信託法 第171条(保全処分に関する費用の負担)
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- 裁判所が第百六十九条第一項の規定による保全処分をした場合には、非訟事件の手続の費用は、受託者の負担とする。当該保全処分について必要な費用も、同様とする。
- 2.前項の保全処分又は第百六十九条第一項の申立てを却下する裁判に対して即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を理由があると認めて原裁判を取り消したときは、その抗告審における手続に要する裁判費用及び抗告人が負担した前審における手続に要する裁判費用は、受託者の負担とする。
この条文の基本情報
保全処分に関する費用の負担とは何ですか?
定義保全処分に関する費用の負担とは、信託法第171条に定められた規定で、「裁判所が第百六十九条第一項の規定による保全処分をした場合には、非訟事件の手続の費用は、受託者の負担とする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第171条(保全処分に関する費用の負担)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第171条の条文原文は「裁判所が第百六十九条第一項の規定による保全処分をした場合には、非訟事件の手続の費用は、受託者の負担とする。」で始まります。
- 信託法第171条は第一節 信託の終了に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第171条の前の条は信託法第170条です。
- 信託法第171条の次の条は信託法第172条です。
- 信託法第171条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第171条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第171条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/171
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法171条は、裁判所が169条1項の保全処分をした場合、非訟事件の手続費用と保全処分に必要な費用を受託者の負担とする。抗告審で原裁判が取り消された場合も同様である。
Q · 信託の終了命令で保全処分が出たら、裁判の費用は誰が払うの?
保全処分が出れば、手続費用も保全費用も受託者負担
信託法171条1項により、裁判所が169条1項の保全処分をした場合、非訟事件の手続費用と保全処分に必要な費用は受託者の負担となります。非訟事件は本来、手続費用を各自負担とするのが原則(非訟事件手続法26条1項)であり、本条はその特則です。また同条2項により、保全処分や申立却下の裁判に対する即時抗告で原裁判が取り消されたときは、抗告審と前審の裁判費用も受託者の負担となります。
解説
財産の保全を求めて裁判所に申し立てた側が、費用の重さで尻込みする必要はない。信託法171条はそういう設計になっている。前提となるのは166条の制度である。信託が不法な目的に使われている場合などに、法務大臣や受益者、信託債権者が「公益のためにこの信託を終わらせてほしい」と裁判所に申し立てるものだ。決定を待つ間に財産が流出しないよう、169条で管理人に財産を預けるなどの保全処分(決着前に財産を凍結・確保する裁判所の暫定措置)を出してもらえる。保全処分が出れば、非訟事件の手続費用(裁判所の手続にかかる実費)も保全処分に必要な費用も、受託者(信託財産を預かり管理している人や会社)の負担になる。非訟事件手続法26条の原則は「手続費用は各自負担」なので、本条はその特則にあたる。不正の疑いが濃い側が後始末の費用を払う仕組みであり、申立人は費用を理由に動けなくなることがない。
法的な位置づけ
信託法171条は、公益確保のための信託終了命令手続において、裁判所が169条1項に基づく保全処分をした場合に、非訟事件の手続費用および当該保全処分に必要な費用を受託者の負担とする規定である。また、保全処分または申立却下の裁判に対する即時抗告で原裁判が取り消されたときは、抗告審および前審の裁判費用も受託者の負担とする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.不正の証拠と信託の基本資料を確保する 信託契約書、受託者による財産処分の記録、送金履歴など、信託財産が不当に流出していることを示す資料を集める
- 2.166条の終了命令の要件に当てはまるか整理する 不法な目的での信託の設定や、法務大臣の書面による警告を受けた後も権限の逸脱・濫用が続いているかなど、166条の要件に当たる事実を時系列で整理する
- 3.終了命令と保全処分を同時に申し立てる 166条の終了命令の申立てと同時に、169条1項の保全処分も申し立てる。保全処分が出れば、本条1項により手続費用と保全費用は受託者の負担になる
- 4.却下されたら2週間以内に即時抗告を検討する 申立てが却下された場合は、告知を受けた日から2週間以内に即時抗告するかを判断する。原裁判が取り消されれば、抗告審と前審の裁判費用は受託者の負担になる(本条2項)
よくある質問 AI による整理
Q1信託法171条とは?
信託の終了命令手続で保全処分が出た場合に、手続費用と保全費用を受託者に負担させる規定です。非訟事件の各自負担原則に対する特則にあたります。
Q2信託法169条の保全処分とは何ですか?
終了命令の申立てがあった場合に、決定が出るまで信託財産の流出を防ぐため、裁判所が管理人による管理などを命じる暫定措置です。
Q3信託の終了命令を申し立てられるのは誰?
信託法166条により、法務大臣のほか、委託者、受益者、信託債権者その他の利害関係人が申し立てることができます。
Q4保全処分が出なかったら手続費用は誰が払う?
本条1項は適用されず、非訟事件手続法26条1項の原則どおり、特別の定めがない限り各自が負担することになります。
Q5受託者は負担した費用を信託財産から払える?
信託法48条の費用償還の仕組みはあります。ただ、受託者自身の不正が保全処分の原因になっている場面では償還が認められるか疑わしく、個別に判断されます。
Q6家族信託でも信託法171条は関係ある?
関係します。終了命令(166条)は信託一般を対象とする制度で、民事信託や家族信託も適用範囲から外れていません。
Q7信託法171条の費用負担はいつ確定する?
1項の費用負担は、終了命令の最終結論を待たず、裁判所が169条1項の保全処分をした時点で受託者に向けられます。
Q8即時抗告が棄却されたら費用はどうなる?
原裁判が取り消されないため本条2項は適用されません。抗告審の費用は非訟事件手続法の一般原則に従って扱われます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1保全処分を申し立てたら、管理人の費用ってこっちが出すんですか?
保全処分が出れば、その保全に必要な費用は受託者の負担になる(信託法171条1項)。非訟事件では本来、手続費用は各自負担(非訟事件手続法26条1項)なので、本条はその特則である。実務のポイント:裁判所から予納金の納付を求められることはあり得るので、手元資金はゼロにできない。立て替えた分を誰に請求できるかの根拠として、本条を把握しておくことが重要になる
Q2保全処分の申立てを却下されました。抗告しても費用がかさむだけですよね?
そうとは限らない。即時抗告が認められて原裁判が取り消されれば、抗告審の裁判費用に加えて、あなたが前審で負担した裁判費用も受託者の負担になる(信託法171条2項)。実務のポイント:期限は告知から2週間しかない。却下決定を読み込んでいるうちに過ぎてしまう例は珍しくないので、決定を受け取った日にカレンダーへ期限を書き込む
間違えやすい点 AI による整理
- 「裁判で負けた側が費用を払う」という民事訴訟のイメージで本条を読むと、ずれる。本条の費用負担は終了命令の最終結論を待たず、保全処分が出た段階で受託者に確定する。勝敗ではなく、保全処分という裁判所の判断が基準になっている
- 「申立てに費用が戻ってくる保証がない」と心配する人は、費用の流れを半分しか見ていない。保全処分が出れば受託者に移り、却下されても即時抗告で原裁判が取り消されれば前審の裁判費用まで受託者に移る。申立人には二段階で費用転嫁の道がある
- 受託者側から見れば「まだ違法と決まっていないのに費用を負わされる」と感じるだろう。法律の側から見れば、保全が必要なほど財産が危ない状態を作った管理者として負担させているのである。この落差に気付かず抗告を連発すると、受託者の出費はさらに膨らむ。なお、受託者自身が抗告して原裁判が取り消された場合の扱いは文言だけでは読み切れず、実務上、解釈が分かれうる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律対象 | 信託法171条:保全処分・抗告審の費用負担 | 信託法166条:公益確保のための信託終了命令 信託法169条:終了命令申立て後の保全処分 |
| 発動の基準 | 保全処分がされた時点、または抗告で原裁判が取り消された時点 | 公益を確保するため信託の存立を許すことができないと認められるとき 終了命令の申立てがあり、財産保全の必要があるとき |
| 受託者への効果 | 手続費用・保全費用・裁判費用を負担 | 信託が終了する 管理人による管理などで財産の管理権が制約される |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾にも違法信託の無効や詐害信託の取消しの制度はあるが、公益確保の終了命令と保全処分の費用を受託者に転嫁する規定は直接対応しない
米国の統一信託法典は、信託に関する司法手続で、裁判所が衡平に基づき費用や弁護士費用の負担者を決められるとする。日本のように保全処分の有無で負担者を自動的に定める構造ではない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 投資スキームの器として信託が使われ、集めた資金が受託者の関係会社へ流れている疑いがある。信託債権者のあなたが終了命令と保全処分を申し立てるとき、管理人による管理の費用を誰が持つのかで迷う必要はない。保全処分が出れば、その費用は受託者の負担になる
- 受託者の立場で、裁判所から管理命令を受けたらどうなるか? 財産の管理権を失うだけでは済まず、手続費用と保全費用の請求もあなたに来る。抗告で争うかどうかは、費用まで含めて計算しなければならない
- 保全処分の申立てが却下された。即時抗告の期限は告知を受けた日から2週間しかない。抗告審で原裁判が取り消されれば、抗告審の費用だけでなく、あなたが前審で負担した裁判費用も受託者に移る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 信託契約書、受託者の財産処分の記録、送金履歴を確保する2. 166条の要件(不法目的、または法務大臣の書面警告後も権限逸脱・濫用が続いていることなど)に当てはまるか整理する3. 終了命令の申立てと同時に169条の保全処分を申し立てる4. 保全処分が出たら、手続費用と保全費用は本条により受託者負担になることを前提に資金計画を立てる5. 却下された場合は2週間以内に即時抗告を検討する
訴えられた側:1. 管理命令が出れば財産の管理権を失い、本条で費用も負担することになると理解する2. 申立ての根拠事実(違法目的、警告後の継続行為の有無)を一つずつ反証できる資料を揃える3. 抗告するなら2週間以内に行う。ただし抗告審の費用リスクも計算に入れる4. 負担した費用を信託財産から償還できるかは、受託者自身の不正が前提となる場面では疑わしい。信託に詳しい弁護士に早めに相談する
時効(請求できる期限):本条自体に時効はない。保全処分または却下決定に対する即時抗告は、裁判の告知を受けた日から2週間以内(非訟事件手続法67条1項)。費用の償還請求そのものには一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年) 旧信託法(大正11年法律)に代わる新信託法(平成18年法律第108号)の制定で、公益確保のための終了命令制度の一部として設けられた。その後の非訟事件手続法の全面改正(平成23年)に伴う文言整備の有無は要検証
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:旧信託法(大正11年法律)に代わる新信託法(平成18年法律第108号)の制定に伴い、公益確保のための信託終了命令制度の一部として設けられた。その後の非訟事件手続法改正に伴う文言整備の有無は要検証
- 信託法 第166条公益確保のための信託終了命令
- 信託法 第169条費用負担の前提となる保全処分
- 信託法 第170条管理命令と管理人の選任(現行効力を要確認)
- 信託法 第168条終了命令手続への法務大臣の関与
- 非訟事件手続法 第26条手続費用各自負担原則の特則となる
- 非訟事件手続法 第67条即時抗告の2週間期間
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