信託法 第202条(質権に関する受益権原簿の記載事項を記載した書面の交付等)
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- 前条第一項各号に掲げる事項が受益権原簿に記載され、又は記録された質権者(以下この節において「登録受益権質権者」という。)は、受益証券発行信託の受託者に対し、当該登録受益権質権者についての受益権原簿に記載され、若しくは記録された同項各号に掲げる事項を記載した書面の交付又は当該事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。
- 2.前項の書面には、受益証券発行信託の受託者(法人である受託者にあっては、その代表者。次項において同じ。)が署名し、又は記名押印しなければならない。
- 3.第一項の電磁的記録には、受益証券発行信託の受託者が法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
- 4.受益証券発行信託の受託者が二人以上ある場合における前二項の規定の適用については、これらの規定中「受益証券発行信託の受託者」とあるのは、「受益証券発行信託のすべての受託者」とする。
この条文の基本情報
質権に関する受益権原簿の記載事項を記載した書面の交付等とは何ですか?
定義質権に関する受益権原簿の記載事項を記載した書面の交付等とは、信託法第202条に定められた規定で、「前条第一項各号に掲げる事項が受益権原簿に記載され、又は記録された質権者(以下この節において「登録受益権質権者」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 信託法第202条(質権に関する受益権原簿の記載事項を記載した書面の交付等)は、日本の信託法に含まれる条文です。
- 信託法第202条の条文原文は「前条第一項各号に掲げる事項が受益権原簿に記載され、又は記録された質権者(以下この節において「登録受益権質権者」という。」で始まります。
- 信託法第202条は第二節 受益権の譲渡等の特例に置かれています。
- 信託法の公布日は平成18年12月15日です。
- 信託法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 信託法第202条の前の条は信託法第201条です。
- 信託法第202条の次の条は信託法第203条です。
- 信託法第202条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
信託法(平成十八年法律第百八号)第202条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000108 - 本サイト収録
信託法(平成十八年法律第百八号)第202条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/418AC0000000108/202
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点信託法202条は、受益権原簿に登録された質権者が、受益証券発行信託の受託者に対し、自己に関する記載事項の書面または電磁的記録の交付を請求できると定める。書面には受託者の署名が必要。
Q · 受益権の質権を原簿に登録したら、その証明書はどうやってもらうの?
受託者に請求すれば署名入りの書面で受け取れる
信託法202条1項により、受益権原簿に登録された質権者は、受益証券発行信託の受託者に対し、自己に関する原簿記載事項を記載した書面の交付、または電磁的記録の提供を請求できます。書面には受託者(法人なら代表者)の署名または記名押印が必要で(2項)、電磁的記録には法務省令で定める代替措置が必要です(3項)。受託者が二人以上なら、すべての受託者の署名等がそろわなければなりません(4項)。受託者が自動的に送付する義務はないため、質権者からの請求が出発点になります。
解説
融資の担保として受益権に質権を設定し、受益権原簿に登録まで済ませた。手続はそれで終わったと考えがちだが、原簿は受託者の手元にあり、質権者が直接見ることはできない。そこで信託法202条は、原簿に載った質権者(登録受益権質権者)に、自分に関する記載事項を書いた書面、または電磁的記録の交付を受託者に求める権利を与えている。書面には受託者の署名か記名押印が必要である。受託者が法人なら代表者が署名する。電子で受け取る場合は、法務省令が定める電子署名などの措置が必要になる。受託者が二人以上いれば、全員の署名がそろって初めて有効な書面になる。登録したという記憶があるだけでは、債権を譲渡するときにも、担保を実行するときにも、監査を受けるときにも証拠にならない。受託者が署名した一枚があって、はじめて自分の担保を第三者に示すことができる。
法的な位置づけ
信託法202条は、受益権原簿に質権が登録された質権者(登録受益権質権者)の書面交付請求権を定める規定である。登録受益権質権者は、受益証券発行信託の受託者に対し、自己に関する原簿記載事項の書面または電磁的記録を請求でき、受託者は署名・記名押印またはこれに代わる措置を講じ、受託者が複数の場合は全員がこれを行う。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.原簿の登録内容を整理する 信託法201条の登録請求で受益権原簿に記載された事項(質権者の氏名・住所、質権の目的である受益権)を、登録申請書の控えと照合して手元で整理する
- 2.受託者に交付請求を書面で送る 信託法202条1項に基づく請求であることを明記し、書面交付か電磁的記録提供かを指定して受託者に送付する。共同受託なら全受託者の署名等を求める旨も記載する
- 3.交付された書面の形式を検査する 受託者(法人は代表者)の署名または記名押印があるか、受託者が複数ならすべての受託者分がそろっているか、電子交付なら法務省令の代替措置がとられているかを確認する
- 4.記載誤りがあれば訂正を求める 書面の記載が登録申請の内容と異なる場合は、受託者が協力的なうちに訂正を申し入れ、訂正後の書面を改めて請求する
- 5.取引や担保実行の前に最新版を取り直す 債権譲渡・借換え・担保実行の前に、最新の原簿記載事項の書面を再取得し、相手方のデューデリジェンスにすぐ提出できる状態にしておく
よくある質問 AI による整理
Q1登録受益権質権者とは?
信託法201条の手続で、氏名・住所や質権の目的である受益権が受益権原簿に記載された質権者のことです。202条の書面交付請求権を持ちます。
Q2受益権原簿の記載事項の証明はどうやって取る?
受託者に対し信託法202条1項に基づく交付請求を行います。書面か電磁的記録かを指定し、請求日を記録に残しておくのが実務上の基本です。
Q3受託者が質権の証明書面を出さないのは違法?
202条1項は質権者の請求権を定めているため、正当な理由なく応じなければ受託者の義務違反となりえます。まず書面で請求し、記録を残してください。
Q4電子データでも証明書面の代わりになる?
なります。ただし3項により、法務省令で定める署名または記名押印に代わる措置がとられた電磁的記録でなければなりません。単なるPDF送付では足りない可能性があります。
Q5共同受託の信託では誰が署名する?
受託者が二人以上ある場合、4項により「すべての受託者」の署名または記名押印が必要です。一社分だけの書面では要件を満たしません。
Q6法人が受託者の場合、誰が署名する?
2項の括弧書きにより、法人である受託者についてはその代表者が署名または記名押印します。担当部署の社印だけでは不十分と考えるべきです。
Q7受益証券を発行しない信託でも202条は使える?
202条の名宛人は受益証券発行信託の受託者です。通常の信託の受益権質は本条の対象外で、民法の権利質の規律や信託行為の定めを確認する必要があります。
Q8株式の質権と同じ仕組み?
会社法149条の登録株式質権者による書面交付請求と同じ構造です。株式担保の実務で使う確認手順をほぼそのまま応用できます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1受益証券を持っているなら、わざわざ原簿の書面なんていらないですよね?
受益証券を継続して持っていれば、質権を第三者に対抗することはできる(信託法199条)。一方、原簿に登録された質権者には、受託者から通知を受けられるなどの効果が加わり、その登録内容を外部に示す手段が202条の書面である。実務のポイント:証券を占有しているだけの質権者は、受託者から見ると名前のわからない存在になりがちで、分配などの通知が届かないことがある。登録と書面の取得をそろえて行うのが、担保管理の実務での安全策である
Q2書面をもらうのに手数料はかかりますか?
202条には費用についての定めがない。実際の手数料は、信託行為(信託契約など)の定めや受託者の事務手続で決まることが多い(実務上の扱いは事案ごとに要確認)。実務のポイント:手数料や交付までの日数は、融資を実行する前に信託契約や受託者の事務要領で確認しておく。紛争が起きてから交渉するより、最初に条件を決めておくほうがはるかに手間が少ない
間違えやすい点 AI による整理
- 「原簿に登録したのだから、受託者が自動的に証明書を送ってくる」と考えるのは誤りである。202条は質権者が「請求することができる」と定めているだけで、受託者が自分から送る義務は書かれていない。請求しなければ、書面は手に入らない
- 署名や記名押印の要件を形式上の細かい話と軽く見る人は多い。しかし受託者が複数いる場合に一社分の署名しかなければ、4項の要件を満たさない。担保を実行したり債権を譲渡したりする場面では、こうした形式の欠けを相手方が争点にしてくることがある。署名の有無は、書面に証明力があるかどうかに直結する
- 質権者の立場からは「自分の権利を確かめる手段」に見えるが、受託者の立場からは、原簿の記載に誤りがないかを外部から点検される場面でもある。交付した書面の内容が後で誤りと分かれば、受託者が原簿を管理する責任が問われうる。受託者側こそ、交付前に原簿の内容を確認する必要がある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 請求できる者 | 信託法202条:登録受益権質権者 | 信託法201条:受益権に質権を設定した者(登録の請求) 信託法187条:受益者(自己に係る原簿記載事項の書面交付) |
| 請求の中身 | 原簿に記載された自己の質権に関する事項の書面・電磁的記録 | 質権者の氏名・住所等を原簿に記載・記録すること 受益者自身に関する原簿記載事項の書面・電磁的記録 |
| 実務上の役割 | 登録済みの担保を第三者に示す証拠を手に入れる | 担保を原簿に載せる入口の手続 受益者としての地位を外部に示す |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾民法は権利質・有価証券質を一般的に規律するが、受益権原簿の記載事項について受託者に書面交付を請求させる専用規定は見当たらない。証券化商品の受益証券は金融資産証券化条例等の特別法で扱われる
韓国も2011年改正で受益証券発行信託を導入しており、日本と同種の仕組みをもつ。条番号の対応は要確認
米国では担保権の対抗要件をUCC Article 9のファイリング等で処理し、受託者が署名した原簿記載事項書面を交付する仕組みとは構造が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 不動産を裏付けにしたデジタル証券を担保にとって、事業者に融資した。半年後、この貸付債権をまとめて他の金融機関へ売ることになり、買い手のデューデリジェンス担当者が「質権の登録を証明する受託者の書面を出してほしい」と求めてきた。資料提出の締切まであと5営業日しかない。今日のうちに受託者へ202条の交付請求を送らないと、売却の日程そのものが崩れる
- 受託者が二社ある共同受託の信託で、片方の受託者の署名しかない書面を受け取った場合、その書面は使えるのか? 202条4項により「すべての受託者」の署名または記名押印が必要とされているので、一社分だけでは要件を満たさない。足りない分の署名を追加で求めることになる
- あなたは受託者側の信託銀行の担当者である。質権者からメールで「原簿の記載事項を電子で送ってほしい」と依頼があり、PDFを添付して返信した。法務省令が定める署名に代わる措置をとっていなければ、3項の要件を満たした交付とはいえない。社内の電子交付手順を一度見直しておく必要がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 受託者が書面を交付しない、または記載に誤りがある場合は、202条1項を明記した交付請求を書面で送り、記録を残す2. 受託者が複数いるときは、全員の署名または記名押印がそろっているかを確認する(4項) 3. 電子で交付を受けた場合は、電子署名などの措置がとられているかを確認する4. それでも応じない、または誤りを直さないときは、受託者の義務違反として弁護士に相談し、交付を求める訴えや損害賠償請求を検討する
訴えられた側:1. 請求を受けたら、まず原簿の記載が登録申請の内容と一致しているかを確認する2. 書面は代表者の署名または記名押印で作成し、共同受託の場合はすべての受託者の署名などを集める手順を決めておく3. 電子で交付する場合は、法務省令が定める措置に対応した仕組みを使う4. 請求の受付日と交付日を記録に残し、対応が遅れたと言われないようにする
時効(請求できる期限):特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。ただし実務では、債権譲渡や担保実行の日程に合わせ、余裕をもって請求しておく必要がある
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)信託法全部改正 受益証券発行信託の制度とともに、登録受益権質権者が書面の交付を請求できる規定が設けられた。その後に文言が改正されたかどうかは、人による確認が必要である
改正の年表
- 1.平成18年(2006年) 新設:信託法全部改正(平成18年法律第108号)により、受益証券発行信託の制度とともに、登録受益権質権者の書面交付請求の規定が設けられた。その後の文言改正の有無は要確認。
- 信託法 第201条質権を原簿に記載する前提手続
- 信託法 第199条受益証券占有による質権の対抗要件
- 信託法 第187条受益者による同種の書面交付請求
- 信託法 第186条受益権原簿の作成と記載事項
- 信託法 第203条登録受益権質権者への通知(現行効力を要確認)
- 社債、株式等の振替に関する法律 第127条の2振替受益権に関する特則(現行効力を要確認)
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