次のような意味になる。親の不動産を子に託す家族信託で、子が物件を売って代金を受け取ったとする。その代金は、子の債権者が原則として差し押さえることのできない財産のまま残る(23条)。子が破産しても破産財団(破産手続で債権者に配られる財産)には入らない(25条)。ただし、子がその代金を自分の口座に混ぜてしまうと、どれが信託財産なのかを示すこと自体が難しくなる。囲いを最後に支えるのは条文ではなく、分別管理(34条)という日々の実務である。
法的な位置づけ
信託法16条は信託財産の範囲を定める規定であり、信託行為において信託財産に属すべきものと定められた財産に加え、信託財産の管理、処分、滅失、損傷その他の事由により受託者が得た財産と、17条・18条・19条等の規定により信託財産に属することとなった財産を、当然に信託財産に含める。財産が形を変えても信託財産としての同一性が維持される。
よくある質問 AI による整理
Q1信託財産の範囲とは?
信託行為で定めた財産に加え、その管理・処分・滅失・損傷等で受託者が得た財産や、付合・識別不能等の規定で信託財産となった財産を含む範囲です(信託法16条)。
Q2家族信託 売却代金 誰のもの?
信託した不動産の売却代金は信託法16条1号により信託財産に属し、受託者個人の財産にはなりません。税務上は受益者の財産として扱われます。
Q3信託財産の火災保険金 振込先はどこにすべき?
保険金も16条で信託財産に属するため、受託者個人口座ではなく信託口口座を指定するのが原則です。混入すると識別が難しくなります。
Q4信託財産は差し押さえできる?
受託者個人の債権者は、原則として信託財産を差し押さえできません(信託法23条)。差し押さえられた場合、受託者や受益者は異議を主張できます。
Q5信託口口座とは?
受託者が信託財産である金銭を管理するために開設する口座です。受託者の固有財産と区別して管理する分別管理(34条)の実務的な受け皿になります。
Q6受託者が破産したら信託財産はどうなる?
信託財産は受託者の破産財団に属しません(信託法25条)。16条により、売却代金や保険金など形を変えた財産もこの保護の対象に含まれます。
Q7信託財産と受託者の財産が混ざったらどうなる?
識別できなくなった場合、各財産はその価格の割合に応じた共有持分が信託財産と固有財産に属するとみなされます(18条)。立証負担は重くなります。
Q8信託した建物を壊された損害賠償 誰が請求する?
損害賠償請求権は滅失・損傷により受託者が得た財産として信託財産に属します。受託者が信託財産の管理として加害者に請求するのが基本です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1家族信託のアパートの家賃って、受託者の息子の所得になるんですか?
信託法上、家賃は管理によって得た財産として信託財産に属する(16条1号)。税務上は、受益者が信託財産を持っているものとみなされる(所得税法13条)ため、家賃収入は受益者である親の所得になる。実務のポイント:信託した不動産から生じた赤字は、他の所得と損益通算できないという制限がある(租税特別措置法41条の4の2)。赤字物件を信託に入れると節税効果が消えることは、契約前に説明されないままのことが多い。
Q2受託者が勝手に信託の土地を売っちゃったら、そのお金はどうなるの?
売却代金は16条1号により信託財産に属するので、受託者が自分のものにすることはできない。さらに受益者は、一定の要件を満たせば売却そのものを取り消せる(27条)。実務のポイント:信託の登記がされている不動産なら、「相手方が信託財産だと知っていたこと」を受益者が立証する必要がなくなる。登記の有無が取消しの成否を分けるので、費用を浮かせるために信託登記を省こうという提案には乗らないこと。
間違えやすい点 AI による整理
- 「信託したのは不動産だけなので、売れば代金は受託者のもの」と考えられがちだが、これは誤りである。売却代金は16条1号により当然に信託財産となる。信託契約書に代金の扱いが書いていなくても結論は変わらない。
- 分別管理が大事なことは知っていても、混ぜてしまったときの代償の重さを知らない人は多い。どれが信託財産か識別できなくなると、「これは信託財産だ」という主張が立証の段階でつまずく。受託者は分別管理義務違反(34条)として、損失てん補責任(40条、信託財産に生じた損失を自腹で埋める責任)を負うこともある。
- 「受託者が勝手に売った代金は、信託財産になるのか」という問い自体が半分ずれている。権限外の処分であっても、その対価は16条で信託財産に入る。本当に問うべきなのは代金がどこに帰属するかではなく、受益者がその処分自体を取り消せるかどうか(27条)である。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律内容 | 信託法16条:信託財産の範囲(代位財産等も信託財産) | 信託法14条:信託財産であることの対抗要件(登記・登録) 信託法18条:識別不能時の共有持分みなし |
| 働く場面 | 財産が売却・保険金・賃料などに姿を変えたとき | 登記・登録制度のある財産を第三者に信託財産と主張するとき 信託財産と固有財産が混ざって区別できなくなったとき |
| 受託者・受益者への意味 | 信託財産の同一性が当然に維持される | 登記がなければ第三者に対抗できない 価格割合の共有持分としてのみ信託財産が残る |
他国ではどう定めているか 4 か国
第2項で、信託財産の管理・処分・滅失・毀損等により受託者が取得した財産権も信託財産に属すると定め、日本法とほぼ同じ構造をとる
信託財産の管理・処分・運用・滅失・毀損等により受託者が得た財産を信託財産とし、日本法と同趣旨の規定を置く
受託者が信託財産の管理運用・処分等により取得した財産も信託財産に帰属すると定める
明文の条文ではなく tracing の法理により、信託財産の代わりに得た財産を信託財産として追及する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 保険金の振込先は、受託者個人の口座で本当にいいのか? 信託したアパートが隣家からのもらい火で半焼し、保険会社から来週までに振込先を指定するよう連絡が来た。本条によって保険金は信託財産に属する。振込先には信託口口座を指定し、受託者自身の預金とは一円も混ぜないこと。
- あなたは受託者である長男の事業に金を貸している。長男名義の口座を差し押さえたところ、中身は父の家族信託の賃料だった。16条と23条により、信託財産を差し押さえることは原則として許されず、受託者や受益者から異議を出されれば(23条5項)差押えは崩れる。
取るべき行動
被害を受けた側:受益者または委託者の立場なら、次の順で動く。1. 受託者に帳簿などの閲覧を請求する(38条)。あわせて信託口口座の通帳も開示してもらう2. 売却代金、賃料、保険金の入金先を時系列で照合する3. 受託者個人の口座への混入が見つかったら、信託口への移し替えと是正を書面で求める4. 不動産の買い替えがあった場合は、登記簿で信託の登記がされているか確認する5. 是正されなければ、損失てん補請求(40条)や受託者の解任(58条)を弁護士と検討する
訴えられた側:受託者の立場なら、次の点を守る。1. 信託財産から生じる金銭は、最初から信託口口座で受け取る2. 混入してしまったら、ただちに帳簿で信託財産の分を明らかにし、移し替えた記録を残す3. 自分の債権者から信託財産を差し押さえられたら、信託契約書、帳簿、登記をそろえて異議を主張する4. 報酬や費用を受け取るときは、48条の償還手続に沿って行い、無断で引き出さない
時効(請求できる期限):本条そのものに特定の時効はない。受託者への損失てん補請求には一般消滅時効(民法166条:権利を行使できると知った時から5年、または行使できる時から10年)が適用される。ただし受益者が請求する場合の起算点については、信託法43条に特則がある(最新の改正状況をご確認ください)。差押えへの異議は、強制執行が完了する前に出さないと実益を失う
学説
通説:16条1号は旧信託法14条の物上代位規定を引き継ぎ、信託財産の変形物を当然に信託財産とする。ただし第三者への対抗には14条の登記・登録や分別管理による識別可能性が前提となる
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 大正11年制定の旧信託法に代わる新しい信託法が制定され、信託財産の範囲を定める規定として本条が置かれた(旧法の物上代位規定を引き継いだもの)。その後の改正の有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.大正11年(1922年) 新設:旧信託法14条で、信託財産の管理・処分・滅失・毀損等により受託者が得た財産を信託財産とする物上代位規定が置かれた
- 2.平成18年(2006年) 新設:信託法の全部改正により現行16条が新設され、旧法の物上代位規定を引き継ぐとともに、付合・識別不能・分割等により信託財産に属することとなった財産も範囲に明記された
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