信託法 第199条(受益証券の発行された受益権の質入れ)
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受益証券発行信託の受益権(第百八十五条第二項の定めのある受益権を除く。)の質入れは、当該受益権に係る受益証券を交付しなければ、その効力を生じない。
この条文の基本情報
受益証券の発行された受益権の質入れとは何ですか?
定義受益証券の発行された受益権の質入れとは、信託法第199条に定められた規定で、「受益証券発行信託の受益権(第百八十五条第二項の定めのある受益権を除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第199条(受益証券の発行された受益権の質入れ)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第199条の条文原文は「受益証券発行信託の受益権(第百八十五条第二項の定めのある受益権を除く。」で始まります。
- 信託法第199条は第二節 受益権の譲渡等の特例に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第199条の前の条は信託法第198条です。
- 信託法第199条の次の条は信託法第200条です。
- 信託法第199条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第199条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第199条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/199
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法199条は、受益証券発行信託の受益権の質入れは受益証券を交付しなければ効力を生じないと定める。185条2項の不発行の定めがある受益権は対象外である。
Q · 受益証券発行信託の受益権に質権を設定する契約を結べば、それで担保は取れたことになる?
証券を渡さない限り、当事者間でも質権は効力を生じない
信託法199条により、受益証券発行信託の受益権の質入れは、受益証券を交付しなければ効力を生じません。契約書に署名しただけでは、借り手本人に対しても質権を主張できません。成立後に受託者その他の第三者へ対抗するには、200条により証券を継続して占有している必要があります。なお、185条2項で証券を発行しないと定めた受益権には本条が適用されず、別の規定で判断します。
解説
「借用書にも質権設定契約書にも判を押した。これで担保は取れた」。受益証券発行信託の受益権については、その安心は幻にすぎない。信託法199条によれば、受益証券(信託の受益権を表した紙の有価証券)を相手に手渡さないかぎり、質入れ(借金の担保として権利を差し入れること)は効力を生じない。第三者に対抗できないという話ではない。当事者同士のあいだでさえ、質権は生まれないのである。契約書がどれほど立派でも、証券が貸主の金庫に入っていなければ、借り手が破産したとき、あなたは担保を持たない一般債権者の列に並ぶことになる。ただし、信託行為で受益証券を発行しないと定めた受益権(185条2項)にはこのルールが適用されず、証券を交付しなくても質入れできる。担保を取る前に確かめるべきなのは契約書の文言ではない。「この受益権に紙はあるのか。あるなら、それは今どこにあるのか」の二点である。
法的な位置づけ
信託法199条は、受益証券発行信託の受益権の質入れについて、当該受益権に係る受益証券の交付を効力発生要件とする規定である。信託行為で受益証券を発行しない旨を定めた受益権(185条2項)は適用対象から除かれる。成立した質権を受託者その他の第三者に対抗するための要件は、200条が定める証券の継続占有である。
手順
- 1.受益証券が発行されているかを確認する 信託契約(信託行為)を読み、受益証券発行信託かどうか、対象の受益権に185条2項の不発行の定めがないかを確認する。振替制度に乗った受益権かどうかもあわせてチェックする
- 2.融資の実行と証券原本の受領を同時に行う 決済の場で、融資金の送金と受益証券原本の引渡しを引き換えに行う。コピーやPDF、預り証では交付にあたらないため、原本を確認して受領日時を記録する
- 3.受託者に受益権原簿への記載を求める 受託者に対し、受益権原簿に質権の記載ができるかを確認し、可能であれば記載を求めて二重の手当てをする
- 4.証券を継続して占有し、一時返還に応じない 受領した証券は金庫などで継続して占有する。借り手から手続のための返還を求められた場合は、受託者への手続を質権者側で代行する形に組み替え、証券を手放さない
よくある質問 AI による整理
Q1受益証券発行信託とは何ですか?
受益権を表示する受益証券を発行する旨を信託行為で定めた信託です。信託法185条以下が規律し、受益権を有価証券化して流通させやすくする仕組みです。
Q2信託受益権を担保に入れる方法は?
受益証券が発行されていれば証券の交付で質入れします(信託法199条)。証券が発行されていない受益権は、96条以下の一般の質入れ規定に従います。
Q3受益権の質入れはいつ効力が生じる?
受益証券発行信託の受益権であれば、受益証券を質権者に交付した時点で効力が生じます。契約の締結日ではなく、証券が引き渡された日が基準です。
Q4受益証券を交付しない質入れは違法?
違法ではありませんが、効力を生じません。質権が成立していないため、優先弁済権を主張できず、債務者が破産すれば一般債権者として扱われます。
Q5質権者が受益証券を失くしたらどうなる?
200条により、継続して占有していなければ受託者その他の第三者に対抗できなくなります。紛失した場合は、早急に弁護士へ相談し、証券の再発行手続を確認する必要があります。
Q6受益権の質入れは受託者に通知が必要?
受益証券発行信託では、受託者への対抗要件は証券の継続占有です(200条)。受益権原簿への質権の記載を受託者に求めておくと、管理を補強できます。
Q7信託法199条と200条の違いは?
199条は質権が成立するための要件(証券の交付)、200条は成立した質権を第三者に主張するための要件(証券の継続占有)を定めています。
Q8受益証券のない受益権も質に入れられる?
入れられます。185条2項の不発行の定めがある受益権は本条の対象外で、証券の交付は要りません。96条以下の規定や振替制度のルールで判断します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1証券のコピーとか PDF をもらってれば、質権って成立してるんですか?
成立しない。199条が求めているのは受益証券そのものの交付であり、写しや画像データは証券ではない。交付がなければ質入れは効力を生じず、当事者間でも質権を主張できない。実務のポイント:決済当日に「原本は後日郵送」と言われたら、その時点で無担保融資になっていると考えるべきだ。融資実行と原本受領を同じ場で引き換えるのが、担保実務の基本動作である
Q2セキュリティトークンの信託受益権を担保に取るときも、紙をもらう必要あるの?
受益証券を発行しない定め(185条2項)がある受益権には、199条は適用されない。この場合は、一般の受益権の質入れ規定(96条以下)や、トークン基盤側の移転管理の仕組みに従う。実務のポイント:同じ「受益証券発行信託」の看板を掲げていても、証券を出すかどうかは信託契約ごとに決まる。担保審査の第一歩は、商品名ではなく信託契約の該当条項を読むことだ
Q3一度証券を受け取ったあと、借りた人に返しちゃったら質権は消えるんですか?
質権が直ちに消滅するかどうかは解釈が分かれる。ただ少なくとも200条により、証券を継続して占有していなければ、受託者その他の第三者に対抗できない。借り手が証券を別の人に差し入れたり、他の債権者が差し押さえたりすれば、あなたの優先権は通らなくなる。実務のポイント:一時返還を頼まれたら、受託者への手続を質権者側で行う形に組み替える。紙を手放さないこと自体が担保管理である
間違えやすい点 AI による整理
- 質権設定契約さえ結べば、少なくとも当事者間では質権が有効だと思われがちである。しかし本条の文言は「対抗できない」ではなく「効力を生じない」だ。証券を交付していなければ、借り手本人に対してすら質権を主張できない
- 「受益証券発行信託なのだから、証券を渡せば済む」という問いの立て方自体がずれていることがある。185条2項で証券を発行しないと定めた受益権や、振替制度に乗った受益権には、そもそも紙が存在しない。最初に確認すべきなのは交付の方法ではなく、紙があるかどうかである
- 交付によって質権が成立しても、それで安心とはいえない。200条により、質権者は証券を継続して占有していなければ、受託者その他の第三者に対抗できない。「手続に必要だから」と頼まれて証券を一時的に返した瞬間、担保の盾に穴が開く
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する場面 | 信託法199条:受益権の質入れ | 信託法194条:受益権の譲渡 信託法200条:質入れの対抗要件 |
| 証券の役割 | 証券の交付が効力要件(交付がなければ質権は成立しない) | 証券の交付が効力要件(交付がなければ譲渡の効力なし) 証券の継続占有が第三者対抗要件 |
| 欠けた場合の結果 | 当事者間でも質権を主張できない | 当事者間でも譲渡の効力が生じない 質権は成立していても受託者その他の第三者に対抗できない |
| 適用除外 | 185条2項の不発行の定めがある受益権 | 185条2項の不発行の定めがある受益権 199条の適用がある受益権が前提 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾民法も、権利者の記載がない有価証券を目的とする質権は証券の交付により設定の効力が生じるとしており、交付を効力要件とする点で本条と同じ型である
韓国民法も、無記名債権を目的とする質権の設定は証書の交付により効力が生じると定め、証券の引渡しを効力要件とする
ドイツ法は無記名証券上の質権に動産質の規定を適用し、証券の占有移転を要する。日本の証券質の源流にあたる
米国では certificated security の delivery により担保権が成立し、占有による perfection も認められる。間接保有証券は control で処理される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 知人の会社に3000万円を貸し、受益証券発行信託の受益権に質権を設定する契約を結んだ。ところが証券は「後日郵送する」と言われたまま届いていない。その会社が来週にも破産申立てをするという噂が入った。証券の原本を受け取れていない以上、質権はそもそも成立していない。しかも、支払不能に陥った後に証券を受け取れば、破産管財人から否認されるおそれまである
- 質権設定契約書に署名し、受け取ったのが証券のカラーコピーだけだったら、どうなる? コピーは交付にあたらない。質権は生まれていない
- 受益権を担保に借入れをしたのはあなたの側である。証券を手元に残したまま、別の金融機関にも同じ受益権を差し入れようとしている。最初の貸主に証券を渡していなければ、その質権は効力を生じておらず、証券を先に受け取った側が質権者になる。ただし、だますつもりで二重に担保へ入れれば、詐欺罪などの刑事問題に発展しかねない
- JDR(日本版預託証券)を担保に入れたいと証券会社の窓口で相談すると、「振替口座での質権設定になります」と返された。紙がない世界では、本条の出番そのものがない
- 相続人として亡父の金庫を開けたところ、受益証券と、見知らぬ人物の名前が入った質権設定契約書の写しが一緒に出てきた。証券が金庫に残っているのだから、その質権は最初から効力を生じていない可能性がある。一度交付された後に返されたものかどうかで結論が変わるので、相手方が名乗り出る前に経緯を洗い出しておきたい
取るべき行動
被害を受けた側:1. 手元にあるのが受益証券の原本か、コピーや預り証だけではないかを直ちに確認する2. 原本を受け取っていなければ速やかに交付を求め、受領の日時を記録する(借り手の支払不能後に受け取った場合、破産法上の否認対象になりうる) 3. 受け取った後は継続して占有し、返還の要請には安易に応じない4. 受託者に対し、受益権原簿に質権を記載してもらえるかを確認し、二重の手当てをしておく
訴えられた側:1. 相手が主張する質権について、証券の交付があったか、あったならいつかを確認する2. 交付がなければ質権は効力を生じていないので、担保権の実行や優先弁済の主張を拒める3. 信託行為(信託契約)を読み、185条2項の不発行の定めがある受益権かどうかを確認する。該当すれば、本条ではなく一般の規定で判断される4. 二重に担保へ入れた問題が絡む場合は刑事責任の可能性もあるため、早めに弁護士へ相談する
時効(請求できる期限):特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が被担保債権に適用される。実務上の時間圧は、借り手が支払不能に陥る前、または破産申立ての前に証券の交付を完了できるかどうかにある(危機時期の交付は破産法上の否認リスクを伴う)
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法制定(旧信託法の全面見直し) 受益証券発行信託の制度の創設とともに新設された。大正11年の旧信託法には受益証券発行信託の規定がなかった
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法の全面改正(平成18年法律第108号)により、受益証券発行信託の制度の創設とともに新設された。大正11年の旧信託法には受益証券発行信託の規定がなかった
- 信託法 第185条受益証券不発行の定め、本条の適用除外
- 信託法 第194条受益権譲渡も証券交付が効力要件
- 信託法 第196条証券占有者の権利推定と善意取得
- 信託法 第200条質権の対抗要件=証券の継続占有
- 信託法 第96条受益権の質入れの一般規定
- 民法 第344条質権設定の要物性、本条はその特則
- 民法 第362条権利質の一般規定に対する特則
- 会社法 第146条株券交付を要する同型の質入れ規定
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