信託法 第170条
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- 裁判所は、管理命令をする場合には、当該管理命令において、管理人を選任しなければならない。
- 2.前項の管理人は、裁判所が監督する。
- 3.裁判所は、第一項の管理人に対し、信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況の報告をし、かつ、その管理の計算をすることを命ずることができる。
- 4.第六十四条から第七十二条までの規定は、第一項の管理人について準用する。この場合において、第六十五条中「前受託者」とあるのは、「受託者」と読み替えるものとする。
- 5.信託財産に属する権利で登記又は登録がされたものに関し前条第一項の規定による保全処分(管理命令を除く。)があったときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、当該保全処分の登記又は登録を嘱託しなければならない。
- 6.前項の規定は、同項に規定する保全処分の変更若しくは取消しがあった場合又は当該保全処分が効力を失った場合について準用する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第170条は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第170条の条文原文は「裁判所は、管理命令をする場合には、当該管理命令において、管理人を選任しなければならない。」で始まります。
- 信託法第170条は第一節 信託の終了に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第170条の前の条は信託法第169条です。
- 信託法第170条の次の条は信託法第171条です。
- 信託法第170条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第170条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第170条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/170
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法170条は、管理命令をする裁判所が必ず管理人を選任し、その管理人を監督すると定める。管理人には信託財産管理者の規定が準用され、財産の管理処分権が専属する。
Q · 信託に管理命令が出たら、財産は誰が管理するの?
裁判所が選任し監督する管理人が管理する
信託法170条1項により、裁判所は管理命令をする際に必ず管理人を選任し、2項により管理人を監督します。4項で64条〜72条が準用されるため、信託財産の管理処分権は管理人に専属し、命令後に受託者がした法律行為は信託財産に対して効力を主張できません。裁判所は3項により、財産・債務状況の報告と管理の計算を命じることもできます。
解説
信託の受託者は財産の名義人であり、普段は管理も処分もほぼ一人で決められる。だが信託法166条にもとづいて「公益を確保するための信託終了」が申し立てられると、裁判所は169条により管理命令(裁判所が選んだ人に財産の管理を任せる命令)を出せる。本条は、管理命令を出すときは必ず管理人を選任することを定めている。管理人は裁判所の監督を受け、裁判所は管理人に対し、財産と信託財産責任負担債務(信託財産から支払うべき借金などの債務)の状況を報告させ、管理の計算を出させることができる。さらに64条から72条までの信託財産管理者の規定が準用されるため、受託者の財産管理処分権は管理人に専属する。管理命令の後に受託者が結んだ取引は、信託財産に対して効力を主張できない。受益者や取引相手であるあなたにとって一番大きな損失は、交渉相手が切り替わったことに気付かないことである。処分禁止などの保全処分が出ていれば、裁判所書記官が職権でその登記・登録を嘱託する。登記簿を見れば、財産が凍結されているかどうかは確認できる。
法的な位置づけ
信託法170条は、公益確保のための信託終了申立てに伴う保全処分として管理命令が発せられる場合の管理人制度を定める規定である。裁判所による管理人の必要的選任と監督、報告・計算命令、信託財産管理者規定の準用、ならびに管理命令以外の保全処分に係る登記・登録の職権嘱託を内容とする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.不正の兆候に関する証拠を保全する 受益者や信託債権者として受託者の不正を疑ったら、受託者とのやり取り、信託事務の報告書、入出金記録を直ちに保存する。後の終了申立て・保全処分申立ての疎明資料になる
- 2.終了申立てと保全処分を同時に検討する 信託法166条の終了申立てを行う場合、財産散逸を防ぐため、169条の管理命令その他の保全処分を同時に申し立てるかを弁護士と検討する。財産規模と管理人報酬の負担も比較する
- 3.管理人選任後に窓口を切り替える 管理命令で管理人が選任されたら、以後の請求・照会・取引の窓口を受託者から管理人に切り替える。受託者の「まだ権限がある」という主張には応じない
- 4.取引前に登記事項証明書を取り直す 信託財産に属する不動産等を取引する場合、決済直前に登記事項証明書を取得し、170条5項にもとづく保全処分の登記の有無を確認する
よくある質問 AI による整理
Q1信託の管理命令とは何ですか?
公益確保のための信託終了申立て(信託法166条)があった場合に、裁判所が169条にもとづき発する保全処分の一つで、信託財産の管理を管理人に委ねる命令です。
Q2管理命令の管理人は誰が選ぶ?
裁判所が管理命令の中で選任します(信託法170条1項)。受益者や受託者が自由に選べるわけではなく、選任後も裁判所の監督を受けます。
Q3管理命令後に受託者と契約したらどうなる?
65条の準用により、管理命令後に受託者が信託財産についてした法律行為は、信託財産に対して効力を主張できません。代金を払っても財産を取得できないおそれがあります。
Q4信託財産の保全処分は登記簿で確認できる?
できます。管理命令以外の保全処分が登記・登録された権利についてなされると、裁判所書記官が職権で遅滞なく登記・登録を嘱託します(170条5項)。
Q5管理人の報酬は誰が払う?
71条の準用により、管理人は裁判所が定める額の費用と報酬を信託財産から受け取ります。結果的に受益者の取り分が減る可能性があります。
Q6管理人に信託財産の状況を報告させることはできる?
裁判所は管理人に対し、信託財産と信託財産責任負担債務の状況の報告、管理の計算を命じることができます(170条3項)。利害関係人は裁判所に上申して促せます。
Q7保全処分が取り消されたら登記はどうなる?
保全処分の変更・取消しや失効があった場合も、5項が準用され、裁判所書記官が職権でその登記・登録を嘱託します(170条6項)。
Q8管理命令の申立ては誰ができる?
管理命令は166条の終了申立てを前提とし、169条により申立てまたは職権で発せられます。166条の申立権者には法務大臣、受益者、委託者、信託債権者などの利害関係人が含まれます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1管理命令が出た後に受託者と結んだ売買契約って、どうなるんですか?
信託法170条4項により65条が準用されるため、管理命令の後に受託者が信託財産についてした法律行為は、信託財産に対して効力を主張できない。代金を払っても、物件を信託財産から取得できないおそれがある。実務のポイント:慣れた実務家は、決済の直前に登記事項証明書を取り直してこの種の保全処分の登記を確認する。先週取った謄本で安心してはいけない
Q2管理人って誰がなるんですか?報酬は誰が払うの?
選任するのは裁判所で、実務上は弁護士が選ばれることが多い。71条の準用により、管理人は裁判所が定める額の費用と報酬を信託財産から受け取る。実務のポイント:管理人の報酬や費用は、最終的に受益者の取り分を減らす。申し立てる側は、財産の規模と管理命令の必要性を比べて、処分禁止のような軽い保全処分で足りないかを先に検討する
間違えやすい点 AI による整理
- 管理命令が出ても受託者は登記上の名義人なのだから取引できる、と考えるのは誤りである。66条・65条の準用により、財産の管理処分権は管理人に専属する。命令後に受託者がした法律行為は、信託財産に対して効力を主張できない
- 「家族信託のもめごとにも使える制度か」という問いの立て方そのものがずれている。本条の管理命令は、166条の公益確保のための終了申立てがあることを前提にしている。家族間のトラブルで受託者を交代させたいなら、受託者の解任(58条)、新受託者の選任(62条)、信託財産管理命令(63条)のほうを検討するのが筋である
- 受益者から見ると、管理人は自分の味方に見える。だが法律上の管理人は、裁判所の監督のもとで信託財産を守る立場であり、受益者の指示どおりに動く代理人ではない。この認識のずれを放置すると、要望が通らないことにいら立って時間を無駄にする。要望は裁判所を通じて伝える意識が必要である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 前提となる手続 | 信託法170条:166条の公益確保のための終了申立てに伴う管理命令 | 信託法63条〜66条:受託者の任務終了時の信託財産管理命令 信託法169条:終了申立てに伴う保全処分全般 |
| 財産を管理する者 | 裁判所が選任する管理人(必要的選任) | 裁判所が選任する信託財産管理者 管理命令の場合は管理人、処分禁止等では受託者が名義を維持 |
| 監督と報告 | 裁判所が監督し、報告・計算を命じることができる | 信託財産管理者の規定に従う 保全処分の内容は裁判所の裁量で定まる |
| 第三者への公示 | 管理命令以外の保全処分は書記官が職権で登記・登録を嘱託(5項・6項) | 信託財産管理命令に関する登記規定による 登記の嘱託は170条5項が担う |
他国ではどう定めているか 4 か国
受託者の解任・変更に際し法院が臨時管理人を選任できる仕組みと、法院による信託監督があるが、日本の公益確保終了申立てに連動する管理命令とは構造が異なる
受託者の任務終了等の場合に法院が信託財産管理人を選任する制度があり、日本の信託財産管理者制度と近い
受託者(fiduciaire)が義務に違反した場合、裁判所に暫定受託者の選任または受託者の交代を求めることができる
信託違反の救済として、裁判所が special fiduciary を選任し信託財産を管理させることができる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 配当を受けていた信託で、受託者の会社が財産を流用していると報じられたら、どうなるのか。法務大臣や受益者などが申し立てれば信託終了の裁判(166条)が始まり、その途中で管理命令が出れば、財産を握るのは受託者ではなく裁判所が選んだ管理人になる。照会先も報告を求める相手も、その日から変わる
- あなたは不動産業者として、ある信託の受託者から収益物件を買う決済を翌日に控えている。念のため登記事項証明書を取り直すと、処分禁止の保全処分の登記が入っていた。このまま決済すれば、代金を払ったのに物件を確保できないおそれがある。残り一日で、管理人と裁判所の状況を確かめなければならない
- 受託者を名乗る人物が「まだ自分に権限がある」と言ってきた。管理命令が出ていれば、その言葉は信託財産に対しては通用しない。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 受益者や信託債権者として不正の兆候をつかんだら、受託者とのやり取り、報告書、入出金記録をすぐに保存する。2. 166条の終了申立てと併せて、169条の管理命令などの保全処分を申し立てるか弁護士と検討する。3. 管理人が選任されたら、以後の請求や照会の窓口を管理人に切り替える。4. 財産の状況を知りたい場合は、3項の報告・計算命令を出すよう裁判所に上申する
訴えられた側:受託者の立場なら、管理命令の後に信託財産を処分しても信託財産に対して効力を主張できず、取引相手との紛争を自分で抱え込むことになる。命令が出たら処分行為はすぐに止め、帳簿、契約書、鍵などを管理人に引き渡して調査に協力する。不法な目的がない、警告後の権限逸脱は続いていないなど、166条の要件を争う主張は、終了申立ての審理の中で弁護士と組み立てる
時効(請求できる期限):特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。5項の登記嘱託は書記官が「遅滞なく」職権で行う。なお65条の準用により、管理命令の日に受託者がした法律行為は命令の後にしたものと推定されるため、命令当日の取引も危険な範囲に入る(準用の詳細は最新の条文を確認すること)
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 旧信託法を全面的に改めた現行信託法の中で、公益確保のための終了命令に伴う保全処分の管理人規定として設けられた。その後の手続法改正による文言修正の有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法の全部改正(平成18年法律第108号)により、公益確保のための信託終了申立てに伴う管理命令の管理人に関する規定として設けられた
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